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<リアル 芸能 ルポ>紙中礼子。この作詞家から、ちょっと目が離せない。「せめて1日戻れたら」も最高

2013-05-31 01:34:58 | 芸能ネタ

 5月22日に、世に出た「優しい女に出会った夜は」。

 山川豊の新曲ということで、先頃書いた。

 その作詞家という、紙中礼子が、文字通り紙の中で、築き上げる世界に、惹きこまれた。

 「名前の無い恋

 この名曲を、是非とも、どなたでもいい。プロで、実績のある方が、歌い継いでいって欲しい。

 ナニか、私の駄文のせいではないだろうが、彼女の名前が、翌日からネット上で、一躍クローズ・アップされてるらしい。

 実力のある作詞家が、正当に評価されることは、このうえなく嬉しい。

 そして、また一篇の詞が、目に停まった。

 「せめて1日戻れたら

 作曲を、歌手でもある五木ひろしが手掛け、すでに、世に出てるようだ。

 こう書いていて、まだ聴いていない。

 その詞が、また素晴らしいのだ。

 むろんと言ったら、彼女に失礼だが、ん? という詞も垣間見られたが、その作品群の中にあって、コレもまた、ほとばしるかのような、熱く,もえたぎるような恋情が、叩きつけられている。

 ときに、ひそやかに・・・・・

 この女性、ただもんじゃない!

 思い込みなどでは無い。

 おそらく、そう遠くないうちに、その才能が、もっと認められることになる・・・ような気がしてならない。

 もう1度、打つ!

 すごいよ、このひと。

 

 

 

 

 

 


<リアル芸能ルポ>歌手であり、ボクシング・ジムのアドバイス特別トレーナー、山川豊という存在

2013-05-29 00:19:00 | スポーツ

Dscf5729 5月6日。ゴールデン・ウイークの最終日。山川豊(写真上。左から2人目)は終日、都内にある体育館にいた。

 人気演歌歌手としては、稼ぎ時の日。だが、そこで、コンサートを開いて、歌ったわけではない。

 山川が、プロボクサーのテストに合格していることは、広く知られている。

 だが、忙しい仕事の合間を縫って、都内にあるボクシングジムに顔を出し、プロボクサーの練習ぶりを、つぶさに見ていることは、知られていない。本当に、良く見ている。

 たまに、ご自宅に電話を入れると、奥様が出て、こう言う。

 「ジムに行ってると思います。先ほど、外出して行きましたから」

 家庭サービスより、優先? それはもう、なかば通勤。下は、デビュー戦前の新人から、上は世界チャンピオンまで、じっくり、見つめる。

 したり顔の言葉など、全くかけない。黙って見て、もくもくと、手伝いながら、的確に短く、言葉を交わし、個々のボクサーの、今の調子をさぐる。

 専任トレーナーとは違うが、その視点は正確、且つ、冷静。余計な感情は、排す。

 この日も、デビュー戦で勝ちはしたが、浮かぬ表情の仁平宗忍に、ズバッと一言。

 「出来は良くなかった。調子も、良くなかったな」

 苦笑いを浮かべ、うなづく仁平。

 かと思えば、世界タイトルマッチのセコンドにも付き、手伝う。ギャラは、むろん無い。

 後半、ポイントを積み重ねて、追い上げたものの、惜敗して重い足取りで去る河野公平(写真左上。左端)に、付き添い、河野の表情を伺い、気持ちを読み取ろうとしていた。

 プロボクサー。実は強打者ほど繊細な心理を抱えている。まさに、光と影と言っていい。

 おそらく、山川豊は、日本の歌手の中で、一番、ソレを良く知っている人だろう。

 私が、彼に聞くことも、ボクシングの事だけ。プロボクサーの、ことだけ。でも、知り合ってから、彼の歌は気にして、良く聴き、出演している歌番組は、ラジオも含め、いつしか留守録画、留守録音するまでになった。

 兄の、鳥羽一郎まで聴き、兄弟共演ともなれば、必ず見聞きする。

 2か月ほど前だったろうか、彼が、初めて自ら、歌のことを切り出した。

 「今度、新曲で、プロボクサーのことを歌うんですよ」

 ええっ、ホントですか? 良いですねえ! 本心から、そう思った。

 他でもない、山川豊が、歌うのだ。濃さが違う。バック・ボーンが、違う。そりゃあ、記事に、したい。

 で、詞は、誰が?

 「グッチ裕三さんです。作曲もです。これが、良い曲なんですよ」

 うわあ~! 盛り下がった! ギュ~ン! ドン! 殆んど、ジェツトコースター心理状態。

・・・・・・・・・・というのも、”自称エンター・テイナー”のグッチが、プロボクシングのこと、プロボクサーのことを、どれほど理解してるのか? はなはだ疑問だった。なにしろ、後楽園ホールで、1度でも、その姿をチラリとも、見かけたことは無い。

 かつて、世評あまりよろしくない企業のイベントに、”営業活動”の一環として、参加し、出演していた。公演後、私の、問いかけには、シカトを決め込んで、去った。

 そんな、グッチが・・・・・・・

 そんなこと、山川には言えぬ。言えませぬ。

 まずは、「新曲」が、世に出てから、と。そう、思っていた。

 で、5月22日。ひょいと芸能記事を閲覧すると、新曲披露も兼ねて記者を呼び、社交ダンスホールで、前日、3年振りに踊った彼の様子の写真が、載っていた。

 新曲の題名 「優しい女に会いたい夜は

 はあ? コレと、ボクサー。せ、せ、接点が見えない。いくら、歌うのは、ボクさ~。そう言われたと、しても。

 で、当人に聞くわけにもいかず、検索してみると、「アーバン ボクサー」なる曲名が、浮上。

 これかあ・・・・・。作詞・作曲 グッチ裕三とある。

 多くを期待せず、詞を読み込むが、何一つ、ピンとこない。確かに「男は、ボクサー。この世は、リング」とあるには、あるが・・・・・・・・・。

 アーバン? ホテルか?と思いつつ、辞書引くと、「都会的な」とある。

 してみると、都会的なボクサー。はあ? ???

 なのに、故郷に、帰りたくても、帰れない、帰らない・・・・・何度、読み込んでも、????

 ありきたりの言葉が、並ぶ。それだけ。

 これに、メロデイをいかに乗っけても、期待は出来ない。井上陽水のように、たぐいまれなるメロディ・メーカーなら、分からないが。

 歌番組は、曲数制限もあり、かつてのヒット曲も歌うとなると、この「アーバン ボクサー」は、多くの人の耳に届くことは、少ないはず。

 やっと、曲が聴けたが、危惧していた通り、メロディが平板。サビ、が無いまま、耳元を、平板に流れていった・・・・・山川には、悪いなあと思いつつ、そう感じた。生意気だけれど・・・・・・・。

 ならば、と思った。

 いずれ、折りを見て、山川自身が、試行錯誤してでも書いたほうが、プロボクサーたちが「分かります」。「俺たちの気持ち、代弁してくれてます!」「ありがとうございます!」と、言ってもらえる、共感詞が、完成しそうだ。

 うまくすると、誰か、コレ! と見込んだプロボクサーが、リング・インするまでの、入場曲になるかもしれない。

 そんな夢まで、勝手に見た。

 さて、新曲の、いわばA面 「優しい女に会いたい夜は」だが、早速ユーチューブで、何度も聴き込み、さらにラジオ番組での、ナマ声で歌ったのも録音して、聴いた。

 当たり前のハナシだが、ナマのほうが良い。1発では、胸にこないが、イカのスルメのように、聴き込むほどに、味わい深く胸に染み込んでくる。良い曲だ。

 詞は?、と見ると、紙中礼子。曲は、花岡優平

 花岡といえば、シンガー ソングライター。名曲と言っていい「愛のままで~」を、作詞・作曲し、あの容姿不端麗な秋元順子に、ヒット街道を一時歩かせた人だ。

 当時、花岡本人も一躍売れっ子になり、電話して、奥さんに近況を聞いたことがある。曲を聴き込んですぐ、連載していた雑誌に書いた。

 「愛のままで~」は、誰が歌っても、大ヒットするはずだ。だから、”あの”秋元でも、ヒットチャートを駆け上がるはず。しかし、2弾目がそれを上回る曲でなければ、秋元は1発屋として、たちまち沈む。冷たいようだが、そうなるだろう。で、アレを上回るインパクトのある曲は、満を持して出した花岡とはいえ、無理と思う。そう断言出来るほど、名曲だ。

 イッチョ前に、そう書いた。生意気にも、自信をもって、そう書いた。

 で、?とクビを傾げた。紙中礼子って、だ~れ?

 検索すると、1発で、その人柄がかなり透けて見えた。

 彼女と、高校で3年1組の同級生が、ブログでアップ。それも、約3年半前の「日本作詞大賞」の模様を中継した番組での、新鋭作詞家・紙中礼子が映る。

 年の頃、30歳台後半から、40歳台か。決して美人とは、言い難い。しかし、すぐ同級生が録画するほど、クラス仲間には、慕われていた証しに他ならない。

 かつての同級生が、紙中が、有名になって、世に出て欲しいと願っているかのように思える。横浜市緑区在住か。本名で、作詞活動か。

 テロップで出た「代表作」を追ってみたが、不明。まさに、4年前時点で、新鋭だったようだ。

 で、作詞大賞に、ノミネートされた曲が、「名前の無い恋」。作曲したのは、花岡優平。そう、この頃から、コンビを組んでいたようだ。

 歌うのは、しのぶ

 しのぶ? 誰? このひと? 見たことあるような、初めてのような・・・・・

 曲を聴いた・・・・・。

 すごい! 1発で、気に入った! 「愛のままで~」を、超えるヒット性、たっぷり!

 聴いてるうちに、涙出てきた。こんな、胸1発で、打ち抜かれる曲を聴いたのは、久しぶりだった。感激! ホントに、感動! KOされた。

 そして、「しのぶ」とは、かつて「音羽しのぶ」という名前で、「しのぶの渡り鳥」とか「おんな上州路」を歌っていたが、心機一転、改名し、この曲を手にしたことも判明した。

 しかし、作詞大賞は、逃した。曲の発売は、4年前の、7月23日。

 売れなかっただけの、埋もれた名曲。そう言っていい。

 その「しのぶ」も、どうやら、”表舞台”からは、姿を消して久しい。

 惜しい! 彼女も、この曲も、消えてしまうには、惜しい!!

 女からの、ストレートな恋心を紙中が詞にし、花岡のあやなすメロディが、その世界をさらに、鮮やかに華開かせている。最高だ。

 この曲をどこかで、山川のスタッフが聴き、気に入り、このコンビで、山川向きの曲を是非作って下さい。そう依頼。

 おそらく、そういう流れと、思う。

 で、思った。リメイクなり、カバーでも、名称は何でもいい。

 この「名前の無い恋」を、歌手・山川豊が歌い継いでいけないものか!

 4年間、芽が出なかった名曲を、山川豊が、開花させて欲しい!

 ユーチューブ上では、男が歌っていた。一見、女の歌手のほうが、と思ったが、これなら、山川豊でも、充分いける。

 先日、留守録したもので見た、「ホテル」

 まだまだ、言葉が硬く、自分のものにしていないままだったが、この「名前の無い恋」なら、「優しい女に会いたい夜は」を、さらに超えるヒットの可能性がある。

 なにしろ、歌唱力は、ある。囁くようにも、歌える。そのうえ、人柄が、素晴らしいひとだ。

 いける! そう、断言出来る。

 おそらく、女子高生・紙中礼子の、3年1組の同級生たちも、喜んでくれるはずだ!

 紅白歌合戦で、「名前の無い恋」の絶唱を、聴きたい!

 まずは、試しに、歌番組で、お披露目を!

 

 山川豊なら、可能だ。出来るはずだ。そう信じている!

 


仕事帰りの、夕暮れに、フト想う。「自分は、一体、誰の為に、こんなに身を粉にしてまで働いているのだろう

2013-05-22 00:20:00 | ニュース

 大都会、新宿。週末の、午後7時。小田急線ホーム。

 早くも、乗降客で、ひしめきあう電車の中。

Dscf5762 東京、都外への各都市どころか、遠く神奈川県まで延びる郊外行き急行。乗客が、並んだまま、どっと、我先にと、争うように乗り込んでゆく。

 こちらは、上記の演劇を見るために乗る。

 ふと、シルバーシートに目をやった。

 疲れ切ったように、その身を深く席に沈めている男、3人が見えた。

 いずれも、年齢は50~60歳台か。地味なグレーの背広を着こみ、ネクタイをゆるめることも無く、うずくまるかのように、じっと身じろぎひとつせずに、座っていた。

 もう、そのうちの2人は、発車前にもかかわらず、目を つむっている。

 残る1人は、新聞を小さく畳み、読み始めていた。

 仕事の一区切りがつく、週末の夜というのに、同僚や後輩と、酒を酌み交わすことも無く、 ひたすらまっすぐ我が家へ帰る、か。ソコに、待つのは、シアワセなのだろうか・・・・・

 想いを巡らした。

 おそらく、地方から、かつて上京。1970年代の安保闘争、学生運動の風が吹き荒れるなか、大学や会社へと通い、やがて、帰郷することなく、都会を選択。

 バブルは、もの見事に泡と消え、固定定年制も崩れ果てた。

 そんな激しく変動する”厳実”のなかに、その身を浸し、ひたすら働いてきた。もしかすると、倒産に、遭遇したかもしれない。はたまた、海外赴任、わびしき国内単身赴任、再就職、苦闘の日々・・・・・・・・・。

 苦労したよ、とクチに出さずとも、さまざまなことを経験してきた年代。

 それらの片鱗が、落ち込んだ両肩と、しわに滲む。

 お父さん  そうまでして、都会にしがみついて頑張ってきたのは、妻のためですか?

