共通テーマ「場所」でTが書いた詩を投稿します。
冬の桜並木(ハイランド)
いつかの何処か
小さかったある日
父と二人 遠くの街へ行った
春霞の中 桜の街があり
人びとは陽炎のようにうすく歩いていた
何をしに行ったのか
今となっては知るすべはないが
あの日父は黙り込んでいた
私の手を強く握ってはいたが
何かをたずねても うわの空で
一日中一緒にいたのに ひどく遠かった
私は仕方なく 白っぽい空を見上げたり
行きかう人々眺めたり
流れる水の香りをかいだりしていた
誰かに会った という記憶は欠落しているが
あの日 父は誰かに別れを告げに行ったのではなかったか
固い決意が鈍らないように
私を連れて行ったのではないか
六十年が経って思うのだ
四十半ばの男として私の隣を歩いていた父
いくつかの電車を乗り継ぎ行ったあの街は何処だったのか
分からないまま
切り取られて不思議な絵として
あの日が私の中に張りついている
冬の桜並木(ハイランド)
いつかの何処か
小さかったある日
父と二人 遠くの街へ行った
春霞の中 桜の街があり
人びとは陽炎のようにうすく歩いていた
何をしに行ったのか
今となっては知るすべはないが
あの日父は黙り込んでいた
私の手を強く握ってはいたが
何かをたずねても うわの空で
一日中一緒にいたのに ひどく遠かった
私は仕方なく 白っぽい空を見上げたり
行きかう人々眺めたり
流れる水の香りをかいだりしていた
誰かに会った という記憶は欠落しているが
あの日 父は誰かに別れを告げに行ったのではなかったか
固い決意が鈍らないように
私を連れて行ったのではないか
六十年が経って思うのだ
四十半ばの男として私の隣を歩いていた父
いくつかの電車を乗り継ぎ行ったあの街は何処だったのか
分からないまま
切り取られて不思議な絵として
あの日が私の中に張りついている
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