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<リアル ボクシング ルポ>富樫直美、WBC女子ライトフライ級のベルトを失って、帰国。怖ろしい真の敗因

2012-06-26 14:46:38 | スポーツ

  う~ん・・・・・・・・・・・・・・ やっぱり、高地か! 敵(挑戦者 同級2位 エスメラルド・モレノ)サイドの策略に、してやられた結果となってしまった。それが、今もって残念でならない。

 富樫直美が、メキシコから帰国したのが6月25日の夕刻。何度か電話を入れていたのだが、すべて圏外。その後に電話連絡が、ようやっと、ついた。

 しかし、「今は車中なので」とのこと。空港からの帰宅。ジムへの報告も律儀で、極めて礼儀正しい彼女のこと、それを済ませてからのインタビュー。

 その夜、話しがじっくり聞けた

 ーどうしたんですか? いまさら言っても仕方ないのかも知れませんが、正直、まさか、負けるとは思ってもみませんでした。相手の試合の映像、3試合ぐらい捜しまして。じっくり、見ましたよ、チェツクしながら。で、こりや、富樫さんなら、勝てるなと、間違いなく、あの左右フックのぶん回し女に

 「(苦笑して)ハイ、私は1試合、見たんですよ。これは、正直、いけるな、と」

 「向こう(メキシコ)へ着いてからも、(モレノの)5月17日の最新の試合のものを見まして」

 -相変わらず、ブンブンのフックを回してて?

 「いや、それが少し違ってて」

 -ラフが消えて、まとまってた?

 「ええ、まあ。それでも、勝てるなと思った」

彼女が、メキシコでの指名試合の防衛戦をこなすのは、これが初めてではない。1年8か月前、メキシコシティーの屋外で、1万人近い観衆

<つづく>


<リアル 愚衆政治屋 ルポ>被災地を見捨てた被告人・小澤一郎。また新党作って、国民の金騙し盗るのか

2012-06-25 19:03:21 | ニュース

 こういう人間を、悪党というのだろう。またぞろ、新党を立ち上げて、数にまかせて、政党交付金を手に入れようとしている。

 言うまでも無く、「政党交付金」「政党助成金」とは、全額、我々国民の”酷税”が、原資だ。

 それを自らの財産に転化し、どんなに私腹を肥やし、至福の生活の肥やしにしてきたかは、すでに多くの報道でも明らかにしてきた通りだ。

腐り果てた樹に群がる、烏合の衆。寄せ集めの、マニフェスト詐欺師たち。

 民主党本部と国会のみに、マグニチュード10の大地震が襲い、瞬時にして全員と建物が崩壊・炎上してくれたらと願う国民は、大多数ではなかろうか。

 小澤の鬼畜ぶりは、それだけではない。

 自らの選挙区も甚大ではないにせよ、あの3・11で被災を受けた。

 なのに、小澤被告人がしたことといえば、3月末、岩手県知事のもとをえらそーに訪れただけ。それっきり。血も涙もない鬼畜だ。それで、「日夜、天下国家のことを考えている」とのたまっても、信じられない。

 妻には去られ、カネだけが頼りの被告人に群がる奴らも、全員落選させねば。この国は小澤に、食い物にされる。

 むろん、野田豚佳彦らも、すべて落とさねば、我々国民の暮らしだけが、苦しくなっていくのは、子供でもわかる。

 付和雷同的に、小澤被告人に賛同する人達の、神経がわからない。それが、このうえ、酷税を盗られる国民の、偽らざる心情と思う。

 何ひとつ身を切らない人たちが、このまま税金をフトコロに入れ続けることを、あなた、見逃せますか!?


<リアル ボクシング ルポ>えっ! WBC女子ライト・フライ級チャンピオン富樫直美の、信じられぬ敗戦

2012-06-25 10:02:00 | スポーツ

 いったい何が、あったというのだろう? まず、アウエーの地であっても、負けることは、万に一つも無いと思っていた富樫直美の防衛戦。

 それが、一報では大差の判定負け。ウソだろ!? そう思った

 別の取材で動いていた時も、たえず気になっていた。戻ってみると、所属ジムから判定負けしました、との連絡。

それも、3-0の大差。スコアを列記すると、92-98、94-99、93-97.

試合会場は、なんと標高2100メートルの、とんでもない高地だったことを、初めて知った。

 それは、調べてみると、ひし形の北海道の、ほぼ中央に位置する十勝岳(2077メートル)に匹敵する高さ。

例えるならば、その頂上にリングを組み立ててそこで拳を交えたことになる。

「スタミナが切れた」と、報道で所属ジムの会長のコメント。メキシコの会場にも行ってないのにと思うが、負けた彼女か、トレーナーに試合後、聞いたのかもしれない。

 中盤まで、互角の展開だったとも。

 ならば、”女ブンブン丸”サイドの罠に、いいようにはめられたのかも?

 行ってみてこんな高地とは? と驚いただろう。

 かつて、タイまで行って防衛した時も、バンコクからとんでもない遠くのひどい所に泊められ、戦ったことがある彼女。

 それにしても、アウエーのジャッジが、どれほど公正だったのだろうか? 深い疑念が消えないままだ。

 いやしくも、彼女はチャンピオンだった。

 指名試合とはいえ、相手の言うがまま、条件丸のみのハンデ付き試合。かねてより、不思議だった。男偏重世界とはいえ、あんまりだ。

 負けたばかりなのに、「年齢(あと1か月で37歳)からいっても、引退するしかないでしょうねえ」の、会長のコメントはあまりにも、心ない。

 まだ帰国さえしていない様子の、輝けるチャンピオン、富樫直美。

 今は、お疲れ様、さえ言う気がおこらない。

 


<リアル ボクシング ルポ>WBC女子ライト・フライ級チャンピオン富樫直美。6月2日、最期の試合へ

2012-06-25 10:00:00 | スポーツ

 「これから、また練習に出かけるところなんです」

 病院での勤務を終えて、わずかな慌ただしい時間を縫って連絡をくれた、世界チャンピオンの富樫直美。午前中に連絡を入れたときは、食事中。もぐもぐしながら、「これから仕事へ行きます」とのこと。

 「では、時間の空いた時にでも、今度の防衛戦のことを1つ2つ、お聞きしたいんですが」

 「夕方に時間が少しあくので、その時にでも」

 試合まで、あとたった数日。「昨日もジムに行きましたが、試合に向けての調整です」と語る。

 そうしながら、仕事もキチンと、いつもの様にこなす。取材も、プライベートに深く立ち入らない限り、律儀にキチンと対応してくれる。

 それは、自分が有名になるからじゃない。女子プロ・ボクシングが、広く、少しでも知られるようになれるなら、という想いからだ。

 

  今回は、挑戦者のいる敵地のメキシコへ行くために、試合5日前に出発。試合を終えて、帰国した翌翌日から,またフツ―に働き出す予定だ。

 ともかく、取材するたびに痛感するのは、彼女のスーパーウーマンぶり。勤務先は、総合病院の産婦人科。元は看護婦(今は看護師に変名)。さらに資格を取って助産師になった。

 1年間にとりあげる赤ん坊、なんと700人。時には800人に及んだ年もあった。出産は助産師の勤務スケジュールに合わせてくれるわけではない。朝から深夜、未明まで勤務体系は日ごとに違う。

 かつては、病院に隣接する寮に住み、交替勤務をこなし、その上でロード・ワーク(ランニング)もして、そして欠かさずジムへ通う毎日。宿直勤務もある

 男子ボクサーのほとんどは18時前後にジムで練習開始し、21時頃には終える規則正しいスケジュール。時には練習を休み、友人ボクサーの応援に試合会場に足をのばす。

 富樫には、そんな時間的余裕はない。練習は朝だったり、午後だったり、夜10時過ぎに始めたり。

 助産師、世界チャンピオン、そして今年正月からは「妻」がそれに加わった。今年の元旦に入籍。幸せな日々を送るかたわら、この23日、挑戦者が待ち構える敵地、メキシコで8度目の防衛戦に挑む。

 「防衛戦の話しは、2~3か月前からあったんです。本格的に今度の相手との交渉が始まったのは、1か月くらい前かな。で、正式に契約書を取り交したのが1週間くらい前ですね」

 相手は、同じWBC世界ライト・フライ級2位(1位と報じてるところもある)の、エスメラルド・モレノ。24歳。戦績、23勝6敗。昨年2月に格下のシルバー王者にもなって、防衛も果たしている。

 戦績だけみると、なかなかのもの。しかし、メキシカンのボクサーの戦績のラフさ、デタラメさはすでに知っており、加えて、以前あの亀田興毅からも直接聞かされている。

 ボクサーの真の強さ弱さを計るには、試合の映像を見るのが一番。.エスメラルド・モレノの試合をいくつか見た。そのことは、最後に打つ。

 かくいう富樫自身、「ファイターということしか、知らない」という。しかし、そのことで、不安を漏らすタイプではない。

 精神的強さや、芯の強さは、並みいる日本にいる女性世界チャンピオンの中で、ダントツだ。

 彼女を初めて取材したのは、4年前。韓国へ赴き、このベルトを韓国人王者からもぎとってきた。会って話しを聞く前に、その試合映像をフルラウンド、じっくりと、メモしつつ、3度見た。

 うわあ~! 「激闘」と呼ぶに、ふさわしい、すざましい試合展開に、思わず声が出た。真っ向勝負の打ち合い、足を使ってのテクニックも駆使し、敵地で有無を言わせず、帰りの機内にベルトを持ち帰ってきた。

 顔はその映像と、渡された資料でわかっていたものの、実際、目の前に現れた彼女を見て、再び驚いた。

 にこやかな笑顔。周りにいる人を、やさしく包み込むような雰囲気を漂わせていた。

 「私の仕事ですか? 助産師です。そおそお、産婦人科の」と言って、ニッコリ。

 ああ、そうだよなあ、この人が出産の場に立ち会ってくれたなら、妊婦は安心して、不安な気持ちが薄れ、身をまかせられるだろうなあ、と話しを聞きつつ思った。

 その印象は、いまもって変わらない。事実、都内でも産婦人科そのものが減ってきている今、一極集中までいかないが、彼女の勤務する総合病院には、ひきも切らず妊婦が詰め掛けている。この少子化傾向のなか、年間700人はうなずける。

