久しぶり、だった。ラグビー7人制日本代表チームの練習を見るのは。
[(公財)日本ラグビー協会]のホームページによれば、合宿の練習風景は、殆んど「非公開」。同女子などは、見せたくない、知られなくても構わない、という誤解を与えてしまうほど。
それもあってだろう。「サクラ セブンズ」というキャッチ・フレーズは、まったく知られていない。
「なでしこジャパン」とは、大違い。「スマイル ジャパン」より、知名度と強さにも、差がある。
ウソだ! という関係者や、支援者がいるなら、どの都、市、町、村でもいい。繁華街や、ビジネス街へ出向き、「あの~。サクラセブンズって言葉、聞いたことあります? ご存じですか?」と、どんどん、尋ねてみるといい。
”厳実”を、痛感させられるだろう。加えて、やっと「公開」の文字を頼りに、グラウンドへわざわざ足を運んだ、数人しかいないラグビーファンに対して、自称「サクラ セブンズ」の選手たちとスタッフが、どんな冷ややかな対応をしているか?
いずれ、まとめて書く。
何も、暴露しようと言うつもりは、まったくない。
チームが、世間に知られて欲しいからだ。世界で弱いうえに、アジアで首1枚つながっている状況で、終始そんな態度では、この先も、暗雲たちこめるばかり。
もしも、2016年の「リオ五輪」に、アジア予選で勝ち上がって出場出来たとして、家族や関係者以外に誰が支援や応援するであろうか?
企業は、2社以上に広がりはしない。カネは出来ても、客は来ない。ファンが、少ない。確実に、女子はそう言える。
男子も、以前に較べ「非公開」という3文字が、時を経つごとに少しずつ増えてきた。
別に、戦う相手チームがいる他国でやっているわけではない。スパイが常時、いるわけでは無い。
でもそれは、ほぼ慣習化。
チームにとって、勝つための練習を、「雑音」の無い所で、集中してやりたい。見せるつもりで、やっているわけでは無い、という声をかつて聴いたことがある。
でも、それは、協会サイドや、スタッフの声。女子は、そうだろう。しかし、瀬川智広ヘッド・コーチや、その都度招集される男子選手の声では、無い。
では、もろ手を挙げて歓迎か?というと、そうでもない。来ても、来なくても、気にもせず、たんたんと、している。
練習を予定通りこなして、駐車場に置いたワゴン車に乗り込むのが、いつもの光景(写真下)。
その車は、その都度借りるレンタカー。この日は、3台中、2台がソレ。あと1台は、あるチームの車。
だが、15人制は、チャーターした豪華大型バス。運転手付き。
その見た目と、待遇と広報の度合いの差は、いつも大きい。同じ日本代表だが、選手の内心は、やはり違う。
本来は、15人制でやりたい心がある選手が多いのも、また事実。
選手は、声を掛けられると、応じる。とはいっても、熱心なファンは、3~5人程度。1人もいないことの方が、多い。
15人制は、実質非公開。ファンには、協会広報は、積極的どころか、消極的。
対応、人気度、知名度の浸透度は、同じフットボール競技だが、サッカーとは、天と地ほどの差がある。
なでしこ、150~200人。男子ともなると、250~300人が、練習グラウンドにある観客席や、周囲に詰めかけて、いつも静かに見守る。
ともに、平日の昼間でだ。年齢層も、10~70代と、幅広い。男女層も、半々。底辺が、深く、且つ、広い。
告知は、していない。だが、携帯電話時代。どこかで知り、自然発生的に集い、バスに乗り込む時まで見守る。羽目は外さない。
人気の差があるから、仕方ないさ。そう、言う声はある。だが、努力をしないで、最初からあきらめて、そう言う。
日本サッカー協会が、どのようにファン層を育て、厚く広げようと、長年に渡って努力してきたか? それを、キチンと調べもしないで。
かつて、男女7人制のGM、そして15人制のもしていたことがある太田治に、聞いたことがある。
ーーどのようにすれば、日本代表は、人気が出て、広く世間に知られると思いますか?
太田は、答えた。
「簡単ですよ。優勝すればいいんですよ」
あきれて、返す言葉が無かった。
では、優勝するために、どんな努力をしていたか?
