湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

疑うの詩パート1

2018-11-17 08:27:50 | オリジナル
共通テーマ「疑う」でTが書いた詩を投稿します。

風の中に

何回かの本の貸し借りがあり
同じ詩人のファンとわかった彼
に たどりつく術だと疑わなかった
独りでの京都行き
その日は彼のためだけの街だった

赤く大きなガラス箱の中に街はあった
吉田山のあたりを歩き
学生時代に通ったという店も探した
店のオーナーから
いくつかの彼のエピソードも聞いた
私の知らない彼がかいま見えた
ガラスの透明度は次第に増していった

縦横に流れていた冷たい風が
あの夕暮れから きょう吹いてきた
はりつめた想いの先など考えもしないで
ただ野放図にひろげていた二十歳の私
今 灯った想いは密やかに眺めるだけで充分
と 風に言った

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 11月の湘南句会 | トップ | 寺山修司展の言葉オブジェ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

オリジナル」カテゴリの最新記事