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<リアル ラグビ- ルポ> 「HSBCセブンス・ワールドシリーズ 東京セブンス2012」開幕!

2012-03-31 17:44:13 | スポーツ

 世界から強豪16か国のラガーマンが、東京の秩父宮ラグビー場に集合!!今、まさに試合が行われているところだ。この大会、世界中をチームが転戦。勝敗によって、ポイントが決まる。

 前回の香港大会に引き続き、ここ東京で7人制(セブンス)ラグビーの世界大会が開幕された。なのに、あいにくグラウンドに強風が朝から吹き荒れ、おまけに叩きつけるような、大粒の雨。そのせいもあるのか、客はトップ・リーグの試合の、4割ほどと、さびしい。

 1試合、15人制のラグビーと違い前半7分、後半7分と、とても短いうえ、ハーフタイムもたった2分。観戦しながら、友人・知人などと談笑してたものなら、気付くとアッという間に、試合が終わっている。そんな、驚くほど速いスピードで、次々と展開してゆく。

 

 ロス・タイムも含めると前半だけで45分近くある15人制と違い、もう試合が始まるや、選手はフルスロットル!!

  パワー全開!! 観るものを、圧倒する。

 最初から最後まで飛ばさなきゃ、相手に振り切られてトライされ、負けてしまう。15人制のレギュラー選手クラスが、一昨年のアジア大会に出場して、あっさりと優勝。日本のべストメンバーが揃えば、そうなることを、はからずも証明する結果となった。

 しかし、7人制に燃える選手は、現実には極めて少ない。「もうセブンスには、2度と出たくない。きついっす・・・・」と、私に本音をもらすほど。1日に3試合をこなしていかねばならないのだ。

 試合と次の試合の間が、約3時間。改めて、ベスト・コンディションに持っていかねばならず、見た目以上に大変だ。おまけに、スクラムは1チーム3人で組む。トライの後のコンバージョン(ゴールキック)は、ドロップゴールのような形で蹴らなければいけない、などいろいろと違う。

 

  「15人制と7人制という違い以上に、まったく別ものです」と言った代表選手もいた。

 

 今大会にも、世界の7人制、ベスト3が参戦。トップのニュージーランドを筆頭に、フィジー、南アフリカなどは、順当に勝ち星を重ねている。

 

 では、わが日本は、というと、すでに2戦2敗。このあと控えているフランスとの試合も、負けるであろう。

  4年間、監督として指揮した村田瓦(わたる)に有終の美を、などと書いているスポーツ紙もあるが、私が取材してきた中で、村田に監督としての指導能力があると感じたことは、ただの1度も無かった。この4月から、彼の母校でもある専修大学のラグビー部の監督をする。

 その専大ラグビー部、かつてはリーグ戦1部優勝5回を誇った名門であったが、この10年は2部の、それも下位に低迷。

 早稲田や明治のように、「特待生」もいない。それがいても、吉田”明治”と持ち上げられた挙句の惨敗が、ラグビーの難しさを、何よりも証明している。

 村田は、監督就任挨拶で「今季、1部に復帰する」と、高らかに宣言したが、それが1朝1夕で成るものでないことは、村田自身が、一番良く知っているはず。

 笛吹けど、兵踊らず・・・・に、なる可能性が大きい

  しかし、この4年の間に、自分の努力と頑張りでものすごく伸びた桑水流(くわずる)裕策や、宇薄(うすずき)岳央がいたことは、なによりの収穫だった。

 東芝の監督も経験し、優勝の実績も充分にある瀬川智広が、4月から7人制日本代表監督に就任。人格、戦略能力ともに、申し分無い。すぐ戦績が好転こそしないものの、その試合展開は目に見えて良くなっていくのではないか。その点は大いに、期待していい

 さて、4月1日も朝9時からたっぷりと21試合が組まれている。時刻は17時前まで、眼の覚めるような素晴らしいプレーが、続出するはず。エイプリル・フールだからと言って、うそは言わない。ちなみに、自由席3000円だ。それで、8時間、たっぷり驚きと、スポーツの本来持つ感動が、堪能出来ますよ!!

 


バカと煙は高い所に昇る! 東京スカイツリー競争&狂騒局&狂奏・争曲

2012-03-30 15:05:48 | ニュース

 ねえ、ねえ、本当に見たい!? 本気で昇りたい!? 頭狂スカイ釣り~に。

 東京新名所となるそうだが、3000円以上払って、「そこ」でしか見ることができない光景が、ありますか? グッズなどでは、ありませんよ。

 この、狂騒曲。表題に示したように、いろんな文字があてはまる。マスコミ、地元、業者、お調子者、流行りもの好き、・・・・エトセトラ

 そんなモノに、踊らされている気がしてならないのです。

 自分の馬鹿さを自覚したうえで、そんなにわか神輿に乗って、乗せられて、釣られて・・・・・・んんんんん・・・・

 335倍だそうな。「倍率」とやらが。しかし、初日過ぎりゃ実質8倍。8枚手に出来ます。一体、何人が自分が見たくて、一体何人が転売する気なのでしょう?

 

 これを打ち込んでいた今、地震が続いています。このバカ騒ぎの最中も含め、大きな地震が勃発した時、ツリーが折れたり、ピサの斜塔の様にはならない「計算」と「設計上」にはなっておりますが、恐いのはソレではありません。

 大揺れ状態になったときの「パニック」状態です。おそらく、想定外の行動を、巻き起こすはず。子供、ギャル、そして老人。これは「計算」が出来てるのかどうか!?

 左右の揺れにまかせるからこそ、むしろ安全。確かにそうなのですが、昨年の3・11、大揺れのなかでの作業員の恐怖にひきつった映像、その後の対策をつぶさに調べていきますと、危惧感が消え去りません。

 気象庁には、何度聞いても言います、「地震の予知は、できません!!」

 開き直りかと思うほど、キッパリと断言するのです。さらに、こうも言います。「東京湾に大津波は来ない」とも。

 ど~して、そ~言えるのですか?

 そ~聞くと、こう答える。

 「今まで、起こってないから」

 アホか!

 しかし、地形は違えど、三陸海岸線一帯をあのような形で一気に襲いかかった巨大津波を、学者センセの多くは予想すら出来ず。その後は、後付け、また後付け、ちゃんちゃこりん・・・・・・・

 決して、”オオカミ少年”には、なりたくありません。

 しかし、三陸沖海岸線に沿う一帯で、じつは昨年の3月9日からあの直前まで、40回もの、大小の地震が起こっていたのです。大津波は、1回も襲来していません。

 またか!と、思うだけか、はたまた、ひょっとして!?と思うか!? 自分が、その身になったつもりで、想像してみてください。

 よくニュースなどで目にするセットに入っての「震度体験」。あんなものは、実際にはクソの役にも立ちません。あのセットに付随する、あらゆる環境。それが、混然一体となって揺れる。それが「厳実」なのです。

 人間の「慣れ」は、いえ慣れこそ、こわい!!!!!!

 「東京スカイツリー事故の、賠償問題の行方は!?」 

 今、バカ騒ぎの旗振り役を率先して担っているマスコミが、コロッと手のひら返す日。そう遠くない・・・・・かもしれません!! 

