共通テーマ「疑う」でTが書いた詩を投稿します。
風の中に
何回かの本の貸し借りがあり
同じ詩人のファンとわかった彼
に たどりつく術だと疑わなかった
独りでの京都行き
その日は彼のためだけの街だった
赤く大きなガラス箱の中に街はあった
吉田山のあたりを歩き
学生時代に通ったという店も探した
店のオーナーから
いくつかの彼のエピソードも聞いた
私の知らない彼がかいま見えた
ガラスの透明度は次第に増していった
縦横に流れていた冷たい風が
あの夕暮れから きょう吹いてきた
はりつめた想いの先など考えもしないで
ただ野放図にひろげていた二十歳の私
今 灯った想いは密やかに眺めるだけで充分
と 風に言った
風の中に
何回かの本の貸し借りがあり
同じ詩人のファンとわかった彼
に たどりつく術だと疑わなかった
独りでの京都行き
その日は彼のためだけの街だった
赤く大きなガラス箱の中に街はあった
吉田山のあたりを歩き
学生時代に通ったという店も探した
店のオーナーから
いくつかの彼のエピソードも聞いた
私の知らない彼がかいま見えた
ガラスの透明度は次第に増していった
縦横に流れていた冷たい風が
あの夕暮れから きょう吹いてきた
はりつめた想いの先など考えもしないで
ただ野放図にひろげていた二十歳の私
今 灯った想いは密やかに眺めるだけで充分
と 風に言った
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