湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

洗うの詩パート7

2016-08-24 23:15:14 | オリジナル
昨日に続いて鎌倉十井。今日は銚子の井(大町)。

逗子から鎌倉に抜けてすぐの所にあるのですが、道端にこの案内がなかったら見つからないような路地にありました。
  では、共通テーマ「洗う」でAが書いた詩を投稿します。

豪雨の中で生きている

旅の初日に自転車を借りた
雨が降り始めた
昨日まで「快晴」だった天気予報は
この土地以外に向けたもので
この場所の今は「永遠に雨」

最近の自然は気が荒く予測できない
楽観は禁物
暴風雨から逃げ続けるという
戦闘の訓練を積まねばならない
止まってはいけない
転んでもすぐ起き上がり
走りながら自分を鍛え
生き残るのだ

などと大声で言っても
後ろを走る君には聞こえない
大量の雨が顔に流れ全身を伝う
だれとも意志疎通できなくとも
体力を保ち漕ぎ続ける
宿に着き身を横たえるのは死ぬ時

君は時々並走してくれる
その時だけは顰め面を洗い流し
目を瞬かせながら笑いかける
いつしか君とはぐれてしまう
涙は雨に混ざって後ろへ飛び去る

濡れた紙幣が飛ばされてきたら
すかさずつかまえ懐にしまう
単なる記号の付いた紙屑ではないのだから
それが豪雨の日々の旅のルール

都合により9月の定例合評会の時間を変更。次回9月2日(金)は午前10時からです。
コメント
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