575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

亡き父の表札下ろし蝉しずか  童子

2023年10月05日 | Weblog

自由題で見事トップ賞に輝いた童子さんの秀句。作者の童子さんからは

「7月から実家のリフォーム中です。ようやく亡き主人の表札を下ろしました。蝉の声もツクツクボウシに変わっています。」というコメントがついていました。

「表札を下ろす」という表現で全てを語り、一つの人生が終わりを迎えた感じがします。ここに至るまでにいろんな思いが錯綜したことと思います。気づけば蝉の声も静かになっていたのですね。今、実家じまいとか墓じまいまど、終活のことが取り上げられる度に得も言われぬ複雑な気持ちになります。

竹葉さん:とうとうお家終いでしょうか。その重い心が決然としてる様に感じるのは「下ろし」の表現と「蝉しずか」で、心もしずかだと言ってるようで、素晴らしい句だと思います。

須美さん:寂しさが伝わる。

晴代さん:やっと心が落ち着いたのでしょう。

郁子さん:親の古いお家を壊すことになったのでしょうか。思い出の品々を処分し、最後に表札をはずす。気持ちの整理ができたということが、蝉の鳴き声がしずかというのでわかります。

泉さん:寂しい句です。主が代わり、うるさい蝉も静かにおとなしくしている。

亜子さん:お父様が亡くなりフルネームの表札をはずす。ふと気づくと昨日まで鳴いていた蝉がピタっと鳴いていない。蝉も喪に服しているのであろうか。死と表札と蝉という取り合わせがうまい。

         ★★★

空き家問題など今後日本の家の形態も変わっていく気がします。童子さんはご実家をリフォームされたとのこと。亡きお父様も喜んでおられることでしょう。また故郷、富山での暮らしについても俳句にしてくださいね。             麗子

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする