ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

人手不足

2014-05-18 | Weblog
 近ごろでは居酒屋チェーン「和民」などを展開するワタミが人手不足を理由にたくさんの店舗を閉店しました。全国に640店あるうちの約60店の閉鎖撤退です。時給をいくらかアップしても人は集まらない。同社は今年の決算で、上場来はじめて赤字に転落しました。
 牛丼チェーン「すき家」などのゼンショーは全国2000店のうち120店以上が、やはり人手不足から一時閉店や営業時間短縮に追い込まれました。
 外食産業や小売業などで起きている人手不足現象はかなり深刻のようです。過酷な仕事をやりたくないと考える労働者が増えているのですが、それだけではなくどうも人口減少で働くひとの数自体が、特に若年者が減ってしまったのではないでしょうか。東京都心のコンビニでは、働くアルバイトの過半が外国人だそうです。
 

 わたしの住む京都西山麓ですが、今年10月に巨大ショッピングセンターが開業します。イオンモール桂川ですが、いま工事中のビッグな施設を車道からみても、その威容には圧倒されます。このショッピングセンターだけで、一体何人の新規雇用が発生するのでしょう。数千人でしょうか。
 我が家から徒歩圏内にはラクセーヌショッピング街と高島屋が連なった商業施設があります。すぐ近くには市立図書館や大きな郵便局や温泉までもがあり、日々重宝しているのですが、お店の方に聞くと秋からの問題がふたつあるとのこと。
 まず巨大イオンの影響で売り上げが下がる。もうひとつはアルバイトパートの時間給がやはりイオン相場のために50円以上、店によっては100円も上がってしまうだろう。これを「ダブルパンチ」と表現しておられた。

 時間給のことは世界的にも大きな問題になっているようです。最低賃金時給ですが、スイスでは本日5月18日に国民投票が実施されます。時間給22スイスフラン(約2530円)に引き上げるかどうか、それだけを決めるための国民投票です。すごい国だと感心してしまいます。決定すれば当然ですが、世界最高の最低賃金になります。
 投票結果は週明け早々に判明しますが、事前の世論調査では反対派が多数をしめている。幅広い企業の経営が圧迫されるという声があるのですが、それ以上に
1 スイスでは現在、すでにほとんどの人が高い時間給の恩恵を受けている。あえて政府が全国一律の基準を設ける必要はないのではないか。(最低賃金制度導入済みは一部の州のみ)
2 技能の乏しい人ほど就業が困難になる。職につけない人がかえって増えてしまうことになる。

 海外各国で最低賃金を国民的議題としているのは、スイス以外にはまずアメリカ。オバマ大統領は9ドル以上、目標10.1ドルを提唱しています。それを受けていくつもの州が9~10ドル以上に決定しつつある。ドイツも引き上げで世論が盛り上がっています。いくつかの国の最低賃金を比較してみます(5月14日為替レート基準)

スイス      2530円 ※まもなく判明
ルクセンブルク 1554円
オーストラリア 1530円
ベルギー    1274円
フランス     1260円
ドイツ      1200円 ※増額の議会通過待ち
イギリス     1031円
日本       749円  ※全国都道府県の加重平均
アメリカ     740円 ※9・10ドル以上で州ごと検討中

 日本の時間給・最低賃金はあまりにも低い。各国が引き上げようとしているのは「労働者人口の減少」が原因ではないのです。国民生活の向上のためです。最低の生活水準を引き上げるためです。
<2014年5月18日 スイスの日。久しぶりにこの欄に復帰です>
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