 そんな彼女が試合のときは、一変。まるで、別人に思えるほどだ。顔は、戦闘士。一分の隙も無い。

 それは、手紙を戴いた時の文と文との間にキリッと漂う、芯の強さ、揺るぎない強さに、共通するものだった。

 東京での試合の時は、毎回100人余りの同僚が応援に、駆けつける。

 「富樫~っ!!」「富樫~!」と、大声援。まるで、そこだけ切り取ると、体育会系女子そのもの。「直美ちゃ~ん!」などとは、誰1人叫ばない。

 試合後、彼女たちに聞くと、本当に富樫直美は慕われていることを痛感する。

 勝っても、顔は打たれる。眼の周囲も、腫れる。

 ある防衛戦の翌日、出勤した。喜びの笑顔と拍手で迎えられた後、眼帯をしたまま婦長に挨拶に行った。

 「おめでとう」 その言葉のあと、婦長は?という顔。

 「あなた、それで妊婦さんに接するつもり?」

 ・・・・・・「はい」

 「頼むから、今日は休んで。その腫れが引いてから出てちょうだい」

 これ。本人から聞いたハナシ。4年前、暫定ながらチャンピオンになった後も、母親には黙っていた。ボクシングを続けてることさえも。

 やがて、「母が本屋さんに行って、専門誌を見て、バレちゃつた(笑い)」

 こういう、笑える、楽しいエピソードは、枚挙にいとまがない。すごく、明るい、良い性格の人だと、思う。

 そんな彼女の人生観を大きく変えたのは、昨年3月11日に起こった「三陸沖大地震大津波」だったという。

 ボランティアの一員として、被災地にも行き、その惨状を見てきた。

 一瞬にして2万人もの命が失われた、まぎれもない事実。以降、自分のこれからの人生について考える日々が続いたという。明日の命は、わからない。

 「そんな時に出会ったんですよね、今回、入籍したヒトと」

といっても、ドラマチックな運命的出会いがあったわけではない

 「実は、幼な馴染みではないけれど、昔から知っている人だったんです。3・11のあと、偶然に会って、そのうちに、ああこの人となら、共に生きていけるかなって・・・・・」

 年齢は、あと1か月と少しで37歳になるが、「別にあせってもいなかったし、婚活もまったくしていませんでした」と、いう。

 タイミングと、相性と、大震災・・・・・・

 夫となったひとは、ネットなどで出ている、AKBの前田敦子似では全くない。俗にいう、優男(やさおとこ)ではあるけれど。結婚しても、姓のイニシャルは変わらない。

 今は1人、3役。ある結婚後のインタビューで、「子供は欲しいですね」と、正直に答えている。いわば、出産のプロ。40歳代でも可能ではあるが、

 この試合を終えたら、引退? いくらスーパー・ウーマンでも、1人4役はこなすのは、大変だろう。

 勝っても、負けても、ラスト・ファイトに、この試合がなるかも?

 思い切って、その質問もぶつけた。

 「う~ん。・・・それはわからないです。ホント、わからない。それは、コメントしたくないな。ノーコメントに、しておいてください」

 すこし、困ったような声だった。

 2年ほど前だったろうか。無敵とまでは言い切れないが、試合のたびに自分の身体をいじめ抜き、勝ちが予想され続けた頃、こう感想も含め、聞いたことがある。

 「富樫さん、このままいくと、ず~っと、あなたは、防衛しそうな気がするんですよ。でも、規定で、年齢の壁もある。いつか、チャンピオンのまま引退する。それって、カッコいいと思いませんか?」

 ニコニコと、笑顔を浮かべたまま、彼女は、答えなかった。ただ、以前から、負けて、ボロボロになってまで、私はしたくない。そうは、言っていた。

 強いチャンピオンの彼女に、1度だけ「負け」を感じた時があった。それは、結婚後、エキジビジョンとして行われた、同じライト・フライ級のWBAとWBO、2つのチャンピオン・ベルトを保持する、アルゼンチンのジェシカ・ポップとの2ラウンドのスパーリングのときだった。

 1ラウンドは、女子の場合、2分。しっかり、ヘッドギアを装着。そのガードの上から、容赦ない連打を浴びた。上下の打ち分け。自由自在に足も使われ、ヒット&ウェイ。ジャッジやレフェリーに効果的に見せて、ポイントを積み重ねてゆく、したたかに計算できる上手さもジェシカには、あった。

 たった4分。しかし、初めて富樫の負けを見た。VTRを何度もメモしつつ見直したが、もしヘッドギアをせず、フルラウンド戦っていたら、明らかに負けていたと思う。

 世の中、上には上がいるんだと痛感した。

 スパーリングを終えて、感想を問われ「(ジェシカは)上手いですね」と、富樫。「もっと、フルラウンド闘いたかった」「悔しい」

 そのコメントを耳にして、少し安心した。闘志は、人妻になっても衰えていなかったんだなと。

 所属ジムの会長には、ずばり聞いた。

 「ジェシカに、完全に負けてましたね?」

 「なに言ってるんですか、そんなこと、無かったですよ」

 富樫が練習をしている、別のジムの会長兼トレーナーにも、負けを否定された。

 所属ジムによれば、王座統一戦の話しは具体的には進むことはなかったという。それで、良かった・・・・・・。

 今回の試合は、昨年11月の孫チョーロン戦以来。7か月振りだ。

 また海外、それも、もろに敵地、アウエー。しかし、富樫は日本の男も含めて海外での防衛戦は、一番数多くこなしている。

 すでに、このメキシコでも経験済みだ。

 「スゴイ観客の数と、おそらく相手への大声援で、セコンドの指示が聞こえないくらいなんです」

 「試合が終わっても、スコアのアナウンスも聞こえないんです。もっとも、おそらくスペイン語なんで、私、何言ってるのかわからないから、まあ、いいんですけど」

 「レフェリーに腕を上げられて、初めてああ、勝ったんだと分かったくらいで」

 笑いを交えて、話してくれた富樫。そのときも、大差の判定勝ちだった。

 アンフェアなジャッジになりがちなのは、彼女はすでに知っている

 「しっかり、そのためにも練習してきましたから」「その準備は、しっかりしました」

 キッパリと自信ありげに言う。

 彼女に話しを聞いた時点では、相手のエスメラルド・モレノの以前の試合映像は見られなかったが、その後、3試合分、見た。

 勝てる! よほどの不調でない限り、勝てる!! そう、実感した。

 モレノのタイプは、いわば”ブンブン丸”だ。左のジャブ気味のストレートから、右の大振りフック。さらに、キチンと見定めないで、大振りのフックをブンブン振り回す。空振りが、めちゃくちゃ目立つ。

 そのワンパターンだった。当たっても、1発で沈む強打は、無い。

 モレノの、当てられる距離にさえならなければ、富樫なら大丈夫だ。

 得意の接近戦で、弱そうなボディにパンチを叩き込み、ねじ込む。その一方で距離を取って、ステップ大きく踏み込んで、低く入って、上下打ち分けていく。

 ほぼ、アウェーでも勝ちを手にするはずだ。

 実は、もう試合は現地で終わっているかもしれない。まだ、速報も入っていない。現地には、彼女を指導している、小関桃のトレーナーが付いているだけ。いち早く19日に小関が、8度目の防衛に成功したが、富樫とは「価値」が違う。

 ちなみに、2人は誕生日が同じ。富樫が7歳上。とても、仲がいい。

 その小関の試合を終え、翌日、そのトレーナーはメキシコへ慌ただしく旅立った。所属とは、違うジムの会長でもある。

 そして、富樫のジムの会長は、来月に迫った男子チャンピオンの試合の準備に忙しいとのことで、現地には行っていない。

 試合開始時刻すら、知らなかった・・・・・・・

 厳しく、さびしい環境のなか、孤高の闘いをしてきた富樫直美。

 夫のTさんは、メキシコへ行くの?

 「いいえ」

 じゃ、メールか?で、おそらく勝利をいち早く知らせるんだ?

 「そうですね」 少し、笑い声がはじけた。

 帰国して、ひと段落したら言おうと思う。

 おめでとう! そして、お疲れ様、と・・・・・

 

 

 

 

 


<リアル ラグビー ルポ>日本人選手が見習うべき、シェーン・ウイリアムズの数々の妙技とプレイ

2012-06-24 01:34:14 | スポーツ

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 シェーン・ウイリアムズ(写真)。身長、わずか170センチ。体重、わずか80キロ。ラガーマンとしては、わずか、と言い切っていい。

 しかし、その、身体を張ったプレイの数々を目の当たりにしながら、心が震えた。加えて、わずかな穴(スペース)を見つけて、斬り込む。その一方で、トライを作り出し、サポートする。その、極めて頭脳的なプレイにも、やはり驚かされる。

 12年間にわたってウェールズ代表の名選手として活躍。テストマッチ87試合に出場。世界歴代3位の58トライを挙げた実績を持ち、乞われて三菱重工相模原ダイナボアーズに入団したばかり。

 その、「身体を張ったプレイ」に、チーム全員の気が本気に変わってゆく。そして、練習試合ではあったが、クボタ・スピアーズに勝った。

 スター選手の、気取りは全くない。サインを求めて並んだファン全員に、サインだけではなく、気さくに写真撮影にも応じた。

 その人柄以前に、このサイズで世界のトップをひた走ってきた気概と、一瞬たりともひるまない、相手をむしろ恐がらせるプレイを、今の日本代表と、ジャパン・フィフティーンに学んで欲しいと、強く思った。

 一方で、若手には穴(スペース)は、見つけられない。これは、経験を重ねて出来ること。

 昨年の日本代表を呼び寄せて、改めてセレクションすべきだ。ダメでもともと,でもいい。する必要がある。

 身体の大きさ、重さより、まず技術だ。

 それをしなければ、11月に予定している、ヨーロッパ遠征7試合は、行くだけ無駄かもしれぬ。愚直に当たってポイント作ってからじゃ、重しをかけてきて、つぶされる。

 「正直、疲れが溜まっていて、サポートが遅れてしまってるのは仕方ない」(前キャプテン)は、キツイ言い方だが、許されない。

 20歳以下や7人制の若手が、国際試合で揉まれて、着実に強くなってきつつある。受け皿は、不幸中の幸いか。良い方向に進んでいる。

 君たちの代わりは、いくらでもいる。経験豊かなベテランは、わんさかいる。

 ラグビーファンと、試合を重ねるごとに少なくなってきてる観客は、純国産、日本人チームを今、望んではいない。本当に望んではいない。産みの苦しみを、知った上でも、その声は圧倒的に多い。

 重さと筋肉。サイズだけが重要ではないことは、上記、シェーンも証明している。「無い物ねだり」では、ない。

 せめてもの望むことは、勝ちか、限界までプレイして感動を呼ぶプレイだ。敗軍の将は、またなにを語るのであろうか・・・・・・


<リアルラグビールポ>「辞任しろと言うのなら、いつだって辞任する!」と、エディー、惨敗して開き直り

2012-06-21 02:39:52 | スポーツ

Dscf6121 危惧してた日本の弱い点が、また白日の下にさらされ、「フレンチ・バーバリアンズ」に対し、ほぼダブルスコアで負けた。

 しかし、2015年に世界トップ10をすればいい、今はその苦しい成長過程だ、と言ってたエディー・ジョーンズが、敗者の記者会見の冒頭から、怒りまくった

 「選手に勝つ気がなかった!」「辞任しろ、というなら、いつだって辞任する!」(写真・中央)

 意外な展開に、いささか驚いた。

 

 今もって、うまくここに冷静に表せない。日を改めて、打ちます。

ただ、次戦の24日は、フレンチ・バーバリアンズが、本気モード全開のフルスロットルで来る。勝ち目はない。

 どう立て直していくか?

