わ! かった陶芸 (明窓窯)

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素朴な疑問 33 焼成前の準備とは 5?

2014-11-25 18:04:41 | 素朴な疑問
素焼きや施釉しない陶器の場合は、施陶器の窯詰めとは、多少異なります。

施釉した場合、釉が高温で熔けガラス化し、冷却時に硬化する為、作品同士は接触させる事は出来ま

せんが、施釉していない作品では、接触させても問題が無い場合が多いです。

(但し、高温の場合、土が一部ガラス化する事で接着してしまう事がありますので、蓋物などでは、

水酸化アルミナを塗って接着を防ぎます。)

特に素焼きでは、重ね合わせや「入れ子」の様に、作品の中に他の作品を入れて焼成する事が出来

ます。それ故、素焼きでは本焼きの窯の二倍程の作品の量を焼成する事が出来ると言われています。

1) 素焼きの窯詰め。

  素焼きを行う為には、完全に乾燥している必要があります。さもないと、水蒸気爆発を起こし、

  作品がバラバラになるからです。被害はその作品のみに留まらず、周囲の作品も破損する事が

  多いです。又、上記の如く作品を重ねる事が出来るからと言って、上の重みで作品が割れてし

  まっては、意味が有りません。特に素焼き前の土は、乾燥していても、十分な強度が無く、

  「もろい」物です。

 ① 作品は主に口縁部から「割れやひび」が入り易いです。

  それ故、口縁部に力が掛かる重ね方は避けなければ成りません。更に底で重量を支えるとしても

  何重にも重ね合わせると、重量で「割れやひび」が入り易いです。

 ② 平たい皿や板作りで平たい作品は、横に寝かせずに、立てて焼きます。但し、自立では立ちま

  せんから、他の作品に寄り掛かる様にします。更に丸い皿では、回転し易いので、回転止めを

  設ける必要があります。長方形の板皿では、長辺が縦に成る様にします。この方が「割れやひび」

  に対して、安全です。尚、立てて焼いても作品が変形する事は、ほとんどありません。

 ③ 燃料を使う窯では、密着した部分が黒く成る事が多いです。これは空気が不足し、燃料が

  十分に燃焼せず、炭化物(煤)が溜まった結果です。この黒い煤は本焼きで綺麗に燃えてしまい

  ますので、問題ないのですが、下絵付けを施す際、素地が黒いと絵の具の色が良く見えません。

  それ故、下絵を描きたい場合は、重ね焼きをしないか、重ねても一番上に置く事です。

 ④ 素焼きは急激な温度上昇は禁物です。それ故、火盾(ひだて)を設け作品に直火が当たらない

   様にする必要がある場合があります。バーナーの火口の近くなどに設ける事が多いです

   火盾には、耐火度の高い土で作った特別の物や、棚板の支柱などを利用する事も出来ます。

2) 焼締め陶器の窯詰め。

  焼き締め陶器は、本焼きと同程度の温度で焼成します。一般に焼き締め陶器を焼くには、薪窯で

  焼成します。その為、中々焼き締め陶器を焼く事が出来ませんが、「匣鉢(さや)」を使って

  ガスや電気窯でも、焼成する事ができます。この件に関しては、後日お話します。

  無釉の焼き締め陶器では、土が良く焼き締まり強度を増す事で、水を透すのを少なくする事と、

  自然釉になる燃料の灰が熔けて、景色を作り出すのに必要な温度を得る為には、高温が必要です

  尚、薪であれば、自然の灰が掛かりますが、ガス窯などでは、灰が発生しない為、窯詰めの際に

  灰を作品に振り掛る事もあります。

 ① 自然釉を期待するのであれば、当然、重なった下の作品には、灰が掛かりません。その為

   意図的に重ねる事で、好みの位置に自然釉を掛ける事も可能です。

 ② 自然の灰は特定の方向に多く飛び、積もります。又炎の高温と酸素の量によってその灰の

   表情も大きく変化します。当然窯詰めの際には、ある程度情報を持っているはずですので、

   おおよその計算が可能ですが、薪窯の面白さは、偶然性にありますので、窯任せの事も多い

   です。

3) 電気窯の熱の伝わり方。

 以下次回に続きます。

 
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