*165*はこうやって・・・

よく噛んで、ゆっくりたっぷり食べつくす
*165*の日々です

『しあわせのパン』それは「シェア」

2012-03-04 22:20:12 | 学・楽・感
今年になって初めての映画鑑賞、
『しあわせのパン』

他の映画を見に行ったときに予告を見て、
北海道の景色だもの、これは映画館で見る映画よね、
夫と意見は一致していました。
もちろん、景色は美しく、さわやかな風が吹くようでした。
ただ、そこは二番手でした。

一番はおいしそうな音!
パン屋さんのお話ですから、特にパンの焼けていく音です。
パンを焼いたことのある者としては、誇張があるのはわかります。
それでもいい。
おいしさを感じられる心地よい音達でした。
他にも、よく切れる包丁の音、湯気を立てる大鍋の音、
時折鳴く羊の声…

そんな音の中に、カップルが順繰りに紛れ込んできます。
鍵の見つからない頑丈な箱を抱えた人たちです。
パン屋さんの夫婦(?)の心尽くしと、パンと季節の料理で、
みな、その箱を開けたり、いらなくなって置いて行ったり、
もっと大事なものを見つけたりして帰って行きます。

みな、パンを分け合います。
分け合うときに相手のことを思います。
それが開かない箱の鍵なのかもしれません。

一番大きくて重い氷のような箱を抱えていたのは、パン屋さん自身でした。
お客さんの心の塊をほぐすことが、自分の氷を融かすことになりました。

一生のうちに、
何度も重い硬い箱を抱えることがあるでしょう。
時には一度にいくつも。
それを一つ一つ、あるいはいっぺんに羽より軽くすることができる。
新しい自分を見つけることができる。
死ぬまで。
私が一番好きになった老夫婦がそれを見せてくれていました。

風景よりも分け合う手が大きく見えた映画でした。
コメント
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