 いずれ、稿を改めて、打ちます。

 観客数、明治大学など名門ラグビー部員など、大量にタダ券ばらまいて招待しても、わずか3799人。

 ラグビーフアンは、日1日と離れつつあります。

この流れを食い止める、打開策は、あるのだろうか?・・・・・・・・

 

 

 


<リアル ラグビー ルポ>6月20日 JAPAN XVと闘うフレンチ・バーバリアンズの練習実態

2012-06-19 15:36:08 | スポーツ

Dscf6080その名も、フレンチ・バーバリアンズ。まさに、文字通り「フレンチ」。正しい訳なのか知らないが、「フレンチ・キッス」なる言葉。軽いタッチのキッス、ということなら、まさに「軽い」練習。

 あと、たった2日後に、試合が迫っているとは、到底感じられなかった

 このチーム。フランスに数あるプロのクラブ・チームから選抜されたメンバーの混成チームだ。

 国を代表する最強チームでは無い。しかし、代表の一員として、30試合以上出た実力者もいれば、2~3試合出た若手やベテランもいる。そこそこの実力を持つで・・・・・・あろうチームと、とらえていた。

 この手合いの知識だけある、サメ肌の初老の男と、かつてラグビーをやってたとは到底思えぬ、ぶよぶよの腹の出た男が、テレビで知識披露している。グラウンド取材にはめったに来ない。この日もだった。

 ちなみに、現在のフランス代表は、昨年のワールド・カップに出たメンバーを一新。若手を中心に改めて編成され、同じく海外遠征に精力的に出かけている

 さて、この「フレンチ」。ホントに混成。年齢も、36~21歳。平均年齢、26・8歳。身長も198~163センチ。体重も、134~70キロとすべてが、日本以上に幅広い。それは、練習の合間、円陣を組むと、凸凹で、遠目からもよく分かる。

 フランス型ちょんまげヘアの人もいれば、スキンヘッドにライオン・ヘア、かと思えば信仰心からか、ファツションか、腕に聖母マリアとおぼしき入れ墨をしている選手もいるなど、多士済々。

 来日したのは、6月15日。その日から時差ボケもものかわ、練習。ところが、実態はアレレ~?の、リラックスぶり。

 グラウンドに出ると、初日からフリスビ―で遊んでた。ほえ~・・・・・。

 連日、午前中に大体1時間半前後の練習を終えると、シャワーを浴びて気分一新した後は、三々五々、観光に出かけている。

 来日2日目に、チームとしてのフォメーション・プレイらしき動きを少し見せたものの、短く切りあげた。

 ジャパン対策は?  実は、17日。予定していた練習を中止して、全員で秩父宮ラグビー場へ。日本対サモア戦を、しっかり見た。

 それでも、見た目の危機感、緊迫感は、無し。変わらず。どこからも、全く感じられない。

 その翌日の全体練習でも、コンタクト・プレイは、一切無し! ありりゃあ~?

 ブレイクダウン(激しいボール争奪戦)も、あっさり。それでも1人、ケガ人は出る。オイオイ・・・・・。ケガ人は、出したくないというのは分かるが、トンガ、サモアとは、試合に臨む姿勢と気迫が全く違う。だから、その2国は、下剋上が狙えるチカラを、身に付けつつあるのだろう。

 それでも、試合で一挙に実力を披露しよう。そういう算段か?

 しかし、さすが、と感じさせる片鱗は、かいま見せた。ゲーム形式までもいかないが、一方が青いビブを着けて、攻めこむ。タックルや激しいボール争奪戦こそ無いものの、向かってくる相手を、半身手前でサッとかわす。サッ、こらサッ。

 天性のモノというより、各人が長年の練習で積みあげてきた、自然に出来てしまう反応なのだろう。

 フォワード陣に目を転じる。スクラムも、きつくゴリゴリと組みあい、押しまくることはせず、組みあう形などの確認で、あっさり終える。

 日本よりもいくぶん腰高だが、これも本チャンになればどう変貌するか?

 エディー・ジョーンズは、このスクラム陣の評価が高い。さてさて・・・・

 少し気に掛かったのが、ライン・アウト(写真、左上)。

 リフティング(持ち上げる)する位置と高さが、一定せず、高低バラバラ。写真の瞬間は、高い方。慣れぬコンビネーションとタイミング。しかし、これも、比較的あっさりと終えた。う~ん・・・・・・。

 溢れる自信? プライド? 見下し? 余裕?

 気温26度。しかし、涼風が時折りグラウンドに吹き渡り、決して暑さは感じられない。サラッとしたフレンチ練習にもかかわらず、10分ごとに水分補給タイムをとる。汗を拭く選手もいない。

 最後の仕上げは、世界どのチームもそうだが、ゴール・ポストに向けてのキックの練習。5人ほどが両サイドで蹴り合う。

 成功率、50パーセント。しかし、つい最近、サモアが練習では全く入らなかったのに、試合では要所要所で確実に成功させた。

 練習で、コレを判断するのは怖いと、身にしみて知った。

 断っておくが、日本人取材者がいるので、手の内を見せないということは、カケラも無かった。撮影も気にもしない。

 20日、19時半からの初戦。しょせん、日本はあんなモンとタカをくくってきたら、意外にワクワク、ドキドキする展開になるかも? しれない。

 本気モードは、2戦目の24日(日)になりそうだ。

 なのに、エディーは、初戦に初陣4人も起用。ここで大敗でもしたら、次の勝ちは望めないだろう。

 この前の、サモア戦。

 日本は、愚直と思えるほど、まともにぶつかってのアタックを繰り返した。かわせないのか、かわさないのか。せっかくのトライチャンスに、サポートがいない。前半8分の五郎丸、後半26分の廣瀬のトライへの疾駆が、その例だ。

 サポートがキチンといれば、成功していたはず。

 サイズが小さい日本は、グラウンドを大きくフルに使っていくのが、有効的なのに、それを見せたのは、ノーサイド寸前の廣瀬のトライの時だけ。

 先の26分、廣瀬が右ライン際を走ってタックルされた後、五郎を退かせたのには、信じられなかった。

 確かに、この日の五郎丸のキック成功度は珍しく低かった。とはいえ、ひさびさのニコラスのキック2本は、危惧した通り、失敗した。

 たら、れば、は勝負に禁句だが、その意味で勝ちを落とした試合だった。

 しかし、エディーになってからの、連日の厳しい練習で出来なかったものが、「来年は、勝てる。できる」(廣瀬・主将)保証は、どこにも無い。

 客席の失意と、落胆と、批評も、上記の通りだった。スコアこそ、26-27の惜敗。しかし、客席のラグビーファンは、そうとらえていない。

 客は正直だ。雨上がりの、日曜午後の晴天。観客数、日本代表戦の最低数の5386人。「また来ます?」と、数多くの客に問う。

 即座に「ハイ」と答える人は、皆無だった。

 「産みの苦しみと、言ったら良いのかなあ」と、ある著名な監督。

 何人もの監督にも聞いたが、早くもエディ-の指導力の評価は、ジョン・カーワンと比べて低かった。

 早計? そうか、とも思う。まだ数か月。しかし、もう数か月・・・・・

 サモア戦の直後、痛みからか、足を心持ち引きずっていた”歴戦の闘士”大野均(ひとし)に、2ヘッド・コーチの違いについて聞いた。

 苦笑いして、困った様に言葉を選びつつ、こう答えた。

 「JKはJKの考えにフィツトした選手を選ぶし、エディーさんはエディーさんにフィツトした選手で、チームを構成するということです」

 エディーは、フォワード陣に1人3キロ、まだ体重を増やし、筋肉をつけさせると記者会見で言明。

 「また、言ってます?」

 そういって、闘士は少し力なく笑った。

 


<リアル ラグビー ルポ>サモア、フレンチ・バーバリアンズ。相次ぐ強豪混成チームに、勝てるか?日本代表

2012-06-17 11:22:00 | ニュース

 やっぱりか! やっぱり、あの「スーパー15」などで活躍しているプレイヤーも含めて5人が、全員この17日に行なわれる日本戦に出場するんだ・・・・・・

 「サモア代表、出場メンバー表」を見て、う~んと、ココロのなかでうなった。

 フォワード陣には、ティー・パウロ、イオセファ・テコリ、ケーン・トンプソン。控え(リザーブ)にセンサス・ジョンストン。いずれも100キロを軽~く超える巨体がズラリ。

 スクラム・ハーフには、カーン・フォトゥアリイ。

 そして、練習には加わらず、別メニューでリカバリーしていたキャプテンのデイビッド・レミも先発出場する。

 日本のメンバーには、極端に大きな変更はみられない。もし、3戦全敗となった時の、ラグビーファンの落胆とその後の観客数の減少が気に掛かる。今回は、あえてここ数日の日本代表の練習を見ていない。変化、変貌ぶりを、試合で期待したいからだ。

 というのも、熱心なラグビーファンはすでにご存じだろうが、すぐ日を置かずして、6月20日(水)と24日(日)に、「リポピタンD チャレンジ2012」として、フレンチ・バーバリアンズとの連戦が待っている。

 この2試合は、この15日にトンガ代表と闘った「ジュニア・ジャパン」のメンバーも加わり、いわば混成チーム「JAPAN XV(フィフティーン)」として闘う。

 いままで積み重なった日本代表選手の疲労も、半減されるだろう。というより、”ジュニア”の伸びしろに、実は私は多いに期待している。トンガ代表に危惧した通り負けはした。ミスも多かった。チームプレイの域にも達していない攻撃の失敗が、否応なく目に付いた。

 しかし、停滞しているように思える日本代表よりも、はるかに強くなりそうだ。それは、単にトンガ相手にトライ数が、2に対し3と、多く取ったからだけではない。

 敗戦後の記者会見で、生まれて初めて主将を担った篠塚公史(こ~じ)が、自信を滲ませて、キッパリと言った。

 「たった4日間だけの合宿で、ここまで出来たんですから。もっと、あれば・・・。負けたことは、正直、悔しいです」

 その意気、買った! 座布団10枚!

