湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

洗うの詩パート2

2016-08-11 00:00:44 | オリジナル
共通テーマ「洗う」でTが書いた詩を投稿します。お題にちなんで写真は鎌倉十井シリーズ。今日は小町通りの鶴岡八幡宮寄りにある鉄(くろがね)の井です。湘南の竹下通り、小町通りの人出は猛暑でも衰えませんね~。

洗う

五月晴れが続くと
解いてあった着物の布を洗い
糊付けし 板に張り付けていた母
空気が入って膨らんだ部分を
水分を絞った布で丹念に伸ばすのが
私の役目だった
乾いてはがした布はきれいによみがえり
母はそれを又仕立てていた

人も汚れたら 洗いよみがえるのだ

還暦を過ぎた今は
洗い過ぎてはいけない
たくさんの澱の中には
二千年も眠っていた蓮のように
まだ発芽できる種がいくつかある筈だから
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夏草や鎌倉武士の夢の跡

2016-08-10 00:00:10 | 日記
昨日投稿したのは東勝寺橋にまつわる青砥藤綱のお話でした。そこまで行ったらすぐ近くに東勝寺跡があるじゃないか
ということで、少し坂をのぼって行ってみると祇園山ハイキングコース入口にあたる所にありました。今はただ夏草が生い茂っていますが、北条氏の氏寺だったと共に山城としても機能していたというわけですね。

「太平記 巻第十 関東氏族并びに家僕等打死の事」から一節。
塔の辻にて馬より下り、空しき跡を見廻せば、今朝までは奇麗なる大廈・高蔣の構へ、たちまちに灰塵となつて、須臾に転反の煙を残し、昨日まで遊戯せし親眤・朋友も多く戦場に死して盛者必衰の尸を余せり。  
さらに奥に行った左手には、北条高時の墓とも北条一族自刃の場とも伝えられている腹切りやぐらがありました。

草の緑目に沁み込んで武家の古都  
夏草の盛んな緑だけでなく汗も目に染み込んで痛かったんですけど、猛暑の中でしばし、もの悲しい気分に浸ったのでした。
ちなみに、というかおまけで、六地蔵にある文学案内板もご紹介しておきます。

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青砥藤綱ゆかりの橋

2016-08-09 09:44:00 | 文学
夏の木漏れ日の中の東勝寺橋(鎌倉市小町 鎌倉市景観重要建築物 かまくら景観百選)。


関東大震災後に建てなおされたアーチの美しい橋です。青砥藤綱十文拾い伝説の舞台としても知られ、太宰治が小説のモチーフにしています。
青砥左衛門尉藤綱、駒をあゆませて滑川を渡り、川の眞中に於いて、いささか用の事ありて腰の火打袋を取出し、袋の口をあけた途端に袋の中の銭十文ばかり、ちやぼりと川浪にこぼれ落ちた。青砥、はつと顔色を變へ、駒をとどめて猫背になり、川底までも射透さんと稲妻の如く眼を光らせて川の面を凝視した(中略)すでに薄暮である。明日にのばしたらどういふものか。けれども、それは出来ない事だ。捜査を明日にのばしたならば、今夜のうちにもあの十一文は川の水に押し流され、所在不分明となって國土の重寶を永遠に失ふといふおそろしい結果になるやも知れぬ (太宰治「裸川」より)
というわけで藤綱は家臣に五十文の松明を買わせて捜索。それは不合理だと言う同僚に「十文を川で落として失うのは損失だが、松明に使った五十文は商いで利益を生む」と説いたのでした。
さらに上流に行くと、鎌倉時代に藤綱の屋敷があったと伝えられるあたりに青砥橋がかかっています。
 青砥橋(鎌倉市浄明寺)
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段の詩パート1

2016-08-08 02:16:07 | オリジナル
共通テーマ「段」でAが書いた詩を投稿します。

LOOPING STAIRS 

上昇は下降
下降は上昇
モノクロームの不条理階段を
果てしなく上り下りし続けて
どこにもたどり着かない

堂々巡りに絶望し
踊り場から飛び降りる

下降は上昇
上昇は下降
モノクロームの枠の中でもんどり打って
再び果てしなく上り下りし続け
消え去ることができない

この天地はエッシャーとペンローズが創造した
だまし絵だったのだ
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洗うの詩パート1

