夏にわたしの家族が東京に行ったときの話しです。東京在住の友人にメールすると、「スカイツリーの見学ですか?」 閏2月29日竣工、5月にオープン。周年記念式典は4年に1回でしょうかね。
スカイツリーと商業施設の大繁盛振りはテレビでもみていましたが、東京人から真面目にそう聞かれたのにはあきれ返った。墨田区の押上には行ったこともないので、感想も持ち合わせないのですが、あの騒ぎぶりは異常だったのではないでしょうか。
ところで東京タワーには二度登りました。最初が中学生の修学旅行。次が20年ほど前、なぜかふと懐かしくなって訪れました。タワー再訪の話しをしましたら、ある東京人は「御上りさんですねえ。地元では東京タワーに行くひとなんか、まずいませんよ」。確かに登りましたので、それこそオノボリサンですが。そして塔内では閑古鳥が鳴いていましたね。
しかしスカイツリーも同じ運命をたどるに違いない。はじめこそ物珍しいでしょうが、すぐに飽きてしまいます。一度登れば十分です。商業施設なども同じでしょう。きっと何度もリピートするほどの魅力はないはずです。
東京タワー完工は、年表をみますと昭和33年12月23日です。この年にチキンラーメンが誕生し、フラフープが大流行しました。月光仮面放映がはじまったのは同年2月。♪どこの誰かは知らないけれど 誰もがみんな知っている~
そしてスバル360が発売され、巨人軍の長島茂雄が国鉄戦でデビューしました。金田正一投手は長島を4打席連続三振に打ち取ったからたいしたものです。
皇太子妃に正田美智子さんが決定し、11月の記者会見で彼女がつけていたカメオのブローチとヘアバンドが流行した。当時の写真をみると、本当におきれいですね。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」がちょうど東京タワー完成のころを描いています。戦後復興から経済成長の勢いが盛んになりだしたころです。町にはパワーと人情がみなぎり、家庭にはついにテレビが入り出します。そもそも東京タワーはテレビ電波を届けるために建てられたわけです。
東京スカイツリーも同様にテレビ塔ですが、最近になって大問題が判明したといいます。600メートルほどの高さから来る電波が役に立たないというのです。このことはテレビもその親会社の新聞社もほとんど報道しません。TBSとは離れてしまった毎日新聞が先月末に報じたそうです。
新電波は強すぎて受像機が対応しない、アンテナの向きがあっていない…。650億円もかけて建設された新塔と周辺設備ですが、あとまだ100億円かけないと多くのテレビが写らない。たいへんな失態です。電波はいつから飛ぶか、関係者は答えられなくなってしまいました。
なぜこのような事態になったのか? いちばんの原因は、旧郵政・総務省とテレビ局のなあなあの関係です。本来は衛星CSだけに統一しておれば地デジ塔などいらなかったのです。それがBSだの地上波デジタルなど、行政が複雑な電波網を構築してしまったために、日本の放送はガラパゴスになってしまったのだそうです。
さまざまな放送・電波関係の協会が誕生し、それらは天下りの受け皿になっている。また新聞社も放送局を、キー局は系列局を同様に利用している。家電メーカーも地デジで大儲けしたあげくの結論が、いまのパナソニックとソニー、そしてシャープの危機です。
東京タワー建設のころは透明で、いまのようなガラパゴスではなかった。国民のため生活文化向上のため、関係者は真剣に未来を見据えていたはずです。日本の電波放送関係者は、三丁目と東京タワーの夕日を見つめるべきです。本日は番外編の脱線ですが、スカイツリーの難視聴問題は、メルマガ「高野孟のTHE JOURNAL」Vol.54を参考にしました。
<2012年11月7日>
スカイツリーと商業施設の大繁盛振りはテレビでもみていましたが、東京人から真面目にそう聞かれたのにはあきれ返った。墨田区の押上には行ったこともないので、感想も持ち合わせないのですが、あの騒ぎぶりは異常だったのではないでしょうか。
ところで東京タワーには二度登りました。最初が中学生の修学旅行。次が20年ほど前、なぜかふと懐かしくなって訪れました。タワー再訪の話しをしましたら、ある東京人は「御上りさんですねえ。地元では東京タワーに行くひとなんか、まずいませんよ」。確かに登りましたので、それこそオノボリサンですが。そして塔内では閑古鳥が鳴いていましたね。
しかしスカイツリーも同じ運命をたどるに違いない。はじめこそ物珍しいでしょうが、すぐに飽きてしまいます。一度登れば十分です。商業施設なども同じでしょう。きっと何度もリピートするほどの魅力はないはずです。
東京タワー完工は、年表をみますと昭和33年12月23日です。この年にチキンラーメンが誕生し、フラフープが大流行しました。月光仮面放映がはじまったのは同年2月。♪どこの誰かは知らないけれど 誰もがみんな知っている~
そしてスバル360が発売され、巨人軍の長島茂雄が国鉄戦でデビューしました。金田正一投手は長島を4打席連続三振に打ち取ったからたいしたものです。
皇太子妃に正田美智子さんが決定し、11月の記者会見で彼女がつけていたカメオのブローチとヘアバンドが流行した。当時の写真をみると、本当におきれいですね。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」がちょうど東京タワー完成のころを描いています。戦後復興から経済成長の勢いが盛んになりだしたころです。町にはパワーと人情がみなぎり、家庭にはついにテレビが入り出します。そもそも東京タワーはテレビ電波を届けるために建てられたわけです。
東京スカイツリーも同様にテレビ塔ですが、最近になって大問題が判明したといいます。600メートルほどの高さから来る電波が役に立たないというのです。このことはテレビもその親会社の新聞社もほとんど報道しません。TBSとは離れてしまった毎日新聞が先月末に報じたそうです。
新電波は強すぎて受像機が対応しない、アンテナの向きがあっていない…。650億円もかけて建設された新塔と周辺設備ですが、あとまだ100億円かけないと多くのテレビが写らない。たいへんな失態です。電波はいつから飛ぶか、関係者は答えられなくなってしまいました。
なぜこのような事態になったのか? いちばんの原因は、旧郵政・総務省とテレビ局のなあなあの関係です。本来は衛星CSだけに統一しておれば地デジ塔などいらなかったのです。それがBSだの地上波デジタルなど、行政が複雑な電波網を構築してしまったために、日本の放送はガラパゴスになってしまったのだそうです。
さまざまな放送・電波関係の協会が誕生し、それらは天下りの受け皿になっている。また新聞社も放送局を、キー局は系列局を同様に利用している。家電メーカーも地デジで大儲けしたあげくの結論が、いまのパナソニックとソニー、そしてシャープの危機です。
東京タワー建設のころは透明で、いまのようなガラパゴスではなかった。国民のため生活文化向上のため、関係者は真剣に未来を見据えていたはずです。日本の電波放送関係者は、三丁目と東京タワーの夕日を見つめるべきです。本日は番外編の脱線ですが、スカイツリーの難視聴問題は、メルマガ「高野孟のTHE JOURNAL」Vol.54を参考にしました。
<2012年11月7日>