今後は、特待生をカネ(鐘)と太鼓で全国から集めまくっている関東の強豪大学がやっている”部内マッチ”を、どんどん試みることを勧める。

 ジョン・カーワン時代には、いつ何時でも入れ替えや、今見てみたい新人加入が有りうるという、選手側にとって緊張感があった。それが、今は欠けている。

 「このメンバーで、2015年のワールド・カップまでいく。変動は無いと捉えてもらってもかまわない」と言った、エディー・ジョーンズ

 まるで高校ラグビー部の世界だ。まとまって、戦術練り上げ、完成させていこうよ、なあ、みんな、俺の言う事きけよ、生徒たち。それもアリか、とは思うが・・・・・・

 部内マッチでは、ノン特待生の4本目(4軍)から、這い上がり、頭角を現す選手もいる。そういうことは、選手としては1度も華開くことは無かったが、コーチとしての実績を築き上げつつあるエディーは、よく御存じのはず。

 一方のフレンチ・バーバリアンズもまた、フランスの数あるクラブチームから選手選抜された混成チームだ。

 国の威信を賭けてというより、クラブ総体のチカラを、東洋の島国に見せつけようと、空を飛んでやってきた。そして、勝ちに来た。

 すでに15日に来日。すぐその日から、練習開始。コンビネーションを組み立て、2試合終えて帰るまで、1日も休みなく練習に取り組むスケジュールだ。ひと時の観光も、許されない。

 

 なお、17日(日)のサモア戦の前、秩父宮ラグビー場の観客入り口の、西メインスタンド・コンコースで、13時30分~14時までの予定で、男女合わせて9人の日本代表選手が「募金活動」を実施します。

 

 趣旨は「SAKURA基金」と銘打って、被災をこうむった福島県の小・中学生、合わせて100人に、なかなか普段は見ることの出来ないラグビーの試合を見てもらって、勇気づけてあげたい。

 

 ついては、24日(日)のフレンチ・バーバリアン戦に招待しょうと。その費用を、選手自ら募金活動しようという連続活動の一環だ。是非、協力してほしい。

 

 ちなみに、この日、募金に立つ選手は、桑水流(くわずる)裕策、竹中祥、マイケル・リーチ。

 女子は、俊足のトライゲッター井上愛美(ちかみ)、後藤萌美、鈴木彩香、鈴木実沙紀、辻本つかさ、そして横山里菜子。

 さて、唯一であろうか、サモアの練習をつぶさに2日見た者には、あのド怪力スクラムを封じる手だては、逆にそれを利用しての、巧みなコラプシングに誘って、ペナルティーを得て、セットプレィを選択するよりも、ここは完調の五郎丸歩を信じて、ペナルティー・キックに託して、点数を、3点ずつ積み重ねてサモアの点数に、歩み寄る。そんな戦法も考えたりもした。

 すでに報じたように、サモアのキックの成功度は低い。しかし、ブレイクダウンからの球出しは、おっそろしく早い。カーンが、活躍するはずだ。

 また、フレンチ・バーバリアン戦。とりわけ、2戦目の24日(日)は、必死必勝で15人のSAKURA戦士は突き進む他ない。

 でなければ、100人の子供たちは、勇気づけられるどころか・・・・・・

 最後に、なでしこジャパンの”世界基準”沢穂希(ほまれ)が、実感を込めて、しみじみ語った言葉をSAKURA全戦士と、エディーに、送ります。

 <”結果”を残さないと、何も・・・こう・・・注目されないですし、厳しい状況になるんで。”結果”を残すことが、使命なんでしょうね>

 


<リアル ラグビー ルポ>緻密なサモアの練習と戦略。そのありさまを、すべて教えます

2012-06-17 11:20:00 | ニュース

Dscf5865 どことなく、楽しそう。どことなく、リラックス。サモア代表チームの練習を見つめた、1回目の、それもアタマの印象。

 だって、その日、見上げる空は抜けるように青く、気温は6月とはとても思えないほど暑かったんだもん!

 思わず、ココロのなかで、「青い青い空だよ 雲のない空だよ サモアの島 常夏だ~よ」と、「サモア島の歌」の出だしが、浮かんじゃつたほど。

 紺色のジャージが、全員ランニングで躍動し、柔軟体操でしなる。名古屋での初戦の後、新幹線で東京へ移動。

 サモアには新幹線が無く、珍しかったのか、すっかり大はしゃぎ。ビデオカメラとデジカメで撮りまくり、Vサイン。すっかり楽しんでいた。

 でも、いざ練習に突入すると、統率は、とれている。並んでの、パス・ワーク。速い、素早い。

 流れるよ~にと打ちたいけど、時々、ポロリ、またポロリとキャツチ・ミス。

 フッと数年前、同じグラウンドで見た、20歳以下(Uー20)のオール・ブラックス(ニュージーランド)の練習の光景を思い出した。

 1度でもミスすると、すぐその場で、腕立て伏せ10回をさせる。どんなプレイでも、ミスすると腕立て伏せ10回。近くで、コーチの1人が、チェツク・シートに何やら書き込んでいる。練習をさせながら、それと同時にすべてが、セレクションの網の中にある。

 世界ナンバーワンを常に争う国は、そこからして違うんだと、感心した。強さの秘密を知りたくて、毎回ひょこひょこと通って見続けたら、最終日、チーム・マネージャーに呼び止められ、チームの黒光りするバッチを戴いた。

 「皆勤賞ですよ」との、言葉。嬉しかった。

 

 で、サモアは、罰は無し。コーチ陣や選手のなかに、入れ墨をしているお人が目に付く。 中・高校時代にラグビー部にいて、高校日本代表候補にまでなり、東西対抗戦に出場した橋下徹・大阪市長が見たら、なんちゅう顔するやろかいな。

 体型が、コロコロ太っている選手が多く、タックルに臨む体勢に代わると、なにやら大相撲のぶつかり稽古に似て見える。ああ、ドスコイ、どすこい。

 ところが、ここからが緻密さと、理にかなった練習に一変する!

 すさまじい瞬発力!! ど太い足腰の強靭さ。鋭い前傾姿勢。

 タックルの方法が、3段階に分かれる。

 1)片足の太ももへタックル

 2)両腕で、相手の両太ももを挟み込み、ひねり倒す(写真、左上)

 3)相手の胴を抱きしめる、抱きすくめる。というより、太い両腕で、これまた挟み付けるようにして、まともにぶっ倒す

 これを、タックルを仕掛ける相手を見て、瞬時に1~3を使い分ける。

 この後、闘ったフィジー戦で、見事にキチンと使い分けていた。

 ーーそして、2回目。状況と、ムードは一変していた。こちらも、プレス・カードを首から下げて、デジカメを出そうとすると、撮影は一切禁止だという。しかし、ヘッド・コーチへのインタビューは、許可が出た。

 10日のフィジー戦後の勝利チーム記者会見の最後に、「今日、午後2時の成田空港着で5人の選手が来日します」と、スティーブン・ベイサム、ヘッド・コーチが明かにした。

 ということは、ヨーロッパ組が参戦するってこと?

 この時点で、勝ち点8と、4チーム中、トップ。17日に日本に完勝して優勝狙いの、強化策か。

 グラウンドには、いたいた、チーフスのロック、ケーン・トンプソンが。

 すでに34キャップ(国際試合出場)を持つトゥールーズのプロップ、センサス・ジョンストン。

 そして、ティー・パウロ。カーン・フォトゥアリイ。この日までに、それぞれが来日していた。最強プロップのセンサスなどは、なんとこの日に到着したばかり。

 時差ボケなど気にもせず。あとで私は、驚くべき、とんでもないものを見てしまった。

 5人中、残る1人のロック、イオセファ・テコリは、まだ来日していないが、試合までには間に合うとのこと。

 そこまでして、我がジャパンに勝ちたいのかい?

 そんな質問を、ヘッド・コーチのスティーブン・ベイサムにぶつけたところ、ぷっくりと前にせりだした太鼓腹を揺らして笑った。

 「いやいや、実は5人にはずいぶん前から出場依頼をしていて、本人たちからはオーケーをもらっていたんだ。でも、所属しているチームがなかなか”リリース”してくれなくって、やっと後から合流という形になったんです」

 もちろん、そうまでして呼んだ5人に、やあ、よく来てくれた。聞いたところによれば東京スカイ・ツリーという新名所が出来たそうなので、観光をして楽しんでってくれ、な~んてコトは絶対にありえない。それに、グラウンドとホテルを往復するバスからもツリーは見える。

 最強メンバー5人は、闘うために日本に来た。たまたま、最終戦で日本と当たることになった、というわけだ。

 コアなラグビーファンは、彼らのプレイを目の前で見られるだけで、満足かも知れない。

 では、日本に対しての秘策は、あるのだろうか?

 スティーブンは、それにはニコニコと笑って答えてくれなかったが、

「これまでの2試合は結果として勝てたが、ミスも多かった。ミスを1試合でも少なくしてキチンと修正して、臨みたい」

 では、日本チームについての印象は?

 「日本は、良く戦っていると思う。日本には、アンラッキーな部分もあるし。しかし、余裕をもっては全くいない。そんな気持ちを持ったなら、足元をすくわれることになる。気を引き締めて、勝利を手にしたい」

 目を練習に、転じる。5人対5人で、スペースを見いだしては、素早く斬り込んでゆく。

気温は、21度。微風。常夏の国からくれば、最適の練習温度だろう。殆んど、選手は汗をかいてない。

 適時、円陣をくんで、チームのエンジンを上げる。交わす言葉は、サモア語と英語。

 タックルに移行する。先に打った3つのパターンを組み合わせて、じっくりと確認しつつ繰り返す。胴体挟み型に磨きがかかる。上手い!と感心してしまう。

 ブレイクダウン。しつこく、しつようにボールに絡む。

 いろんな、ブレイクダウンの型を試している。

 一転、ボールの出し方は明確で、早い!5秒以内に出さなければならないという新ルールにもはや完全対応済みだ。

 ん?? 気になっていたのだが、練習に加わらず、全く別メニューで、もくもくとランニングしたり、マッサージを受けたり、腹筋運動をしている選手が1人いる。

 フィジー戦で3トライ中、鮮やかな2トライをあげたキャプテンの、デイビット・レミだ。記者会見に出た時は何も感じさせなかったが、ヘッド・コーチに聞くと

 「あの試合でケガをした。今はリカバリーをしている状態だ」とのことだ。日数から推察しても、日本戦には間に合わないのではないだろうか・・・・

 ホテルでも、彼らは緻密に日本対策を考えている。

 チームミーティングの後、試合の映像をつぶさに見て、ミスの繰り返しを防ぐ手だてを論じ、相手の気になる動きを、1コマ1コマ、止めては動かし、止めては動かして戦略をコーチだけではなく、深夜まで選手自ら考えている。

 出かけるのは、コイン・ランドリーに行く時だけ。きわめて真面目。膨らむ常夏マンのイメージとは、全然違う。

 タックルも、相手の身体の上から下まで試す。表情は真剣。先週とは大違い。

 5人が来たっていうことは、今まで出られた5人が一気に出られなくなるということ。勢い、残るシートを狙って、つばぜり合いが生じている。

 走るフォワード、走れるフォワードがグラウンドで躍動している。

ロング・パスワークも繰り返す。

 右手とヒジに分厚いサポーターをしている選手が2人いるものの、スクラムの組み方を、入念に考えつつ、繰り返してゆく。

 新たに加わったセンサスやケーンら、ヨーロッパ組。彼らが組む体勢が、まるで100メートル陸上選手のスタート・ダッシュに酷似。

 息とタイミングを合わせて、ぐわっ!!と前傾姿勢で突く!

