《 2013・8・9 掲載記事 》
試合の4日前。阿知和賢(あちわ・けん。写真上・右側)は、汗まみれになって、最期の追い込みに、入っていた。
見かけたのは、実は、彼には悪いが、偶然だった。
当初、見る予定だった、8月25日に”怪物”と闘う、心身ともに、ひ弱な現・チャンピオン 田口良一ならぬ、悪一と、村中優(すぐる)とのスパーリングが、当日になって、突然中止になった。
だったらと、即、練習までも休む、ていたらく振りの、悪一。
あと残すところ、チャンピオンでいられるのも、1か月を切った。
怪物に、勝つ! と言い切れる自信と、練習量の裏付けは、まったく無い。むろん、休むことも、練習のうち。そうは、言うものの、さんざん考えた打開策で、勝てるか? というと、正直言って、かなり厳しい。
なにしろ、それを実践する田口の根性が、腐っている。かつては、そんな性格は、見られなかったのに・・・・・・・。
日本ライトフライ級のベルトを得てからの、慢心が、それに拍車を掛けた。
そのひ弱。先日は、私を見かけたとたん、まずい人に会ったなあと言う表情を浮かべ、狭い廊下を目を伏せて、小走りに駆け去った。
時給1020円のアルバイト労働に加え、以前は練習に費やした時間を、浮かれまくって会食と、遊びに切り替え,練習を休み、休養をとり、練習量を減らす”超多忙”ぶり。
まともに、じっくり取り組んだのは、房総半島の砂浜での、3泊4日の、走り込みぐらい。そこでは、柴田明雄も一緒だった。
むしろ、柴田のほうが、この合宿で効果と、実績をあげた。田口には、進境著しさ、まったく無し。
日曜は、お昼まで、ぐったり御寝んね。そんな練習態度にも苦悩する、担当トレーナーは、私に漏らした。
「ひょっとしたら、試合、1ラウンドで終わるかも知れませんよ」
怖いことに、真顔で言った。
スパーリング中止を、知らずにジムに来てしまった私は、・・・・・・・・・。
ならばと、その場で、田口とは逆に、真摯に、且つ、ひたむきにミット打ちに励む、ように見えた選手に、目がいった。
「ていたらく」、と、「必死」
試合に臨む、その根本的姿勢の違いは、天と地の差ほどに、大きい。
グィッと、心が惹かれた。
仕上げに付きあってくれてたのは、同じジムの成塚亮(なりつか・りょう。同・左)。
どんな選手なのかの一端を知りたい人は、すでに打った、私の1文を目にしていただければ、幸いです。
体重は、あと3キロ落とさねばならない、という阿知和。そのため、写真で見るように、しっかりカッパを着込んで、汗を流し、体重を落とす練習の日々。それも、ラストを迎えた。
頬はこけ、見るからに、少しきつそう。
とはいうものの、対戦相手も同じ時期、サウナにどっぷり浸かって、急激に落としていたのだから、同じようなものだが。
つい先日の7月19日に、27歳になったばかりの阿知和。独身だ。
想い、を寄せて、「好きだ」と、コクった彼女が、実はいる。つい最近、ケータイを代えたために、その子の☎番号までも、誤って消去してしまい、まるで振られたかのように、しばらく落ち込んだという、純な1面も、合わせ持つ。
今までの戦績。19戦して、8勝(2KO&TKO)9敗2引き分け。
負け数が、ちょい多い。だが、実は、KO負けは、ただの1度も無い。
単なる数字に表れない、プロボクサー、阿知和賢の、生きざまが、そこに滲む
7月30日(火)。東京・後楽園ホール。彼の20戦目の相手は、自ら望んだ戸部洋平(とべ・ようへい。三迫ジム)。
戸部は、高校、そして大学と、アマチュアで活躍し、国体で、2冠に輝いたエリートだ。
その当時の戦績たるや、53戦こなして、43勝10敗。
「スーパールーキー」と、誉めそやされ、わずかプロ2戦目で、元2階級制覇王者の、ワンディー・シンワンチャーに、KO勝ち。
すでに、ワンディーに、全盛期のパワーは無くなっていたとはいえ、戸部の強さは、周囲の目を見張らせた。
次いで、3戦目。元東洋・太平洋スーパー・フライ級王者(当時)河野公平にも、堂々と打ち勝ち、判定勝ち。
ところが、勢いはそこまで。
東洋・太平洋スーパー・フライ級王者の赤穂(あかほ)亮には、8ラウンド、レフェリー・ストップ負け。
今年2月11日には、フィリピンから来たリチャード・プミクビークという選手には、1-0で、引き分け。
リチャードは、東洋・太平洋バンタム級2位と、フィリピンのバンタム級6位の実力者。
