わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸に於ける有害物質 3 (銅、クロム)

2010-11-02 21:21:07 | 陶芸の困り事
有害物資についての、話を続けます。

化学物質を、摂取してしまうのは、以下の場合が、考えられます。

 ① 口から入る場合: 陶芸では、この可能性は、低いです。釉などが、飛び跳ねて、口に入る場合が、

    あるかも知れません。

 ② 肺から入る場合: 

   作業中のエアロゾル(気体の中に、微粒子が多数、浮かんだ物質で、煙霧質という。)

  ) 粉塵(ふんじん): 粉砕や、研磨などの、機械的な外力によって、分解された固体粒子の事で

    粉末の釉の原料を、水に溶く際、粉塵を、吸い込み易いです。

    粘土の削りカスや、乾燥した、絵の具などの他、石綿(アスベスト)等が有ります。

  ) フューム: 蒸気又は、ガス状の燃焼生成物が、凝縮して生成する固体粒子です。

    ハンダ付けで、発生する鉛のフューム(金属蒸気)も、危険性があります。

  ) ミスト: 液体が蒸発、凝縮したもの、または噴霧により、生成した液体粒子の事です。

    釉を噴霧器で、掛ける(ガン吹きの)際や、吹く墨(又は、ブラッシング)の技法を、使用する

    際に、ミストが発生します。

  ) スモーク: 不完全燃焼により、生ずる生成物です。 煙突から出る、黒煙もこれに当ります。

    タバコの煙も、スモークです。

   保護具として、 防じんマスク等が有ります。

 ③ 皮膚から入る場合:  直接化学物質に触れ、皮膚に付着し、物質によっては、皮膚から吸収

   されます。陶芸では、釉を素手で、かき混ぜる事は、多いはずです、その際に有害物質が、体内に

   吸収される、危険性があります。

 前置きが長くなりましたが、前回の続きです。

6) 各々の、有害物質について、
 
  ③ 銅: 元素は、赤色の粉末ですが、湿った空気中に放置すると、緑青に成ります。

    「緑青は毒」と、思われて居ましたが、現在では、無毒とされています。

    (昔の銅には化合物として、砒素などが、含まれていた為で、緑青の為では、有りません。)

    釉では、還元焼成で、赤い辰砂を呈し、酸化焼成では、青織部の緑となります。

    銅の化合物には、酸化銅、塩化銅、無水硫酸第ニ銅(胆礬、たんぱん、黄瀬戸と共に、使われ、

    緑色を、呈します。)

   毒性: 銅化合物の一般的な毒性は、経口摂取の場合、急性で、嘔吐、肝臓、腎臓の障害、

    溶血性貧血、毛細血管の損傷があり、重篤(じゅうとく)の場合、中枢神経系障害を、引き起こし

    ます。慢性で、鼻粘膜の萎縮、鼻中隔穿孔(せんこう=穴が開く事)が起きます。

   ・ 釉薬では、塩化銅、硫酸銅、亜酸化銅を、使う場合も有りますが、これらは、眼、皮膚、鼻

      喉に、刺激性を、有します。但し、「発がん性」は、見られません。

  ④ クロム: 銀色に輝く、クロムメッキなどや、ステンレスにも、使われています。

    又、宝石のルビーの赤い色は、酸化アルミニウムに、少量のクロムが、混じった物です。

    釉としては、酸化クロムが、緑色を出したり、クロム酸鉛が、水に溶けない、黄色の顔料に成ります。

   ・ クロムには、無害な三価、有害な四価、六価の3種類有ります。尚、酸化クロムは、三価です。

     特に六価クロムが、毒性が強く、肺がん、胃がん、大腸がんなどの、発がん性も有ります。

     又、皮膚炎なども、引き起こします。

   ・ 重クロム酸ソーダ(ナトリウム)は、クロム酸系の、顔料材料に成り、染料、染色として、

     使われます。

     この物質の、急性影響として、皮膚、粘膜への刺激、アレルギー皮膚炎、場合に拠っては、

     湿疹、潰瘍が生じ、目に触れると、結膜炎に成ります。

     重クロム酸ソーダの粉塵、ミストを吸入し続けると、鼻の粘膜の充血、化膿性鼻炎や、呼吸器に

     関しては、肺炎を引き起こします。    

以下次回に続きます。

 銅、クロムの有害性
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