 見てるだけで、筋肉がピクピクと、ひきつりそうだ。

 その流れで、スクラムマシンに2列5人だけが組みあって押す。マシンには選手10人が乗った。

 押した。動いた!! 動いたどころか、右へ大きく半回転した!!

 マジかよおおおおおお!!

 こんな人間とは思えない怪力瞬発力と、といめんで組まざるを得ない。う~ん・・・・・

 練習の最後には、ゴール・ポストに向けて、キッカー数人の連打。

 右から、左から、遠くから、近くから・・・・・・全く、1本も入らない

 フィジー戦でも、半分近く失敗していた。

 チラリと五郎丸の笑顔が頭をかすめた。競り合った時の「強み」が、ココにあった。

 けど・・・・・・・

 

 

 

 

 

 


<リアル ラグビー ルポ>6月15日(金)午後4時 日本の若きラグビー戦士たちが、トンガ代表に挑む

2012-06-15 12:50:00 | スポーツ

 このうえ無い力試し、といえば良いか。つい先日、スコア的には、20-24と、”兄貴分”ともいうべき日本代表は、トンガ代表にあと一歩と迫る惜敗。

 しかし、トンガ代表の猛攻を何度もしのいだものの、わずかな防御の隙を突かれて、いとも簡単にトライを奪われた。加えて、現在は、クボタに所属するキッカー、カート・モラスのキックがこの日も不調。ペナルティー・ゴール3本、ドロップ・ゴール1本が入らず。それが成功していれば、もっと点差は開いたはず。

 

 ちなみに、日本の誇るべきキッカー、五郎丸歩(あゆむ)なら楽に3本は成功していた角度と距離だった。

 さて、「練習試合」と銘打ってはいるものの、この日、トンガ代表に立ち向かう「ジュニア・ジャパン」。

 ジュニアというと、イメージ的になにやら誤解されそうだが、キャプテンを務める篠塚公史(こ~じ・28歳)、バイス・キャプテンの内田啓介(20歳)の2人は、日本代表スコッドにも入っている、期待の星だ。

 その他にも、指令塔と俗にいわれるスタンド・オフには田村優(ゆう、23歳)、フルバックには同じく近い将来が期待される豊島翔平(とよしま・しょうへい、23歳)。

 加えて、7人制日本代表入りして、国際経験も積む中でメキメキと頭角を現し、読みにくい苗字も、ラブビー・ファンの間で広く読まれるようになった桑水流裕策(くわずる・ゆうさく、26歳)もメンバー入りしてるなど、いわば”準・日本代表”チームと捉えてもらった方が良い。

 ここに打った選手全員が、先発で出場する。彼らの力量を見る、絶好のチャンスだ。

 日本ラグビー協会は、2015年、並びに2019年のワールド・カップ日本大会の必勝に向けて、「若手選手育成のための新・プロジェクト」の一環として、急きょこの混成チームを編成。わずか4日間ではあったが、試合会場である秩父宮ラグビー場を使って直前強化合宿も行なった。

 兄貴分の日本代表とも、うち2日間の、計2時間ほど合同練習も経験した。

対するトンガ代表は、ヘッド・コーチのトウタイ・ケフが約6年間所属して大活躍したクボタのグラウンドで、連日みっちりと練習を積み重ねてきている

 現在所属して、すっかりチームに馴染んでいるカート・モラスといい、いわば勝手知ったる自分の庭で、たっぷりとトンガの汗も、染み込ませてきた。

 クボタとは、この試合までに2回、”強化試合”を敢行。不意の大ケガを避けるため、幾分”流して”たとはいえ、そのパワーとスピードは健在のままだった。

 細かな修正も行ない、本気モードで準・日本代表を叩きにかかる。

 正直、ジュニア・ジャパンに勝利は望めない。

 しかし、走る巨体軍団を前にして、決して一瞬たりともひるむことなく、立ち向かって欲しい。痛さ、をしのぐ動きを見せて欲しい。

 日本には、速いパス回しという武器がある。トンガの意表を突く裏パス、変幻自在のダミーを起用して振り回し、グラウンドを大きく使って、左右のライン際を突っ切ってゴールラインに飛びこむ姿を期待したい。

 極力、巨体をギリギリまで引きつけておいてだが。

 そんなプレイが運よく見られたら、拍手してあげて欲しい。歓声を送って欲しい。もしかしたら、ペナルティー・ゴールの先制でリードするかもしれない。

 ノーサイドの笛が鳴るまで、トライの2本も取れたら、上出来だと思って欲しい。

 欲しい、欲しいの連続で恐縮だが、ついでに、まずもって見に来て欲しい。足を運んで欲しい。

 天候は、雨降る心配無し。平日の午後4時という、会社員にとっては、外回りの営業マン以外、行きづらい時間帯。しかし、入場料無料

 元ラガーマン、高校生、大学生、自営業、ヒマなフリーターに、就活にいささか疲れ始めた学生さん。大挙して、来て下さい。

見たら、元気が出ます!

 テレビ中継無し。おそらく、スポーツ・ニュースでも報じられず。もう、自分の目で、見るしかない!

 見れば、ラグビーというスポーツ競技の面白さ、楽しさなどが、たっぷりと分かります!!


<リアル ラグビー ルポ> 日本代表 やっぱりトンガに負けた。17日のサモア戦は、もっと勝つのは厳しい

2012-06-13 10:18:00 | スポーツ

Dscf5944 ああ~っ!! やっぱり、負けちまった・・・・・・。すでに報じたように、競り合ったとしても、最後は厳しいと思っていた。

 とはいうものの、目の前でキッチリとソレを見せつけられると、かなりの衝撃が、心の奥を走り抜けた。この先、”純国産若手”チームは、どのようにしていったら、勝ちあがっていけるというのだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 前半8分、クボタに所属するカート・モラスのペナルティーゴール成功。0-3とリードされたものの、13分には日本がフィジー戦に続く怒涛のモール・トライで、5-3と逆転(写真上。赤いジャージが日本。白いジャージがトンガ)。

 良い滑り出しを見せたかに思えたが、前半でのトライは、ソレのみ。

 後半唯一のトライは、五郎丸歩の好判断と、個人技のチョ~高い能力によって得たもの。

 ペナルティーゴールの弾道が、少し右に行き過ぎ、ゴールポストの右のポールに当たって、跳ね返った。「蹴った瞬間、当たると分かった」と言う五郎丸。

 すぐ五郎丸は、ボールへ向かって突進!!はずむボールを、キャッチ!

 目にも鮮やかなトライを成し遂げ、続くゴールキック(コンバージョン)も難なく成功させた。

 練習の時の記事でも打ったが、五郎丸のキックの成功度は高く、かなり安心して見ていられる。それは、キック能力だけではない。

 勇猛果敢にタックルしてゆく。身体にこたえる痛みを、全くいとわない。献身的なプレイが目に付く。早稲田出身者にありがちな、俺が俺がの、歪んだ目立とう精神は学生時代から見られなかった。

 プレースキックの時のスタイルは、独特だ。両腕を真っすぐ前に伸ばし、いったん両手を合わせ、腰と膝を屈めて、距離と角度を計り、精神を整えたのち、蹴る!成功!

 今後の日本代表には絶対に欠かせない、キープレイヤーだ。心配なのは、大ケガのみ。

 トップリーグからの誘いが「3社ほどありました」と言う頃。偶然、地下鉄の同じ車両の、それも向かいの座席に彼がいた。

「また、あの時の彼女来るかなあ」 「あの時のメシ、うまかったよなあ」

 同じラグビー部の、同じく卒業する学生を伴っての、勧誘接待攻勢の場に臨む何回目かの時だったようだ。むろん、会社はラグビー部員としては、五郎丸しかいらない。しかし、”連れ”をむげに断るわけにもいかない、というところだったか。

 五郎丸の、”友達想い”の一端を見た。車両の客は、誰1人として五郎丸のことを知らない。早明戦の視聴率、例年3~4%では、それも当然か。

 さて、日本の2本のトライがこのようなカタチで生まれたのに較べ、トンガの前後半合わせて3本のトライは、日本のディフェンス・ラインを崩した挙句、いとも簡単に走り切り、タックルをサッとかわした結果のもの。

 日本選手の、大きなミスからつながったものではなく、集中力が切れたものでもない。

 だから、重い・・・・・・・・。小さなミスは、言っても仕方ない。

 日本の選手は、1人残らず、全力でプレイしていた。交替、入れ替え含め、20人。これ以上、現時点で何を望めば良いのか!?と、思うほど。

 しかし、攻めても攻めても、ことごとく、トンガ勢のタックルでつぶされた。それでも、それでも、なおかつ、それでも走り、トンガの分厚い壁にぶち当たった

 しかし、ワンパターンでは、無い。ニコラス・ライアンが、パスを受け、斬り込んで走り込むダミー役を見事に演じた。そんな巧みさも、見せた。

 今、振り返れば、ニコラスが、非常に狭いスペースを瞬時に見つけ出し、すぐさま容易に斬り込んでいたので、ダミーに専念しなくても良かったのでは? ともおもうが、ニコラスへのマークがハンパじゃなかった。

 先の五郎丸の果敢なトライと、コンバージョンの成功で、17-17の同点にした。

 しかし、その10分後、トンガにさっきのパターンで、難なくトライとゴールキックを決められ、17-24に。

 日本もその6分後、五郎丸がペナルティーキックを成功させ、20-24。残すところ、あと11分。1トライとれば、逆転勝ち。初の1勝が転がり込む。昨年、得失点差で辛くも勝ち取った優勝の可能性が、薄皮1枚残される。

 会場は、一気にヒートアップ! 「ニッポン、ニッポン」の大歓声と、「ニッポン、チャチャチャ」の合唱さえも、飛び出した。

 逆転して、勝っては欲しかったが、無理だろう。もう1人の自分が冷静に判断していた。今のチカラが、まぎれもなくコレなのだから・・・・・。

 そして、トンガの1人が危険なプレーをしたということで、シンビン(10分間の出場停止)の処分。試合修了まで出場は無かった。14人対15人。

 それでも、負けた。点差以上の、総合力の開き。これで、2戦全敗だ。

 まして、今回のトンガは若手中心。サモアや、フィジーも、そうだ。ベスト・メンバーで来日はしていない。

トンガのヘッドコーチの、トウタイ・ケフは試合後の勝者記者会見で、余裕と新任の苦労を背景に、日本チームをこう評した。

 「日本は、まだまだ時間がかかるチームだと思う。エディーは、良いコーチだと思うが、あと1~2年は時間を要すると思う」

 「日本は、クイックな闘い方をし、ランニング・ラグビーをしてくるチームだととらえていた。しかし、日にちも少なく、特別な闘い方を考えて試合に臨んではいない」

 このトンガ代表、この6月15日(金)午後4時から、日本のジュニア・ジャパンと秩父宮ラグビー場で練習試合を行なう。入場無料なので、興味と関心のある方は、是非是非、足を運んで、その目で見て欲しい!