 


<リアル ボクシング ルポ> 3月25日 金城智哉vsウォーズ・カツマタ。フライ級8回戦 後楽園ホール

2012-03-30 01:29:10 | スポーツ

 ひさびさに見る金城智哉の、試合だった。もしかして!?という淡い期待。しかし、それ以上の大きな不安と危惧を胸に、会場へと足を運んだ。

 理由!? それは、相手が強打のハード・パンチャーだといわれているから。昨年4月に日本のリングに登場するや、4戦4KO。そのうち1ラウンドKO勝利が2回。しかし、そんなフレコミと数字に左右されるほど,幼くはない。

 ないが、フィリピンの選手とはいえ、日本のリングにわざわざ海を渡って横たわりに来たボクサーじゃないことは、井岡一翔とのスパーリングの映像を見ただけで、その片鱗が判った。くしくも3月27日、世界戦に初挑戦して、王者スリヤンをダウンさせ、判定勝ちでWBC世界スーパーフライ級チャンピオンとなった佐藤洋太(協栄)。その彼が、以前ウォーズ・カツマタとスパーリングし終えた後、「半端じゃないっすよ! パンチ」と感想をもらしたと言う。

 また、ほかの選手が言った「ジャブが、ストレートほどの威力がある」という、これまた、ホンマかいな!?という驚きと怖さ。

 それが、どんぴしゃの、当たり! ホントだとしたら・・・・・。

 かつて、金城がまだ無名の頃から、間違いなくこの成長度からして全日本フライ級新人王にはなる!!、と確信。当時のトレーナー洪(ほん)東植の指導にも、さらに磨きがかかった。繰り出すパンチのコンビネーション。とどめを刺す左のアッパーボディ!! いい、いい!! 少なくとも、日本ランカーには食い込める。ましてや、当時のフライ級には亀田興毅は論外として、盤石の強さを誇る者は1人もいなかったし。  

 事実、着実に階段を駆け上がり、栄冠を手にした。派手さは、無い。目にも鮮やかなノックアウト劇も少ない。それがために、MVPこそ逃したものの、仙台の朝鮮学校時代の同級生達が祝ってくれ、リング・シューズをプレゼントしてくれたりしていた。彼女が出来たり、別れたり、また恋をしたり。金城青年は、”青春”も、していた。

 電車内の吊り広告の、素早い交換。そういう、アルバイトも長期にしていた。

 日本フライ級のランカーとなった。が、そこからが、予想以上の苦難の道となった。最終的に、現在の日本フライ級チャンピオン・五十嵐俊幸に敗れ、昨年の8月には奈須勇樹にもTKO負け。いまや、ランキング外の身に。

 勝ったり負けたりの戦歴のなか、欠点は、長い間、それなりに見続けてきて、透けて見えてきた。それをいわば確認しようとした。

 ところが、会場へやっと都合をつけて行ってみると、相手や金城の事情で試合中止。本人から、事前に一報はただの1度も無かった。そういう人間なのか~。やっと見た試合内容にも、違和感が。

 判定勝ちして、金城本人は笑顔だったが、私の目から見て、負けていた。どうみても、負けていた。そう、本人にも言ったこともある。

 逆もあった。結果は判定負け。しかし、どうひっくり返して観ても、分析しても、金城は勝っていた。

 なんだか自分の目に迷いが生じ、自信も無くなりかけた。金城もまた一報もないまま、故郷仙台や、地方での試合があった。

 不義理、欠礼。

 それは、金城の最大欠点。本人は、気付きもしていない。

 試合の数々は、直接見られなかったが、そのたびごとに闘いぶりは調べていた。

 金城の”伸びしろ”は、ますます乏しくなりつつあった。そんな、「攻守」に終始していた。上がり目が、この先無いのでは、無いか!?・・・・・

 かつての教え子のことが、気になるのだろう。トレーナーの洪が、客席に。心配しているようだ。しばし、金城のことについて語り合う。見方は、ずれていなかった。

 それにしても、この日の後楽園ホールは、ひどいことになっていた。日比対決と銘打った「フィリピン・ジャパン・ボクシング・フェスティバル」なのだが、まさにフェスティバル、悪しきお祭り状態。もう2度とやって欲しくない

 とある主催団体にタダで会場にくれば入れるということで、来るわ来るわ、在日のフィリピン人が。そして、騒ぐ、立つ、移動する。しまいにゃ、闘っている選手に向けて平気でフラッシュを炊く、炊く、炊く!!! まっ炊くう!!

 選手の目に反射したりして、危険なので止めて欲しい! というアナウンスを、何度してもダメ。英語でもダメ。こいつら!!と、カネをキチンと払って入ったボクシングファンは、怒る、怒る。しかし、タガログ語でも、おそらく止めなかっただろう。

 私が、もっとあきれ返ったのは、リングサイドで「PRESS」と染められた腕章をして写真を撮りまくっている取材目的??のカメラマンまでが、フラッシュ炊いていたこと。

 てえことは、ナニかい? 母国では、それジョーシキ!? ビデオ映像で祝辞をくれた、マニー・パッキャオも、やられたってえコトかい???

 らんちき騒ぎは、メイン試合の、金城vsウオーズの直前まで続いた。それも、無数のボクサーの血と汗と涙を吸い続けた「神聖」なリングの中で!!

 訳のわからない男女が入って、声を出すと、なんと女が”ポール・ダンス”を、クリ広げた。もう股おっぴろげて、もろ卑猥そのもの・・・・・。その股間を狙って、フラッシュがまたたく!! 

 日本ボクシング・コミッションや協会は、カネと引き換えにプライドまでも売り渡したのだろうか?・・・・。リング上で、あるジム主催の興業の時には、堂々と旗振らせるし。・・・・・やりきれなさが、胸に突き上げてくる。

 さて、やっと金城智哉がリングに登場。おっ! 髪を刈り上げてら。もろ、就活カット。次いで、赤コーナーにウオーズ・カツマタ。大歓声、高まる。もちろん、本名じゃない。カツマタは、所属する勝又ジムからとったもの。

 どこかしら、自信が溢れている。母国での戦績も含めて、16勝5敗。内、14KO!! WBC世界フライ級18位に、ランクされている。

 対する金城智哉、19勝(8KO)5敗2引き分け。もはや、中堅ボクサー。

 ゴングが、鳴った。1ラウンド、開始。金城、左ストレートを放つ。カツマタ、金城の動きを、驚くほど冷静に見つつ、パンチを繰り出す。両者、思い切り良く切り出した!!相打ち、クロス・ストレート!!  んんん、金城のパンチのスピードが、早くなっていた。しかし、カツマタのパンチは、重い。ピリッと走る、緊張感。

 カツマタ、2ラウンドに入るや、左のジャブジャブ、ダブルパンチ。重いっ!!見てるだけで、その質感が伝わる。これかあ、ジャブがストレートに近いっていうのは。金城も、パンチの出し入れ早いっ! このくらいじゃないと、たちうちできないな、と思う。

 金城のワンツー、フックヒット!! なのに、ぐらつきも、しない。カツマタの左のジャブで、よろける金城!!  マジかよ~!? それでも金城、ワンツー、当てる。

 3ラウンド。カツマタ、またまた左のダブルジャブ!! 金城だって、負けてない。得意の左右のフック。カツマタまた、左の重いジャブ。金城の、ワンツー・ストレート。当たりは良いのに、カツマタ効いてるフシが見えてこない・・・・。カツマタ、マタカツ?