 「あなた」と、優しい声で囁いてくれた女が、ある日を境に、「あんた」。

 呼び方が冷たく変わっていった・・・・・・。 妻と呼ぶオンナのためですか?

 「な」が、「ん」に、たった1文字変わっただけなのに、その溝は、とてつもなく深く、大きいことを、日々、痛感していったはずです。

 それでも、頑張り続けられたのは、産まれ、育てた子供のためですか? その子たちは、「お父さん」、あなたの希望通りに、育ってくれていますか?

 いやはや・・・・・

 すぐ目の前では、10代の若ならぬ、馬鹿者が、ギャルと、スマホを手に、いちゃついていた。近くに吊り革を手に立つ、やはり疲れた顔を垣間見せる60代のお父さんは、そんな2人を、眉をひそめて睨んでおります。馬鹿者は、ギャルの腰に片手を回して、「憑かれたように」撫でまわしている・・・・。

 我が子を見て、こんなはずじゃあ! こんな子に育てた覚えは無い・・・・と、想う日々があったんじゃ、ありませんか? かつて、あなた自身が、両親に言われたような・・・・・。

 こんな、笑えぬ実話が、実はあります

 舞伎町に「ファッション・ヘルス」全盛だった頃。

 ある夜のこと。、お父さん、帰宅する前に、ひょいと”抜きたくて”、たまたま、玉玉、ちん入したお店。

 小部屋に、案内され、ココロときめかせて、ウキウキ気分で、待つこと数分。

 半裸のヘルス嬢が、入ってきた。

 ん!? 「いらっしゃいませ」 両手をついて、上げた顔に、見覚えがあった。

 「お、お、お前! こんな、トコで!!」

 驚いた娘。開き直り、キッとなって、言った。

 「こんなトコ?  じゃ、こんなトコに来たお父さんは、何なのよお!」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 話しを、戻します。

 老いゆく、ボケゆく、父母の面倒は、どうしていますか? 同居してますか? ふるさとに置いたままですか? もう、この世を去ってしまっていますか?

 「施設」に、放り込みました? それとも、病に伏せっておりますか?

 そして、「家」を建てたようですね。

 買ったにせよ、長期ローンが、お父さんの頑張りに、拍車を掛けたようですね。

 「家族」のため。はたまた、「家を守る」ためを、理由に置き換えて、歩を進めてきた日々。

 ふと、思ったのです。

 それは、「あなた自身のため」でしたか?

 あなた自身が、芯から、真から、望んだことでしたか?

 やがて、くつろぐリビング・ルームでの、ひととき。

 それは、お父さんが、まっすぐ帰るに値する空間ですか?・・・・・

 ここまで、それなりにではあっても、必死で歩んできた人生のゴール手前が、コレかよ!?

 そう、思った瞬間は、ありませんでしたか?

 それでも、疲れた体を癒しに、まっすぐ、遠くにある「我が家」へ、帰るのですね。どこかで、「折り合い」付けて。どこかで、自分を、ごまかして・・・・

 あっ! もう、下北沢だ。

 降りながら、心で、呼びかけた。

 「頑張れよ、世の多くのお父さん!」

 「便利さ?」とは、裏腹に、「人」を置き捨てた、新装中の「下北沢駅」。その、迷路をやっと抜けて、「ザ・スズナリ」へと急ぐ。

 もし、今”三陸沖大地震”が駅構内で起きたら、とんでもない人数が、間違いなく、命を亡くすなと、思いつつ。

 

 観客は、”鈴なり”とはいかないまでも、9割はすでに、埋まっていた。さすが、寝強い人気の「離風霊船」(りぶれせん)。

 係員と前説をこなし、「子供D」として出演もこなす、変わらず太ったままの柳一至が、力説する。

 「もし、地震が観劇中に起こりましたら、我々係員の誘導に従って下さい」

 確かに、ここは駅よりは安全だ。命を亡くす可能性は、少ない。

 そして、柳は、こうも言った。

 「笑えるところがあったら、笑って下さい。よろしく、お願いします」

 舞台に、組み立てられたセットは、カーペットが敷き詰められた、どこかの家の茶の間か、リビング・ルーム。

 暗転したとたん、そこは一転、ギューギュー詰めの、通勤満員電車の中。耐えながら必死に吊り革に掴まっている、主人公の、オトーサン1(松戸俊二)。

 隣りの熟女OL。くまどり目メイクで、松戸をギロリと睨むのは、アレレ? 伊東由美子じゃなかろうか。出だし、快調! さりげなく、客を驚かす。

 伊東は、後で、昭和30年代にいた母として、コロリと姿変えて出てくる、千変万化ぶり。

 また暗転するや、オトーサン1が、自宅に帰り、妻子とともに、くつろぐ場へと変わる。

 ひとり娘が、スイミング・クラブへと通い出したことを妻から知らされ、「オリンピックに出るのか?」と早合点し、 「きっと、もう、(2020年の)東京は無理だぞ!」

 セリフが、ウケない! 笑いが無い!

 やがて、以前紹介記事でも書いたように、オトーサン2、オトーサン3、そして、オトーサン4が、次々と帰宅。

 2が「施設」から引き連れてきた祖母まで加わり、さながら、ドタバタ。誰が誰やら、本当のオトーサンは、誰なのか?

 「3Pですかあ?」

 もう、ウケない・・・・・

 笑いが客席から、殆んど巻き起こらない。そうか、これが、柳が言ってたことか・・・。

 別に、客演でオトーサンを演じる2人も、ヘタなわけじゃない。それなりのレベルには、達している。

 ただ、「離風霊船」だけに、この4人のオトーサンの背後に潜むモノ、作・演出の大橋泰彦が、「2013年版」で言いたいメッセージは、何なのか!? 

 それを、観客は、目を大きく見開き、耳をダンボにして、じっと見つめ、探っている。だから、笑いが巻き起こらない。

 やがて、舞台は暗転!

 昭和39年10月10日、東京オリンピックの開会式の時の、胸高鳴るファンファーレが暗闇から聞こえると同時に、たった10秒足らずで、セットは、すべて変わる。

 あの「3丁目の夕日」が描かれた時代へ、一気に変わる! 初めて見る客は、度肝を抜かれるはずだ。

 えっ? 一体全体、どのようにして変えた!? この短時間に。

 それは、これを見た方、帰りに劇団員の誰かに、聞いてみて下さい。教えてくれるはずです。

 それだけでも、この芝居を楽しめる価値は、2000円分はある。そして、物語は「核」へと、なだれ込んでいく。

 舞台は,まさに「一転」。かつて、自分の少年時代に登った家の屋根に立つ、3人のオトーサンたち。遅れて、後で 1が、来る。

 セットに、傘付きの、裸電球が1個あると、もっと良い。

 それぞれが、少年時代の想いと、いま思うココロを吐き出してゆく。

 「もっと別の生き方がないか? とか、思ったことないのか?」

 「日本中、みんな貧乏だった」

 「勝手きままな夢が、一杯あった」

 貧しかったけど、おじいちゃん、おばあちゃんと、一緒に暮らしていけた。あの頃は・・・・・。

 「みんなで、大きな家で、暮らしていけるんだよね?」

 そう想っていた。夢だった・・・・・

 少し、理屈めいたセリフが並ぶ時もあるが、”ある世代”には、胸に響く。

 

 人間が合わせ持つ、それぞれの性格。

 彼らは幼い頃夢見ていた「家族」って、はたして今自分が抱える家族と同じか? 家庭か? 思い出を、つむぎだしてゆく。

 はっ! と、ダブル。あの、電車のなかの、我が家へと急ぐお父さんたちのココロの中に、抱えてるであろうモノに・・・・・・・・・。

 芝居なんか、見たことも無い。あのお父さんたちにこそ、これを是非! 是非!!見て欲しい。そういう想いが、胸にググッと、込み上げてきた。

 見て、明日の朝から、何も自分のココロが変わらないかもしれない。でも、どこかで共鳴するはずだ。

 かつて、見覚えのある、家並み。路地。ひもでつなげる、電車ごっこ。母のエプロン。サンダル。路地のあちこちに、照り映える夕陽。

 夕方ともなると、あちこちから「もう、帰ってきなさ~い! ご飯だよ~!」と、呼びかける母たちの声が、本当に、必ず聞こえたものだ。

 映画版「三丁目の夕日」は、しょせんCG。こちらは、舞台で、劇団員総出で、キンコンカンコン打ちまくって、ぶ厚い板に血肉が通っている。本当に、血が打ち間違って、板に飛んだかもしれない。

 その板が!・・・・・

 ひょいと、気まぐれにでもいいから、下北沢で下車して、のぞいて見て欲しい。御代は、3800円。気の合う仲間と、一杯飲み交わす末の、割り勘料金と、ほぼ同じ。気楽な気分で、お薦めしたい。

 ん! セットが、また、ささやかなリビングルームへと、早変わり!

 オトーサンだけでなく、オカーサンや、オバーチャンや、娘まで、どこか、自我を捨て、どこかで折り合いをつけて、「家族」が成立しているという、背中がヒヤリとするシーンで、終幕を迎える。

 う~ん、大橋泰彦。小説と違い、深い! 余韻までも。

 22日(水曜日)まで、毎夜7時半、開演。上演時間、1時間半だ。形骸化した、家族団らんには、間に合わないが、何かココロに、深く響くはずです、お父さん!

 Dscf5767 帰り道。まだまだ、お父さんたちを含め、家路につこうと言う人たちで、日本一の乗降客を誇るマンモス・ステーションは、ひしめきあっていた。

 3・11以降、より一層、人々は「絆」を、クチにする。

 そして、走り込む電車に向かって、その身を、ふるさとに続く線路に投げるヒトも、増え続けている・・・・・・

 この3月、4月は、例月に較べ、特に多かった。

 頑張れ、まだ頑張れ、お父さん!

 

 頑張れ、耐えて頑張れ、被災地の人!


 

 

 

 

 

 

 


<リアル 大相撲夏場所 ルポ>明日6日目になっても、悪しき根本問題には「手付かず!」のままか! 

2013-05-16 21:07:00 | スポーツ

Dscf2877 八百長が発覚することもなく、無事に「春場所」が終わり、この5月12日から「夏場所」が始まった。

 また、大量の力士が、八百長の証拠隠滅のために、携帯電話つぶしをすることも、なく、。

 しかし、明らかな、「不正」が今も,堂々と大手を振って、まかり通っていることを、ご存じだろうか。

 本場所の「立ち合い」だ。

 行司が、「両手ついて!」と、必ず両力士に、声を掛け、注意を促しているにも関わらず、無視!

 昨年から、そのデタラメさが、気になり始めていた

 上に載せたのは、日本相撲協会の、ホームページにある、正しい仕切りとして、載っているイラスト。仕切りの延長上にある、「立ち合い」

 イラストのように、キチンと両手の拳を土俵に付けてから、立ちあがるのが正しい。

 ところが、横綱・白鵬以下、立ち合いをキチンと行っている力士は、皆無に等しいことが、分かった。

 今の力士の立ち会いたるや、勢いを付けてたち上がるため、スピードが速く、そのままの画像では、両手をキチンと土俵に付けた後、立ちあがっているかどうか、分かりにくい。

 そんな立ち合いを絶賛した、親方や、解説者までいる。

 そのため、ここ数年分の、本場所を録画したものや、「大相撲 幕内の全取組」など、いわば大相撲ダイジェストをつぶさに、見た。

 それだけじゃない。NHK-BSの、序二段や、三段目が土俵に上がる取り組みも録画しておき、一番一番、スローモーションや、コマ送りにして、チェック。

 中には、数少ないが、キチンと正しい立ち合いをしている力士も、いた。そちらの方に、驚き、その力士のしこ名を大きく書いてやろうか? と思い、次の場所を見ると、片手付きだったりして、ガックリきたこともあった。

 おそらく、いくら何でも、力士を育成する「相撲教習所」では、手なんぞ付かなくてもいい、などという教えはしていないはずだ。

 それが、「待った」の多さが目立つと、注意はされても、立ち合いの不正や、デタラメさでは、注意もしない。あれほど、行司が軍配を手に、口酸っぱく注意してるという のに・・・。

 かつて、有名行司にロング・インタビューしたことがある。むろん、人気力士にも取材・インタビューしたこともあり、稽古場はもちろん、大阪など、地方場所にも足を運んだ。地方の「花相撲」も、数多く見たが、「引退相撲」と同じく、アレはガチンコとは程遠く、無理してまで見る価値は無い。

 そんななか、立行司以下、行司の持つチカラは、驚くほど非力だということも、知った。.

