おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

『第一回あかね噺の会』・柳亭小痴楽「明烏」。(「落語鑑賞教室」その5。)

2024-08-15 20:56:27 | 落語の世界

「明烏」は、八代目桂文楽師匠の得意中の得意なだし物。八代目文楽師匠は、上品な色気ときっちりした芸が売り。

・・・「明烏、一声鳴いて、夜が明ける」。「振られた者の起し番」で、結局、敵娼に振られた源兵衛と太助は歯磨きをしながらぶつぶつ言う仕草も絶妙。甘納豆を口に放り込みながら、時次郎を起こしに来る。

      

           

この、甘納豆を食べる仕草が絶妙で、この噺を聞いた後で、甘納豆がよく売れたとか。

※「明烏」は「明け方(朝)に鳴くカラス」を意味し、転じて男女の夜の契りの終わりを意味する。

さて、今回演じる「柳亭小痴楽」さん。

”クビ”になって初めて、落語への意識がガラッと変わりました

 五代目痴楽の次男として生まれ、幼い頃から独演会の手伝いに駆り出されていたという小痴楽師匠。落語家の道へと進んだのもその影響かと思いきや、きっかけは父とは別人の落語だったと話す。

 「15歳ぐらいの頃、たまたまCDプレーヤーに入っていた八代目春風亭柳枝師匠の『花色木綿』という噺を聞いたんです。当時僕は漫才が好きで落語には全く興味がなかったんですが、聴いている間ずっと爆笑で、『これ、すごくいいじゃん!』って。漫才は相方が必要だけど、落語だったら一人でできるって思っちゃったんですよ」

 当初は「中途半端な気持ちでやれるもんじゃない」とケンもホロロだった父だが、「それでも落語がやりたい」と食い下がる息子に、「じゃあこれを読んでみろ」と1冊の本を差し出した。

 「それが立川談志師匠の『現代落語論』でした。読んでみたらものすごく面白くて、親父に『この人、すごい落語家なんだな』って言ったら、今度は談志師匠の落語のカセットを貸してくれたんです。ところが、落語を聴き始めたばかりの子どもに談志師匠の高座は難しくて、つい『談志の落語は良くねぇな』みたいな生意気なことを言ったら、外に放り出されて親父にボコボコにされました。『今度落語家になりたいなんて言ったらただじゃおかねぇからな』と怒り狂って。きっと、何も知らねえくせに落語をなめるなよっていう気持ちだったんでしょうね」

 取り付く島もない怒りぶりに、しばらくは顔を合わせることを避けていたという小痴楽師匠。だが、改めて話し合う時間も持てないうちに、突然父が病に倒れてしまう。幸い一命は取り留めたものの、意識が戻るまでに2カ月近くかかり、言語障害などの後遺症も残った。

 「それで親父もちょっと気弱になったんでしょうね。ようやく言葉が出せるようになった頃、『やりたいんだったらやれ』と、桂平治(現・十一代目桂文治)師匠のところに入門させてくれたんです。その頃僕はもう高校を辞めてしまっていたので、何も深く考えず、16歳で落語の世界に飛び込みました」

 しかし、その覚悟のなさがやがて大きな挫折を招くことになる。1年たっても2年たっても寝坊癖が治らず、師匠の大切な羽織を寝過ごして高座に届け損なうなどのしくじりが続き、18歳にして父の元に帰されてしまうのだ。

 「つまりはクビです。でも、一度破門となってしまうと落語界では生きていけないので、『お父さんとこ戻んなよ』って、破門という経歴が残らないよう、みんなで体裁を整えてくれたんです。そういうのを見ていたら、本当にものすごく迷惑をかけたんだな、と初めて身に沁みました。それまでは落語家になるために修業を“している”だったのが、修業を“させてもらっている”に変わった瞬間でした。その反省から、自分では『破門になった』って言っています。あの時から本当に落語に対する意識がガラッと変わりましたね。口は悪いままですけど(笑)」

 以来父の門下で修業を積むが、残念ながら2009年、父は他界。父の弟弟子である柳亭楽輔の門下に移り、同じ年に二ツ目に昇進。神田松之丞(現・神田伯山)や桂宮治ら二ツ目の落語家と講談師が結成したユニット「成金」に参加するなど活躍の場を広げ、2019年、ついに真打への昇進を果たす。披露パーティでは「寝坊だけは気をつけます」と挨拶をし、大きな笑いを誘った。

(この項、「文春オンライン」より)

郭話・「明烏」を演じるにはまだまだ。というのが正直な印象。テンポで勝負、からの精進が楽しみです。

「阿良川志ん太」にそっくり。

なかなかの男前。

田所町3丁目にある日向屋の若旦那・時次郎は部屋に籠もって本を読むのが好きという堅物で、悪所遊びとは無縁の人物である。あまりの堅物ぶりに父親である大旦那も、遊びも知らぬ世間知らずでは店を継がせられないとして、2人の遊び人に息子を遊郭に連れていってくれるよう頼む。費用は店持ちということで2人も喜んで引き受ける。

2人はお稲荷様に参拝すると嘘をついて若旦那を連れ出す。吉原に入ってさすがに周りの様子がおかしいと若旦那も怪しみだすが、2人に上手く言いくるめられてしまう。

店に入って遊女たちに囲まれ、ようやくここが話に聞く遊郭だと気づき、慌てて逃げ出そうとするが、2人は大門には見張りがいて勝手には出られないと脅す。それを真に受けて若旦那は諦め、店一番の美しい花魁と一夜を共にすることになる。

翌朝、2人はどちらも女に振られたまま朝を迎える。若旦那も同じだろうと様子を見に行く。

源兵衛「けっこうなお籠もりで。そろそろ帰るから、早く起きてください」

浦里も「若旦那、早く起きなんし」と声を掛ける。
時次郎「花魁は、口では起きろ起きろと言いますが、あたしの手をぐっと押さえて・・・・」と云う始末。

頭に来た太助、「じゃ、ゆっくり遊んでらっしゃい。先に帰りますから」

時次郎は、布団から顔を出し、「あなた方、先へ帰れるものなら帰ってごらんなさい。大門で留められるから」

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