 セコンドには、田口良一のトレーナーでもある石原と、3月31日に河野公平の再再起戦に付く高橋トレーナーの姿が。的確な指示が飛ぶ。

 4ラウンド。金城、連打喰う。しかし、得意の左アッパーの連打で、なんとかしのぐ。たいていの相手は、ここで膝を折り始めるのだが・・・。

 カツマタの大きなフック、4連発。うっ!!と、金城苦しい表情。追う、カツマタ。しのぐ、金城。応戦する。

 5ラウンドのゴングが、鳴る。金城、再試験のごとく、左右のボディへパンチ打ち込む。渾身の力。フック、ジャブ、打ち込む!!なのに、動じないカツマタ。そのうえ、思いっきり右フックを打ち込み、またも得意の左ジャブ」!! 効いてるのは・・・・・・か・ね・し・ろ。

 またも内臓をえぐる左ボディ!!  引き続き、6ラウンドでも放つ金城。なのに、効いてない?ように見えるカツマタ。タフ? 化け者??

 出たあ! とどめの1発。金城、ダウン!! 立ち上がったものの、フラフラ。レフェリー、金城を止めて、ジ・エンド。TKOタイム、6ラウンド、1分45秒。午後9時52分、試合終了・・・・・・・・・・

 

 「いやあ、重かったですね、相手のパンチ。効いてきて、腹に」 試合後、痛めて赤く滲んでいる体を、タオルで拭きながら金城が話してくれる。意外に、あかるい顔。それをみて、なにかしらホッとする。落ち込んでいなかっただけでも、よしとしよう。

 すこし離れたカツマタの控室からは、歓声と嬌声と、騒ぎまくる声。聞くこと、なにも無し。

 それにしても、あんな強打者を倒すには、一体どんな策があるというのだろう。ホールの外に出ると、かつては待っていた金城の友達の姿が、1人も見当たらなかった。勝っても負けても、残っていたのに・・・・・・・・・。

思わず、こころの中で叫んでいた。「金城智哉。頑張れよお~!!」

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ> 元日本バンタム級チャンピオン福原力也。揺れ続ける、彼の心に迫った!

2012-03-24 22:35:52 | スポーツ

 福原力也。

 元・日本バンタム級チャンピオン

 1度ならず、2度までも試合で右腕を骨折!! プロデビューして、すでに丸13年。通算成績24勝6敗1引き分け。そのうち、なんと18勝がKO勝ち!!(TKO含む)。KO率、75%!!

 ハード・パンチャーの宿命、と言い切ってしまったら、福原力也に酷か。それほど、プロボクサーの腕と拳は、とてつもなく強い。わかりやすい逸話を、ひとつ示そう。

 今は引退した、その名を聞けば誰もが判る世界チャンピオンが、まだベルトを巻く、ずっと前のこと。新宿歌舞伎町で、酔客にしつこくからまれた。その数、12人。

 そのなかに、彼の試合を見ていた者がいた。「ファンだ」といいつつ、自分の腕っぷしを試すかのように何度も殴ってきた。スッと、かわす。また、眼にも鮮やかにかわす。

 それを面白がって見ていた仲間たちも、殴りかかってきた。次から次へと。偶然、彼の顔にパンチが当たってしまった。

 とっさに、手が伸びた!!パンパンパンパン・・・・。所用時間1分。12人が、地面に横たわっていた。まるで、アクション映画のワン・シーン。本当の話しだ。

 福原は、とてつもない2枚目だ。おそらく、日本の全プロボクサー約3000人の中では、阪東ヒーロー(フォーラムスポーツ)と並ぶ容姿の良さ。信じられなければ、今福原力也の名前で、検索するといい。写真を見れば、ウソじゃないことが、わかるはず。

 試合のたびに、若い女性が詰め掛け、「力也~!!」「力也~!!」と、声援が飛び交う。女性誌や、ファッション誌のグラビアにも登場したこともある。

 「もてるでしょう?」 かつて、そう試合後に聞いたことがある。

 「いや。カネの無い男に、女は寄ってきませんから」 そう言って小さく、苦笑い。実感が、こもっていた。彼のブログによれば、子犬との暮らし。信じていいのか、いけないのか・・・・。

 チャンピオンに輝いたのは、6年半前。木村章司に勝って、日本スーパーバンタム級チャンピオンに。4か月半後、8ラウンドTKO勝ちで初防衛も果たし、順調な滑り出しをみせた。

 ところが、2度目の防衛戦の試合中に、右腕を骨折!! 痛みに耐えつつ、左手1本で戦い抜くも。ついに9ラウンド、TKO負け。ベルトを失う。

 9か月後、また、次は1年半後。・・・・組まれる試合の、ブランクは、長~く続く。

 東洋・太平洋(OPBF)スーパーフェザー級の王座を賭けた試合。浮上へのチャンスだったが、強打者アラン・タナダ相手にダウン、起き上がるも、また痛烈なパンチを喰らいダウン!! ついに、3ラウンド、KO負け。

 試合後の控室。福原は、タオルを頭からかぶり、深くうなだれたまま。やっと発した言葉は「完敗です・・・・・・・・何も、練習してきたことが、・・・・・・出来・・・・ませんでした」

 問いを発するのは、酷に思われた。

 昨年の8月6日。WBAスーパーバンタム級のベルトを失った李冽理との、再びの再起を期した試合。所属するジムの会長・渡辺均も「噛み合う相手だと思いますよ。是非勝って欲しいし、いい試合になるでしょう」 笑顔を見せて、そう語った。

 勝ったら、書くつもりでいた。それまでも書くチャンスはあったのだが、他のボクサーのことを書いたりしていて、なぜかタイミングが、うまく合わず。よし!と思って書き上げた直後、その試合が流れたり。だから私も、この試合に心期すものがあった。

 福原と李。勝敗は、5分5分と思っていた。しのぎを削る、接戦になるだろう、と。

 4ラウンドまで、福原がリードしていた。おそらく、誰の目から見ても、そうだったはずだ。それが一転、5ラウンド

 世に、絶好のタイミングで打ったパンチ、というものがあるとすれば、まさにソレ。李の放った右のカウンターが、どんぴしゃのタイミングで決まり、福原ダウン!!

立ち上がったものの、福原の足が少しもつれた。それを見て取ったレフェリーが、試合ストップ。あっけなく、李の勝利が決まってしまった・・・・・・。福原に、さほどのダメージはなかった。

 それまでの試合展開からしても、止めるのは早い!! そう、感じた。もう1回倒れるか、はたまたロープを背負って、10発以上連打をあからさまに喰う姿があってからでもいいのではないか!? そうも、感じた。 

 李は、横浜光ジムの選手。帝拳ジムの選手じゃないのだから。

 あえて。控室に行かなかった。行って、おそらく囲み取材のなかで飛び出すであろう進退の質問を耳にするのも辛い気がした。

 今回初めて、活字ではなく、インターネット上に乗せるにあたって、福原自身のブログを1年分近く読んだ。子犬はともかく、朝陽、夕陽、大都会の夕暮れの写真の数々。加えて、どんどん姿を変えゆく雲。

 へえ~、私と同じ趣味があるんだあと、少々驚きながらも、それを撮り続ける、その心象風景を推し測った。

 13年間もの間、費やしてきたボクサー人生。右腕に異物を打ち込んでまで、頑張ってきた青春の日々。その、代償は・・・・・。

 右腕以上に折れかけた自らのこころ

 それを、辛くも支えつづけてくれたファンと支援者。乏しいカネ、自分を律する生活と食事、想像以上の厳しい練習。

 あらゆるスポーツのなかで、ボクシングほど、応援の声が背中を押してくれる種目は、無い。それがあるから、くじけても、なんとか続けていける。身体中の痛みにも、耐えられる。勝てば、心もグイッと進む。チケットも買ってもらいやすい。1日、また1日・・・・。