 皮肉を込めて言うなら、土俵を見つめる元力士も、解説をしている元力士も、そのデタラメな立ち合いを、注意できない。

 なにしろ、自分たちもデタラメを、いつもしてきたから。

 というのも、過去の力士の取り組みも、コマ送りしてチェックしまくった。

 キチンと正しく両手の拳を付いていたのは、双葉山までさかのぼらなければならなかった。

 栃錦も若乃花も、大鵬も、柏戸も、北の湖も、若貴兄弟も、ドルジも、すべて両手付かず!

 ウソだと思う人は、同じ作業をしてみれば分かる。

 あきれてしまう。

 たかが、立ち合いというなかれ。相撲を神事というのなら、神を冒涜してるのだから。

 「日本相撲連盟」というところが、ある。相撲をやった人ならわかるだろうが、ちびっこ相撲や、ワンパク相撲から始まって、大学選手権、アマチュア相撲に至るまで、それを統括する団体組織だ。

 そこへ、聴いた。

 「そうですね。キチンと両手を付いてから、立ち上がって戦うというのが、基本です」

 --大相撲、ご覧になったこと、ありますよね?

 「ええ、まあ」

 --あのように、両手をキチンと土俵につかず、デタラメな立ち合いをしてたら、どう、行司さんは、判断されるのですか?

 「止めます。もう1度、キチンと、とり直しさせます」

 ーーそれでも、かまわず、デタラメを強行する力士は?

 「いませんねえ。記憶には無いですね。まず、2度目は、しません。それで、失格になったのは、少し、詳しく、調べて見なければわかりませんが」

 アマチュアが、神事にのっとって正しく行ない、プロは、デタラメ!

 ある力士は、片手だけチョン付き。またある力士は、片手を付いて、もう片手は、擦るようにすくい上げる。

 またある力士は片手だけ擦る。もう片手は、ぶらぶら。

 両手を付くこともせず、じりじりと相手力士を待たせるなど、姑息な策略を弄する力士も多い。下位の力士にも多く、デタラメが蔓延していることが、判明した。

 そばで、「両手付いて」と行司が言ってるにも関わらず。

 まったく両手を宙に浮かしたままの、とんでもない野郎もいた。それが、なんとアマチュア横綱や、学生横綱の看板を背負って、角界入りした、今、幕下の力士。

 つい最近まで、キチンと正しい立ち合いをしていたはずなのに、こうまで変わるか? と、怒りさえ湧いた。

 白鵬などは、正しい立ち合いをしている、子供の相撲大会を、支援しているのだから、どこか、おかしい。

 分かりやすく、例えて言えば、100メートル競走の、スターティング・ポーズは決まっている。それを守らずに、テキトーに走り出すのに、似ている。

 今は、1度でもフライングしたら、出場停止だ。

 同じ条件と、姿勢で始めるから、「スポーツ」なのだ。

 だから、大相撲で、両手をキチンと付かないで立ったら、イエローカードを出し、2度やったら「負け」にすれば良い。すべての行司に、その即断をさせるべきだろう。

 自分たちは、理事長以下、デタラメをやってきたが、ここで正しい立ち合いを施行していかなければ、永遠にデタラメが、続くことになる。

 日本相撲協会の理事会は、月に1回、定例に開かれている。理事は、みんな元力士。頑なに外部は入れないという、閉鎖性は、強固な体質だ。

 広報担当に、聞いた。

 ―――今まで、「立ち合い」不正と正常化が、議題に上ったことは、ありますか?

 「さあ、記憶にはまったくありませんね」

 --いまの力士の「立ち合い」は、正しくない。デタラメですよね?

 「そういうご意見や見方があるということは、聴いてはおきます」

 ーー今後、議題に上る可能性は?

 「無いと思いますが」

 今日もまた、、決して正しくは「国技」でも何でもない格闘技が、客を集めて開かれる。

 ちなみに、八百長問題が騒がれた時、日本に駐在している、外国人特派員たちは、いきり立つ日本人記者を見て、不思議そうな眼差しを向けていた。

 なんで? と、逆に、不思議に思い、聴きまくった。

 彼らは、軒並み、こう答えた。

 「私たちは、大相撲をスポーツとして見たことは、ただの1度もない。あれは、様式美を客に見せる、いわば裸の歌舞伎みたいなもの。力士じゃなく、スモー・レスラー。言い換えれば、プロレスだよ」

 不正、デタラメな「立ち合い」が、横行したまま、今日も続く。

 何のペナルティーも、課すこと無く。

 これが「国技」と、まだ強弁するのなら、日本人として、恥ずかしい

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 この問題は、読者に大きな関心を抱いて戴いたようで、アクセス数も多かった。

 書いた者の責任として、深夜、人々が寝静まった頃に放送される「大相撲 幕内の全取組」や、BSの幕下からの取り組みも、録画して、翌日、「立ち合い」のところを、チェックしている。

 気持ち、少~し、両手を付いてから、立ち上がる力士が、増えている・・・・・・ような気もしないでもないが、”手綱(たづな)”を緩めることなく、見つめていきたい。

 明日は、6日目。

 まだまだ、この問題は根深く、文字通り”手付かず”のままだ。

 国技館へ見に行かれた方々の中から、「両手、付いてないぞお!」 「取り直し!」などの、声援が飛ぶ日を、秘かに望んでいます

 

 

 

 


 おすすめ!劇団「離風霊船」の「マインド 2013」は、下北沢 ザ・スズナリで5月16日より開幕

2013-05-15 12:05:00 | 芸能ネタ

 芝居・演劇なんて、見たことないもん! 

 そう明言する人にこそ、この「離風霊船」(りぶれせん)の芝居を、1度見て欲しい。そういう思いを込めて、今、これを打っている。

 この「離風霊船」も含まれる、俗に言う「小劇団」というくくりでとらえられている劇団。

 その数は、関東を中心に、全国各地に無数にある。そして大半は、立ち上げて、初公演をやっと行なえたものの、瞬く間に消え、また再結成しては、泡の如く消えてゆく。チラシは立派な出来なのに、あらすじの片鱗すら、書かれていない。

 なかには「プロデュース公演」と銘打って、公演のたびに離合集散を繰り返して、”自分たちがやりたい芝居””見せたい演技”を照れもせず、してしまう。

 しかし、残念ながらソレの多くは、”観客が見たい芝居”ではない。見る価値の無い芝居も、多い。

 その差は、とてつもなく大きい。そして、その溝は、とても深い。

 脚本と演出力は、ドシロ~トに近い。演ずる役者もどきの演技力たるや、アイドル歌手やグループのきゃ~きゃ~~ワイワイ演技か、はたまた小学校の学芸会程度。   

 それで、決して安くない入場料を見知らぬ一般客からいただこうと言うのだから、そりゃ、もう・・・・

 見に来てくれるのは、親兄弟、友人知人。課せられたノルマのために、頭を下げて買ってもらった知り合い。それだけ。抱える赤字。

 そんな現実と”厳状”を、嫌というほど見てきた。カネも、捨てた。時間も、無駄にした。

 しかし、上手いなあと、うならせる役者も、時折り目に止まった。この脚本と、演出力は、かなりイケル!というものも。

 客を楽しませながら、且つ、主張や、作り手の想いも”合わせ技”で、押し付けがましくなく、さりげなく伝えている、匂わせているじゃないかと。

 その、折り合いのつけかたが、実はとても、難しい。作・演出家に力量が乏しくては無理。さらに役者には、どんな役にも、「いるいる、こんな人」と思わせ、キチンとリアリティを背景に滲ませながら、とっぴとも思える、千変万化の演技力も、必要だ。

 観客の想像を超える展開と、演技力があれば、なおいい。

 加えて、近年流行りの、劇中に突如として繰り出す、歌と踊りのミュージカル部分。芝居のメリハリも付け、起承転結、暗転代わりにも、なる。

 舞台が、アッ! と驚くほど、文字通り、「どんでん返し」になりゃ、もっと良い。

 そんな厳しい目を満たす劇団が、いくつか目についた。

 その中の筆頭に挙げて良いのが、この「離風霊船」だった。

 当て字の、劇団名の由来などは、以前書いたことがあるので、はぶく。結成して、今年で31年。当時、大学生だった大橋泰彦と、伊東由美子が立ち上げ、それに賛同した、うら若き役者の卵たちが、この「船」に乗り込んだ。

 世間と、移り変わる時代の荒波を右に左にかぶりながらも、1度も転覆することなく、2013年の皮きりとなる、この公演を迎えた。

 他の多くの劇団のように、沈没、浸水することもなかった。それどころか、少しづつ着実に観客動員を伸ばし続けた。今は、平日夜の公演でも、8割は入る。

 その間に、大橋泰彦は、演劇界の芥川賞とも呼ばれる「岸田戯曲賞」を受賞。乞われて、他の劇団に、脚本も書いてきた。

 かたや、伊東由美子は、どんな役でもこなせる上手さと、その人柄に惹かれた、さまざまな劇団に頼まれ、客演をこなしてきた。それも、妻として、子育てをこなしながら。

 その一方で、2人は、「離風霊船」の、作・演出をこなし、他に貸し出せる広い稽古場すら、所有。

 他の、ベテラン劇団員も、長くアルバイトをしながら、自分の基盤の生活費を維持して、公演毎にその身を没入してきた。

 もう、テレビや映画、どれに出ても、脇役はもちろん、主役を喰う演技力を持ってる人ばかり。以前も書いたが、テレビや映画の、キャスティング担当のプロデューサーには、是非とも足を運んで戴いて、このキラ星の如く輝く役者陣を見て欲しいと、切に思う。

 「ウチの劇団員って、自分から売り込みとか、積極的にしないもので・・・」と、劇団の制作担当の金庫番を、一手に引き受けてきた、落合直子は、苦笑する。

 その落合は、かつては、ごくフツーのOLをしていた。伊東の親友の、単なる客の1人として、観劇し、時に感激していた。

 「それが、ついついお手伝いを頼まれ、週末をつぶしてやってるうちに・・・」と、落合。

 「そのうち、仕事を辞めて、もうこっちをやらざるを得ないようになってしまって」と、苦笑いする。

 多くは語らないが、その後の苦労は、並大抵のものではなかったはずだ。

 さて、「前説」が、いささか長すぎた。この公演「マインド 2013」は、24年前に初演されたもの。その後、好評を得て、何度か再演され、今回はなんと17年振りの再演になるとのこと。

 そのためもあって、「2013」が、題名に付いている。

 

 実は、私、この「マインド」を1度も、見ていない。

 それでいて、面白い、おすすめ、そう書けるのかよ!? と、突っ込みを入れられそうだが、今まで「離風霊船」の出来に、裏切られたことが無いから。

 だから、面白いだろうし、おすすめ出来る。

 作・演出は、先の大橋泰彦。

 舞台は、2013年、平成25年の今。

Dscf5007 一見すると、温かく食卓を囲む平穏で幸せな家族(写真・上)に、見えなくもない。

 この写真は、この公演に向けての「稽古場レポート」の中の写真を転用させて戴いたものだ。

 写真手前で、「父親」のハナシを聞かないで、ケータイのメールに夢中な者もいるのは、いかにも現代の家族らしい。

 実は、この物語。写真奥に位置する4人もの父親が、次々と登場し、家族を大混乱に陥らせることから始まる。

 4人? そう、4人!

 といっても、つい先日、「戒名なんて、いらないよ。散骨して」と言い残して、この世に別れを告げた俳優・三國連太郎のように、4人の妻に、かつて若き19歳の愛人・太地喜和子までいた快優の、逆のお話しが展開される訳では無い。

 ちなみに、太地がぞっこん惚れ込んだのは、三國の絶世の代表作「飢餓海峡」で、彼の演じた男に死してもホレた役を演じた左幸子に、何としてでも勝ちたい! アレを超えたい! と、激情に突き動かされての果ての「妻」役だったように思う。

 それほど、左幸子の演技は、素晴らしかった!

 事実、生前、出自すら隠した太地は、妖艶な笑みを浮かべながら、私にこう言っていた。

 「左さんが演じ切ったあの役に、私はず~っと嫉妬していたのよねえ・・・・」

 まだ、10代で、だ。

 さて、話しを「マインド 2013」に、戻す。

 ある日のコト。妻と娘が待つ家庭に、父が仕事を終えて、帰宅する。しかし、いつもと、どことなく様子が、違っていた。

 そこに、祖母を連れて、2人目の父が帰宅する。その父たるや、善良そのもの。献金や募金をよくしているようだ。

 にしても、父が2人? 妻は、不倫も偽装結婚もしているフシはない。

 最初の父は、優柔「不断」。「普段」からそうなのか、2人目に「お前、誰だ!? 出てけ!」とも言えない。

 そんなこんなの真っ只中、今度は3人目の父が来る。その父は、食べ物を一杯抱えて帰って来た。パパパパっと、一体、どこから持ってきた? 食べたいとなると、欲望のままに突っ走る父。

 それで、父騒動は、納まらなかった。

 4人目の、父が登場する。それも「銀行に寄って、カネを要求してきた!」と、平然と語る。醜悪なまでに、あくどく、それを悪事とも思わない。

 そんな4人もの父を目の前にして、とまどう妻、娘、そして祖母。

 しかし、どの父も、家族への愛情は、持っていた。

 困り果てる女たちを前に、4人もの父親たちは、家を出て、幼い頃の想い出が残っている、自宅の屋根に上り、語らう。

 決してそこで、刃物を警察相手に振り回したり、同棲相手とともに逮捕されたりはしない。

 屋根に上って見えたのは、最近 の事件じゃなく、今から39年も前の、母と自分が幼い少年の頃の、幻影だった。

 当時は、東京オリンピックが開催され、それに合わせて、突貫工事で、新幹線も開通。日本経済が、高度成長目指した。

 しかし、今の「アベノミクス」のような”言葉遊び”の如く、幻の経済成長に踊らされ、騙されて、国民が錯覚した、最初の時でもあった。

 そんな頃の、母との想い出話しで盛り上がる、かつて少年だった父たち。しかし、1人だけ「そんな記憶は、ない」と言い出す。

 ????????

 他の3人は、その男に言う。

 「あの頃、あなたは、いなかった」と。

 そして、4人の男たちは、「ある決意」をする・・・・・・・・。

 「父」に扮するのは、松戸俊二江頭一晃ら、いずれも、そこいら辺の役者がひれ伏す、演技力の確かな役者ばかり。

 それにしても、一見ありとあらゆる人格に妥当する父親たちだが、実は1人の人間の誰しもが内包している、どうしようもない部分では、ないのか?

 例えば、自分の本能のままなら、学生なら学校へ行きたくない。会社員なら、休みたい。楽して、寝て居たい、遊びたいと思う。

 しかし、誰しもが、そ~ゆう自分を押し殺して、どこかガマンしている。だから、社会生活が成り立っている。だが、そのタガが全部はずれ、はじけ飛んだら!?

 性格、精神、人格、マインド、分裂、そして本能・・・・・。

 大橋は、初演の時、猛烈な企業戦士であった父親が、通勤時に満員電車の中で足を踏まれたことをキッカケにして、人格が分裂するという物語を書いたのだ、という。

 今回は、それを4人の芸達者な男たちが、コメディタッチで笑わせながら演じ、時がたつほどに、次第に人間の心の奥に迫り、その本質をさらけ出してゆく。

 そんな傑作になりそうだ。見終えて、家路を急ぎながら、フト、ドキリ! とするような・・・・・・。そんな作品が、大橋には多い。

 かつて、公演後、大橋に聞いたことがある。

 --今回の作品の、作り手の大橋さんとしての狙いは?

 大橋は、少し突き放すように、さらりと言った。

 「それは、作者としての想いは当然ありますが、観客に対して、コレコレ、こうですよとは、言うべきでは無いと思っております。観客1人1人が、それぞれ受け止める見方があるでしょう? それで、いいんじゃないかと思っております」

 んんん・・・・・・・・

 今公演には、川崎蘭子小暮紗織秋月愛という若い女性3人が、日替わりで、同じ役を演じるとか。

Dscf5009 そんな客演女優(写真左の右側)を、じっと見つめる、バカボンのパパ(写真・左側。稽古場レポートより、転用)。

 では、ありません。何を隠そう。この方、女性。んでもって、華麗なる熟女。額にトレードマークとも言うべき、オレンジ色のタオルで、ねじり鉢巻きしておりますが、この人こそ、伊東由美子! 百戦錬磨の、舞台女優! 1億人が、知らなきゃいけない、上手い女優!

 文字通り「優」しい「女」! 人間としても、誰にも好かれる、良い人。で、無類の酒好き。

 だけど、ねっ、彼女には失礼だけど、ぷっと、吹き出してしまいそうでしょ?

 そのギャップが、この女優の魅力!

 どんな役で登場するか!? は、お楽しみとしておきましょう。

 こんな俳優たちが出る「マインド 2013」は、表題の通り、東京の芝居のメッカ、下北沢の芝居小屋「ザ・スズナリ」で、来たる5月16日(木)~22日(水)までの7日間にわたって行われる。

 開演時間は、平日は、午後7時半。 18日の土曜は、午後3時と午後7時。19日の日曜日は、午後3時のみ。

 

 開場は、開演時刻の30分前です。

 

 料金は、指定席 3800円(前売り・当日共 同じ)。 自由席(ベンチシート)は、3500円(前売り・当日共 同じ。劇団扱いのみ)

 

 学生割引もあって、自由席3000円(前売り・当日共 同じ。劇団扱いのみ)

 

 チケットの取り扱いは、電子チケットぴあ、イープラス、「ザ・スズナリ」で扱っているとのこと。

 

 予約・問い合わせは、劇団離風霊船事務所まで。ホームページを開けば、わかるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>5月6日の世界ダブル防衛戦。その採点、ジャッジ、レフェリーの判断に???

2013-05-13 18:50:44 | スポーツ

 ひょっとして、5月の連休と、その前後にひしめいた世界タイトルマッチでも、ある人によっては、その裁定と結果に、疑問・疑義・不思議さ・・・・を感じた人もいるかも知れない。

 私は、表題に挙げた5月6日の、河野公平と、内山高志のダブル世界戦について、自ら取材を重ね、試合開始前に、その「展望」として、駄文も打った。

 で、結果だけを見るのなら、ほぼその通りになった。そこに、異議はない。

 だが、試合後に戴いた「スコア・シート」をラウンド毎に、詳細に追っていって、驚いてしまった!

 確かに、ボクシング競技は、相手をKOして、倒し切らないと、ジャッジ3人の裁定によって、結果は左右されがちなことは、すでに、知っている。

 加えて、裁定にこそ加わらないが、レフェリーの試合さばきによって、試合の流れと、印象が変わってゆく可能性があることも、幾多の経験で、知ってもいる。

 さらに、「WBA世界戦ルール」として、「10ポイント マストシステム」なるものが、採用されていることも。

 ボクシングに、真に詳しい人は、すでにご存じだろうが、10ポイントを最高点にして、どのラウンドでも、ポイント差を、最低1ポイントは付けるようにしなさい。そのほうが、望ましい、とのシステムだ。

 日本ボクシング・コミッションによれば、「よく、誤解されて受け止められがちですが、決して強制では、ありません」とのこと。

 そういうことに、なっている。う~ん・・・・・びみょ~・・・・・・・

 しかし、観客の目線からすれば、例えば、このラウンドは、双方頑張っていて、とりたてて差が無いラウンドだなあ。どっち付かずだよ。

 また、どちらも、相手の出方の様子見で、手数や、有効打も少ないまま終わったラウンドだなあ。

 双方、打ち合った末に、スタミナが切れかかって、両選手の小休止ラウンド。

 そんなラウンドにおいても、どちらかに10.片方に、9。ないし、それ以下を付けた方が良い。そういう、採点記入システムなのだ。

 これは、WBAだけでは、ない。 WBCも、同様だ。この4月から、日本も加盟することにした、WBO、ならびにIBFも、同様だという。

 この採点システムは、5~6年前からとのこと。

 なんと、意識したこともなかったが、C級からA級までの、日本のタイトルマッチを頂点とする試合。そして、東洋・太平洋(OPBF)タイトルマッチを頂点とする、東洋全域の試合にも、適用されているのだと、いう。

 つまり、我々が目にする全ての試合が、「10ポイント マストシステム」で、採点されている、ということになっている。

 たまに、拝見出来る機会がある「スコア シート」で、「10-10」が記入されているのを見かけていたので、我が国では、上記のように誰しもが思うラウンドでは、キチンと、一般人のボクシング・ファンの感覚がスコアに反映されてる、とばかりに想い込んでいた。あちゃ~!

 ジャッジが、内心、どちらかなあ?  どっちとも差をつけがたいなあ?

 そう迷っていても、ラウンドが終わった途端、レフェリーがすかさず、ジャッジ・ペーパーを3人から、収集してゆく。急いで、片方に10、もう片方に9を、書き込むように、勧めている。

 とりわけ、世界タイトルマッチでは、それが顕著に推進されている。

 それが、積算した結果、思わぬ点差となって、開いていく。チリも積もれば、山となるではないが、書き込んだ当人が、驚くかも知れないほどに・・・・・・・

 その積算”恩恵”に、日本人プロボクサーとして、最大に受けているのは、亀田興毅ではなかろうか。

 全員とまでは、言わないが、彼の試合を会場並びにテレビで見た観客の殆んどが、試合を通して見て、興毅が判定負けとの、感想を持った。

 なにより、興毅の試合後の、不安そうな表情を見れば、誰しもが、それがよく解る。

 それでも、彼のひいきや、熱烈なファンならば、良くて引き分け(ドロー)で、何とか辛くも防衛かな? との試合が、ここ2戦続いた。

 例えば、昨年12月4日、当時「休養王者」扱いで、彼と親しい記者が、心配するほど練習をしていなかった興毅が、1位のウーゴ・ルイスと、「王座決定戦」。

 フルラウンド戦って、判定に持ち込まれた。

 誰の目にも、興毅の負けと映った。

 ところが、採点のふたを開けてみれば、113-117と、興毅4ポイント差負けを付けたジャッジが1人いたものの、あとの2人は、116-113、115-113と興毅リードをつけ、結局、2-1で、興毅の防衛という結果に。

 畑山隆則が、厳しくこの結果のおかしさをクチにした。

 次いで、今年4月7日。同じく大阪で、WBAバンタム級王者としての6度目の防衛戦を、パノムルン・レックを招いて、行なった。

 この試合もまた、苦戦。判定に持ち込まれ、誰の目にも・・・・・・

 しかし、判定は、115-113.115-114。そして、113-116と、またも2-1で、興毅防衛。

 この2試合、どちらの試合の全ラウンドに、ポイント差が付いていた。システムからすると、そうなのだろうが、ラウンドごとに、詳しく、じっくりと見つめた。明らかに、差がない。そうとしか思えない、ラウンドもあったのだが・・・・・・

 興毅は、リング上で土下座。インタビューも、まるで敗者のような弁に終始した。

 それでも、勝ちは、勝ち・・・・・・

 別に、ことさらに興毅を、標的にしているわけではない。ただ、もしこの裁定が、かつての、10-10が生きていたなら、結果は違ったものになっていたのではないか?  そう思えて、ならない。

 今年に入って、数人のジャッジ、レフェリーに、直接聞いたことがある。

 ーー10ポイント マストシステム

<つづく>

 


<リアル ボクシング ルポ>東洋・太平洋スーパー・ミドル級チャンピオン清田「拳王」祐三。世界戦へ!!

2013-05-09 17:51:25 | スポーツ

  どこからか、陽春の風に乗って、噂が、私の耳に届いた。

  東洋・太平洋(OPBF)スーパー・ミドル級チャンピオンである、”拳王”清田祐三(写真・下)と、ロンドン・オリンピック ボクシング ミドル級 金メダリスト 村田諒太が、年内の試合成立目指して、目下、関係者が、水面下で交渉中であるという。

Dscf5175 ボクシングファンなら、それが正式決定したなら、どんな”激闘”になるか、容易に想像がつくはずだ。

 なにしろ、村田諒太(りょうた)といえば、ボクシングを知らない人でも、その名前を1度は耳にしたことがあるはず。

 そう、確信をもって書けるほどの有名人であり、知名度は群を抜いている。

 1度は、プロへは行かないと断言したものの、のちにそれを撤回。東洋大学職員として定年まで勤めたと仮定して、もらう退職金(推定 3500万円)を上回る「契約金」をフジテレビから提示され、一躍有名になった妻と、悩んだ末に受領。

 そして、練習と試合に専念出来る環境を整えてもらった。その上で、プロボクサーとしての所属は「三迫ジム」に置く。

 今後、村田の全試合を独占放送するフジテレビとの交渉や、マッチメイク。そしてアメリカのネバダ州ラスベガスでの、将来的な世界戦略と、練習環境や試合は、「帝拳ジム」が担当するという、ちょいと複雑な背景のなかで、プロボクサー・村田諒太は誕生。

 村田は、近日中に、そのラスベガスへ向けて、短期視察に出発する。

 「プロ」としてやっていけるか? の、実力は、「公開プロテスト」という異例の形で、この4月16日、後楽園ホールから、異例のテレビ中継をされた。

 相手は、前・日本ミドル級チャンピオンの、佐々木左之介。ヘッドギアを装着し、佐々木相手に、「アマチュア」から「プロ」への変貌と、プロでも十分やっていける実力を見せつけ、一足飛びに「A級ライセンス」を手にした。

 通常なら、考えられない超!厚遇。

 実は、このスパーリング。相手の佐々木に打診があったのは、テストのわずか3日前。それも、現・チャンピオンの胡朋宏(えびす・ともひろ)に断られて、急きょ佐々木に打診という、あわただしい泥縄式流れ。

 そんな背景が潜んでいても、テスト後の評価は、うなぎのぼり。元・世界チャンピオンたちを、大挙して列席させて、フジテレビの「意図」に沿って、彼らも手放しで大絶賛!

ところが、意外に世間・一般の関心は低く、ゴールデン・タイムで中継放送したにも関わらず、なんと視聴率は、たったの1ケタ、6・9%。

 井上尚弥という”怪物”との、2枚看板を取り揃えたにも関わらず、この数字では、惨敗という他ない。

 その一方で、かくいう私の評価は低く、村田は首の皮どころか、薄皮1枚やっと残って、金メダルを獲ったに過ぎない”薄氷”メダリストと、思っている。

 Dscf5731

 録画を、観直しても、そう思う(写真上・左)。

 かつて、スケートの荒川静香が、金と銀の候補が共にスケートリンクで滑ってこけて、本来は銅に過ぎなかった彼女に金が、運よく転がり込んだ状況に、似ている。

 まあ「銅」だけれど、ばらせば「金」と「同」だしね。

 村田の、その強さの「真価」と、「進化」が、問われるのは、まさにこれからだと思っている。

 さて、だから、さまざまな選手や、トレーナー、付和雷同的な発言をしないと思われる方たちにも、村田諒太の実力を聴きまくってみた。

 ほぼ全員が、やっていける。それも、かなり上まで行けるだろうね、とのこと。

 「ただし」 ん!? ただし?

 「清田祐三には、今の実力なら、到底勝てないだろうねえ。下手すると、ダウンさせられて、KO負けになる可能性が大きいよ」

 「判定で、フルラウンド闘って、村田が持ったら、面白いことになるだろうけどね」

 水を向けたり、例えばと、名前を出したわけでも無いのに、清田の名前が、ほぼ全員から、クチをついて出てきた。

 Dscf5216 清田(写真左)と言えば、この3月21日の試合が、直前になって中止。

 私の駄文で、いち早く速報の如く「中止」を、記事化。また、KOが見られるかも? と、メインの清田の試合を楽しみに、後楽園ホールで残り少ない当日券を並んで買おうとしていたファンには、役に立ったようだ。

 彼が所属する「フラッシュ赤羽ジム」のホーム・ページにも、日本ボクシング・コミッションの「試合日程」にも、何ら中止の告知が無かったこともあり、先日、清田自身と、笑顔を絶やさず、人柄が良さそうな古里トレーナーには、感謝された。

 こちらも、軽くお詫びを。読んだ方は、ご気付きだろうが、末尾の数行・・・。

 「余計なことを、書いたかもしれませんが・・・」

 清田は、ニャッと笑顔を浮かべ、こう軽妙にひとこと。

 「ボクの、数少ない女性ファンを、悲しませないで下さいよ」

 で、どうして中止を?

  「実は、今回、減量の失敗と、それに伴う体調不良が、重なっちゃつて・・・」

 もう、試合は無理! と、最終判断し、やむなく「試合中止」を決めたのは、前日計量の直前だったという。

 今は、体調も見事に復活! かつて”ゴリラ”と、本人にとっては、有り難くない愛称で呼ばれた身体から繰り出す剛腕は、連日、うなりをあげて、ミットや、サンドバックや、スパーリングの相手、 そしてパンチングボールにまで突き刺さっている(写真上)

 ボクシングファンは、すでにご存じだろうが、清田のKO率は、おっそろしく高い!

 通算戦績、27戦して、23勝3敗、1引き分け。で、23勝のうち、21勝が、目にも鮮やかなノックダウン勝ちや、圧勝してのレフェリーストップ!

 10年半前の、プロデビュー戦からして、3ラウンド、レフェリーストップ勝ち。

 しかし、2010年10月11日、後楽園ホールで行われた、東洋・太平洋(OPBF)ライト・ヘビー級王座決定戦では、わずか1ラウンドでノックダウン!

 結果、清田がレフェリー・ストップ負け。

 この日、客席は超満員だった。やむなく、2階のバルコニーに行き、客と客のすき間から見た。

 3キロ上の、1階級上にあたるクラスに挑戦するかたちでの、王座決定戦ではあったものの、当時の清田のチカラを持ってすれば、悪くても、倒し倒されの末の、判定勝ちだろうと予測していただけに、信じられぬ光景を見た思いで、一杯だった。

 試合後の控え室。いつもの清田とは、まるで違う彼の姿が、そこにあった。

 がっくり、太いクビを落とし、一言もしゃべらず。他の記者も、もう問いを発することも出来ず、双方、押し黙ったままで、終わった。

 しかし、その後は、本来の強さを発揮。昨年の10月6日、29歳の誕生日にあたる試合でも、圧勝し、6ラウンドに相手方セコンドからタオルが投入されたと同時に、レフェリーストップの裁定。

 ここまで、冒頭に描いたように、東洋・太平洋(OPBF)スーパー・ミドル級チャンピオンとして、すでに6度の防衛を果たしている。あと1度、防衛すると、回数では内山高志と並ぶこととなる。

 試合は、録画中継で、深夜枠で放送されることが多い。地上波はそうだが、CSだと生中継される。しかし、清田の生まれ故郷である、北海道釧路市では、契約者が少ないうえ、地上波でもめったに放送されない。

 そんな背景もあってか、地元の北海道新聞では、毎試合、記者とカメラマンが綿密に取材。全国紙では、わずか数行で終えてしまう記事を、詳しく、且つ、大きくスペースをさいて掲載。時には、カラーで紹介もしている。

  それというのも、数いる重量級のチャンピオンの中で、最も世界のベルトを狙えるのではないか?との評判が、背景にあるからだ。

 だからこそ、ミドル級で金メダルを獲った村田が、通過せざるを得ない相手と、目されている。

 村田にとって、活躍する場の選択肢としては、スーパー・ウエルター、そしてメダルを獲り、公開テストでもリングに上がったミドル級。並びに、清田がいるスーパー・ミドル級。その3クラスが、ある。

 さまざまなことを勘案した末、「公開テスト」で拳を合わせることを断った胡朋宏が君臨するミドル級でも良いが、ファンどころか、今回聞き廻ったボクシングに直接仕事として関わっている方々も、見たいのは、対 清田祐三戦だ。

 すぐには、さまざまな事情でキツイかと、思われていたのだが・・・・・・

 中止のあと、清田の今月予定されていた試合は、まだ決定されていない。

 清田に近い、ある人は、こっそりと小声で言う。

 「そう遠くない時期に、正式に、良いお話しが出来ると思います」

 「今? 今は、まだちょっと・・・・・」

 ここは、芸能界ではない。「結婚」とか、「婚約」とか、その類いでないことは、もちろんだ。例え、ノンタイトル戦でも、みんなが注目する。

 清田に勝たなければ、少なくとも、日本重量級最強として、世界を目指します!と高らかに宣言したところで、絵空事にしか聞こえないと、業界とファンは受け止める。

 キチンと、日本、東洋・太平洋のベルトをと、段階を踏んで世界挑戦へと行かなければならないのが、本筋。しかし、また一方で、何でも有りなのも、また目の前の現実。

 ホップ、ステップ、ジャンプを無視し、「公開テスト」で、まさに「1発」A級合格のお墨付きを与えたのも、1例だ。

 幸い に、というべきか、実は長年にわたって、試合ごとの放映契約ではあるものの、清田祐三戦の中継を、独占的に流してきたのは、フジテレビ!

 その点においても、水面下でのハナシは、スムーズに運んでいると聞く。

 この試合が、もし正式決定したなら、間違いなく、日本のボクシング界は、がぜん活性化する。これが、実現しても、さほど数字(視聴率)が取れなかったら、未来は暗いとまで考えて良い。

 まさに、「試金石」。

 そして、これが話題を呼んだなら、清田祐三の名前も、「知る人ぞ知る人」から、ホップ、ステップ、ジャンプ! 一躍「知られる人」になる。

 勝って、這わしてこそ、まさに「拳王」。

 初めて清田と話したのは数年前。それも選手控え室ではなく、後楽園ホールの客席であった。

 その時、最後に、彼が少し考えたあと、ボソッと、こう言ったのを今も、ハッキリと記憶している。

 「・・・・そうですねえ。有名にならなければ、いけませんねえ」

 人に好まれる性格を持ち、且つ、安定感があって、強いボクサーは、もっともっと世間に知られるべき。そう、思う。

 さあ、あとは、正式発表を待ちたい!

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>5月6日 WBAスーパーフライ級タイトルマッチ。河野公平対リボリオ・ソリス

2013-05-06 13:28:16 | スポーツ

Dscf5108 う~ん・・・・ひょっとして!? 

 リボリオ・ソリス(写真上。イスに座って、真ん中で、大きくⅤの字に両足を開いている男)の放つ、得も言われぬオーラというか、敵地のそれも、相手のジムでの囲み会見にもかかわらず、何かみなぎる自信を感じ取っていた。

 一番近くでは、河野公平と、いわば二人三脚で苦難のチャンピオン・ロードを共に歩んできた、高橋智明(ともあき)トレーナー(写真上。右端で腕を組んで、ソリスをみつめている男)がいた。

 彼は、先日の「スポーツ報知」での、河野公平の記事では、高橋昌明と書かれ、「仕方がないですね」と、苦笑していた、とても普段から、心やさしい人。

 ソリスは、暫定王者であり、無敗の”売り”も、無い。しかし、彼が来日する前から、これは要注意だぞ! と、思っていた。

 片や河野は、厳しく見れば、すっかり浮かれ、ブログでは、自分のPRに、これ勤めていた。苦難の末に手にした栄光だから、分からないでもないが、もう、そう伸び城は少ないのだから、良いのかなあ~・・・・・と、感じていた。

 練習は、すっかりボクシング・ファンの間では知られた、自宅ジムルームで終えてる日もあった。

 柴田明雄のところでも書いたが、トレーナーあってのボクサーだ。その逆は無い。

 もともと減量には、苦しんでおり、前回の前日計量では、朝からいらだっていた。それが、ボクサーとしては、当たり前のような勝利後の発言には、驚かされた。

 「あれは、前日まで、減量がうまくいかなかったから」と、小声で釈明。頬はこけ、今回も苦しみぬいた様子が、うかがわれた。

 Dscf5134 先の会見、続いて30分以上に渡る、入念な縄跳び(ロープ)で、しっかり大量の汗をかき、シャドーボクシング。

 そして、トレーナー相手のミット打ち!

 パパパパパパパ! 内山高志張りの、息をもつかせぬショート連打!

 スパーリングではないが、下がりながらも打つテクニック、足を巧みに使っての、バック・ステップ。

 自らの身長を楽に上回る、176センチものリーチから、次々と繰り出されるパンチは、多彩だ。

 しっかり、相手の顔と、拳の先を見つめ、一打一打、打ち込んでいる。

 Dscf5136 パンチは、シャープで、且つ、時に重く、連打によって破壊力も増す。

 足は、河野と違い自在に使えるし、河野の連打によって、コーナーに詰め寄られて、河野がトドメを刺す前に、スルリと、コーナーワークを使って逃げてしまいそうだ。

 パンチは、上(写真上)、下、左、右、アッパー、打ちおろしと、多彩に瞬時に展開、変更。身体も、クネクネと軟らかく、かわすのも上手い。

 はたして、ソリスを射程圏内に捕まえ切れるか?

 「止められないでしょうね」

 そういったのは、何を隠そう。当の河野。

ーーでは、どうするの?

 「じわじわ、ボディなどを攻めて、相手のスタミナを徐々に奪って、後半に勝負を賭けようと思っています」

 先の、ソリスの公開練習の映像は「見ていない」という。

 高橋智明トレーナーも、「後半での、勝負」を、クチにした。

 「向こうは前半から、ガンガンくるでしょうが、うまくかわしながら、後半に持って行ければ、河野はスタミナが有りますんでね。それに、賭けます」

 河野は、いまだ独身、実家暮らしだが、片やソリスは、妻あり、7人の子持ち。生活費、養育費が、両こぶしに掛かっている。ミルク代が、いるのだ!

 「パナマで、長期間、良い練習を積んできた」という、ソリス。

 公開練習に来たときは、頭に大きなヘッドフォンを掛けたまま、ジムへ。聴いているのは、軽快なサルサ。

 トレーナーによれば、いつも練習のときは、ヘッドギアを付けてないときは、フォンの方をして、聴いているとか。

 ただし、だだ漏れ(笑) 。日本の電車に乗らないまま帰国するだろうから、良いけどさ。

 記者会見の場では、突然、立ち上がって、叫んだ!

