先場所からの休場明けで、本土俵に戻ってきた、悪童・ダヴァジャルガル。
初日出てきた、彼の体つきを見た視聴者や、九州場所をナマで観に行った人は、誰もが、ビックリしたのではなかろうか!?
(NHK 大相撲中継 九州11月場所 2日目より)
写真だけでも、一見して分かるように、肌のつやが無いばかりか、下っ腹のたるみが、醜い&見難いばかりで、まわしから、ブヨブヨと、はみ出ている。
いかに、まともに稽古をしていなかったかが、如実に分かる体形だ。
体も、一回り、げそっと、肉が削げ落ちた印象を受ける。
土俵入りからして、小さくまとめている。何一つ、目を見張らせるモノや、横綱たる威厳や迫力が、カケラも見られない。
場所前の稽古も、猛稽古とはほど遠く、下位の力士相手に「調整」で済ませて、本場所に出てきた。
今までの蓄積したもので、九州場所は乗り切れると踏み、いざとなりゃあ必殺技を、相手に食らわせりゃいい!
そう思っていたはず!だ。
はず、というのは、早速、昨日の2日目。
相手は、碧山(あおいやま)。
いつものように、片手落ち。
碧山が、立ち合い、キチンと両手、両こぶしを土俵に付けているのに、ダヴァは、相変わらず、右手を付けているだけ。
さあ、両者、立ちあがった!
わずか2日目にして、やっぱり、やりやがった、ダヴァ!
毎度、痛めてもいない右ひじ、右腕に、ぶ厚くサポーターを巻き、いきなり、碧山の左あご、左顔面を狙って、右ひじをぶち当てた!!
かち上げ、押し込んだ!
だが、碧山はソレを予期していたのか、ダヴァの右ひじを押さえ、包むカタチにしたため、威力、痛み、半減。
ダヴァ、今日は効かないと判断。
カラダを引き、突っ張りに作戦を変えた。
だが、まともな相撲を取れない、いや、取らないのが、ダヴァ。
すでに、引き落としで勝負はとっくについている、にも関わらず
このように、碧山のカラダを押しつぶしにかかった。
ダヴァの上半身を思いっきりかぶせ、乗せ、グシャッ!とつぶしに掛かっている。
相手の首、腕、手首、ひじに、あわよくば、この際、恐怖感を与え、ケガもさせておこう、と言う狙いがモロ見え。
勝負はついているのに、土俵の外へ突き飛ばし、批判された手口と同様だ。
こんな鬼畜の如き手口を重ねての、積み上げた1000勝に何ほどの意味があろうか!?
ただただ、くだらない、と言い切れる。
この日は、懸賞金をわしづかみにしたものの、毎度見せる、右から左へおカネの束を振り回す悪行の、品の無い仕草を、一瞬止めた。
その瞬間のカットが、上記掲載のもの。
この男の、「勝ち」「勝利」「白星」にこだわる執念は、異常とも言える。
ダヴァは、しばしばクチにする。
「横綱になったらね、負けは絶対に許されないんですよ」
「負けたらね、常に引退ということがね、つきまとうものなんですよ」
「横綱になったら、次に迎えるのは、引退ということしかない。そう想っています」
その、ある種、「強迫観念」「思い込み」。
それは、ある意味では、分からなくも無い。理解出来なくも無い。
だが、だからといって、どんな汚い手口を使ってでも勝ちゃあ良いってもんじゃない。
鬼畜と思わせる手口を使って、勝ち星を積み上げる。
そのことを、古来、日本人の相撲ファンは、カケラも望んでいない!ましてや、日の下開山たる「横綱」には!
記録には残るが、記憶には残らないという、言い回しがある。
ダヴァの前の、ドルジ。
いかに、相撲ファンに嫌われたか!
知らない訳では、無いだろう。
日本人は、強いだけの「横綱」を望んではいないし、見続けたいとは思っていない。
本名・小畑敏満。そう、横綱の北の湖だ。
強かった。「憎たらしいほど、強かった」とさえ、言われた。
そのコトに、終始、脳裏の片隅で、小畑敏満は悩み続け、引退するまで、クチにこそハッキリ出さなかったが、苦悩し続け、秘かに不満を抱いていた。
綱を張り続けていた晩年、長期にわたって密着取材をしていたので、その想いは痛いほど伝わってきた。
そんな北の湖には、それでも品格があった!
ソレが、ドルジにも、そしてダヴァにも無い。まったく、無い。
例え負け続けても、その品、品格、礼儀さえ保っていれば、相撲ファンは支持する。畏敬の念を持って、横綱を仰ぎ見る。
その、最も大切なコト、横綱たる必須条件が、ダヴァには分かっていない。
ダヴァは、こんな発言までしている。
例の、「猫だまし」を2度まで繰り出して勝った手口。
「アレは、叩かれ、批判もされたけど、むしろ自分としては、よくやった!と、誉めて欲しかったね」
「なんで、みんな、批判するのか、いまだに自分では、分からない」
この「意識」のズレ。越えられない、「深い溝」・・・・・・。
日本外国特派員協会に加盟している、外国人特派員記者の全員が、大相撲の力士を指して、「相撲レスラー」と言った。
意識も、得意な様式を合わせ持った「レスリング」と、とらえている。
さらに言うなら、例の「八百長問題」が勃発した際、特派員記者はまったく問題視していなかった。
「だって、アレは、プロレスでしょ?」と、私に、何人もが、逆に首を傾げて、問いかけてきた。
このズレ・・・・・・。
そんな日本のプロレス草創期に生きた、元力士だった「力道山」が、プロレスをこんな言葉で、生前、評した。
「プロレスってもんはな、勝ちゃあ良いってもんじゃないんだ。その先にある、お客さんに、ワザをどう魅せるか?が、大事なんだ。負けたって、お客さんが、満足してくれりゃ、それはそれで良いんだよ」
この原稿を打っている今、まだ幕内最期の結びの一番の取り組み、ダヴァの勝負は始まっていない。
相手には、これまで9戦全勝しており、おそらく本日、3日目も取りこぼしは無いであろう。
そんな1000勝。汚い手口。本場所中に、2度はやるダヴァ。また、近いうちにやる。
意識のずれ、勘違い、溝は深いまま、喜びの美酒に浸るのであろうか・・・・・・
そういえば、馬鹿でも息子であればなれる歌舞伎界の「悪童」、市川海老蔵と先日、ダヴァは酒を酌み交わしていた。
類は友を呼ぶ・・・・・というところだろうか・・・・・