2016-08-06 14:42:31 | オリジナル
 鎌倉十井のひとつ底脱ノ井(扇ケ谷)
新しい共通テーマ「洗う」でAが書いた詩を投稿します。

生活

友人が農園から運んできた
おいしそうな泥だらけの根菜が
玄関前の一隅を汚して
自信をもってわたしを食べろと
輝いている
運び入れ泥を雪ぐ

断られ 反発され 無視され 反故にされる
それでもくよくよしないんだ
よく食べよく飲むんだ
流しの中は汚れものでいっぱい
それを洗って拭ってしまう
取り出して使ってまた洗い
乾かしてまたしまう

汚れているだけにならなければ
ダイニングとキッチンで
確実にまわっていれば
胸の襞の傷は塞がっていく
残った痕は「名誉の負傷」だ
わたしの勲章だ

世界の襞を
人智で洗ってまた汚し
生活の管理は続く
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今後の予定

2016-08-05 21:13:06 | 日記
今日は8月の定例合評会でした。半分残ったので今月も8月19日(金)14:00~合評会パート2をやります。その時に取り上げる作品は下記の通りです。
風の音など 天使の気配 いやな音 独りは 落ちついた形 子供の形 拡声器 まえとうしろ 不可視の形 惰星からの脱出
次のテーマは 段 洗う の2つ。締切は8月31日(水)です。メンバーの皆さんよろしくお願いします。
以前8月に湘南文芸フリマを開催するとお知らせしましたが、10月9日(日)に変更しました。場所はヤサイクル前ウッドデッキです。
近くなったらまたお知らせします。 
↓今日ヤサイクルで買った夏野菜 
 
八百屋カフェヤサイクルは逗子海岸ロードオアシスにあります。地場の新鮮野菜が買えて、店内かデッキでカフェメニューも味わえます。
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形・音の詩

2016-08-04 13:22:32 | オリジナル
折紙達人小林さん作「逗子の海」
このカニさんカメさんたちはもらわれていき、現在逗子市民交流センターに飾ってあるのはタツノオトシゴファミリーです。明日はセンター1階で午後2時から今月の合評会があります。よろしくお願いします

では、共通テーマ「形」「音」でIが書いた詩を投稿します。

音楽

形のない音を組合せると音楽になる
音楽を音符に乗せると形になる

楽譜という形に

形のある楽譜を演奏すると音楽になる
メロディーやコーラス、ハーモニー
歌詞等で音楽を楽しむ

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形の詩パート9

2016-08-02 09:14:29 | オリジナル
「音」「形」の詩の締切は明日8月3日です。未提出の会員さん、よろしくお願いします。
では、共通テーマ「形」でAが書いた詩を投稿します。

不可視の形

寄せ返す日々
嫌がって逃げる季節を追い回し
罠に仕掛けられたグルメに飛び付き
饒舌に重言を繰り返し鬱陶しがられている
形而下の明け暮れの
苦しさのかたちは形而上にある

落ちてきた鳥の糞から踏んづけだ飯粒まで
全身に不可視の芥をくっつけている
いったん「上」に潜ったらいい


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鎌倉文学クイズ

2016-08-01 00:00:50 | 文学

鎌倉観光文化検定試験の過去問から第5回の1級問題を参考にした文学クイズを出題します。空欄を埋めてください。
画家岡本太郎の母[  ①  ]は、夫の一平とともに、鎌倉駅前の旅館「平野屋」に避暑で滞在する作家[  ②  ]と出会った。
このとき会った[  ②  ]を主人公に『鶴は病みき』を書いた。  

次の写真の下に正解を載せているので、スクロールせずにお考えください。

昭和11年「文学界」に発表されて、この女流作家のデビュー作になった「鶴は病みき」。その舞台になった平野屋は、現在ホテルニューカマクラになっています。
正解 ①岡本かの子 ②芥川龍之介

ホテルニューカマクラ敷地内にはこんな看板が掲げられています。かの子は大正12年の一夏を家族と共にここで過ごしたそうです。一家は鎌倉を立つ直前に9月1日の関東大震災に遭っています。それで翌13年に建て替えられたんでしょうね。鎌倉市の景観重要建築物に指定されています。
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