 福原のブログには、そんな心の一片の揺れが、ほの見える。ボクシングが、やっぱり大好きだという感情も、のぞく。

 李との戦いの時の、一瞬の失敗と、時を置いての反省が、試合1か月後、「李冽李」という誤字とともに載っている。

 最近は、親しくしている先輩ボクサーだった元チャンピオン鳥海純がトレーナーをしているジムで「パーソナル・ボクシング・トレーニング」というものを、所属ジムと2か所で教えているようだ。鳥海の人柄の良さは、すでに別稿で書いた。将来、福原はそのジムでトレーナーを務めそうな気がする。

 しかし!! 今は、相手をリングで情け容赦なくぶっ倒す「現役」。その燃えたぎる感情が少し薄らいではいないか!? それが、気にかかる。

 かつて、世界チャンピオンだった時の具志堅用高をインタビューしたことがある。こう聞いた。

「リング上でKOした相手の姿を見て、どう思うものですか?」

その時、返ってきた答えは、今も忘れられない。

「頼むから、起き上がらないでくれ。そう、思ってるね」

 ああ~!!と、心が叫んだ。ファンだっただけに、驚いた。彼がベルトを失うのは、そのあとの試合。やさしさは、リングでは・・・・・捨てねばならぬ。

 3月31日の相手は木村毅、30歳。勝ったり負けたりの、中堅ボクサーだ。坊主頭の、いかつい顔。福原とは、対照的といえる。木村は左のストレートの伸びがいい。

 一昨年の10月11日。当時、鼻っ柱が必要以上に強かった斉藤司を、6ラウンド、へし折って倒した。かと思えば、直近の昨年10月10日のOPBFフェザー級15位・竹中良との試合では、4ラウンドTKO負け。

 どちらもジムのある名古屋から上京し、後楽園ホールでの試合。どちらも、この目でしっかり見た。木村はこの3月31日の試合もそうだが、敵地に乗り込んでのハンディのある試合が多い。それを考慮に入れても、強烈な印象を残していない。

 仕上がりさえ良ければ、福原がポイントを着実に積み重ねて・・・・・と予想はするものの、正直、身びいきが消え失せない。

 ラスト・ファイトになるかも知れぬ、この試合。福原が、己のボクシング人生を賭けてどこまで燃え尽きることが出来るか!?

 福原力也の「こころ」が、鍵になりそうな気がしてならない・・・・

 

 

 

 


他人のフンドシで相撲をとる テレビ朝日「モーニングバード!」と、被災者を傷つけるNHKスタッフ

2012-03-22 19:29:09 | テレビ番組

 いかにも自分達番組スタッフが、独走「スクープ」したかのようなツラして,本日報じた"東電強行値上げ阻止”問題。

 ところが、実際は河野太郎議員が3月15日付のブログで、東電にまるで取材記者のように聞き質したもの。「モーニングバード!」のは、それをなぞっただけの後追い取材に過ぎない。

なのに・・・・。汚いというか、いつもの慣れというか。

 それは、テレビ朝日に限った事ではない。早朝の番組から新聞の紙面をズラリと並べ、それを読み上げ、手前勝手にアレンジし、愚にもつかないコメンテーターの面々が、さらに愚にもつかない感想を言って場を盛り上げる

その面々の多くは、バカでもつとまる記者クラブ勤め経験した者。そして、厚化粧した女。テロップで流れる経歴には、!?と怪しい者が目立つ

 数年前、ある「女性大学生起業家」というフレコミの人間を、徹底的に取材。そのウソを、雑誌の表紙にも刷り込んだ。翌月、彼女はテレビ界から消えた。

 うすうす気付いていても、ばれない限り起用するテレビ局の「罪」は、決して小さくない。

 先の女の”会社”は、パソコンの画面上には「存在」する。しかし、実態は何一つ無かった。。

インターネット社会の、恐怖の裏面だ。それにしても、・・・・。

他人のフンドシで相撲を取る。それを、恥と思わないのだろうか!? 

 毎日毎日、ソレを積み重ねてるうちに、神経がゆがみ、狂ってしまうのだろうか!?

 テロップの誤字・脱字も、どんどん日ごとに多くなってきている。読めるけど、書けない。人名・地名・企業名など、固有名詞の場合などは、気付いた時はたまに謝罪するが、その多くは意図的に目をつぶる日々。

 世にパソコンが、普及してしまった「罪」も大きい。

 別稿で、「NHKがバカになっている」を以前打ち込んだが、とても一笑に付すことは出来ない誤字が、大震災の特番で飛び出した。

 被災地で、まだ板井が見つかっていない・・・。

 視聴者からのメールだとしても、肉親の「遺体」を1年後の今も捜し続ける家族が多く見ていたはず。それを、目にして、どんなに心が傷つくであろうか・・・・・。

 今夜もNHKは特番を流すが、いまだ訂正もお詫びの一言も無い

 この一文の最後に、テレビ画面には映ることのないNHKの被災者に対する心ない行動を、お伝えしておこう。

 大きな被災が起こるたびに、私もよく行った。いち早く駆けつけ、取材をしているNHK。さすが、全国に支局を張り巡らしている強みだ。人数も多い。報道に強い制作会社のスタッフも参加。だから、何本もの特番を流せる。それは、いい。

 許せないのが、食事をとるときだ。まだ、多くの被災者が詰め掛けている体育館などに、満足な食事がいき渡っていない時、支局の人間なのか、ロケバスに、人数以上の豪華に見える弁当がお茶や味噌汁を添えて運ばれる。三食、キチンと。それは、いい。

食べている場所が、そんな体育館などのすぐそば。それも、カーテンも一切かけることも、しない。温かなご飯とおかずの匂いが、辺りに否応なく漂う。

被災者にその時渡るのは、冷たいおにぎり、ひとり1個。ロケバスのなかでは必ずと言っていいほど余る。夏場は、すぐ捨てている。全国の被災者たちは、その有り様を口には出さぬが、見つめている。そのNHKの無神経さ。

食べるな、などとは言うつもりはない。「すぐその場から取材が出来るから」というが、カーテンもせず。

 その上、女性アナウンサーやレポーターは、その場で堂々と化粧直しをする。じっくり、と。

 そして、カメラ映りを気にしつつ、颯爽とバスを降り、空腹の上、疲れ果てている被災者にマイクとカメラを向ける。

 「今、どんなお気持ちですか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 


このままでいいのか!?高校野球!またも容認された「プロ球児の特待生」問題。その病巣をえぐる!