例えば、アジア 諸国を始めとして、他国のその時々の戦力調査や、緻密な分析をしていたか?
「ああ、それは、僕の担当ではありません。アソコで、ビデオカメラで練習光景を撮っている人間がやっているはずです」と、太田。
?? 撮影者は、あらゆる雑務もこなしており、そんな時間的余裕も、つても、知識も、すべも無いはずだが・・・・
その通りの答えが、指さされた彼から、返って来た。
その頃は、プール戦の相手はギリギリに知らされ、試合で体を当ててみて、チームのチカラを知る。そんなカンジ。
今も、さほど、変わりはしない。
日本最高峰の、トップリーグの各チームが、「スカウティング」と言う名称で、スパイ合戦さながらの、すさまじい戦力収集情報合戦を、日夜、繰り広げているのにだ。
このままで良い。ベストだ。そう居直って言えるのなら、それでいいのだが・・・。
この日。開始予定時刻9分後に、私はグラウンド到着。すでに、練習は始まっていた。ボールを手に、攻、と、防。全員で12人。コレでは、全員登録メンバーとならざるを得ない、最少人数だ。
練習で、無理は出来ない。させて、いない。かつて、定期合宿で、かなり激しい練習試合を重ね、ケガ人続出の笑えない過去がある。
なので、無理はしていない印象。
練習終了後、瀬川に聞いて判明したのだが、この日、チームの主力選手であるロテ・トゥキリが、自分の所属である、北海道バーバリアンズの1員として、東日本クラブチーム日本一を目指す試合に出場しており、不参加。明日、改めて合流するとのこと。
これで、1人だけ選手は落とせる、ギリギリ人数だ。
さて、グラウンドすぐ外での見物は、拒否された。施設は、完全施錠。これでも、「公開」。
顔が会ったスタッフに、アレッ?という顔をされ、「どうぞ、中へ」と言われたが、ネチネチと記事介入された広報部長とのことをあえて事前に言い、「多分、入れるな!と言ってくると思いますよ」と、告げた。
その人、いったん施設に入り、戻ってきて、?印サイン。
やっぱりな。予想通り。個人の恣意的な感情で、取材の許認可が左右される、日本ラグビー協会。公財、ならぬ、功罪は、大きい。
遠くから、当初の予定通り、練習見物。おそらく、開始時刻は予定より早かったと思われる。そんなことも、よくあること。入れさせていただくのも、昔も一苦労。待たされ、時間を要した。
この日、ラグビーファン2人が、相次いで来た。施錠されてるので、困り切った顔で、ウロウロ。
私に、相談される。瀬川の、知り合いでもあると言う。親しくなくても、そう思わせる雰囲気を、瀬川はかもしだしている、良い人。
「多分、あなたは、入れると思いますよ。私は、事情があって、ダメですが」
いぶかしげな顔のまま、各人、入り口で交渉し、吸いこまれるように、入っていった、
そうだろうね、休日の本日でも、たった2人。取材記者、無し。
それも、いつもの、光景。
練習は、真紅の日本代表のジャージを着た6人と、黄色いビブをそれに重ね着した6人が、攻と防と守のプレイの確認作業を重ねていく。
1プレイ、2プレイで、瀬川(上の写真。黒の上下ジャージ)の吹く笛で止まる。
作戦と、決めていた動きかたの再確認を、重ねていく。
声は、選手間に飛び交ってはいるものの、明るさと覇気が感じられないのが、いささか気がかり。
選手間のパスも、いつもよりゆっくり。確認するように、正確にという意図だろう。
そう思いつつも、女子セブンズの初期のパスを、「お嬢さんパス」と書いたことを、秋風に吹かれながら、思い出していた。
「コレは、無いんじゃないか! そう、見えたかも知れないし、確かにそうなのかもしれないけど」
では、それ以外にどう書けばいいのか? 元記者とも思えぬ発言に戸惑い、ネチネチ妨害に怒りが少し湧いてきた。
ちなみに、書き直しらしきことを、しつこく言ってきたのは、すべて、女子セブンズと、そのジュニア世代への指導記事に関してだった。
ありとあらゆることに、文句を告げてきた。文章を暗誦しているかのようだった。
「コレ、人権侵害なんじゃないの?」
はあ??
