湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

段の詩パート4

2016-08-21 00:00:10 | オリジナル
共通テーマ「段」でTが書いた詩を投稿します。

階段

私が海につながっていた時
皆 私を使った
今 私の下は埋め立てられて繁華な街になり
そばに乗降客を呑み込み吐き出している巨大な駅もある
海は遠くへ押しやられ
私からは船の出入りも見られない
住民は年老いて ゆるやかな坂を利用し
私はすっかり手持ち無沙汰だ
たまにスマホを見ながら
子供が上り下りしているだけ

夏 ビルの陰で涼しい私の上には
猫が寝ている 一匹 二匹 三匹
冬 陽が届かない私は凍りつく
私は
通り過ぎて行った人たちのささやきや
私の足元を洗っていた波の音の夢を見る

街の喧騒だけが私の上を過ぎて行く
コメント
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