2012-03-22 09:51:52 | スポーツ

 「ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワン」  馬面の平野博文・文部科学省大臣が、ピントはずれの,ぼけた挨拶を、3月21日、全国から集った球児を前に挨拶して、今年のセンバツが開幕した。

 こと野球に関しては、”1人は全員の為に。全員は1人の為に”は、あてはまらない。投手と打者の闘い。絶妙の駆け引きも含め、究極の1対1だ。

 だから愚かなマスコミは。いまだに叫ぶではないか。せっかく、新天地を求めて大リーグへ”移籍”したというのに、「日本人対決」と。野球が、何たるかを知らない平野は、愚かの極みだ。

 その日、なによりも感動を呼んだのは、被災地から来た「21世紀枠」で選出された石巻工業高校野球部主将の宣誓だったことは、まだ記憶に新しい。

 一方で、多くの視聴者の片隅に残ったのは、その高校が「21世紀枠」だったということ。強豪校だらけのセンバツに、意識下でどこか拒否反応があったからに、他ならない

 21世紀枠、といっても決して弱くはない。地区大会で、いずれもベスト8、ないしベスト4以上の好戦績をあげている高校ばかりだ。あと1歩で甲子園の切符を、逃してるという。その選考については、いろいろ問題と、少なからぬ疑惑が囁かれているが、この一文では、それではなく、根深い「特待生」問題の病巣を、えぐり出す。

 「21世紀枠」については、かつて牧野直隆に、直撃した際に話しが出た。その名を見て、すぐ高野連の元・会長と気付く人は、相当な高校野球ファンと言っていい。

 「アレは、自分で言うのも何ですが、やってよかったなあと、今でも思っております」


<リアル ボクシング ルポ>稲元真理vs三好喜美佳。3月12日、53・3kg契約 6回戦 詳報

2012-03-18 21:29:40 | スポーツ

 この日のメインは、黒田雅之vs田口良一という、日本ライトフライ級タイトルマッチだ。すでに、この長文ブログで試合前の展望を書いて(打って)おり、興味を抱いて、後楽園ホールに足を運んだ方もいたと聞いた。観客は、ほぼ満員。

 結果は、すでに報道の通りドロー(引き分け)。辛くも、形こそ黒田が3度目の防衛を果たし、首の皮1枚つながった。

 黒田が前2試合と違い、ほぼベストのファイトを見せた。さすが、チャンピオンと思った。が、そんな展開の中でも田口が新チャンピオンになるであろうとみていただけに、さまざま、複雑な思いが私の胸のなかに渦巻いている。

 いずれ思いが1本にまとまったら、ココに表すので、いましばらく待って欲しい。

 さて、この日の第4試合として行われたのが、表題の「稲元真理 対 三好喜美佳」戦。当日のパンフレットにも、両者リングイン前後のアナウンスでも、とりたてて紹介こそ無かったが、拳を交える2人の間にはいくつもの因縁が横たわっていた。

 とりわけ、稲元の方にその思いが強かったと思う。なにしろ約3年前,デビュー戦の相手が、この三好だったのだから

 実は稲元、見た目のすっぴんは20歳代に見えるが、若くして結婚し、実はすでに3人の子供の母。御相手の男も、未入籍入れて3人。

 プロボクサーになるキッカケは、息子にボクシングを習わせるつもりで、近くの熊谷コサカボクシングジムに連れて行ったことから。

 ところが、子供の姿を見守りながら、ついでにシェイプアップのつもりで始めたはずが、いつしかアマチュアの全日本女子大会のバンタム級で、2年連続準優勝の実力者にまで登り詰めちゃった。

 劇画の世界とはいえ、あの矢吹丈がくしくも同じバンタム級。真っ白になって、リング上のコーナーの椅子に座ったまま燃え尽きるラストシーンは、あまりにも有名だ。

 当時、宿敵力石徹が亡くなった時、大学では、構内で大々的に葬儀が執り行われたほど衝撃的な出来事であった。

 37歳という年齢からして、リアルタイムで雑誌を見てはいないはずだが、その「あしたのジョー」の大ファンだったと、彼女の記事で目にしたことがある。

 それにしても、あとワンパンチで栄冠を逃した悔しさ。それも2年連続!! やり残した思いが、プロに向かわせたのか? 子育てのかたわら、プロでも勝てるかも!?と、拳に秘めた自信もあったはず。

 それが・・・・三好に、無残に打ち砕かれた!! 激闘むなしく 最終4ラウンド、29秒。三好の放った左のパンチに、稲元の腰がクッと落ちかけた瞬間、レフェリーが割って入って・・・・TKO負けに。

 その後、稲元も成長するなかで、カイ・ジョンソン(具志堅・白井スポーツジム)というリングネームを持つ日本人女性選手とは、1勝1敗。「一緒にお風呂にも入ったりする、仲良しになりました。メル友なんです」と明るく笑う稲元。互いの試合会場に足を運んで、応援もしあっている。

 そのカイが、昨年の11月23日、三好に3-0の判定負け。あの、三好にだ

 稲元自身は、さかのぼること3か月前の8月28日に大阪で試合をした。タイから来日したヨクファー・シットクルシンに3-0で判定勝ちこそしたものの、評価はボロクソ。女子格闘技選手を応援するサイトでさえ、酷評する始末。

 悔しさに加え、「自分としても、不満足な試合内容でした。もっと、足も使いたかった。反省材料の多い試合になってしまって・・・・」と、正直な性格を表すかの様に話す稲元。

 リベンジ、宿敵、でもって仇討ち。その上で完勝したい!! 稲元の気合いは、高まるばかりだった。

 一方の三好は、なんと「世界へ挑戦のための、ひとつの通過点として稲元戦をとらえている」という。それを耳にしたのは、三好が所属する川崎新田ジムのトレーナーから。それも、稲元の名前すら覚えてもいなかった。軽視、また軽視

 10戦して4勝(2KO)5敗1引き分けと、三好は通算戦績こそ平凡ながら、稲元にレフェリーストップ勝ちした自信は想像以上に大きい

 事前に、稲元に調整具合を聞いた際、その話をしたところ、「よ~し!」と、声に力こぶ。仕上げに向けての練習ぶりは、元東日本フライ級新人王の同僚、時松友二をして「あんなに練習して、すごいなあ」と、驚かせるほどだった。

 そのような背景渦巻く中、2人はリングに姿を現した

 おおっ!!予想どうり、稲元、気合い充分。 

 地元川崎からの応援団の声援を受けて赤コーナーに立つ三好は、どこか、冷静。いつもながら、ボーイッシュなヘアスタイルに、赤い上下のシャツとトランクス。

 稲元は黒の上下。午後6時48分、ついに因縁のゴングが、打ち鳴らされた!!

 稲元、右のストレートを軽く放つ。続けて、攻める!ウオッ!! 相打ちに。三好も、グイッと前に。リード気味に放った左のロングジャブが、ヒット!!! 

 今度は、かわした稲元の右がヒット!!出し入れ良く、稲元のヒット&ウェイ、好調な滑り出し。1ラウンド2分が、あっという間に終了する

 それにしてもと、思う。この豊富なキャリアのクラスになると、「プロ」の名に値する攻守を、どんどん”魅せてくれる”なと。スピード、テンポ、そしてスリルまでも。

 さほど笑わす芸も、パンチ力も無い山崎静代が、マスコミに今だけ注目を浴びている。性格もブスな上、ただ無駄にデカいだけの身体。それを生かし切ってもいない、手打ちのデカパンチ。

 やっと、少しだけそれに体重を乗せて打つ!!ことを身体で覚え始めたものの、アマチュアとはいえ、それだけでオリンピックに出られるほど甘い世界では無い!! 彼女が、かつて女子プロレスのテストを受けて失敗して断念したように。いずれ”厳実”を知らされるだろう。

 この、いわばバカ騒ぎ。女子プロボクサーは誰一人として、表立って口にはしていないが、苦笑いしつつ、冷静に見ている。

 女子ボクシング界のフライ級に注目が少し当たってはいるものの、尻すぼみに終わってしまいそうだ。分かってはいたものの、少しだけ、残念な気はするが・・・。そのくらい、注目度が下がりつつある。それを少しでも食い止めるためにも、コレ!という試合は、緻密にルポしていこうと思う。

 さて、試合は2ラウンドに入るや、稲元がさらに文字通り”打って出る”。左フック! 接近してのショート・アッパー! 身体を大きく前後左右に振る。そして上下巧みに屈伸しての攻め。ことごとく全打成功こそしていないものの、失敗も無し。

 しかし、その為に体勢が崩れ、少しガードが甘くなった稲元をすかさず見逃さぬ三好。反転、攻勢。ジャブ、ジャブ、ストレート!! ヒット、ヒットヒット!! 