とはいえ、冷静に見ると、完全に戸部は0-3で負けていた。完敗の内容と、言い切ってもいい。
客席からも、引き分けの採点には、驚きの声が上がるほどで、もろに、ホーム・タウン ディシジョンの悪例だった。
結局、プロになっての戦績。7戦して、5勝(3KO&TKO)1敗1引き分け。
本人は、おごってはいない。最近のブログでも、「課題は、山澄です」と、誤字も気付かず打ち込んでいたが、阿知和に対して、油断や余裕は、まったく見られなかった。
対する阿知和には、華やかな経歴は、見当たらない。出身は、神奈川県横須賀市の、田浦。
そこ、実は、かつて、遊郭があった街。オカミの目が厳しくなって、相次いで自主廃業してゆく時代の波のなか、数年前には、大正ロマンあふれる古びた建物のなかで、いまだ”営業”しているお店があった。
阿知和には、ことさら地元愛が強い。横浜光ジムに在籍していた時も、五反田にあるワタナベジムに移っている今も、それは、なんら変わることは、無い。
あと1歩、いや、あと半歩。ランキング入りに、届かない日々。
これまでに、なんと都合8人のランキング・ボクサーと試合したと聞く。接戦の、惜しい内容ばかり、蓄積してきた。
今回は、どういう結果に、なるのか!?
自身のブログのタイトルは、「栄光に向かって、走り出す」。
先に書いた田口”ひ弱”良一と、スパーリングする予定をドタキャンした、村中優とも、阿知和は、今回の戸部戦のように、自ら希望して、試合。
当時、村中は、WBAの9位。結果は、0-3の判定負けだった。
しかし、展開は、正面から、足を止めて打ち合い。
多彩な、村中のパンチを受けながらも、がむしゃらに、常に1センチたりとも、後ずさりすることなく、前進、また前進。突っ込んで、打ち込んでいった。
差は、パンチの的確性と、有効打数。手数だけは、文字通り、優にまさったのだが・・・・・・。
もっと、優っていたのは、阿知和の闘う気持ちと、気迫! それに、気押された村中は、試合後、思わず、こう漏らした。
「正直、勝ってホッとしました」
昨年4月9日の、野崎雅光との試合も、激闘の接戦と、いっていい。
野崎。この当時、16戦して14勝2敗。KO&TKO勝ちが6という、日本スーパーフライ級5位に位置する、強打者。
そんな事前の評判は、阿知和にとっては、単なる、ぶちのめす標的に変わる。
この試合でも、打ち合いまくり、結果、 判定に。1人は、引き分け。後の2人は、僅差で野崎に・・・・・・。
阿知和は、私にこう言った。
「強いやつと、やりたいんですよねえ」
「だって、引退してから、あいつと、(試合)やっておけば良かったなんて、後悔したくないじゃ、ないですか・・・」
おうおう、ホンマもんの、ファイター。本能の、プロボクサーって、気がした。
だから、戸部洋平と闘う。勝てば、ランキングは、自然に付いてくる。
よしっ、勝っても負けても、彼を書き表したい。そう、思った。
本音も、クチをついて出る。
「ああ、腹一杯、食いてえ!」
「もう、つらいっすよ・・・・・。今日も、コーラと・・・・」
彼のブログを初めて見た。
やはり、他の大半のボクサー同様、一見、グルメか? と、見誤るほどの、料理写真の数々。前日計量さえ終われば、喰える。アレも、コレも。
文字通り、飢餓感が試合を誘い、食べることへの、憧れが、夢にまで見るほど、超巨大化して、膨らむ。
「そうそう、そうなんですよねえ」と、うなづく阿知和。
犬を飼ってるボクサーも、多い。 「あっ、ウチも飼ってます」
そういって、阿知和は、笑った。ちなみに、阿知和のは、チワワなのかどうか?までは、聞きそびれた。
さあ、7月30日。第6試合。テレビ中継なんぞ、無い。しかし、観客席は9割近く埋まっていた。個々の選手が、一生懸命、手売りした、成果だろう。
その証明か、目当ての選手の試合が終わると、そのたびに応援者たちが、ゴソッと帰る。
おいおいおい、まだ、見てってよ。ボクシングって、見ごたえあるんだからさあ~と想うが、他人の足は止められない。
いよいよ、リングに、2人が、上がった
おおっ! 阿知和(写真左。右側)が、ガンを、飛ばしている! 戸部の顔を、睨みつけている。
ゴングが、鳴る前から、気合い充分。
「ああ、アレは、トレーナーがやれって、言うんで」と、試合後の、阿知和。あちゃわ~っ? 本人の、意思では、無かったか・・・・・。
<1ラウンド> の、ゴングが、鳴ったあ!