 おそらく、トンガもまだ試合に出ていない選手を出場させたりしてくるはず。勝敗ではなく、ジュニアのチカラが、今の時点でどの位のものなのか? じっくり、見定めて下さい。

 ケフの後に、日本の会見が始まった。

 いささか驚いたのが、まるでエディー・ジョーンズが,敗因を語るのは当然なのだが、そのトーンが悔しさを微塵も感じさせないのだ。

 自らが分析したプレイのミスなどを、次から次へと語る。

 敗軍の将、多くを「語る」。聴き進めると、その席にいるのは、まるで評論家か、解説者に思えてき始めた。そして、日本はこのクラスでさえ、なかば永遠に勝てないのではないか?とさえ感じさせ始める。新任、間もないとはいえ、あなたの責任は、いずこに? 具体的、打開策は、どこに? いずこに?という想いが湧く。

そんなことを聴いている、約40人余りの報道陣の、くもる、険しい表情を察知したエディー。

  自らこう切り出した。

 「私は、幸いにも日本の新聞は読めない。妻は日本人だけれど、新聞を読まない人です」

 批判は、書かれていても、目にもしないから、気に留めないよ、という意味合いか。

 そして、会見の最後を、また自らこう締めくくった。

 「来年のこの大会では、トンガに15点差で勝ちます」

・・・・・・・・・・・・・・・・エディーが去った直後、ベテランのラグビー・ライターが少しだけ侮蔑をにじませて、誰に言うともなく言った。

 「15点差だってさあ~・・・・」

 

 

 

 サントリーをトップクラスの常勝軍団に、ワンランク上げたエディー・ジョーンズに日本ラグビー協会が託したものは、少なくとも結果だったはず。育成だけではないはず。その為に、高い年俸を支払った。

 「いい意味でも、悪い意味でも、あの人はプロの職人だから」と、彼が日本代表のヘッド・コーチを囁かれ始めたころ、その人柄を評したヒトがいた。

 「選手選考の基本は、日本人」

 それが、エディーが常日頃クチにする基本。それは、2015年、続く2019年に我が国で開催されるワールド・カップに向けて、近い将来を見越してのことだという事は理解できる。

 ガイジンのプレイヤーは、いくら3年以上活躍しても、いつまでいるか。いついなくなるか、なんの保証も無い。日本人はいる。海外留学してても、日和佐篤の様に、説得されれば、即戻ってくれる。

 前ヘッド・コーチのジョン・カーワンが当初、日本は人種差別国ではないのか?と不満を持っていた時期があった。

 キャリアとパワーとテクニックを兼ね備えたガイジンを、多く日本代表に説得に苦労しつつ抜擢。なのに、勝っても勝っても、もろ手を挙げて喜ばれず。逆に、あんなにガイジン多くて、何が日本代表か? 勝って当然じゃないか!そういう声が、内部から出てたことに、不信感をもっていた。

 協会専務理事(当時)は、「勝つためには、この方法しか無いじゃないか。これで、良いんだよ」と、言っていた。

 カーワンは、「日本」を良くも悪くも、日1日と、否応なく理解。ガイジンを減らしつつ、ベテランのガイジンに合宿の中で日本人にさまざまなテクニックなども教えさせた。と,併行して将来性のある日本人をたびたび呼び、育成もしていった。

 見事だった。そして、あらゆるリーグの試合を全国の空を飛んで見まくった。その仕事ぶりには、驚くと同時に、頭が下がった。

 敗因の分析を、クチにすると同時に、責任も負い、常に明るく選手を鼓舞させ、前向きだった。

 選手たちも、第一回ワールドカップのトライ王の、あの伝説の独走トライ選手を、親しみを込めた憧れの目で見ていた。

 昨年のワールドカップ。「2勝が目標」と言っていたのが、1勝も出来ず。勝てないなと、冷静に思いつつ、カナダとの引き分けには、胸が熱くなった。

 日本の実力は、確実に1歩ずつ階段を上がっていた。降りることは、なかった。

 ただ、強豪国が2歩ずつ上がっていた。そういうことだ。

 カーワンは、去った。あれから半年、この日本代表の有り様を、遠い国でどんな想いで見つめているのだろうか・・・・・・・・・・

 この先、エディー・ジョーンズが、まさか、かつての2重契約フランス人ヘッド・コーチ詐欺師、エリサルドの様に、記者会見で堂々と、こう言ってのけることはない、と思いたい。

 「負けたのは、選手の責任だ。私に責任は無い」

 エディーは、ジョン・カーワン色を嫌った わけでは無いだろうが、選手層も含めガラリと一掃した。前・主将 菊谷崇(たかし)を追加招集したものの、以前の代表は6人だけ。

 振り出しに戻ったのなら、まだいい。まさか、マイナスからのスタートということはないであろうと、思いたい。

 この先も、選手に大幅変更は無いという。2015年に、世界トップ10入りを掲げるエディー。長期育成計画か。自分色に、染め上げるのであろう。

  新・主将の廣瀬俊朗は、トンガ戦の敗戦のあと、苦笑いしつつ「サイズ(身体の大きさ)の違いを言ってみても、それは仕方のないこと。我々は、まだ発展途上の段階なんですから」

 ラグビーファンは、長い目で見守り、温かい視線を注いで勝利を待ち続けてくれるだろうか? あるカメラマン兼記者は、廣瀬に「僕らはそうしていくから」と、やさしく声をかけていた。廣瀬は、笑顔でうなずく。

 この17(日) の14時10分からの最終戦で戦うサモアは、現在2勝の勝ち点8でトップ。

 トンガとフィジーが、勝ち点5.そして、我が日本は、単独最下位で、勝ち点たった2

.サモアは、優勝すべく、10日にヨーロッパのチームなどで活躍中の5人を来日させた。コンビネーションさえ合えば、日本が勝つのはますます厳しくなるはず。

 そしてすぐ、フレンチ・バーバリアンズとの2連戦が同じ会場で待ち構えている。

 気になるのは、日本代表戦の観客数が、昨年より低迷していることだ。

 10日のトンガ戦、7719人。同じ日、少し離れた国立競技場で行われた女子サッカーなでしこリーグの首位決戦、INAC神戸 対 日テレベレーザの観客数 1万6663人。そのほとんどが前売りで購入した客が詰め掛けた。

 秩父宮も、SS指定席が完売した。朗報だ。人気、観客の長期計画も重要なことは、言うまでもない。もし、負け続けても来てくれる保証は、見えずらい。

 無い物ねだりを打ち続けたつもりは、無い。しかし、・・・・・・・・・・気が、ズンと重い。 

 


<リアル ラグビー ルポ> これで? こんなんで勝てる? 6月10日 対最強トンガ戦に

2012-06-10 09:38:00 | スポーツ

Dscf5901 日本代表の練習を見た。正直にいう。これで、今大会の「パシフィツク・ネーションズ・カップ」最強のパワーと、スピードがあるトンガ・チームに、勝てるのだろうか? そんな疑問が、頭をもたげた。

 まだ夏とはいえない6月8日、試合会場となる秩父宮ラグビー場に降り注ぐ陽射しは熱く、座席に置いたデジタル・カメラは、ものの5分くらいで、触りにくくなるほど。

 選手も、熱く燃えてる! と思いたい。そうでなければ、とても昨日この眼で見た、躍動するトンガには、立ち向かえない。

 しかし、バックス陣の繰り出すパスは、極めてノーマル。眼の醒めるような、意表を突いたパスは、なかなか見ることが出来ない。

 そんななかで、5日のフィジー戦に続いて出場するニコラス・ライアンの動きは目を惹いた。パスを巧みにキャッチ。上手いバック・パスを繰り出す。で、瞬時に人ひとり通れるかどうかの、狭く細い、わずかなスペースを見つけ、判断良く、サクッ! と、斬りこんでゆく。

 さすが、キャリアは、伊達じゃない。 お見事! 鮮やか!座布団3枚! と、叫びたくなるほどだ。 他は、並。

 フォワード陣は、ひたすら、スクラム・マシン相手に、組むチカラや、高低を色々変えて一気に押す! ガチャ~ン!! 100メートルほど離れていても、その音は、ハッキリと聞こえる。そのパワーたるや、スゴイ。

 以前、女子15人制の日本代表が何度挑んでも、ピクッ!とも動かなかったというのに・・・・・。さすが、屈強の男たち! これが、フツ―の世界レベルだ。

 タックルは、2人がかりの「ダブル・タックル」を、色々と高低を変えて試している。(写真左上)。

 取材陣は20人ほど。これが、サッカー日本代表の試合前の合宿だと200人くらい、詰め掛ける。しかし、90%は、その他大勢のゴミ。携帯電話かけて話してたり、ひたすら雑談してたり、メールしてたり、外へタバコ吸いに出て居たり

 見ないでいて、よく平気な顔して、質問出来るなあと、いつもアキレている。それでイッチョ前な顔して報道している事実を、サッカーファンは、頭の隅に入れて置いて下さい

 さて、10日(日)の出場メンバーが、発表された。これで、キャップ(国際試合出場)36となる、ライアン・ニコラスを始め、極端な変動は無い。

 フィジー戦の反省と分析からきた起用理由が、エディー・ジョーンズ(ヘッド・コーチ)の口から、次から次へと出てくる。

 「フィジー戦では、スペースを見つけようと探し回る事が多かった。ボールの動きが悪かった。しかし、ニコラス・ライアンは、自分で判断して出来る」

 「対フィジーでは、フォワードで、1人当たり6キロ少ない。バックスでは7キロ少ない。その差で、どうやって勝つことができるか!? 」

 「フィジーの戦いから学び取ることが、出来なかった。ダブル・タックルの中で、どんなポジションが良いのか? もっとプレッシャーをかける事が必要だ」

 「トンガという、パワーある相手に対して、タックルをかける高さや低さが、その人に合っているか、どうか? 思い出すこと」

 「菊谷崇(たかし)は、頑張っている。その方向性は間違っていない」

 アシスタント・コーチの、薫田真広も、ニコラス・ライアンに言及する。

 「バックスが、”スペース”の認識が、出来ていない。また、キック・ターンの処理が、しきれていない。その点を、ニコラス・ライアン(33歳)の経験に期待したい」

 「10番(スタンド・オフ 小野晃征・25歳)や12番(立川理道・たてかわ はるみち・22歳)に若手を起用しているのは、(ライアンが)彼ら若手のサポートをして、色々教えることが必要になってくると考えているから」

 「フィジーよりもトンガは、もっとフィジカルなチームだ。スクラムを組んだときの2番、3番の重さも有り、できるだけセット・プレーでプレッシャーをかけたい。どれだけダメージ・ファイト、まあ格闘するか、やれるかがテーマです」

 記者発表の後、気になる  ブレイクダウンの対策について、薫田アシスタント・コーチに聞いてみた。

 すこし、うなずき「ブレイクダウンで、どれだけ出来るか? 二人目が、キーポイントになるでしょうね」

 今日は軽めの練習で終えたのは、昨日選手がクタクタになるまでやったので、という。どんな対策を講じたかは、試合でのお楽しみとしたい。

 はからずも、「楽しみ」という日本語を口にしたのは、ニコラス・ライアン。

 ポジションが、変わるのは「2年ぶりかな。久しぶりで、、楽しみです」

 流ちょうな、日本語。イングリッシュ? オー、ノーのこちらとしては、大助かり。

 以前、ジョン・カーワン(前ヘッド・コーチ)が一人暮らしだと小耳にはさみ、確認の質問をしたことがある。

 「ユー・アー・単身赴任??」

 彼は、??と、首を傾げながら、バスに乗り込んでいった。

 で、ニコラス、いつもニコニコ、いつも明るく、前向き。

 「今は、新しいチーム、新しいコーチだしね。去年の(ワールド・カップでトンガに負けた)リベンジしたい。成長しないと。もちろん、勝ちたい! 毎試合、勝ちたいね」

 トンガのヘッド・コーチ、あなたと何度も戦ったトウタイ・ケフですが?