 ガツン!!と、稲元の顔が、めり込んだ三好の拳でゆがむ、へこむ! 茶髪がブワッと宙に舞い、揺れた!! 

打たれても、打たれても、前へ打って出る稲元。勇猛果敢に、打ち合う! 打ち合う!! 打ち合う!!!

 ゆがむ三好の皮膚!あご!ボディ!! またもブワッと揺れる、

 総毛立つ稲元の髪!! 一瞬、痛さに耐え兼ね、閉じる眼。もう、互いに無我夢中。キャリアもプライドも、かなぐり捨てての本能。

 「私って打たれちゃうと、もう見境い無くなっちゃうんですよねえ。判ってはいるんですけど、冷静になれなくなって。悪いクセですよね」 

 以前、時折り、苦笑して話していた稲元の言葉が頭をよぎる。打たれた痛ささえ、ビシビシ、見ていても伝わってくる。

 互いに、勝ちたい!!という思いも、ガチガチ、ぶつかり合う

 3ラウンド、突入。稲元が左からのパンチを払うように腕を左から右へと動かし、リズムをとる。クセ、か。ストレートの、相打ち!! 痛え!! 痛そう!!

 稲元、接近。低く入ってシヨートアッパーを、三好のあごにぶち込む。頭ぶつかり、レフェリーに注意される。稲元、再び低く入る。が、しかし、一瞬の態勢の崩れ。そこを見逃さぬ三好の冷静な眼。スッと伸びきった、三好の左ストレートがヒット!!

 このあたりから、稲元が一転して三好をうまく打ち崩せなくなってき始める

 「4回目。ラウンド、フォー」 ベテランのリングアナウンサーの声に、一段と両者の声援が高鳴る!! 稲元の鍛え上げた腕が、伸びた。左右のフック。左ストレート!!皮1枚はずした三好は、逆に左右に容赦なくフックを叩き込む!! 続けざま、ボディに拳をめり込ませる。

 痛さをチラッと表情にも見せず、追う稲元。右フックを当てる。が、すぐ打ち返される。三好、頭を揺らして突き進んだところで、4ラウンド終了。コーナーに戻った2人に、手当をしつつ、次のラウンドの作戦を授けるトレーナー。うなずく両選手。

 三好は、東洋太平洋(OPBF)バンタム級8位。

 かたや稲元は、同(OPBF)スーパーフライ級3位。クラスが現在違うため、表題にあるように互いに歩み寄って、53・3kgで調整した試合だ。

 そして、稲元は現在すでに37歳。男子ならば慣例により激しいスポーツゆえに、健康面を考えて引退勧告を強いられる年齢だ。むろん現チャンピオンや、前チャンピオンはその例外として枠からはずれる。女子には40歳までとの一応の線引き。厳しい強制力はなく、引退勧告をはねのけ、引退届けも出さず海外で試合をする猪崎かずみ、男子では西澤ヨシノリなどが知られている。 

 その代わり、遠征費用など全て自腹。西澤などは、慣れぬスーツを着込み、スポンサー探し。”中年の星”とマスコミに紹介され、比較的苦労を重ねる事こそ少なかったが、肝心の練習時間が減り、おまけに敵国は軒並みジャッジが不公平。KOでもしない限り、日本では3-0の勝ちの内容でも1-2の判定負け。フラストレーションが溜まるなど、苦戦を積み重ねている。

 熊谷コサカジムは地方ジムゆえもあり、試合が決まるたびにファイトマネーはもらえるどころか、逆に”諸費用が重なる”との理由で、数万円ジムに支払って試合にようやく出られる。その延長線の多額と割り切れば、やり続けられるが・・・・・・。 

5ラウンド開始のゴングが鳴った。

 いきなり、右のショートパンチを放つ稲元。三好も効果的な左のリードで、踏み込ませないようにする。稲元、それを低くかいくぐり、アッパーを打つ。接近戦にまたも持ち込み、ボディ狙い。

 しかし、三好。タイミング良く、右ストレートを素早く放ち続ける。簡単に入っていけない稲元。自分の距離にうまく持ち込めないまま、時がアッという間に刻まれていく。

 大きく踏み込んで、ショート・アッパーやショート・ボディこそ打ち込めているが、距離が中途半端なため、せっかくの威力が半減。そのうえ連打まで行けず、三好が膝を折るまでに至っていない。

 そう、捉えている間に5ラウンドが終了してしまう。んんんんん、ひょっとして稲元、痛みが身体をきしませている?・・・・・いやな予感が、フッと甦ってくる。

 ついに、最終6ラウンド。コーナーを勢い良くとびだした稲元。一気に距離を詰め、身体を大きく振って、アッパー、フック、ジャブ、離れてストレート!!  しかし,三好もしゃにむに打ち返す。2ラウンドの再現だ。

 この試合に賭ける稲元。あの矢吹丈のラスト・ファイトのごとく、真っ白になるまで燃え尽きようとしているかのようにも見える。・・・・・胸が熱くなる。リング上で闘う者への、大歓声の応援。一気に両者、ヒートアップ!! アップ、アップ!!

 おそらく、いつもママの応援に来ている稲元の子供も観客席にいることだろう。

 稲元の髪が打っても打たれても、激しく、激しく、揺れまくる。三好も、必死だ!! 壮絶な乱打戦!! まさに,死力を尽くして、真っ白に燃え尽きて・・・・・・・。

 ゴングが鳴ってしまった・・・・・。

 ジャッジペーパーが、集められた。判定結果が、読み上げられる。

 58-56。59-56。そして3人目も、59-55。・・・・・3対0で、またも三好の判定勝ちに終わった。

 試合後、重い足取りで、控え室へと向かう。激闘を証明するかのように、両選手とも、医務室に。長い時間が、刻々と過ぎてゆく。

 先に出てきたのは、リベンジを封じた、勝者の三好。聞いた

ーーー 右のリード、効果的に相手の出方を、封じていましたね?

「右ですか? 左じゃなく? んん、そう見えましたか。自分としては少し左を使いたかったんですけども」   

 興奮することも無く、冷静に試合を振り返る。

ーーー 判定結果を待つ間、ポイントは自分が獲ったと思ってました?

「そうですね」    あくまで、冷静。顔の腫れは、目立たない。

 かたや。敗者の稲元。医務室から、しばらくして出てきた姿は衝撃的だった。

 大きいバスタオルを頭からすっぽりとかぶり、全く上半身すら見えず。腰をかがめ、足元もおぼつかなく、よろよろと歩む・・・・・。

 「稲元さん」と声を掛けたが、聞こえているのか、いないのか・・・・泣きじゃくっているように、感じられた。そばにいたジム会長兼トレーナーは、眼で私を制した。

 聞くことは・・・ない。確かに、判定ほどのポイント差は無いものの。稲元は負けたとは思う。

 しかし!!・・・・・・・今なら書こう。実は、ここ数か月前から稲元の腰と膝は痛み続けていた。本人いわく「歩くだけで、もう激痛が体中を走る事も、時々あるんです」「でも、今回の試合は、何としても勝ちたい!!」

