<リアル ボクシング ルポ>という通しタイトルで、さまざまなボクサー、さまざまな試合、他誌紙が書けない、書かない、知らない事実。また、プロアマ問わず、ボクシングにまつわる、さまざまなリアルな裏真実や事実を書き綴ってきた。
この7月26日、及び27日のこと。
上記の伊藤雅雪こと、伊藤雅之(本名。25歳)に関して、かつて書いたIBFなど、新興世界認定団体のおかしさについての記事が多く検索されていた。
ん? ど~ゆ~こっちゃろ?
さては、試合が近いのかな?
そう想って調べると、7月28日に、伊藤のタイトルマッチが後楽園ホールで行われると判明。
いつも試合前後しか打ち込まれない彼のブログを見ると、ケガを負ったために、7か月振りの試合。それも、2度目の防衛戦ということが分かった。
そうかあ・・・・・・
伊藤が、東洋・太平洋スーパー・フェザー級の王座を奪取した試合はこの目でしっかり見たけれど、以後はまったく関心も興味も無く、ケガすら知らずにいた。
理由はいくつかある。端的に言えば、書こうと心惹かせるものが、伊藤にも、その所属ジムにもまったく無くなったからだ。そのことについては、すでに記事化している。
だから、初防衛戦で、伊藤が左手首をじん帯損傷していたなんてことも、試合前日の27日に知ったほど。
試合があることは知ったものの、セミ・ファイナル以下の試合、いわゆるアンダーカードにも、書きたいと想わせるボクサーはいなかった。
が・・・・・・
私ごときが書く伊藤のランキング記事に関心を持って戴ける読者がいることを知り、その防衛戦の結果以上に、その試合展開と、その内容推移がいささか気にはなった。
試合翌朝。ネットの「ボクシングニュース」を一読すると、伊藤がスコア的には圧勝。
挑戦者は、フィリピンから来た、アーニー・サンチェス、24歳。ランキングは、WBO世界同級15位。かたや、伊藤は同10位。
相変わらず不思議なことに、世界から見れば一地域の王者に過ぎないのかもしれないが、いまだWBOしか、伊藤を認定していない。現実は、何一つ、進んではいない。
さて試合。4ラウンド終了時で、40-36が2人。40-37が1人。
続く8ラウンド終了時で、80-72。80-73。79-73。
一見、ワンサイドの展開。
そして結果を書いてしまうと、11ラウンド、伊藤のレフェリーストップ勝ち。
並べた数字だけを見ると、文句なしの圧倒楽勝。
だが、かなり打ち込まれていた展開だった・・・・ようだ。記者の印象に残ったのはアーニーのタフさ!
当の伊藤も、試合後のブログで、ソレを認めている。
リング上での勝利者インタビューで、伊藤はこう言っている。
「最後まで、相手がタフで・・・倒し切れなかった。ブサイクな試合をして、すいません・・・」
「スカッ!と勝ちたかったんですけど・・・」
「まだ、足りないところがあるんで、次、世界へと言いたいところなんですけど・・」
が、会場に詰めかけたファンの声援に後押しされたのか、こう、気を取り直して言った。
「(世界戦挑戦への)チャンスくれれば、来年には世界戦をやりたい。自分にも、通用すると想う」
いったい、どういう試合内容であったのであろうか・・・・・。
調べ進めると、なんと今夜の、ド深夜。午前3時40分から1時間枠で、「ダイヤモンド グローブ」の冠名で、フジテレビで録画放送されることが分かった。
ただし、全国放送ではない。あくまで、関東ローカルのエリアでの放送だ。
誰も起きては観にくい時間帯。タイマー録画、必須。視聴率が、例え0・0001%でも構わない放送時間帯。
リオ五輪にライト級日本代表で出場する成松大介の記事のなかに織り込んだが、金メダルの栄光が世間的にはすっかり色あせた村田諒太の試合も、試合終了1日後の、それもド深夜午前2時過ぎからの録画放送。
例え、試合会場が海の向こうのラスベガスとはいえ、今回と同じフジテレビは、村田の勝ちに、そういう価値しかないと決断した、ということだ。それも、関東ローカルでの枠。
今夜というか、明日7月31日未明の放送でも、単に伊藤の11ラウンドまで延びた試合をまるまる流すかどうか?は、大いに疑問が持たれる。
番組告知では、局にとってはこの先、数字(視聴率)が稼げると踏んでいる、井上尚弥、井上拓真兄弟の、9月4日の試合に向けての近況も、たっぷり流すようだ。それに加え、おそらく先の村田涼太のKO勝ちシーンも、手のひら返したように絶賛して織りこむに違いない。
さらにさらに、先の井上兄弟の試合の会場で、プロデビュー戦を迎えるロンドン五輪銅メダリスト、清水聡の姿と、意気込みの声も入れ込むはず。
もう、さながら、実質55分のなかは、幕の内弁当状態。
だから、セミ・ファイナルで行われた戸部洋平の試合は、おそらく4ラウンド、レフェリー・ストップのシーンがチラリ流れれば良い方であろう。
とはいえ、関東以外のボクシングファンの方にも、その目で観て、試合の出来を判断して戴きたい。関東にいる知人や友人を頼って、録画したものをダビングして戴くといい。
なお、伊藤雅雪の、先のWBOの世界ランキングから上下したようだ。
前世界チャンピオンであった内山高志が、なんと伊藤が座っていた10位に、7月27日付けで入ったとのこと。10位が2人いる訳も無し。
また、気持ち揺れ、翻弄されるんだろうなあ、伊藤の性格では。
その内山は、かつてほどの量や日にちではないが、ぼちぼち練習は始めているとのこと。事実上の妻も食わせなければならず、無冠になればタダのヒト。無給のヒト。スポンサーも、去る。貯金も、日々、底をつき始める。
再起は間違いなく、するであろう。
テレビ東京にしても、8月31日、田口良一と河野公平の「世界ダブルタイトルマッチ」とぶち上げようとも、それでは6%の視聴率がせいぜいであろうから。
ボクシングは、減量苦以上に、厳しい世界なのだ。