「面白いね。楽しみだね」 そお言って、ニカッ。

 「フィジーより、スピード有りそうだし。ブレイク・ダウン、大切ね。1対1、細かいこと、大切ね」

 ホントに前向き。メンバーの中で、1番、前向きなのが、面白い。

 一番、トンガにリベンジしたい、と熱く語ってくれると期待してた、前主将の菊谷崇は「リベンジ? 僕自身は、そんなに気にしてない。意識してない」

 ありゃあ・・・

 「それよりも、しっかり自分のプレイをしたい。自分達のスピードに対し、向こうが恐怖に感じるくらいのスピードで崩していけたらと思っています」

キッカーの五郎丸歩は「キックの成功度は、ベストの状態」だという。「ちょいちょい、個人練習、やってますから」

 最後に、現・主将の廣瀬俊朗(としあき)は、いう。

「勝つというのは当然だけれど、そんなに大きな問題とは思っていない。良いゲームをして、その上で、結果がついてくればいい」

 「今はPNC(この大会)も含めて、ひとつづつの積み上げだと思っている。2015年(のワールド・カップ)を見据えて」

 「ボールを相手スペースに、もっと運ばないといけない。タックル・スピードは、すごかったですね。でも、楽しかった」

 トンガは、もっと速いですよ

 「もっと!?・・・・・・・」

「ともかく、良いゲームがしたい。それで、勝たないといけないけど」

 トンガ戦を落とすと、今大会の優勝は完全消滅する。

 スポーツマンは、例え「結果」は負けであっても、良い試合、納得できる試合をすると、心からの笑顔を浮かべる。満足する。その内容が、高度な技術で、せめぎ合えばなおのこと。

今年の2月28日、東京・後楽園ホールで、OPBF東洋・太平洋ライト級のタイトルマッチがあった。チャンピオンは、童顔の荒川仁人(にひと・八王子中屋ジム)。挑戦者は、むくつけき、ごっつい顔の三垣龍次(M・Tジム)。

 両者、力は5分5分とみられていた。試合は、素晴らしい内容だった。シロート目にも分かりやすい激しい打ち合いも見せ、かと思えば一転、三垣がスィッチして意表を突く戦法に出たりと、技術と本能とパワーと駆け引きを見せまくった。

リングサイドの、目の肥えたクロートにも大受け。結果は、3-0の判定で荒川が防衛を果たしたものの、リング上では三垣が満足しきった笑顔をみせた。

ベテランのレフェリーは、勝者の荒川の腕を上げた後、思わず感極まって2人の腕を左右に立たせて上げてしまった。

 異例のことだったが、誰一人としてブーイングの声を上げるどころか、両者を大歓声と拍手で包み込んだ。

 控え室での、三垣の満足しきった笑顔。顔は、お岩さんのように腫れ上がっていたが、一方の荒川も三垣を讃え、大満足の笑顔を浮かべていた。

 今年の、ベスト試合はこれで決まり!と思った。

・・・・・・・・しかし、それは1対1の戦い。国の威信と看板を背負った試合となれば、心情は痛いほど分かるが、ちょいと事情は違ってくる。

 名古屋での観客数、約6000人。片や、サッカー日本代表戦、埼玉スタジアムで、毎試合約60000人。共に、平日の夜。

 ゼロがひとつ違う。10分の1。テレビをチラリと見つつ、悔しさが込み上げてくる。

このくだりで笑うヒトが、いるやもしれぬ。

 しかし、あと7年後、日本で行われるラグビー ワールドカップ日本大会では、あの6万人を1試合で集めなければ、ならないのだ。赤字興行は、絶対に避けたい。

 数年前、当時GMだった太田治に、このことについて問い質したことがある。

 彼は、あっさり、こともなげに言ってのけた。

 「~に、勝てば、勝ち進めば、ヒトは来ますよ

 10日、そして17日のサモア戦は、その言葉を信じたい。

 

 

 


<リアル ラグビー ルポ> トンガ代表 うわあ! 試合直前調整 快調&絶好調だぜ!まいったなあ・・・

2012-06-07 23:37:18 | スポーツ

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 おんや? 遠目からみても、トンガの真紅のジャージだけじゃなく、青いジャージが絡んでプレイしてるじゃおまへんか。

 

 ひょっとして!? と思ったら、クボタ・スピアーズの選手達だった。この10日(日)に、パシフィツク・ネーションズ・カップ第2戦で、日本代表が闘うトンガの直前調整練習ぶりを、しっかり自分の目で見ときたくて、グラウンドへ7日の午後、足を運んだ。

 

 「行きますので」と連絡を入れた時、練習試合をまさかやるとは思わず。行ってみて、ビックリ!

 早速、目をこらして、しっかり見る。トンガの動きがいい。この時期にケガしてはいけないという配慮からか「流していた」と、試合に出ていたクボタの選手が、汗を流して言うが、ソレを差し引いても、ライン攻撃からの展開も、集散も、素早い

 すでに書い(打っ)たが、トンガ代表のヘッド・コーチは、トウタイ・ケフ。一昨年まで約6年間クボタ・スピアーズのNO、8として、チームをけん引する大活躍をみせた男だ。

 古巣と「練習試合をしたい」と、ケフの方から申し入れがあり、実施の運びとなった。せっかくの機会、クボタはほぼ全員、前後半入れ替えて自分達のチカラを、ぶつけた。来週も、もう1回やる予定だという。

 ノック・オン(パスされたボールを前に落としてしまうこと)があっても、そのまますぐ拾って、双方試合止めず続行。ケフが中に入って、笛を吹く。

 タックルされても、トンガは瞬時に2人がサポートに入って、素早くボールをつなぐ。ブレイク・ダウン(ボール争奪戦)の激しさと、早さ。パスは短く、速くつなぐが、キャッチミスがチラリ、ホラリ。

 「あのデカい身体がさあ」と、試合後、クボタの選手の口から次々と感想がもれた。終えた直後、トンガの「ウオー・クライ」が飛び出し、記念の集合写真撮影。

 クボタの選手に、聞いた。

 

 「身体、当ててくるんだよね。こっちにとって、人数余る状況、少ない。日本代表?勝てるかって?・・・・・・どうですかねえ?・・・・・」

 トンガのメンバーのなかには、チーム・メイトのカート・モラスも司令塔のスタンド・オフでフル出場。

「モラスのサイン、全部わかってます」と、ニヤリ。でも、漏らすことは無い?

 また、別のレギュラー選手。

「この前の、トンガ戦でのモラスのゴール・キックの成功率、どうしたんでしょうねえ? いつもは、もっといいですよ。」「ともかく、(トンガは)身体が、デカい!」と、笑う。

 「日本は、フィジー戦の時、ブレイク・ダウンの時とか、人数掛け過ぎですよねえ。修正してくると思いたいですが、もし同じままだと、やられますよ」

「(トンガは)うまく人数掛けてきますよね。集散の動き、速いし」

「ともかく、フィットネス、スゴイ!!」

「その代わり、パスミス多い。もう、トンガの特徴ですよね(苦笑)。ソコを突ければ、なんとかなるかも

 ケフの加入以来、トンガとのつながりが深いクボタ。談笑する選手もいる。

 「トンガは、身体の大きな選手が多いので、ウチとしては、良い練習になるんですよね。日本代表のポイントは、ブレイク・ダウンのところです。ともかく、トンガにボールを触らせないようにする。そこから、チャンスが訪れるかもしれない。あすこで、自由に展開されると、厳しいっすよねえ・・・・・・」

 聞けば聞くほど、見れば見るほど、少し、トンガ有利のひそやかな声。

 う~ん。トンガっても、仕方無い。

では、トウタイ・ケフに、直撃をば。

「日本代表について、今、どんな」

あれえ~、ニコニコ顔のケフの顔が、とたんに曇った。

「二ホンゴ、ワカラナイデス」

ああ、そ~ゆ~、日本語だけは、わかっていたかあ・・・・・・

 


<リアル ラグビー ルポ> 6月10日 14時 日本代表 対 トンガ代表。トンガの地力、爆発

2012-06-06 20:09:24 | スポーツ

 今日も、キツイ合宿での練習を、日々積み重ねている日本代表の選手たち。

 この5日のフィジーとのパシフィツク・ネーションズ・カップ初戦は、その成果を観衆の前で披露する、絶好の機会だった。それも、ひさびさの、名古屋の地で。

 日本は、好発進をきった。フィジーのミスを突き、五郎丸歩の的確なゴールキックの成功度が光った滑り出しだった。

 立て続けに、ペナルティー・ゴールを3本決め、9-0。よし、よし、良いリードだった。

 この流れを見て、勝てる・・・かも、そう思った観客は多かったに違いない。しかし、意表を突くロング・パス。防御ラインはたちまち崩された。

 トップ・スピードに乗った、フィジーの”ランナー”に競り負け、容易にトライを取られていく。

 後半22分、日本の一気呵成にゴール・ラインを突っ切ったモールでの(認定)トライが光ったものの、終わってみれば、19-25。・・・・・・・負けた・・・・・・・・・・・・。

 もし、後半、2本立て続けに失敗したセタレキのペナルティー・ゴールが入っていたら、さらに差は開いていた。

 しかし、日本の出来は、決して悪くなかった。パス・ミス、ハンドリング・ミスは、お互い様だ。

 1対1どころか、3人がかりの激しい、”倒志”むき出しのタックル。フィジーの、メチャクチャな体勢のタックルに較べて、理にかなっていた。

 集散の「集」は良かった。サポートもグッド。しかし、それに人数をさいた日本の防御の隙を、瞬時に見てとって、わずかなスペースを見つけ、日本の必死のタックルを、スルリ、スルリンコとかわして、ゴールへと突っ走るフィジー。うわああ~。悔しいが、さすがという他ない。

