わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る97(花器10、水盤2(華道について))

2013-06-20 21:21:11 | 陶芸入門(初級、中級編)

本日は、陶芸とは直接関係の無い華道(生け花)の話ですが、水盤を作るに当たり、知っておいても

悪くないと思われますのでお話します。

切り花のある処には、必ず花器が使われます。

一般家庭用として、茶道に於いて(茶室用など)、及び華道(いわゆる生け花)などで使われます。

特に、華道の展示会(華展)などでは一般家庭では見る事が出来ない、種類や大きさなど様々な器を

見る事ができます。材質も陶磁器以外に、木製や金属製、ガラス製など多彩です。

一般家庭では、さほど大きな花器は使う事が少なく、茶道に於いても、地味な花や山野草が主役で

器も大きな物や、奇抜で派手な物はほとんどありません。

一方華道では事情が違います。花のみでなく木をも生け込む事があります。(しかも太い幹のものも

珍しくは有りません。)それ故、華道に於ける花器は大きく豪華なものも見受けられます。

もっとも、華道の流派によって、花器も違いがあります。

 1) 生け花の歴史

  ① 我が国に於ける生け花の始まりは、室町時代に建てられた書院造りの「床の間」に飾られた

   「たて花」だと言われています。「床の間」には、掛け軸や香炉などが置かれ、「花」もその一員と

   みなされてました。

    注: 「たて花」とは、書院造りの床の間に飾る花が様式化されて生まれた物です。

  ② 江戸時代になると、武士階級の屋敷の大広間で、大型で豪華な生け花が盛んに成ります。

     これが、「立花(りっか)」です。

    注:「立花」とは、江戸初期に初代、池坊専好が確立し、二代専好によって大成された生け花の

       様式で、最初の流派「池坊」が生まれます。立花(華)を生けるのは池坊だけです。

  ③ 元禄時代に成ると、簡素な「数奇屋造り」の住居が生まれ、小さな床の間があらわれます。

    町人の間にも普及し、自由で日常的な「投げ入れ花」が盛んになり、これを元に「生花(しょうか、

    せいか)」が誕生します。

    注: 「投げ入れ花」とは、単純に瓶に挿す生け方で、普段着の生け花として見直されます。

    ・ 茶花は、茶室の構成要素の一つで、「投げ入れ花」が小型化したものと言われています。

  ④ その後、一般住宅でも応接間が取り入れられ、「盛花」や「投げ入れ花」が流行します。

    注: 「盛花」とは、明治時代に小原雲心氏は、水盤という花器を使った生け花を考案し、

        脚光を浴び、これを「盛花(もりばな)」と名付けます。雲心氏は後に小原流を創立し、

        生け花人口の増加に伴い、誰にでも理解し易い花型が規定されます。

 2) 生け花の流派と「自由花」、「現代花」、「前衛花」、「造形生け花」。

  ① 生け花(華道)の流派は全国に数多くあり、その数は数百とも言われています。

    大きな流派から、小さな流派、更には一つの流派より、分離独立し新たな流派が発生する事も

    多い様です。主な流派には、池坊、遠州流、小原流、御室流、古流、草月流、安達流などが

    あります。各々家元(世襲制)を頂点に活動しています。中には数万人もの会員を擁する

    流派もある様です。

  ② 生け花を大別すると、古典花(伝承花)として、生花、立花、投入、盛花などと、「現代花」、

    「造形生け花」、「前衛花」、「自由花」等にに分かれます。

    注: 「自由花」とは、大正から昭和初期に登場し、造形的な表現を盛り込ん生け花です。

       「前衛花」とは、金属や石など植物以外の花を取り入れ、彫刻を思わせる様な生け方で、

       「造形生け花」なとも言います。

  ③ 「伝承花」(古典花)と「現代花」との違い。

   ) 「伝承花」は、生け花を良く見させる為の理論即ち、花矩(はりがね)を持つ物です。

     生け方の型(基本型)である花矩は、各流派毎に決められています。

     例えば、S字状の本体から、直線状に数本斜めに派生してる様に生ける、或いは見えない

     中心線を想定し、非対称的に左右から枝や葉、花が出た感じに生けるなどの約束事です。

   ) 厳格な花矩を持たない生け花が現代花と言えます。(但し基本形はある様です。)

      それ故、作家個人による処が大きく、自由な表現の出来る生け花です。   

      しかし、評価基準が曖昧で、流派の特徴が不明確であるという短所があります。

   ) 生け方や使う花にも、違いが見受けられます。

      洋花主体もの、和花主体もの、和洋両用などの違いがあります。

      木なども用いて大きく生ける流派や、少ない花を清楚に生ける流派など、特徴があります。

   ④ 池坊は主に古典花、草月流と小原流は主に自由花との事です。

      勿論、厳格に区別するものではなく、お互い影響し合っている様です。

以下次回に続きます。

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