阿知和(写真左。右側)が、いくっ!
左ボディが、届く。グィッと膝を深く折り、体勢、低く入って、右狙い。フックを、飛ばす!
戸部、左ジャブ、飛ばすが、パンチ、弱い。
阿知和、戸部を追ってゆく。体をくっつけて、ショート・パンチ。逃げる戸部に、右フック。また、右フック!(写真左上。右側)。
さらに、しつこく、ボディ打ち!
戸部。明らかに、とまどいの、表情。こんな戦法で、来るのかよ~。予想も、していなかったぜ。どうしたら、良いか、おら、分かんない。困ったなあ、という、カンジ。
阿知和の繰り出すパンチ。ちょいと、体勢悪く、戸部への痛打、ベスト・ショットには、なっていないが、手数は、1ラウンドから、3対1くらいの数で、まさっていく。
<2ラウンド>
インターバルの間、なんと阿知和サイドのトレーナーが、戸部のコーナーを指さし、何か、言っている。
挑発!? まさか!
あとで聞くと、ほら、見てみろ。相手の、反応を、見てみろ。このまんまでいい。そのうち、効いてくる。そう、阿知和に指示していたとのこと。
阿知和、左右ぶん回しながら、進む。必ず、先制。
下がる戸部。休むことなく、手を出しながら付いてゆく、阿知和。
左フック、ヒット! アッパーカット、失敗!
体、大きく左右に振って、前へ、前へ。
完全に、戸部のリズムと、コンビネーションを、狂わせている。
面白い展開に、なってきた。
<3ラウンド>
阿知和、右フック! 戸部の、阿知和へのボディパンチ、届かない。
阿知和、戸部のリズム狂わせながら、ともかく付いてゆく。ベタベタ、付いてゆく。喰らいついてゆく。
戸部の、ストレート、ヒット!
しかし、打たれても、阿知和、下がらない。ひるまない。戸部、足のステップ、下がり続ける。
コーナー近くに詰め寄ると、阿知和。断然、上手い。
戸部、スルリと、コーナーを曲がって、避けるテクニックを、まだ充分に持てないため、阿知和の独壇場!
ロープを背にさせ、ストレート、はたまた、アッパーと、打ちまくり(写真左上)。阿知和への、大声援がすざまじい。
むろん、「洋平!」「行けよ! 何、やってんだよお!」「ぶっ倒せ!」の、叱咤の声も、飛び交い、リングの上で、バチン! と、ぶつかり、はじける。
阿知和、返しのフック! 打つ、打つ、打つ!
そこに、戸部のストレートが、スパ~ン!と、決まる。
喰らっても、喰らっても、付いてく阿知和。喰らい付いてく、阿知和!
あまりの気迫と、しつこさに、やはり下がる戸部。喰らいつく、阿知和。
< 4ラウンド >
いきなり、阿知和。両腕をダラリと、下へ下げ、そして、大きく振った。で、今度は上へ思いっきり上げて、ガッツポーズ。
と、同時に、ウオ~ッ! と、叫んだ。
パフォーマンスと、自分に入れた気合い。そう、理解した。
飛べ! と、叫ばれたら、戸部の前で、大きくジャンプまでしそうだ。
まあ、挑発とも、とれたが、すぐ、また戸部を追ってく。もう、執念!
アッパーは、シッパーイ。すぐ防御にまわって、クリンチへ。
そして、今度は右腕をグルグル回して、またアッパー! また、失敗!
そんなパフォーマンスに、笑いすら起きない。
くっ付いてゆく、執念に、ただただ、驚き、なかには、あきれながらも、見入っている観客。
手数は、圧倒的に阿知和。パンチは少ないものの、的確に当てている確率が、高いのは、戸部。
ひたすら前への、阿知和。ひたすら、下がって、たまに打つ戸部。阿知和が、低すぎる姿勢のため、アッパーカットを狙っても、低くした頭からの目線が拳に追いついていけず、狙い澄ましてのパンチに、残念ながら、なっていない(写真左下)。
そのため、空振り連発。
また、くっ付き過ぎるためか、せっかくの左右ボディへのパンチも、腕を大きくしならせ、半回転のスピードにのった加速が無いため、打ち込む、えぐる、喰い込む、までに至っていない。
実際、試合後、戸部に聞いたところ、「効いては、いませんでした」と言う。むろん、強がりで言ったのかもしれないが、それで、グラッと膝を折り掛けたり、痛さで、顔を大きく、歪めるシーンは見られなかった。
くっ付きから、一転、突き放してからのボディ打ちは、戸部の絶好の打撃距離になりかねなくて、出来なかったのだろうか・・・・・。
阿知和の手数の多さと、気迫を採るか? はたまた、数少ないが、戸部の真芯に当てた的確なパンチを採るか?
