ノープロブレム・ダイアリー

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『僕はパパを殺すことに決めた』

2007年05月28日 | 読んだ本・観た映画
僕はパパを殺すことに決めた

1年前の、奈良の事件を覚えていらっしゃるでしょうか。
東大寺学園に通う16歳の少年が自宅に放火し、継母と異母兄弟2人が焼死した事件です。

医師の家庭で起こった、エリート少年が起こした事件として、新聞、マスコミをさんざん賑わせた事件。
当時の掲示板も、少年の生活や父親の暴力、実母や継母との関係など、
何が本当で何がウソなのかわからないほど、興味本位で取りざたされていました。

今日読んだ本は、副題“奈良エリート少年自宅放火事件の真実”として
元法務省東京少年鑑別所法務教官も勤めた、現ジャーナリストの草薙厚子さんが書かれたものです。
本当の真実を発表するとして、警察の作成した供述調書も取材し、発表されています。
(←本来、そういうものが公表されることはあり得ないらしい)

それだけに丁寧な取材と、深い読み取りで、しみじみ、
ああこれが真実だったんだ、と思い知らされました。



“かわいそうに”とか“お気の毒に”なんて言葉じゃ言い表せない重い真実です。




あの事件は、同年代の子ども(特に男の子)を持つ母として、とてもショックな事件でした。

算数オリンピックにも出場したぐらいの頭のいい息子。
ご自身も医師であり、親戚にも医師の多い父親が、息子も同じ医師にしようと、
つきっきりで指導してきて、大きな期待をかけていた息子。

その息子が、父である自分を殺そうとしていたのです。
妻と子どもを殺された被害者であると同時に、加害者の父にもなったわけです。

最初、この事件を聞いたときには、親と子の気持ちが、どこかで食い違ってしまって、
そしてこんな悲しい結果になってしまったんだ…と
事件を起こした少年にも、その父親にも、同情的な気持ちでした。
もちろん殺された継母も小さな子ども達もお気の毒でなりませんでした。


今回この本を読んで、結局は親に問題があったんじゃないのか?と思わざるをえなくなりました。


きちんと息子の気持ちをわかってあげなかった責任。
わかろうと努力すらしなかった態度。
思い通りにならないからといって暴力をふるったこと。

父親だけではありません。
自分の身を守るために、息子を犠牲にしていたこと。
血のつながりがないからと、あと一歩踏み込んであげられなかったこと。


少年の孤独や悲しい思いを、重圧やストレスを、誰も理解してあげることはできなかったんですね。



確かに父親の暴力は特別でしたが、子どもへの過剰な期待は、
決して他人事ではないはずです。

良かれと思ったことが、子どもにはそう思われないことだってあるわけです。
親と子って、難しいものですね。




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