 「ヘイ、コーノ!」

 挑戦的なパフォーマンスを、披露した。「ヘイ、コーノヤロー」とは、言わなかったけれど。そこまで、ウケは狙わなかった。

 気になるのは、河野が、「ベルトを守りたい」と、言ってること。もちろん、「勝ちたい! 何としてでも、勝ちたい!」とも、言ってはいるけれど、”守る”などという意識があるうちは、ソリスには・・・・・・

 もっとも、昨年の大晦日、大番狂わせで、チャンピオンベルトを、ダウンを重ねた末に、文句なく手にした河野。

 高橋トレーナーですら、「ビックリしました」と、本音を漏らしていた。

 あの絶壁に立った時の、集中力は、目を見張らせるモノを持っているだけに、この見方・展望も、どこかで狂わせて欲しいと、願ってもいるのだが・・・・・・

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>5月6日 WBAスーパーフェザー級防衛戦。王者・内山高志対ハイデル・パーラ

2013-05-06 08:04:30 | スポーツ

 おおっ! わたしゃ、見た! じっくり、見た! つぶさに、見た! 挑戦者の、ハイデル・パーラの公開練習を!

 そりゃあ、もちろん、知ってまっさ! マスコミが詰め掛ける 「公開」練習では、手の内は、容易に明かさないことは。手の外は? んんん~ わかりましぇんが。

 それでも、分かった事実、見た事実は、書くし、打っておきます。

 スポーツ新聞や、テレビのスポーツニュースでは、おおむね、王者にせよ、挑戦者にせよ、日本人ボクサーの模様や、発言は強調して報じるが、逆は無いに等しい。

 ましてや、内山の試合や会見は、テレビ東京の仕切りで中継。テレビカメラも、いつも局のだけ、1台。世の中の一般の人には、広く知られないまま、日本最強の、且つ、安定感のあるチャンピオンである内山の試合は、また1ケタ台の低視聴率で、終えるであろう。

 それでも、プロデューサー兼ディレクターは、少しクチをとがらせ、不満げに言う。

 「これでも、ウチとしては、良い方なんですよ」と。

 ホントは、数字を上げる方策は、多々あるのだが、ここでは書くつもりは無い。

 さて、内山の相手、ハイデル・パーラだ。

Dscf5061 ベネズエラにあるジムに所属する、30歳の、プロボクサー。

 すでに結婚しており、なんと子供が4人もいる。

 んなんで驚いてちゃいけまへん。河野公平の相手の暫定王者、リボリオ・ソリスなんざあ、7人もいる。愛人が? 勘違いしては、いけまへん、子供がですわ。

 前日計量で、ボクサーパンツ1枚になった時の、アレのふくらみが、まあ~デカかったこと! これで・・・・・をして、拳2つで7人+妻を養っているんだなあと、しみじみ想いましたわ。

 まあ、中南米の、気質もあるんでしょうが。べつに、産めよ、増やせよ政策がなくとも。

 さてさて、戦績は、テレビ東京が「是非、売りにしたい!」と、熱望したように、確かに無敗。

 今まで21戦して、20勝1引き分け。しかも、20勝のうち、半分の10が、KO,もしくは、レフェリーストップを呼び込んだ勝ち方。

 しかし、それらの相手は、ボクシング・ファンなら誰もが知る強打者や、冠を付けた王者は、1人もいない。

 かつて、亀田ファミリーが意図的にやった手口だ。

 だから、無敗でも、まだ10位どまり。そ~ゆ~ことだ。

 とはいえ、データ上だけでは無く、実際にこの目でその力量を見ときたいと、先日、「公開練習」に足を運んだ。

 一言でいうなら、う~ん、やっぱりこの程度か。今の内山高志を脅かすチカラは無いといえる。

 見せたのは、業界では「ロープ」と呼ばれる、縄跳びを、じっくりと。

 ヒザと足首のしなやかさと、軽やかさは、充分に見て取れた。

 シャドーボクシングと、トレーナーの構えるミットに自在に打ち込む「ミット打ち」。

 Dscf5089 その両腕から繰り出すパンチのスピードの、遅さには驚いた(写真上。中央の赤いタンクトップが、パーラ)。

 コレで、10KOは、あり得ない! 

 どうやら、その疑問も含め調べたが、この遅さは「日本のマスコミ向け」のもの。本当は、”まとも”なスピード、のようだ。

 足も使えるのだろう。しかし、パンチに重さや、内山のような破壊力は全く感じられない。

 左右のパンチのコンビネーションも、単調。

 しかし、大振りのパンチは、1度も見せない。それどころか、キチンと的確に、且つ、コンパクトにパンチを、狙う的に向けて正確に打ち込む能力にたけている。

 接近戦に持ち込んで、本領を発揮するタイプのようだ、

 じっと見ていた内山のトレーナー、佐々木修平(写真上。パーラと、ミットを構えるトレーナーの間に顔をのぞかせる人物)は言う。

 「大振りのパンチは、無いようですね。しかし、的にむけて、キチッと、はずさずに打ってくる小さいパンチには、気を付けたいですね」

 言いつつ、どこか余裕を感じさせるのは、こちらの気のせいか?

 パーラは、写真のように最後まで、この日は上半身を見せぬまま。

 囲み取材では、リミットまであと3・4キロほどオーバーしているだけと言っていたが、ひょつとして減量に苦しんでいるのではないか? との声が囁かれたが、前日計量では、リミットを100グラム切る結果を示し、周囲から「お~っ!」と、思わず声があがった。

 終えると、すぐ、乾ききった体に、水分補給。いかにも、おいしそうに、身体に水を与えていた。

 一方の、王者、内山高志。前日計量では、リミット一杯で、クリア。

 この強者にして、やはり1人の「人間」だなあ~と思わせたのが、前日の「調印式」「グローブ(8オンス)チェック」 「記者会見」と、いわばセレモニーを終えて、「前日計量」が始まる直前、トイレへ直行!

 別に寒くて突然の尿意や糞意が! という訳じゃない。気持ちだ。例え、1グラムでも身体から出したい!! という思いが、そうさせたというわけだ。

 もちろん、頬がげっそりこけて、減量苦をしのばせた河野公平も、トイレへこもったのは、言うまでもない。

 それにしても、前日の5日、パーラと共に、並んで写真撮影に応じた時、一変した内山の目の鋭さには、恐れおののくほどの怖さを漂わせた。

 すでに、臨戦モードに突入か。むろん、ガン付けなど、かつてのバ亀田兄弟みたいなことはしない。視線も、合わせない。額も、押し付けたりなんかしない。

 その感想をぶつけると、とたんに笑顔。

 「そうですかあ。自分としては、特に意識はしてなかったんですけど。まあ今回は、いつも以上に、キツイ練習をやってきたんで、ソレが出たのかなあ」

 テレビ東京の要請で、「KOします!」と、拳をテレビカメラの前にグィツと付き出させる作りポーズで、撮らせているが、実は内山は、1度もKO宣言をしたことが無い。

 いくら水を向けても、言わない。

 結果として、KOを積み重ねているということだ。

 「防衛回数も、特に意識しないし、ましてや、相手を倒す回(ラウンド)なんて、意識もしません」と、内山。

 しかし、今度の7回目の防衛戦については、おそらく、そう遅くないラウンドで、いや、むしろ早いラウンドで、パーラを倒し切るのではないか。

 危惧するポイントは、対パーラに関しては、何もない。

 目にも鮮やかなKOか、圧倒する連打の末のレフェリー・ストップを呼び込むはずだ。

 期待していい!

 




 

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>速報! 柴田明雄、淵上誠を下し、2階級制覇!両雄の心に、客は打たれた 

2013-05-05 04:38:31 | スポーツ

やはり、ボクシング・ファンは、連休とはいえ、家族団らんを放っても、見たいカード(試合)には、何を差し置いても駆けつけるもんだな~。

 そんなことを、改めて思い知らされる日となった。

 この日、5月4日の後楽園ホールは、チケット完売。客席は満員。2階の、バルコニーも、立ち見客でぎっしり! カメラを、競り出せないほどだ。

 むろん、他にも、加藤善孝。佐々木基樹。荒川仁人など、人気ボクサーの試合もあり、相乗作用が働いたとはいえ、「日本中重量級 最前戦」の、キャッチ・フレーズに恥じない試合展開となった。

 Dscf5294 柴田明雄(写真左・左側)、そして、淵上誠(同・右側)へ贈られる大歓声が、交錯する中、1ラウンドのゴングが、鳴った。

 先の記事でも予想されたように、淵上は右ジャブを絶えず出して、距離を測りつつ、連打のチャンスをうかがう。左腕は、この日は下げることなく、低くガード。

 対する柴田は、足を使ってリングを自在に回り、上体を振ってパンチを繰り出す。

 ジリジリと詰めてく、淵上。そこに放つ、柴田の、キレイに伸びきった左ストレート、バーン!!(写真上)

 手数と、有効打でまさる、柴田が着実にポイントを積み上げていく。

 Dscf5295 あせってくる、淵上。そして、繰り出す、ブンブン、右フック! そら、来たっ!とばかりに、サッとかがんで、見切ってかわす
柴田(写真上)

 積みあげてきた練習の数々が、生きた瞬間だ。身体に覚え込ませた、自然な反応。

 石原雄太トレーナーは、どこからでも手が伸びてくる淵上の夢を見て、うなされたという。そんな悪夢を、はねのけて緻密に組み立てた戦略が、ラウンドを増すごとに、花開いていった。

 いつもより、空振り大フックが少なかった、淵上。接近しての、ボディへの、連打は見事という他なかった。こちらもまた、研究と対策を、重ねていた。

 それにしても、ここまで読み切って対策と、緻密な作戦を立ててきた、柴田陣営の石原雄太トレーナーの「名参謀」ぶりには、いまさらながら感心する。

 名トレーナーがいるから、選手が成長し、勝つ。逆は、無い!

 危惧していた、柴田の右目眉下からの、大出血!

 「前が、見えなかった」と、試合後、柴田は語った。

 それも、見事に止血。

 4ラウンド終了時の、スコア。

 38-38が、1人。あとの2人は、40-36と、柴田へのフルマーク。

 Dscf5326 7ラウンドには、絶好のタイミングで放った、柴田の右フックで、淵上の身体が崩れ落ち、ダウン!(写真・左)

 ダメージは少なかったが、自分のパンチに自信を持ったか? 柴田が、果敢に打ち合いに応じた!

 こうなると、淵上の方が、1枚も2枚も上。 柴田の身体が、時折り、グラリ、フラリと揺れる。

 再び、柴田の流血、ドバッ! 目、見えねえ!

 あわてた石原と、ジム会長の渡辺均

 コーナーに、転がるように戻ってきて、イスに精も根も尽き果てたようにストンと、力なく座った柴田に危機感を持った2人は、柴田に、厳命!

 「打ち合うな! 足使って、距離取れ! ポイント、取ってるんだから、このまま進め!」

 アッと、我に返った柴田。流血しながらも、再び、ヒット&ウエーに、戻す。打ったら、クリンチ。打たれたら、クリンチ。身体、離れた瞬間に、パンチ、パーン!と、放つ。

 時には、グイッと、突き飛ばし! ダメージ、重なってる淵上、よろっ、よろっ・・・

 8ラウンド、終了時の、採点が出た。

 77-74.そして、79-72もの差で2人。3-0で、柴田のリード。

 新チャンピオン誕生間近! と思われた、9ラウンド。

 マジカ? と、思われた、2度目の柴田の目への、ドクターチェツクが入る。

 Dscf5347 おまけに、渡辺会長まで呼ばれた。

 ああっ! ここで、試合ストップ! 「負傷判定」に。

 その瞬間、淵上、ガクッとヒザをまげて、リング上に、突っ伏した(写真左)

 自らの、負けを知り、東洋・太平洋ミドル級のベルトが、柴田に移ったことを知った瞬間だ。

 採点は、87-83。.89-82。89-81

 柴田が、淵上に負けたラウンドは、3、4、8のラウンドだけ。

 笑顔の柴田。

 

 Dscf5361 これで、2階級のベルトを持つことになった柴田。しかし、どちらも持ち続けることは、出来ない。

 Dscf5373 リングを降りると、祝福と、歓喜の嵐のなかで迎えられる柴田(写真。右側)。その前に、歌手であり、ジムのアドバイス・トレーナーでもある、山川豊(同・左側の帽子をかぶった男)が笑顔で祝福。

 Dscf5391 治療を終えて、控え室へ戻ってきた柴田(写真・中央)を、石原雄太トレーナー(同・左)と、会長の渡辺均(同・右)が迎え、記者会見開始。

 笑顔が少ないように見えるが、これは、ひと段落した安堵感と、次なる戦いに向けての緊張から。

 「もう、減量がキツイので、次からは、多分・・・・よく、考えて・・・」と、柴田が、ミドル級でやることへの、チョッピリちゅうちょを見せた。

 てえゆうのも、ミドルでやるということは、遅かれ早かれ、先に書いた村田諒太と試合をやらざるを得ないということ。

 実は柴田。オリンピック前にスパーリングに来た村田と、3ラウンド、手合せした。

 パコン.、パコンと打たれ続け、あわやダウン寸前まで、いったという。

 まさに、一喜。まさに、一憂そのもの。う~ん。しかし、名参謀が、そばにいるじゃん、ねっ!