これは、3人のジャッジの個人的視点と、判断が分かれるところだろうなあ・・・・。
< 5ラウンド >
このラウンドに入り、予想もしないジャッジが、待ち受けていた。
体を低くして、付いてゆく。喰らい付いてゆく。そして、パンチの振り出しと共に、阿知和が、体を上げていたために、頭が何度も、ぶつかる。
この”戦術”なら、止む終えないし、さほどのヘッド・バッティングとも、思えなかったのだが、中村レフェリーは、なんと、阿知和に故意のバッティングがあったと、認定(写真上)。
なんと、減点1を阿知和と、陣営に告知。ジム会長の渡辺均は、珍しく声を大きくして不満と、抗議の声を上げた。
阿知和は、引き続き、低い体勢から、コーナーに詰めて、ショートパンチを連打。それを、うまくさばき切れない戸部は、クリンチ。
< 6ラウンド >
阿知和は、減点を取られたことも手伝い、ますます必死になる。
コーナーに戸部を詰め、ワンツーを打つなかで、必死さゆえに、上からの、振りおろしパンチが、思わず、戸部の後頭部に当たる。故意ではないが、当たった(写真左下)。
阿知和は、また注意を受けてしまう。
彼の精神状態を考えると、なんとも、やりきれなくなる。必死さが、伝わってくるだけに・・・・・。
このラウンド終了しての、インターバル (休憩)時、戸部の右目上が、偶然のバッティングで、切れたことが、アナウンスされた。
< 7ラウンド >
両者から、期せずしてクリンチ。疲れも、ある。
払う、阿知和。戸部のパンチ、空を切る。
互いのパンチ、ブンと、空を切る。
気持ちで、はるかに勝る、阿知和。コーナーへ、戸部を押し込むと、連打、連打、ヒット!
戸部、またも空振り。
必死に喰らいついてゆく阿知和。もう、メチャ振り、めちゃくちゃ!
気持ちが、パンチを、前へ、前へと、出させている。もう、それだけ。
ラウンド終了後、阿知和。少し、足元が、つまづくようにしながらも、ガッツポーズ!
客席に、アピールか。
精も根も、尽きては、まだまだいない。
まだ、やりきってない、よな?
このままでは、こと、採点は、きつい。
< 8ラウンド >
「ラウンド、エイト! ラスト、ラウンド!」
リング・アナウンサーの声が、高らかに、会場に響き渡る。
阿知和、相変わらず、低く入り、体付けて、打つ。
また、ヘッド・バッティングを、注意される。
そうかあ? 今度は、そう見えないけどなあ・・・。
阿知和、下がる戸部を追って、コーナーに詰めて、快心の右フック、ぶち当てた!(写真下)
パンチ、喰らって、激しく揺れる戸部の、茶髪。
その流れの直後だった!
また、阿知和が、ヘッド・バッティングしたという理由で、減点1!
ホントかよ? 今度は、そうは、見えないけど。
ここで、計2点減点ということは、阿知和に、お前、負けだ!と、宣告してるかのようなもの。
気を取り直し、振る、振る、腕、フルに振りまくる、阿知和。
応戦する、戸部。だが、空振り目立つ。
戸部の足に付いてゆく、阿知和。
コーナーに詰めるや、フック、ヒット! 次、空振り。めげない。腕、振る振る、フル回転。
わ~つ! という、大歓声のなか、終了を告げる、鐘が鳴った。
右腕を上げ、ガッツポーズで、プロらしく、勝利をアピールする阿知和(写真上)。
この試合。ホントに、やりきったか? 練習したこと、やり切れたか?
これじゃあ、やりきれないんじゃないか? 内心は・・・・・・
判定への、採点が、読み上げられてゆく。
77-75。77-73.そして、78-72.