 そんな事実を、彼女は決して負けた言い訳にはしないだろう。気は強くないが、芯は人一倍強い彼女のことだから。

 実は、リングを降りたら、実生活では歩くのも辛いプロボクサーを何人か知っている。試合後10日間ぐらいは、激痛で箸も持てない世界チャンピオンもいる。

 ボクシングとは、かくも激しく、大きく、人体を痛める。だから、まるで格闘マシンを見るが如く「被弾した」とか平気で書き飛ばす女記者や、リングサイドの記者席やテレビ解説でヘラヘラ笑ってしゃべる専門誌の編集者を見かけると、やりきれなくなる。

 元プロボクサーは、ただの1人もいないうえ、ボクサーの真情に寄り添うペンの技術も乏しいくせに。リングサイドで毎試合、もっと身を正して、しっかり今以上に見つめて欲しいと。一つ間違うと死に至る、まさに真剣勝負なのだから。

 これから、稲元はどうするのであろう? 一朝一夕で回復する激痛ではないことは、当人が一番知っている。いずれ年齢の問題も、否応なくのしかかってくる。1ファンとしては、あと1~2戦、見てみたい、書き続けたいとは思うが・・・・・。しかし、それも、身勝手な話に過ぎない。

 もし、彼女の身体が完調だったら・・・・。作戦に、もうひとひねり出来ていたら・・・。しかし、あの試合。100どころか、120%の力を振り絞って、戦い抜いていた。あれ以上、”おんな丈”に何を望めるであろうか!?

 今は、連絡も取るまい。ただひたすら、身体の痛みと、疲れと、そして何より折れかけた心の痛みを安らげることを願うのみだ。

その後の稲元 続報>・・・・・・・・ 

 こちらの、いわばとりこし苦労、でした。連絡を入れてみると、予想を裏切る元気さ!!  いやあ! まさに、文字通り”打たれ強い”のなんのって。

 なんと、涙という涙を泪橋のたもとで流し尽くした試合翌日、「軽い体慣らし程度」とは言うものの、所属ジムで次戦に向けて、練習開始したとのこと。ひゃあ!!! いやはや、なんちゅうか、かんちゅうか、パワフル・ママというべきか。、

 リングの中でと同様、立ち直りも早い!! 心配なんて、全く必要ありませんでした。こりゃ、今後も身体と相談しながらとはいえ、チャンピオン・ロード、まだまだひた走りそうだ。あのジョーにも似て、「あした」へ向かって・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ> 2月28日 ライト級6回戦。林 和希vsカオポンド・ルークマーカムワン 

2012-03-14 03:06:14 | スポーツ

 林和希(八王子中屋ジム)は、これまで8戦して5勝。そして、その5勝は、すべてKO勝ち。厳密にいうならレフェリーストップによるTKO勝ちも含まれてはいるものの、彼の両腕から繰り出すパンチは、将来性豊かだ。だからこそ、この日の、こんな試合は見たくなかった・・・・・・・。

 ん!? パンフレットを見た時、ある”危惧”がよぎった。相手のカオポンドは、この日、唯一の外国人選手。それも、タイ国人。ひょつとして、海を渡って日本に負けに来た”プロ”ボクサーかも?

いまだに、その手合いが次々と来日する現状は、見ていて決して好ましいものではない。”需要”と”供給”が、いまもってプロボクシング業界に在るにせよだ

 この試合は、この日の4試合目。前の試合が終了してすぐ、青コーナーの選手入場口の通路に、早々とカオポンドが突っ立っていた。

 やる気、勝つ気は全く感じ取れない。体の仕上がりは並み。腹回りは、たるんでこそいないものの、締まってはいない。これで、19歳? 11戦して、7勝(2KO)4敗という公式フレコミ。

 カオポンド、うながされて、そそくさとリングイン。かたや、林和希、”鳴り物入り”こそないものの、ファンと支援者、そして友人知人達の大歓声を背に、勇躍と大登場!!

 嗚呼!!と思った。やっぱり、かと。1ラウンド。ゴングがすでに打ち鳴らされたというのに、カオポンド、全くパンチを出そうともしない

 出しても、距離離れて、シュッ。林が前に出てくると、ズズッと下がる。ん、もう、ベタ足で、下がる。頭低くして、手出さない。

 相手の出方を警戒しつつ伺っていた林、スッと接近。軽く放ったワンパンチで、コロン、バタン。あららあ、鮮やかKO!! タイムは、1分42秒。ああああああああああああ・・・・・・。

 林、大喜び!! ロープに駆け上がって、おおっ、ガッツポーズ!!

 ”プロ”としての、”魅せるパフォーマンス”としてもさ、わしゃ、もう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 しめてこれで計算上は、6勝(6KO)。

 「あのさあ、本当に嬉しい?」 そう聞いてみたかったけれど・・・・やめた。本人が一番、何かを感じているはずだろうから。しばらく、原稿にまとめるのを止めた。

 彼が、今ブログでその辺りを吐露している。興味のある方は見て欲しい

 断って置くが、この試合、決して世にいう「八百長」では、無い。

 カオポンドが、自分がなんで日本にまで呼ばれたのか?を、理解していた。そういう事だ。そして、痛み一つ無く帰国して、楽して円を手にしたがった。そういう事だ

 かつては、なかば公然とあった。私が見たなかの一例を書く。あっさりKO負けしたアジアン・ボクサー。10カウントを聞き終えると、ガバッと起き上がり、元気にスタスタ、控室へ。その途中、勝った相手の所属ジムの会長を見つけ、声をかけた。

「カイチョウ。トルコ(風呂)約束ね!! 約束、守ってね!!」

 

 林は、ブログの中で、日本ボクシングコミッション(JBC)に疑問と不満を投げかけている。しかし、JBCそのものは今回のマッチメイクには関わっていない。

 規定のファイトマネーを、キチンとプロボクサーに支払う。この業界では極めて数少ない、誠実な所属ジム。

 それだけに、たった1試合だけとはいえ、あんなのを日本に呼ぶ必然性があったのだろうか!? A級へのランクインのため?? 1人呼んで、3~4万円で済むから?? んんん・・・・・。

 その林を、剛腕でリングに這わせた土屋修平(角海老宝石ジム)。全日本新人王にして、MVPも獲得。現在、日本ライト級8位。11戦して11KO、負けなしの注目株が、3月6日、奇しくもタイ人ボクサーを迎え撃った。

 相手の名前は、ソワット・ウォルソラポンが角海老宝石ジムの広告で。間違いや、誤植が絶えることのない専門誌のボクシング・マガジンでは、ソワット・ボルソラポンになり、試合当日にはサワット・ウォースラポンに。

 まっ、よくあること。戦績が違うことも、しばしばある世界。まっ、軽く見ている、ひとつの証明。

 で、剛腕ガツン、ボカン!! ドタン!!!! 1ラウンド、1分42秒。偶然か、全く同じタイムでのKO勝ちを積み重ねた。んんんんんんんん。

 最期に、林和希あてに書き添えて終えたい。

 相手の顔を打つのが、好きじゃないとのこと。その気持ちが、リング上で命取りにならなければいいのだが・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>スーパー・ライト級4回戦。竹浦 翔VS小日向 佑太戦(2月28日)を見つめた

2012-03-03 23:06:52 | スポーツ

 竹浦翔、そして小日向佑太

 両選手には失礼だが、2ラウンドの後半に観客席に着いた。所用があったため、それまでの展開を知らない。リングに、目を移す。

 互いに大振りの左右のフックを放ったまま、2ラウンドが終了

 経歴と戦績を見る。竹浦翔(シュウジム)は、青森県出身の26歳。今まで9戦して、3勝5敗1引き分け。一見すると勝率は良くないが、3勝はすべてKO(TKO含む)。面白い。芯に当たると、強いということか。

 かたや、青コーナーの小日向佑太(KTTジム)。新潟県出身の24歳。5戦3勝(2KO)2敗の戦績だ。

 ゴングが鳴り、3ラウンドがスタートするや、2人のスタミナが急速に無くなっていくように見えた。

 展開は一転して、接近戦に。足を止め、互いの体をくっつけ合って打ち合う。だが、パンチに体重が乗っていない。

 そのため、互いにボディを打ち合っているのだが、客席には「ガスッ」「ガスッ」というような音しか聞こえてこない。

 最終4ラウンド。今度は距離を少し取り合い、竹浦のパンチが冴える。対する小日向も、ひたむきに手を前に出し、パンチを出し続ける。

 両者のセコンドとも、ポイント差が無いと判断。ともかく、手数を出せ!! そう、選手に指示を出したに違いない。

 前かがみになって、パンチを繰り出す小日向。なんとか倒したい!! そういう気持ちのほうが前に出過ぎ、2人の繰り出すパンチが大振りに。そして、空振りになる。 ブン ブン!!

