2) 変形させて面取りを行う。
基本的には、表面を削ぎ落として面取りを行うのが一般的な方法ですが、この方法では、制作上
肉厚に作る必要があります。又作品の肉厚も薄い所や厚い所などが出来ます。その結果歪みや
ひびの原因に成り易いです。
全体の肉厚を一定に保ち、面取りの作品ができれば理想的です。その様な事を可能にして
くれる方法が変形させる方法です。但し土の記憶性の為、乾燥が進むに従い元の形に戻ろうと
しますので、強めに変形させる事です。
その他にタタラによる方法や、型を使う方法もありますが、後日お話します。
① 轆轤挽きした作品を、変形させて面取りを行う方法。
当然、利点と欠点が存在します。
・ 利点: 面の幅の大小に影響されずに面取りが可能です。更に、作品全体の肉厚もおおむね
均一に出来る事です。
・ 欠点: 稜線が「ビシッ」と決らない事と、細かい面取りが苦手な事です。
前回お話した様に、面取りの魅力は稜線の綺麗さにあります。内側に曲げて面取りを作る為
境目は丸味をおび、「ダレ」た感じに成ってしまいます。この状態を解決する方法は、内側
より角材を押し当て、外側から板などでたたき出す方法か、外側の境目に「土を盛る」事で
角をしっかり出します。
前置きが長くなりましたが、本日のテーマに付いてお話します。
作品を轆轤で作る方法に付いては、何度も取り上げていますので、省略します。
) 作品の表面を触って、手に付く事もなく、「べたつかない」程度に乾燥したら、変形に取り
掛かります。乾燥し過ぎると「ひび」や「割れ」が発生します。
) 一番簡単な方法は、口縁部の変形です。少しの力で変形が出来るからです。
丸い口縁部を、三角や四角形など多角形の面取りに変形する。
a) 手や平らな板を使って、おおよその三角や四角形などの多角形にします。
当然口の大きさによって、変形の大きさは変わります。
b) 作品の内側に手が入れば、内側から手を当て、支えながらて外側から叩き板で叩いて、
平らな面にします。
c) この状態では面と面との境(稜線)は丸味をおび、面取りの魅力に欠けます。
イ) 稜線は直角や鋭角にする方が「ベター」ですので、内側より強く外に押し出ますが、
その部分の肉厚が薄くなってしまいます。そこで、外側の角部に紐状の土を線状に貼り
付け、角に成る様に紐土を伸ばします。竹べらなどで伸ばしますが、形を整える為に、
「カンナ」を掛ける事もOKです。
ロ) 内側に角材などの角を押し当て、外側から叩き板で叩きます。
やはり肉が薄くなりますので、内側に紐土や短冊状の土を貼り付けてから叩き鋭角に
します。
) 内側に手が入れない場合。
a) 内側から支えがないと、変形させた時に、修正が出来ません。「柄こて」などを口から
入れ支えて修正するか、一度に強い力を加えずに、徐々に力を入れ慎重に作業をします
b) この場合も稜線は鋭利に成りませんので、紐土を貼り付け、しっかりした稜線を出します
) 胴体部や腰部を変形させる。
「箆(へら)目」と呼ばれる、作品の表面に箆でやや幅広の痕を付ける技法があります。
轆轤挽きした作品に、この技法を応用して、面取り風の作品を作る事が出来ます。
a) 幅の広い竹箆や板を使う。
一般に「竹箆」は幅が1~2cmの物が多く、「なぜ箆」と「切箆」がありますが、その他に
先端部が四角い箆もあります。箆目の痕をどの様に表現するかによって、箆の種類を選び
ます。しかし、面取りの場合には2~5cm程度の幅のある箆や板を使います。
その先端部は、刃物の様に薄く削っておきます。
b) 箆の使い方。
イ) 轆轤挽き直後の軟らかい時に箆を使って、箆目を附けます。
その際、箆は水で濡らし滑りをよくしておきます。更に、箆は下から上に向かって移動
させる事を基本にします。それは、轆轤挽きした作品は下に行くほど、肉厚に成っており
力強く箆目を附ける事が出来、上に行くほど力を抜いて箆目痕を少なくする為です。
勿論、逆に上から下に向かって箆目を附ける人もいます。
ロ) 幅広の箆(又は板)は水に濡らして、土の上を良く滑る様にしておきます。
下から上に向かって、表面を押し潰す様にして表面を凹ませます。
垂直方向のみでなく、斜め方向に動かして螺旋状の面取りを行う事もできます。
ハ) 箆の力の入れ方が難しい。
土を内側に押しながら、一気に面を凹ませ面取りを行います。土は軟らかいですので
力のバランスが崩れると、作品が歪みます。
ニ) 稜線の問題も発生します。
角張った稜線を出すのに、親指と人差し指で丸味のある角を摘み、稜線を作る事も
可能です。但し強く摘み過ぎると、「とんがり過ぎ」てしまいますので注意。
乾燥後に「カンナ」で削り、綺麗な稜線に仕上げます、
3) 土を丸めて一つの塊とし、おおよその形を作ってから、面取りを行う方法。
以下次回に続きます。