わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

本焼き (窯詰め2)

2008-05-22 23:30:54 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
 前回の続きを述べます。

 2) 窯詰めの実際

  リ) 作品は窯の中で安定した状態に置きます。

   ・ 不安定の場合、底に素焼のスペーサーを入れて安定化させます。

  ヌ) 板で作った、U(ユー)の字型、V(ブイ)の字型の作品は、高い温度に

    従い、内側や外側に傾きます。内側の場合はその作品のみの問題ですが、

    外側に傾いた場合には、隣の作品に接触し、くっ付いてしまう恐れが在り

    ます。指一本分では不十分です、十分開けて下さい。

  ル) 銅を使った釉薬(織部など)の場合、高温と伴に銅が揮発し、隣の作品

    に転写して、隣の作品を汚してしまう事があります。隣に同じ釉薬を塗た

    作品を置くか、隣とのスペースを開けてください。


では今日の本題に入ります。

 窯詰め(特に大きめの窯)は、窯焚きと同等又は、それ以上に重要な作業と言っ

 て過言では在りません。

  窯詰めの究極の目標は、効率よく温度を上昇させ、窯の温度を出来るだけ均一

 にし、望み通りの発色を得る事です。

  炎の出る窯は、倒炎式と直炎式が在ります。一般的には倒炎式が多いです。

 倒炎式の窯は、内側の壁に沿って上昇した炎が、天井にぶつかり、壁や窯の中

 央から下降し、作品の間を通り、最下部の煙道から、煙突を通り外へ排出され

 ます。

  炎に沿って温度は上昇するので、炎の通り道を邪魔しない様に窯詰めします。

  炎は隙間が広いと、先に延び難く、有る程度狭い隙間に延びて行く性質があり

  ます。又温度の低い方に延びます。煙突の引きの強さに拠っても、方向が変化

  します。

 1) 天井まで作品を積み上げない。
  
  ・ 炎が通り易い様に、天井との隙間を、5C m程開ける。
  
 2) 最下段の棚板と煙道との隙間も、同様に、5C m程度開ける。

 3) 棚板の段数が多い(背の低い作品が多い)場合、温度上昇が鈍い。

  ・ 棚板は出来るだけ、少ない方が良い。即ち背の高い作品を混在させて、

   窯詰めすると良い。
 
 4) 窯詰めで重要な事は、

  イ) 窯の上部を粗く(背の高い作品を置く)、下部を密(背が低い作品)に

    する方法。

  ロ) 逆に上部を密にし、下部を粗くする方法。

 どちらの方法が良いかと言う事です。

  イ)の方法では、上部の熱い炎をそのまま、下部の作品まで持って行く考え方

   です。即ち熱量が少なくてすむ作品(背が高い)群を先に熱し、後から熱量

   を必要とする作品(背の低い)群を熱する方法です。

  ロ)は熱量を必要とする作品群を先に熱し、後から熱量をあまり必要としない

   作品群を、熱する方法です。

  書籍などでは、意見が分かれる処ですが、私の経験では、ロ)の方法が良い様

  に思います。

   当然 窯の種類や大きさ、作品の違いなどで、変化しますので、色々試して

  下さい。

   尚 作品が少なく窯が大幅に隙間ができ、それでも窯お焚く必要がある場合

   には、最下段を空にして焚いてください。

 5) 棚板の敷き方

  棚板が一枚敷きの場合は問題無いのですが、二枚敷き、四枚敷きなど多数の

  場合、平行に敷いて良いか、段違いにすべきか等迷いますが、炎の通り道を

  邪魔しないのは、段違いに敷く事です。

   また棚板と棚板との平行方向の隙間も、指一本程度の隙間が有ると良いでし

   ょう。
 

 


   

  
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