おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

選挙でイラクはこのままおさまるのか

2005-01-31 19:50:13 | 平和
 シーア派は大勝利を宣言。このまますんなりと政権を担うことになるのか。投票率は公表60%。事実なら日本の各種選挙よりも数段良い結果。だが、選挙をボイコットしたスンニ派は、弾圧を警戒、武力反撃も辞さない構えである。また、シーア派は、イランの政権と同じ宗派。そのため、イランを敵視するアメリカも痛し痒し。もう既にイラク周辺諸国はシーア派の台頭を警戒し始めた。
 アメリカ合衆国の民主主義的政治体制は、大きな政策的違いのない(伝統的な支持基盤・地域の違いはあるものの)2大政党の下で成立している。反面、二大政党の主張の中に組み入れられないような政治的立場は、なかなか現実の政治には反映されない。そうしたことへの不満はアメリカ国民の間に根強くある。いずれにせよ、政権交代の行われる政治体制が、国民の積極的な政治参加に根拠を与える、それ自身を「議会制民主主義」というならば、それはアメリカ合衆国という多民族国家が選んだ政治的知恵の表れであろう。しかし、フランスにはフランスの、ドイツにはドイツのあり方がある。日本にも日本のやり方がある。日本では二大政党制は馴染まない制度なのにもかかわらず、無理にそうさせようとしているところに、今も混乱がある。
 そもそもイラクという国自体が存在するのか。イラク「国民」の間に、明確なヨーロッパ的な国民国家意識を持っているのかどうか、はなはだ疑問を感じている。自らが帰属する民族・宗教による、政治・経済・教育等の規範行動様式に基づいて生活している、つまり、それぞれが国家という括りでは掌握できそうにもない、生活をしているとしか思えないのだ。
 そこに、軍事的圧力によって強引に自らの理想とする「選挙」まで持ち込んだアメリカ的自由と平和。今後の混乱の収拾もアメリカが最後まで責任を負わなければならなくなった。イラク戦争の大義名分は最初からなかったにもかかわらず、次々と戦争の理由付けをしてきたアメリカ・イギリス。アメリカ・ブッシュは、もう選挙後もテロはなくならない、とアメリカ軍の長期駐留を自己合理化させた。選挙で選ばれたとされる「イラク議会」が本当に機能するかは未知数が多い中で、アメリカ軍は、いつ果てることもない、見えない敵との戦闘状態を続けなければならない。
 こうした中、日本の自衛隊がイラクの治安維持、「反テロ共同行動」という、アメリカの言いなりに、ずるずると派遣を続けていいのか。
 現地の自衛隊は、給水活動他の支援活動も一定のめどが立ったとしてテロから自衛隊員を守るための要員のほうを増強するとの方針を明らかにしている。これは、まさに本末転倒というべきだ。イラクにおいて自衛隊による「復興支援・人道支援」を強いて続行するならば不測の事態も予測されることを自衛隊上層部は認識しているということではないか。
 選挙後の混乱に乗じて起こるかもしれないテロ攻撃に対して、「反テロ」という名目で駐留を続けることは、ブッシュを喜ばせるだけで、イラク国民の指示を得られるだろうか。明らかに選挙後のイラク国民の多くは、アメリカをはじめとする外国の軍隊撤退に焦点を合わせてきているのだ。この際、選挙の結果を見届けた上で、早期に自衛隊の撤退を行うべきではないか。
 こういうと、「敵前逃亡」だというような反論が出てくるだろう。もし今自衛隊がいなくなったらイラクの混乱はますます続く、と。
 待って下さい。そもそも今回のイラクへの自衛隊派遣の目的は何であったか。現状においてもなお治安維持、まして「反テロ」のために駐留を続けようとするならば、明らかに派遣目的からの大きな逸脱である。もしそうしたいのなら、「イラク特措法」の法律的吟味を改めてきちんと行った上で、法律改正をしなければならない筋合いのものだ。それは、実は、憲法違反の法律を作ることになるのだ。コイズミが「自衛隊のいるところは、戦闘地域ではない」と強弁せざるをえなかったように、戦闘地域への自衛隊派遣は、間違いなく憲法違反であるのだから。
 なし崩し的に自衛隊の派遣を続けるならば、自衛隊をますます泥沼に追いやることになる。自衛隊員に犠牲者が出る前に、自衛隊は、イラクから出来るだけ一日も早く撤退すべきだ。 
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