 Dscf5399 ひと時の後、着替えて現れた敗者の淵上誠(写真右)が、柴田の控え室を、訪問。

 互いの生真面目さが、臭い出るワンショット、です。詳しく、会話。書きません。どちらも、人格的に、ステキな人。それが、叩きあう。

 それが、ボクシング。

 ちなみに淵上。控え室では、うなだれたまま、「・・・・・これが、最後だと思って、試合に臨みましたので・・・・・・」と、繰り返すのみ。

 すわ、引退? と、会長とトレーナーに確認してみると、2人、苦笑い。

 「あいつは、いつも負けると、そう、口癖のように言うんだよなあ。この前だって、そうだったよなあ」

 あはっ。一安心。杞憂、杞憂。

 帰る時、奥さんがそばに。ショートヘアの、小柄な可愛い女性でした。

 ちなみに、柴田にも、恋人が。

 「なんか、そっちの奥のほうに、いるんじゃないかなあ」と、照れ笑い。

 Dscf5410 ホールの外には、柴田を長い間支え、声援を送ってきた友人や知人らが、2階級制覇を成し遂げた、新チャンピオンの出を待ち続けていた。

 その横を、「勤め」を果たした石原雄太が、サラリと通り、去った。誇る表情、一つ、見せることもせず。

 そんな、チャンピオン請負人の後姿に、1人、心で拍手を贈った。

 実父の死から、間もないのに、何も愚痴もこぼさず、もくもくと課せられた「仕事」を見事にこなし上げた。

 手柄は、チャンピオンに渡して・・・・・

 その新チャンピオンは(写真上・左)は、皆の前で、直立不動! で、こう言った。

 「いつも、試合後に思います。自分は、こういう皆に支えられているんだなということを、実感できることが、嬉しくてなりません。本当に、どうもありがとうございました」

 そういって、深々と頭を下げた。

 ・・・・・・・・・・・・・・

ボクサーというより、「人間」を、これからも書き続けたい。

あらためて、今夜も、そう誓った

 

 

 

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>「2階級制覇を、狙っています!」と、珍しく柴田明雄が、キッパリ明言!

2013-05-03 16:20:00 | スポーツ

 いつも、どちらかと言えば、口数が少なく、大口を叩かない柴田明雄が、コメントを求めた際、珍しくキッパリと言ってのけた。

 「2階級制覇、狙ってますから! この試合にキッチリと勝って!」

 おおっ! 気持ちが、ハンパじゃ無く、あ・つ・い!

 この試合とは、ゴールデン・ウイーク真っ只中の5月4日(土)、後楽園ホールで行われる、淵上誠(ふちがみ・まこと。八王子中屋ジム)とのタイトルマッチを指す。

 淵上は、現・東洋太平洋(OPBF)ミドル級王者。そして、対する柴田は、体重が、ランク1階級少ない、2・7キログラムの差がある、現・日本スーパー・ウエルター級王者。

 といっても、それは試合前日の計量の時に、その決められた体重になっていれば良いわけであって、普段は極端に言えば、30キロ増の100キロでもかまわない。

 おいおい、ムチャなこと言うなよ! と言われそうだが、実際普段、いろんな階級で、試合1か月前に15キロオーバー程度の選手はザラにいる。

 中には、こんな実例もある。若かりし頃、ある階級でデビュー。で、惨敗。自信を失い、サンドバックとミットにではなく、仕事に打ち込み、それに関わる国家資格の免許を取るため、猛勉強。

 ジムには、たまに気分転換と、健康維持のためだけに顔を出していた。

 月日は流れ、プロボクサーとしての試合出場制限の、37歳の誕生日に近づいてきた。すでに、男はめでたく免許も取得して開業し、経営者に。で、やり残した! とばかりに、一念発起! ラスト・ファイトをジムに願い出た。

 なんと、そのとき、35キロもの規定オーバー! でも、やったよ、その男。職業は、医師だもん。超減量作戦が功を奏し、後楽園ホールのリングに立った。立ちはしたが、もう、足元、最初から、ふ~らふら・・・・・・。

 で、早々に、レフェリーストップ負け。男の通算戦績、2戦して0勝2敗。だが、試合後の控え室では、苦笑いを浮かべながらも、満足そうな表情だった。

 ボクシングとは、かくも魅力あるものなのだろう。

 ハナシが、ちょいと横道にそれた。

 2・7キロ差は、ほぼ無いに等しい。加えて、柴田の担当トレーナーである石原雄太によれば、「以前から、お互いに(試合を)やりたいねという話しはあったんですよ」ともいう。

 体重差でさらに言うならば、柴田は時に応じて、内山高志とガチのスパーリングを乞われて行なう。

 内山は、普段から自己節制しており、いつ試合に臨んでも良い体重と身体に仕上げている。ご存じ、WBAの世界スーパー・フェザー級の王者。

 その体重差、実に11キロ。でも、「いつも、内山さんには、やられっ放しです」と、苦笑いしながら柴田が言うように、内山が打ち勝っている。

 いくら、柴田がお得意の足を使って、”蝶のように舞い、蜂のように刺す”華麗な動きを見せても、たちまち内山が自分の距離に詰め、腕をブンブン! と、しならせ、柴田の身体に左右のパンチを、余すところなく、ぶち込む! ぶっ倒す勢いで。それも、ボンボン、ボンボン。容赦なく!

 そんな時、思う。ああ、あのパンチ力が、柴田にあればなあ~、と。

 いや、ありますよ、柴田には。もちろん人並み以上に!(写真左下の中央。赤いヘッドギアをして、アッパー気味の右ストレートを相手の顔面に喰い込ませている)。

 でも、人並みはずれて、ではない。けた外れでも、無い。それは、柴田自身、とても素直な人で、苦笑いしながら認めるところだ。

 けた外れて有れば、恐妻家のチャーリー・太田にも、勝っていたはず。

 そこを、重量級にしては、まれな、巧みなフットワークと、自分の距離を保ちながらのヒット&ウェイで、確実にポイントを稼ぐ戦法を、築きあげた。

 その流れを作って置いて、ここぞ! という時に、集中打を浴びせ、時には相手をダウンさせ、レフェリー・ストップを呼び込む。

 最初の王者になった時の、野中悠樹戦などは、その典型だった。見事な、きめ細かい作戦。判定ではあったが、戦い終えた瞬間、ベルト、もらったな、と確信したほど。

 前回の細川貴之戦は、もっと早く試合を決められる。そう思った。というのも、細川の試合は、CSのチャンネルで全戦観ていた。相手の大半は、日本に倒れに来た、アジアの峠を越えた、かつては強かった、格下ボクサー。

 それで、ランキングをこまめに上げてきた細川が相手だけに、もしも!? は、あり得ないと思っていたので、仕事場でのテレビ観戦。

 予想外に、細川が意地を見せたのには、少々驚かされたが、結果は、もちろん、柴田が何度もダウンを奪った末に、8ラウンドにレフェリーストップを呼び込んで勝ち、2度目の防衛成功。

 これで、通算戦績、20勝(9TKO&KO)7敗1引き分けとなった。

 今回、勝てば、一気に2階級制覇という好条件の試合に向けて、仕上がりは、極めて順調のようだ。

 何より、右から左への強烈なパンチのコンビネーションが、目を見張らせた。 Dscf4978 スパーリングでも、先の言葉を裏付けるかのように、右のアッパー気味のストレートが、バーン!と、音を立てて相手の顔面を打ちぬいた!(写真・上)直後、すぐ左が飛んだ!

 そのコンビネーションには、さらに磨きがかかっていた。右から素早く、左。左を見せといて、右! 

 上下の打ち分けのタイミングも、良い。んでもって、左右。足をからませ、さまざまなバージョン、パターンを仕上げつつあった。

 スパーリングの相手は、淵上と同じミドル級。

 だが、デビュー戦は5年も前ながら「さぼっていて」(当人)、こなした試合数も少なく、やっと決まった4月23日の試合が、相手が棄権して中止。テンション下がり気味の金澤圭介(写真上。右側)。

 そんな背景もあって、もう格好の、試し打ちっ放し台。5ラウンドやって、その後は、石原の構えるミットめがけての、作戦確認打ちを続け、頭と体に徹底的に刷り込む。

Dscf4996

 その最中、石原(写真上。右側)が何か言った。

 「はい! 分かりました」と、柴田(写真上。左側)。

 ホントに、このひと、素直。生真面目。ひたむき。

 それは、1度目のベルトを巻く前から、知っていたし、感じていた。ジムワークの時だけでは、ない。

 彼は、当時カレーショップで働いていた。持ち場は厨房。そのため、姿は見えないが、真面目に働いているようだった。聞いてみると、同僚の評判も良かった。

 それは、野中を破って日本王者になってからも、何ら変わることはなかった。客に、とりたててボクシングファンは、いないに等しい。駅構内にある、カレーショップということもあり、短い時間でカレーライスを腹に詰め込むと、あわただしく去る者ばかり。

 試合が決まっても、他のボクサー同様、「チケット、買って戴けますか? 」などとは、クチが裂けても言わない、言えない。「仕事」は、仕事。「プロ」と言えども、ボクシングは、ボクシング。

 他の店へ、移ってからも、その姿勢は、何一つ変わっていない。

 そんな柴田には、無名の頃から支援と、経済的サポートしてくれ続けている会社が、ある。彼が将来性豊かなボクサーという以上に、その人柄を見込んで、という比重の方が、大きいように、そこの社長と話して感じる。

 だから、支援している世界王者が、天狗になった時は、呼んで、噛んで含める様にいさめた。世界王者になった途端に、わ~っと寄ってくる、にわか支援者が、たにまち気分で、王者を我も我もと宴席に引き回す騒動には、眉をひそめる。

 ひいきの引き倒し。これが、王者の心と将来を、限りなく落としてゆくことを知っているからだ。

 そんななか、その支援者が明かしてくれたエピソードがある。

 ある日、支援者が柴田を食事に誘い、こう切り出した。

 「柴田君、今のアルバイトを辞めて、ボクシングに専念する気はない? その方が、良ければ、そうしても良いんだけれど。アルバイトで稼いでいる分くらいは、ウチで出せなくはないから」

 事実、先述の世界王者は、そうしている。

 だが、柴田は、頭を下げて、こう答えたという。

 「お申し出、ありがとうございます。でも、ボクは、今のままで結構です。確かに忙しくて、正直、キツイなと思う時もありますが、これはこれで、毎日の生活のメリハリと、リズムみたいなものも出来てますので。すいません、せっかくのお申し出をお断りするみたいで・・・・」

 支援者は、そう話してくれた後、笑顔を浮かべ、私に言った。

 「ホントにいい子よ、柴田君て・・・・」

 そんな柴田は、すでに31歳。その性格ゆえか、ナンパや、自分から女性を口説くことは苦手なようだが、そんなことを知らずとも、彼の試合を見続けている、女性ボクシングファンはいた。

 ある日のこと、同僚の選手の試合を見終えた柴田のもとへ、ファンだと言う若く可愛い女性が、自分から声をかけ、積極的にアタック!