 ノーサイド(試合終了)の笛が吹かれるまで、日本は片時も、集中力は切れていなかった。少なくとも、そう見えた。実力の差と言い切るには、酷だ。

 その「差」は、何?なのか。

 薫田真広アシスタント・コーチのいう、ココ(頭)か? 瞬時にひらめく、個々の判断力か? ほんのわずかの差が、明暗を分けた。

 それを、ヘッド・コーチのエディー・ジョーンズは、試合後の会見でこう評した。

 「(差は)3%だ。次(のトンガ戦)の試合で3%。そのまた次の(サモア戦の)試合で3%、改善出来れば良い」

 視線は、2015年、ワールド・カップ、イングランド大会であることは、百も承知はしているけれど・・・・・・・。

 主将の広瀬俊朗は、「まだ、発展途上のチーム」というが、あと2戦は何としてでも勝たなければ、昨年に続く得失点差での優勝は無い。

 それを逃すと、少なくとも日本代表の評価は下がってしまう。この日の観客数、6036人を下がることは、よもや無いであろうが・・・・・・。

 日本型の”3Hタックル”は、身体の奥に叩き込まれ、今、新たな3Hを、エディーは全選手に叩き込もうとしている。

 「ハイ・エネルギー」 「ハイ・スキル(練習を重ねて、身に付けた高い技能)」、そして「ハイ・チームワーク」

 選手たちは、「はい、はい、はい」と、素直に聞き入れているはずだ。

 この10日の相手、トンガ代表の、大胆なキック・パス、全身ぶちかましタックル、そして、とんでもないエンジン・ギアの入った時のダッシュと走力。

 指揮するヘッド・コーチは、なんとトウタイ・ケフだ。

 ラグビー・ファンなら、その名前に記憶があるだろう。トップ・リーグのクボタ・スピアーズ。その、ナンバー8のポジションで大活躍。一昨年まで約6年余り、チームをけん引した、立役者だ。

 引退会見をしたその場で、涙ぐんだチーム幹部もいたほど、チーム内で慕われていた。

 その男が、同じ秩父宮ラグビー場に、今度は宿敵のドンとして、帰ってくる。代表メンバーの多くと闘い、日本のラグビーを身体と頭で知り尽くしているだけに、やっかいだ。昨年のワールド・カップでは、日本は18-31で負けている。

 おまけに、今回のメンバーの中には、そのクボタにいるカート・モラスや、秋田ノーザン・ブレッツにいるアラスカ・タウファという、これまた日本に馴染んでいる強力プレイヤーが、5日のサモア戦の惜敗から立ち直って、気合い充分。連続出場しそうだ。

 スタンド・オフのキッカー、カート・モラスの、ゴールキック成功率60%。五郎丸歩より低いが、モラスは手ごわいと漏らす人もいる。

 トウタイ・ケフに「久しぶりです。お帰りなさい」は言えても、「おめでとう」は、言いたくない。観客の、日本代表への熱い視線と声援が、新3ハイを後押しするはずだ。

 ハイ、ハイ、ハイ。読んでくれた人は、秩父宮ラグビー場が呼んでます!!

 

 

 


<リアル ラグビー ルポ>6月5日 パシフィツク・ネーションズ・カップ 開幕。どう勝てるのか? 課題多い

2012-06-04 23:32:04 | スポーツ

 エディー・ジョーンズは、選手の肉体を変えた。いや、もっと正確に言うと、さらに変え続けつつある。エディーは、ラグビー日本代表のヘッド・コーチだ(左下の写真の左)。

 残念なことに、同じガイジンなのに、サッカーのザッケローニほど、まだ一般的な知名度はないが、彼よりはるかに力量も指導力もある。妻は、実は日本人。なのに、取材時の会話は英語。てえ~ことは、家庭でも、英語かいな?

 エディーの指導は、一昨年サントリーのヘッド・コーチに正式就任したときからそうだったが、徹底した肉体改造から、必ずと言っていいほど始める。食事制限にカロリー計算と、徹底している。

  身体に残っている贅肉を、1グラム残らず削ぎ落とし、すべて筋肉に変える。それでいて、体重を1人10キロ増やし、身体をさらにDscf5655


大きくすること。これ、「絶対命令」。いまや、7人制日本代表チームの男女ヘッド・コーチも共に、口を揃えたかのように、同じことを言う.。

 

それを聞いた瞬間は、いささかビックリした。のちほど、7人制の「今の現状」については、別にルポを書く(打つ)予定なので、詳しくは、それを読んでいただこうと思う。

 この「肉体改造路線」は、中竹竜二監督率いる20歳以下(U-20)チームも、同様だと聞いている。日本代表チームに一貫して流れるテーマになりつつある。

 いわゆる、サイズ。つまり、いかに戦略を駆使しても、身体の大きさが海外の強豪チームや、国代表のチームと闘う時の、最後の差になってやはり表れてきた。

 それでも、日本の「早く」「低く」「激しく」という、いわば3Hタックルで、かなり伍して勝負できた。そのうえでさらに、「ライン・アウト」や「スクラム」から展開するセット・プレイからの課題が多くある、と写真右側の、薫田真広アシスタント・コーチは、頭を悩める。

身体を駆使し、次に選手個々の決してひるむことのないハートを鍛えた後は、

 「最後は、ココでしょうね」と、冗談とも本音ともつかない笑顔で、薫田は人差し指で、頭脳を指した。

 すでに書いたように、5か国対抗戦は、レベル的にも全勝して当然。いかに、どのように勝つか、常にその内容が問われる試合だった。

 しかし、6月5日から開幕する「パシフィツク・ネーションズ・カップ」では、さらに1ランク、2ランクアップした相手国と闘わねばならない。

5日にフィジーと、名古屋・瑞穂公園ラグビー場で。次いで10日にトンガ。そして、1週間後の17日にサモアと最終戦を、東京・秩父宮ラグビー場で行なう。

 フィジーには昨年勝ちはしたものの、シンビン(度重なる違反行為)などで10分間出場停止という、フィジーが人数を欠いたなかでの勝利だった。そのこともあり、エディーは全く評価していない。それまでは4連敗であった。

 ましてや、今回来日したメンバーの中には、海外のチームで活躍している選手、我が国でいう”海外組”もおり、自国のベテランとのコンビネーションが短期合宿でうまく連動しなければ、日本の勝機も見えてくるが・・・・・。

 また、トンガには昨年のワールド・カップで負けている。

それでも、ランクは日本の14位に対し、フィジーが16位と”格下”。ついでトンガ9位、サモアが10位。

 思わず、薫田は本音をポロリともらした。

 「正直言って、ランクは当てにしてません、僕はね」

どこが勝ってもおかしくない、横一線に近い状況だ。たえず、しのぎを削り合う定期リーグ戦になっている。これこそ、IRB(国際ラグビーボード)の狙い通りになった。

 そもそも、この「パシフィック・ネーションズ・カップ」は、その名の示す様に。環太平洋の強豪国による、IRB公認の国際大会という位置付けで始まった。

 いつまでも、ニュージーランド、フランス、南アフリカなどが覇権を競うばかりでは、いけない。日本も含む、世界ランキングのセカンド・グループの戦力強化と向上を目的として近年開催されたものだ。

 2010年までは最下位を低迷していた我が日本は、昨年得失点差で辛くも優勝するまでになった。

 ワールドカップに出てみると、カナダに引き分けるまでにチーム力を上げた。結果としては、1勝も出来なかったが、率いたジョン・カーワンの指導力と統率力は輝くものがあった。

 痛感したのが、強豪国もさらにチカラを上げていたこと。それを当時キャプテンとして、チームをまとめた菊谷崇が、日本代表に今回復帰した。

 5日、いわば地元といえる名古屋では、リザーブ入り。それも、自分のいつものポジションの、ナンバー8では無く、2~3列目のロックでの起用。慣れぬポジションだが、身体も前述の「絶対命令」を厳守し、見事に絞り上げてきた。心、期するものがあるはずだ。

 他の選手も以前より見違えるような逆三角形の筋肉がズラリと並ぶ、日本代表の面々。やる気が、みなぎっている。

 「絶えず相手チームにプレッシャーを与え続け、尚且つ、強固なディフェンスを維持しながら、アタッキング・ラグビーをして、トライを重ねる」という、エディー・ジョーンズの青写真は、5か国対抗の時より、さらに確実に一歩づつ具現化している。

 五郎丸歩が担う、トライの後の、コンバージョン(ゴール・キック)の成功度も極めて高い。

この3連戦を、どんな気持ちで闘う?

 いつも明るく、チームメイトに好かれている真壁伸弥に聞いた。今期は指名され、所属するサントリーの主将になった

「ああ、あれっすかあ。もう、強制っすよう」と笑う。「でも、指名された以上、やります!」と、キッパリ。

 「で、日本代表の一員ではあるけれど、コレ言っちゃつて良いのかなあ? エディーさん、怒らないで下さいね」」

 「僕個人としては、試合ごとの勝ち負けには、そんなにこだわってないんです。ただ、与えられた課題をパーフェクトにこなしていけたらと。キツイっすけど。アタッキング・ラグビーが完璧にできれば、勝利はおのずと付いてくると。そう思っているんです」

 「だって目標は、あくまで2015年のワールドカップなんですから」

 怒るどころか、エディーも、くしくもこう言った。

 「この大会で、何点を取れば良いとか、そんなことは意味のないことだ。このチームの目標は、あくまで2015年のワールドカップで、トップ10入りすること。今はそのための、チーム作りをしている過程に過ぎない

 とはいえ、優勝しなければ、スポーツ・マスコミは正しく評価してくれない。新たなラグビーフアンも増えないのが、現実だ。善戦マンじゃダメ。

 男子サッカー日本代表のような、甘い評価はしてくれない

 まずは、勝利を! というのも、このところの観客の入りの悪さが、気になってしかたがない。中継しているJースポーツの担当者でさえ、バッサリと言ってのける。

 「サッカー中継が見たくて契約している人が、圧倒的に多いんですよ」

 この10日には、秩父宮のグラウンドに裸足で動き回れるイベントもある。続く17日には、父の日にまつわるイベントがある。

 2016年には、オリンピックに7人制ラグビーが、新規正式種目として登場!

 2019年には、この日本でラグビー・ワールドカップが開かれるんですっ!

見ず嫌いは、許されません!サッカーのように、大げさに「必要以上」に転げまわってアピールする、くさい芝居は皆無です。

 トライをして喜びの余り、サッカーのように思わず上着を脱いで裸になった学生が謹慎処分と出場停止の処分を受けた「紳士のスポーツ」なのです。

 ウソだと思ったら、みんなで見にいきましょう!!!行きましょう、行きましょう!