 いっちょ前に、冷静に、こう判断しちゃってるけどさ、・・・・・自分がもし闘っていても、そうなっちゃうよなあ・・・・頭では、これじゃいけない!!と分かっていても。

 試合終了まで、時は容赦なく過ぎてゆく。出す、出す、パンチ。当たっても、当たらなくても。「いけえ~!!」「倒せええ~!!」  

 2人の友人たちの声援が高鳴り、叫びに変わる。

 竹浦のほうが、有効打が多いように見えた。疲れている2人。それでも、前へ! 前へ!!

 決め手が両者欠けるまま、試合終了。判定の結果や、いかに!?

 一人目のジャッジは、38対38.ドローだ。そして、残る二人が同じ39対38。

 結果、2-0で・・・・・・勝者、小日向!! 

 えっ!?わずかな小差で竹浦と思っていたが、勝ったはずの小日向。ほとほと疲れ果てた表情を見せて、うなだれたままリングを降りた。

 うれしくは無い、「ナニか」が胸に残ったままなのだろう。

 勝ちはしたが、練習してきたことが、殆んど出せずに終わった、のではなかろうか

 そういう声を、よく耳にしてきた。

 だから、ボクシングは・・・・・・・・・・・

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ> 3・12 黒田雅之が防衛できるか? 田口良一が獲るか? 激闘 必至!

2012-03-01 00:19:00 | ニュース

 「うわあ~!!!」「おお~っ!!!」 試合会場に響き渡る大歓声。そして、耳をつんざく叫び声と。応援の声、声、声!!! 思わず、立ち上がって、声援する、人、人、人。 

 激しい打ち合いの末、湯葉忠志がノック・ダウンの応酬の結果、4階級制覇を達成するなど、今年の「チャンピオン・カーニバル」は、例年以上の盛り上がりをみせている。

 そして、数ある階級のなかで、この3月12日(月)に後楽園ホールで行われる「日本ライト・フライ級タイトルマッチ」は、早くもボクシングファンの胸をワクワクさせる”最高の試合”になるはずと評判だ。。

 というのも、チャンピオンの黒田雅之(川崎新田ボクシングジム)が、すでに2回、辛くも防衛こそ果たしたものの、いずれも苦戦。それに比べて、挑戦者の田口良一(ワタナベボクシングジム)は、ここ5戦無敗のうえ、4TKO(KO含む)勝ちと、波に乗っているのだ。

 おまけに、気持ち若干太り気味だが、もろに田口以上に2枚目の石原トレーナーの指示により筋肉改造。”ライトフライ”のイメージもぶっ飛ぶ、無駄な肉を一切そぎ落とした見事な体に。

 内臓をえぐりとる、左のボディアッパーにも一段と磨きがかかった。秘めたままの自信は、口に出さず、ひたむきに、もくもくとベルト奪取に向けての仕上げに突入している。

 同じジムの佐藤洋輝(フライ級)は言う。「すごく順調にきているように見えますよ。気迫が伝わってきますもん。“噛み合う”相手ですしね。獲るんじゃないですかねえ、ベルト」

 

 そんな田口は日本ライト・フライ級1位から、今はWBAの同級14位に。一方、黒田もWBA7位、WBC12位。世界のベルトを狙う位置にきた。ジムのある地元、川崎の支援者たちの意気もあがる。

 なのに、昨年の11月23日、その川崎に建つとどろきアリーナで行われた2度目の防衛戦も初戦に引き続き、支援者たちの肝を冷やす展開になってしまった

 チャンピオン黒田の戦法とクセを研究し尽くした、同級10位の挑戦者・山口隼人(TEAM10COUNTジム)に、1ラウンドからビシビシッと顔面に左右から小気味いいジャブやストレートを叩きこまれた挙句、幾分変則的な山口の戦法に翻弄され、見事なダウンまで喫してしまう

 後半、やっと目が覚めたかのように黒田は自分の距離に持ち込み、キレのいいストレートを連打。しかし,はっきりとしたポイント差をつけられないまま試合が終了。

 リングサイドで、ひっそりと見つめていた田口が口を開いた。

 「どっちが勝ったのか、・・・・わからないなあ」

 黒田、山口、そしてつい先ほどまで声を張り上げていた2人の応援団が、かたずを呑む中、判定は2-1と割れて・・・・・・辛くも、黒田の勝ちに。

 リング上でのインタビュー。

 黒田は、苦笑いを時折浮かべながら「こんな試合をまたしているようじゃ、次の相手に決まっている田口君に勝ちます!!なんて言えません」 控室に戻った黒田は「あのジャブですか? あれは、わざと打たしたんですよ。当初からの作戦です」

 えっ!? 作戦? 危険な賭け? 王者の強がり? プライド?

 紙一重で負けた山口のトレーナーの鳥海純は、控室で山口以上に悔しがった。

 「ベルトに片手どころか、がっちり両手が掛かっていたのになあ・・・・」  彼自身 ?、元チャンピオン。それも、後輩の信望がとても厚かった人だ。いずれ、王者を生み出しそうな気がした。

 一方の田口は、身を引き締めていた。

 「このままの黒田君で、3・12に来るわけが無いと、思っています。いい時の、黒田君を想定して作戦を石原さんと考えますよ」

君 づけ。実は田口、黒田とも、そしてなんと山口とも何回かスパーリングを繰り返している仲。手の内は知っている?  「いえいえ、お互いに1戦ごとに成長しているはずですから」

 苦戦と辛勝。かたやノックダウンにレフェリーストップと”激進”中。周囲や長くボクシングを後楽園ホールで見続けてきているファンの多くは、田口有利とみる。

 「余裕!?そんなもの、元から僕にはありませんから。油断?とんでもない。 僕は挑戦者ですし、強いですよ、チャンピオンは」

 んんんんん・・・・・どこか、自信が漂って見えるのは、気のせいか!?

 あの日、惜しくも負けた山口隼人が、勝敗をこう予想する。

 「負けた俺が言うのも何だけど、田口さんがおそらく勝つでしょうね。スピード、パワー、それにパンチのキレ、テクニック。全てにおいて田口さんがまさってますね。タイミングさえ合えば、KO出来るんじゃないかな」

 最後に、コレを記しておこう。

 この試合のポスターには、目にも鮮やかに、こうクッキリと文字が浮かんでいる。

 <最大の試練到来!!>(黒田雅之)

 <最強挑戦者、初載冠なるか!?>(田口良一)

 第一試合、午後6時開始。テレビ中継は、録画も含めて、無い!!