ご興味のある方は、検索して下さい。
まったく、直さず、そのまま残してありますので。
こういう文章が、問題あるのかどうか? 人権侵害か? ご自分の目で、感じて下さい。
なお、”ネチネチ”は、すべて録音してある。そんなこと、言った覚えが無いとか、記憶に無い、とか言われると困るので。
女性ヘッドコーチや、問題選手が、そう言わせたのか? どうか?までは、調べていない。もはや、将来性は無い・・・・そう、思ったし。
ちなみに、許認可規則?らしきものでは、この情報化、ネット社会なのに、紙(新聞と雑誌)と電波(テレビとラジオ)のみが許可とか。インターネット上による記事は、認めないそ~な。
なので、こうも、言われた。
「??さんねえ、この世界では、あんたなんかと違ってさ、とても知られている方、元新聞記者やってらした。知ってるでしょ? あの有名なヒトでさえ、取材許可出して無いんだよ。なのにさあ・・・」
その人、私、知らないあるよ。そう、言おうとしたが、バカバカしくなって止めた。
立場変われば、人変わる、の典型と言うべきか。
時代の流れと、逆行しているのか、どうか?は、これを読んだあなたが感じて下さい。
ちなみに、サッカーは、ネット記者が多い。しかし、ウンチクは言うが、練習もロクに見ずに、携帯電話を手にメールのやり取りしている者が多いのには・・・。
それにしても、今回の日本代表。以前の、四至本侑城(クボタ)のような、明るくチームを引っ張ってゆくムードメーカーが、目に付かなかった。
練習を終えて、外へ出てくる時も、選手の間で、談笑も笑顔も、無い。
「シンガポール セブンズ」へ向けての、長期直前合宿で、疲れの溜まっている時期、なのかもしれない。
今年6月。モスクワで、7人制のラグビー ワールドカップが、開かれた。アジアでは勝ち上がれるが、本大会では、世界の壁に、またも、ぶち当たった。
その時の出場選手と、わずか5か月後のメンバー。半分が違う。
海外での大会に出るたびに、メンバーが変わる。コレは、良い素材。コレは、呼んでみたい。そう思われた選手は、かなり呼んで、セブンズを体験させている。
しかし、瀬川智広ヘッドコーチが、全部満足するであろうベスト・メンバーは、なかなか組めないまま。
それでも、確実に、チーム実力は落ちることは、まったく見られない。瀬川の指導力、指揮力のたまものだろうと思う。
だからといって、おんぶにだっこで、2016年まで行こうとでも言うのだろうか?
昨年。丁度1年前ぐらいか、記者会見で、セブンズの選手のワールドカップや、オリンピックに向けての、「特化」の必要性について、協会幹部に質問した。
答えは、期待の持てるものだった。
「そうですね。ソレは、我々協会としても考えております。リオに向けて、そうしていかねばならない。そう、思っております」
・・・・・・・・・・しかし、今、何一つ変わっていなかった。
「そうでもないですよ」と、瀬川は言った。
「以前に比べて、今回も含めて、強化合宿の回数も増えましたしねえ」
確かに。倍近くに増えた。
問題は、各チームが、今もって、なかなか、選手を瀬川の思うように貸し出してくれないこと。
日本の名誉より、自分のチーム戦力保持が大事であり、大切。その牙城は、なかなか崩れない。
貸し出す=取られる。
そういう意識が、いまだ、頑なにある、日本の全チーム。1人2人、チームから抜けたところで、戦力がガタガタに落ちるチームでは無いのにも関わらず、だ。
その意識を、いまだに、協会が変えさせるチカラがない。
もつとも、そのコトを、実は経験として1番、身を持って分かっているのが、瀬川だ。
かつて、瀬川は、東芝ブレイブ・ルーパスの監督として、貸し出す立場にあった。
出来れば、出さないで済むのなら、そうしたい。
そう思っていたようだ。だから、逆の立場で、なかなか、強くは言いにくい・・・・・。
とても、協調性があり、個々の選手の性格を把握しつつ、チーム編成を考えていく、優しい性格ゆえに・・・。
選手そのものが、出来るなら7人制ではなく、15人制で選出され、活躍したい。そう、心の底では、殆んどが思っている。
単なる、送迎の車の大差以上に。
しかし、7人制の活動、活躍、優勝に、常にスポットライトが、当たれば、選手個々の、モチベーションは、かなり変わってくるであろう。
ファンの見る目の数も、増えていけば、必ず、今以上にヤル気が湧く・・・はず。
しかし、広報がそれを推し進めるどころか、非公開と施錠に象徴されるような、阻害行為を続けていては・・・・
リオ五輪。実質、2年しかない。たった、のだ!