 柴田は、いささか気押されたまま。しかし、数分後、笑顔で2人は連れだって、電車に乗り込み、そのまま消えた・・・・。

 その後、その娘と、どうなったのか? は、あえて聴いていない。

 さてさて、”追い込み”前の、激しい練習は、続く。

 柴田は、言う。

 「相手の淵上さんの試合は、ユーチューブでも、見ています」と。

 プロボクサーにとって、インターネット上で、手軽に見られる試合映像は、例え1部にせよ、近年、とても試合戦略上、欠かすことのできないものになった。海外で行われた試合すら、検索次第で、たどり着くことが出来るという。

 生中継式で見られるユーストリームといい、あらゆるプロスポーツのなかで、1番、時代は変わったと痛感させられるのが、ボクシングとなった。

 もっとも、かなり怪しいサイトも存在するので、気をつけねばならないが。

 淵上の戦い方は、ボクシングファンはすでにご存じだろうが、とてもクセが目立ち、パターンもそう多くない。こと1発のパンチ力だけを取り上げるならば、淵上の方が上だろう。しかし、プロボクシングは、それだけで勝てるほど、単純な格闘技でもなければ、スポーツでもない。

 それを打ち崩し、勝てる戦略を、驚くほど緻密に組み立てていた。

 ミット打ちの際も、「こう相手は来るだろ? で、こう打った後、こう・・・」と、石原。

 「ハイ」と、答えて、反復練習を繰り返す、柴田。

 石原の、1つ1つのモーションを見つめていると、取材のために改めて見た淵上の動きに、見事に重なり、ダブる。

 「これは書かないで欲しいんだけど」と言いながら、シロートの私にも分かる”秘策”の一端を、石原は、こっそりと教えてくれた。

 なるほど、う~ん、なるほどと、納得。

 むろん、事前に組み立てた作戦が、その通りにドンピシャはまるほど、これまたプロは、甘い世界ではないことは、100も、200も承知だが。

 淵上の戦いを、振り返ってみる。

 昨年5月12日、急に「試合をしませんか?」と、WBA世界ミドル級の無敵王者 ゲンナジー・ゴロフキン側から申し出があり、試合会場であるウクライナへ向かうまで、準備と調整期間も少なく、慌ただしかった事情があったとはいえ、3ラウンド、無惨、無能対策のTKO負け。

 当初、その1報を知った時には、真っ向勝負を挑んで、いさぎよく散った。そう思い込んでいた。ところが、試合の映像を見て、唖然とした。

 剛腕強打で鳴る王者を前にして、両腕をほぼダラリと下げ、あえてか、誘い込み戦法だったのか!?  ノーガードで、足も使わず。さあ、どうぞ、好きなように打ってくんなまし、ってカンジ。

 そうですか、そりゃ、やらしてもらいまっさ! とばかりに、ゴロフキン、打ちっ放し!

 ゴロフキンの強さは、今年、石田順裕が惨敗したのを見ても、揺るぎは全く無いことが、改めて証明された。

 この試合、淵上が出したのは、いつものパターンの、相手との距離を計り、自分のリズムを作って、踏み込んで打ち込むための、右ジャブを、ちょんちょんと、だけ・・・

 そりゃもう、結果は子供でも透けて見えてくるわけで・・・・・

 どこかで、負けても、淵上の将来のボクサー人生にとって得るモノがあれば良いと思っていただけに、指先に怒りを乗せて、打った。

 「もう、引退した方が良い」と。

 そう表示したものの、這い上がって来るだろうなと思っていた。知っているのは、試合後の囲み取材の際の、誠実そのものの対応と、言葉。

 判定で完勝や、KO勝ちしても、必要以上に誇らず、相手を讃え、反省も口にする。しかし、決して饒舌ではない。

 じゃがいもの様な顔立ち。しかし、九州は薩摩出身。同郷の演歌歌手の歌で、リング・インしたりする。

 生真面目さは、柴田と双璧。それゆえか、正規社員として勤めている企業の工場の同僚たちが、応援に駆け付ける光景は、いつものことだし、有給休暇を取って行った先のウクライナの試合では、取引のある企業の駐在員や、日本人会の有志が、会場へと応援に駆け付けたほど。

 これは、淵上の人徳の、なせる結果だろう。私生活では、柴田より2歳若い29歳だが、すでに2年前に、トライアスロンの選手をしていたという翔子夫人と、いち早く入籍・結婚。

 控室では、それらしい女性を見かけたことはないので、出しゃばらない、控えめな性格の人なのだろう。

 惨敗の心の傷もいえた、5か月後の、昨年10月12日、職場のある地元・東京都日野市に、フィリピンから東洋・太平洋(OPBF)同級1位のマーロン・アルタという選手を呼び、王座決定戦を行なったのだが、これが、思わぬ展開と結果になった。

 ちなみに、この時、淵上は、2位のランク。彼としては、大応援団の手前もあり、絶対に負けは、許されない「再起戦」でもあった。

 少し、詳細にラウンドを、振り返る。まだ、この先を読まなきゃならないのかよう?とのけぞる活字嫌いの人は、柴田も見たユーチューブで、この試合をまだ見られると思うので、そちらをど~ぞ。

 <1ラウンド> 相変わらず、淵上のガードは、無いに等しい。この日も、右ジャブを、ちゃんちょんと突き、相手との距離を計りながら、上下にジャブを放つ。

 左腕は、だらりと下げたまま。ひょっとして、痛めているのか?

 <2ラウンド> 淵上、右腕でジャブを放つが、それでとても倒せるシロモノじゃない。左腕は、ぶらんぶらん。下げたまま。

 右ジャブだけで倒せるという自信か、思い上がりか? 相手のアルタも、どんなパンチがあるた? 消極的なのが、気に掛かる。ひょつとして、1位なのに、本気で王座、取りに来ていないのか? アウエーというのに・・・・

 淵上、やっと左の上下を放つ。しかし、そこからどう展開しょうというのか? 見えてこない。

 少し打たれると、左目の上を切る。これは、淵上にとって慢性的なもの。一方の柴田も、左右切れやすくなっており、ひょつとすると、5月4日、途中で負傷判定という可能性も、捨てきれない。

 淵上、やっと相手の動きを見ながら、足を使って回る。

 <3ラウンド> 右ジャブ、新展開。下から上へすくい上げる。足使って回りつつ、右のフック、ぶん回すが、相変わらず、ラフ。

 拳の先が、相手のどこの部分にぶち当てるのか、見届けていない、見定めていない。だから、かわされ易い。ヒット率も、低い。

 運良く当たったら、儲けモン。そ~ゆ~類いの、ぶんぶん、ぶん回し。これでは、永遠に、ゴロフキンには、勝てない。

 まだ、左のパンチは出さない。ん??????

 <4ラウンド> かつて見せた淵上の強打は、影をひそめたまま。それどころか、スッ!と出したアルタのストレートを正面からまともに受け、淵上、顔面をのけぞらせる。

 かくいうアルタだって、明確なクリーンヒットは、これくらい。そこから、連打で淵上を追い詰めない。相手のガードは、甘いのに。またまた、?????

 淵上、やっと左のパンチをこのラウンドから出し始めたが、チカラ、パワーはひ弱く、さらに拳の行く先を見て打ち込んでない。ラフ、またラフ。

 拳、ケガしているのではなかろうか? という危惧は、消えない。

 加えて、打ち込む時の、体勢とバランスが、地元という気負いからか、遮二無二のため、とても悪い。勢い、ガードはさらに、がら空きとなる。

 巧打者なら、ありがとさん、とばかりにアッパーなどで淵上の身体を起こしてからの展開が、極めて容易となりそうだ。

 リング上では、4ラウンドまでの採点が読み上げられた。

 39-37で、アルタ。とたんに、客席の応援団が、どよめく。

 次いで、39-38.また、アルタ。さすがに、今度は、シーン・・・

 そして、3人目は、39-37で、淵上。

 トータル、1-2で、アルタのリード。妥当だ。

 <5ラウンド>  淵上、左のパンチをアルタのボディに・・・・届かせるだけ。打つたびに、身体が泳ぐ。調整も、上手くいってなかったのか? とさえ、邪推を巡らす。

 左のパンチの空振りが目立つ。アルタが、見切ってうまく避けてる部分は、少ない。

 <6ラウンド> やっと、淵上のパンチが当たり出す。

 しかし、かつて見られたシャープさや、重さは、無い! ワンツーは、ヒットしても、スリーがラフ。

 アルタへのダメージは、まだまだ少ない。盛り返し、挽回し始めて、淵上、後半勝負かも。

 <7ラウンド> えっ!!棄権!???????.

 アルタが、コーナーに座ったまま、立ち上がらず。そして、これ以上試合を続行する気無しということで、棄権の申し出。

 はあ? 出来レースじゃあるまいに・・・・・・

 これで、王座は、淵上に転がり込んだカタチ。儲けたあ。

 取り戻したというより、もらったベルトと言った方が、正しい気がする。良くて、淵上サイドに立って見ても、ドロー(引き分け)。

 2試合続けて厳しい見方を書いたが、意図したモノは、何もない。この試合、マスコミもさほど注目しておらず、淵上の左拳のことは、どこも触れていない。

 こちらも、彼の所属する八王子中屋ジムに、そのことについて、問い合わせてもいない。会長に聞く機会はあったが、別の選手について問い質した。

 

 あれから、半年半。淵上は、どんな仕上がりで、リングに上がって来るだろうか?

 聞けば、積極的に出稽古を繰り返し、スパーリングで腕を上げているという。

 ここまでの通算戦績、20勝(11KO&TKO)7敗。

 柴田と似通った戦績ながら、戦法はかなり違う。似ているのは、生真面目さ。

 まさに、雌雄を決するこの1戦。見逃して欲しくない。

 

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  北海道では、時ならぬ雪が降ったとはいえ、東京には、うららかな陽射しが降り注いでいた。

 明日、運命の拳を合わせる2人にも・・・・。

 5月3日の午後。柴田明雄、そして淵上誠。

 ともに、前日計量は、1発でパスした。

 その際に、2人は、言葉を交わした。

 生真面目な、まさに性格そのままを、滲ませるかのように。

 ホッと一息ついて、久しぶりに、ゆっくりと食事を楽しんでいる、柴田明雄に聞いた。

 「淵上さんの印象、ですか? 強そうだなあって思いました」

 失礼を承知で書けば、聞いたこちらが思わず苦笑してしまった。

 --言葉は、交わしたの?

 「はい」

 --どういう?

 「こんにちは、と、ボクが頭を下げて、挨拶したら」

 --したら?

 「向こうも、頭を下げて、明日、よろしくお願いしますって」

 生真面目 対 生真面目。

 結果はどうであれ、素直に両者に声援を贈りたい

 熱く、贈りたい

 


 ゴーマン 不遜の猪瀬直樹 危惧した通り、やはり、アメリカでも、やっちまったか! このツケは、大きい

2013-05-01 22:13:00 | ニュース

 都庁では、ゴーマン不遜の限りを尽くしていた、蓄膿症猪瀬。

 今は、蓄膿症ならぬ、チクショウ! と、おのれの愚かさを顧みず、「ニューヨーク・タイムス」に対して、歯ぎしりしているに、違いない。

 東京都庁では「独裁 王様」。そのノリが、海外の取材でも亀頭、いやさ、頭をのぞかせちまった。ついつい、地が出て、墓穴を掘ってしまった。

 もはや、覆水盆に返らず。

 そお~ゆ~ことだ。わかりやすく、言えば。

 これで、「招致」が水泡に帰したのは、猪瀬も「承知」せざるを得ないはずだ。

 猪瀬の、ゴーマンについては、3月に、すでに打っていた。危惧も、していた。関心のある方は、一読願えればと、思う。

 それでも、そんな人じゃないと考える方は、「TOKYO MXテレビ」の、「都知事定例会見」を、パソコン上で見ることが出来るので、是非、ご視聴願いたい。

 それも、冒頭からの知事報告は飛ばして、記者クラブの、反抗もしない記者たちとの、1問1答の後半を、じっくり見て欲しい。

 都知事様、ご無理ごもっとものご意見で、ごぜえますだ精神に満ち溢れた”子羊たち”に向けての、猪瀬直樹という1人の男の尊大さが、子供でも気付くはずだ。

 このカンジで、愛人も冷たく切り捨て、その一方で、その女性が「ストーカー」と感じる行為をしたのかと思うと、どこか背筋が凍る。

 都知事定例会見発言の詳報なるものも、垣間見られたが、活字ではその「偉さ」が、うまく伝わってこない。

 それにしても、その「活字」の怖さは、猪瀬自身、一番知っていたはずなのに・・・・・。

 乗せられて、調子に乗って、はたまた、はめられて、さんざん本音をしゃべってしまってから、刷り上がった活字の反響に、驚いて、「真意が伝わっていない」発言には、思わず苦笑してしまった。

 猪瀬、逆に言われた事なかったかい?

 言われたこと無いとするなら、今まで甘い取材をしてきたということの、証明だ。むろん、かつて手足のように使って「協力」してくれた取材データ記者が、後でインタビューや、コメントを取った方々に、言われてるのかもしれないが。

 はめられた質問に、気付くこともなかったのだろう。その、ゴーマンさが、身についてしまっていたゆえに。

 帰国して、都庁に登庁した際の、言動。

 口では、「不適切」と言いつつ、そのココロからの反省のカケラの無さは、頭をまったく下げず、1秒でも早く終わらせたいという心根が、全身から透けて見えた。

 前知事の石原慎太郎も、むろんゴーマン不遜だった。めったに登庁せず、会見では、「支那」などの単語を、よくクチにして、自らの思想・歴史認識を披瀝した。

 聞いてて、つぶさに見てて、しょうがねえなあ。この老人は! と思っていたが、それ以上の言動に終始する猪瀬には、人間的に欠落したものを感じる。

 「次回」の、定例会見。「自戒」なんて、してねえまま、鼻声で、ゴーマンに話し始めるんだろうなあ。記者を寄せ付けない表情を漂わせて・・・・・・。

 締めに、もう1度、打ち込む。

 2020年 東京オリンピックは、無い!

 200%、開催は、無い。

 開催反対の方々は、「快哉」を叫んでもらっていい。