12月の定例合評会で下記の作品について話し合ったことを投稿します。
こぼれる
こぼれたミルクは歌わない主義です
と手紙に書いた
こぼしてしまったコトバはしかたがない
背の高い神が
私にかがみこんでささやいた
生者に恥ずかしいことなどない
ミルクもコトバも
はじめからそんな運命だった
怖がることなどない
シャンソン歌手がジャズ歌手が
男女の血のナミダをこぼし続ける
あんたがわたしを恋してる
おまえがおれを恋してる
正しい母の正しいお粥のような
ウソをこぼし続ける
ときにはこぼれたウソが
日記のなかへはいりこむ
■:作者の弁 ●:評者の弁
■「背の高い神」というのは、男性のことです。
●単純に神様のことだと思って読んでました。ということは、2連目は男の人の台詞なのか~。主人公の言葉だと思ってました。
男性に語りかけられたことを象徴しているのだったら、2連目全体の頭が字下げされている方が解釈しやすいと思います。
●そうですね。3連目の歌詞を象徴している部分が字下げになっているものね。
■確かにそうね。この歌詞を象徴している2行は、男女の関係はアイラブユーではなくユーラブミーだという意味。
その手前の1行が通俗的過ぎたかもしれません。演歌をイメージして書いたから。
●え~、演歌? 全体を洋物イメージで読んでたんだけど。「こぼれたミルク」は英語の諺の一部でしょ?
■違います。
●「お粥」はオートミールじゃ……
■ないわよ。ご飯からじゃなく生米から作る日本の正しいお粥。
●出だしをcry over spilt milkだと思っちゃったし全体にクールで客観的な内容だったから演歌も米の粥も浮かんでこなかったよ~。
●完全に誤読だね。
■読み手の持っているものによって書き手の意図と違ってもいいんじゃない?
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