かねてより、瀬川から何度も聴いていた。アジア各国が、五輪に向けて、「国を挙げて、チーム作りを特化。その体制を、国が選手に給与も与えて、全面的にバックアップしている」ということを。
そんななか、我が国の貸し出された選手は、非力な後押しななか、良く頑張っている。
瀬川は、チームの登録選手の、約半数の5~6人を、ほぼ固定化。日本人を軸に、パワーとスピードに勝る外人3人も、ガッチリ押さえ、固めた。瀬川個人の力量で、「特化」。
先の「インド セブンズ」では、香港に敗れ、アジア シリーズ3連続優勝を、あと1歩のところで、逃した。
敵は、チームだけでは無かった。
南アジア地域特有の、雨季。高温多湿。いきなりの、土砂降りの豪雨。
チーム最年長の、鈴木貴士(たかし。32歳)が、苦笑いしながら打ち明ける。
「もう、グラウンドは、まるで田んぼ状態なんすよ。スパイクが、走るたびに、グラウンドの土に、喰い込むという(笑)。おまけに、暑いし、ムシムシ、湿気はすごいし・・・・。でも、相手チームも、おんなじ条件なわけだから、文句は言えないってゆうか(笑)。シンガポールへ行っての作戦? もう、チカラを出し切るだけですよ」
調べてみると、セブンズが開かれる、11月9日と10日の2日間とも、シンガポールは、雨!
それも、最高気温30度、最低24度。
瀬川ヘッドコーチも言う。
「急に、雨がザーッと降ってきたりして、もう、天候の急変は当たり前みたいな所です。シンガポールも、多分同じだと思いますよ」
優勝に向けてのライバルは?
そう聞くと、すぐさま3ヵ国をあげた。むろん、インドで優勝を逸した香港も入っていた。
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そして、「シンガポール セブンズ」で、瀬川率いる、日本代表は、優勝を、数時間前に、見事果たした。
初日。中華台北(台湾)を、31-0.続くタイを、54-0と完封。
そして、2日目の10日。
まず、マレーシアを、41-5。強豪国の中国を、26-0と、一蹴。
そして、決勝戦は、またも香港と。
前半は、5-19と、わずか1トライに押さえられた。
このままでは、2大会連続、香港に負けることになる。
後半、なんと24-19と、逆転勝ち!
なにより、後半を、0点に押さえた価値は大きい。
この結果、トータル47ポイント。アジアのシーズン・チャンピオンとなり、ワールド・シリーズへ出場できる権利を得た。
喜びに、浸り続けることは出来ない。
今度こそ、会見で言明したことを、もう実行してもらわねば!
このままでは、世間に、まったく知られないままになり、選手と瀬川の労苦は、またも報われないことになる。
最後に、厳しいデータの一端を示そう。
2万人を超えた11月2日の、15人制日本代表と、オール・ブラックス(ニュ―ジーランド)の試合。
日本テレビが、放映したことは、「超」の、第1弾で書いた。
その視聴率、たったの2・8%。
6月、若手主体のウエールズに勝ったカッタの、下駄の音を響かせ、歴史的勝利! などと浮かれたが、その時の視聴率たるや、2・3%。
そして、11月2日。国立競技場での、サッカー中継。秩父宮の倍以上の観客が、詰め掛けただけでは無い。
その視聴率。4・5%。
男子7人制の、選手、ヘッド・コーチは、出来る限りのことを、やり続けている。恵まれない条件のなかで。
もう、協会も、口先ではなく、死ぬ気になって、本気で取り組む瀬戸際にきているのではないか!?
ファンに見捨てられる日は、そう遠くない。
狭く、小さな、ラグビー村で、エラソーにしている時ではない!