3対0の、判定負け。
4と6? それほどの差だろうか・・・・・・
もし、あの不可解な減点が無かったなら、1人は、77-77。
2対0の、負けではあるものの、いつものように接戦だったことを、偲ばせる結果となったに、違いない。
腕をレフェリーに挙げられ、勝利のアピールをされてる前での、阿知和の”真情”を想うと、何度見ても、胸が詰まる(写真左上)。
中村レフェリーに、あの減点について、聞いた。
「あれは、私で無くとも、だれがやっても、取るでしょうね。あの姿勢が、戦法だということは、分かったうえでもねえ・・・・」
控え室での、阿知和に会いに行った。
顔面。とりわけ、ヘッドバッティングの影響か、頭の左半分を大きく.腫らし、うつむいていたが、ポツリ、ポツリと、話し始めた(写真上)。
「くやしいよ」 「全力、出したよ」 「俺、あきらめないっすよ!」
「(あの作戦で)チャンス、ものにしたかった」
「ホントは、倒してみせたかった」
「ガッツポーズですか? 客を、盛り上げようと思って」
「レフェリーは、公正な立場なんだから・・・・・・」
「相手の? パンチ力、無かったですよ」
「俺は、倒してやるんだと、上がったのに・・・・・・・」
あとは、言葉にならなかった。
彼から、ひとつ、聞かれた。
---どう、でした?
感動しました。あなたの、気迫と、必死さが、伝わってきて・・・。
そう、答えた。
それは、お義理でもなく、本音だ。
それが、ここまで、書かせた。グィツと、後押しさせた。
戸部は、言った。
「あんな戦い方をして、向かってくるとは、思ってもいなかったので、どうしょうか、どうしたらいいかなとか、思ってるうちに、どんどん、ラウンドが過ぎて行ってしまって・・・・・・」
「ホント、勉強になりました。次へ向けての、良い勉強になりました」
この今日のような戦法では、絶えず、ヘッドバッティングの注意と、負傷と、減点の危険性をはらむ。ボクシングは、倒さない限り、「採点競技」に、良くも悪くも、すげ変わる。
どのようにすれば、ベストなのかは、1記者には、今は、思いつかない。
ただ、あと1歩どころか、半歩で、相手を引きずり降ろせるチカラを、どう展開して、結実してゆくのか・・・・・
しばらく、じっと、見つめ続けていきたい
阿知和賢の、気持ち、気迫が、熱いままならば、だが・・・・・・・
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≪ 2021・1・16 追記版 ≫
生中継の、後楽園ホールからの、ボクシングの試合。
誰を目当てというのではないが、視聴。
気になるボクサーがいたら、原稿を打ち込む手を休めて、キッチリ、目を上げて、試合展開を見つめようとしていた。
第3試合。 ん?
懐かしいボクサー名が、目に付いた。
上記、7年半前に、たった1本、1試合ではあるけれど、記事化した、阿知和賢が、出ていた。
・・・・・すでに、34歳。正直、まだ、やっていたんだ…・・という、感慨。
当時で、19戦。
本日、住田愛斗との試合までで、もう、32戦も経験していた。 勝敗、戦績。
32戦して、12勝、うち、4TKO,15敗、5引き分け。
今日の試合は、コロナ禍で、試合が延期や中止が続き、1年7か月振りだとの、アナウンス。
住田は、27歳。くすんだ、金髪。
スーパーフライの規定体重で、8ラウンド設定。
ゴングが、鳴った。
互角の試合展開ながら、4ラウンドと、5ラウンドに、住田の、当たれば儲けモンという、カンジの、ラフながら、大きい、左フック、もろに喰らい、足元、ふらつき、ひざを深く折る。
しかし、今も、変わらず、絶対に安易に倒れない
根性が、先だつボクサー。
打たれたら、倍にして、手数多めに、「倍返し」
打ち返す、必死の根性は、今も、変わらぬままだった。
最終、8ラウンドまで、もつれ、また、アタマがぶつかり合う、バッティングが、レフェリーに指摘され、互いに、注意される。
阿知和の、ファイティングスタイルだと、どうしても、そうなる。
意識しなくても、故意でなくとも、そうなりがち。仕方ない、か・・・・。
勝負は、判定に、持ち込まれた。
最初の1人、77―75で、住田。
ということは、次は、・・・
2人目。77-75で、阿知和。
そして・・・・・
3人目が、76-76.
結果、ドロー。引き分け。
左フック打ち込まれても、必死に、ひたむきに、打ち返し続けた、ファイティングスタイルが、功をそうしたか。
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試合終えて、リングを降りた時、気になることを、阿知和がした。
キチンとリングに向けて、カラダを振り返り、深く、一礼したのだ・・・・。
ひょっとして、この試合で、引退のココロづもりであったのか。
リングに、別れを告げた・・・・・つもりか・・・・
もう、34歳で、ランキング17位。
将来は・・・・透けて見えているはず。
ともかく、久しぶりに、偶然にせよ、観た雄姿。
お疲れ様でした。