わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物の着物(色彩)70 古唐津 7(絵唐津3)

2014-05-01 20:36:59 | 陶磁器と色彩
5) 絵唐津に付いて。

 ⑥ 絵付けされた作品。(前回の続きです)

  ) 皿類に付いて。

    壷や茶碗などは絵を描く面が湾曲し、しかも面積も狭いですが、皿は平面な面積も広い為

    描く絵も伸び伸びとしています。絵唐津は皿類の物が一番良く、絵柄も豊富の様に見えます

   ・ 絵唐津松文皿: 17世紀(江戸初期)。 出光美術館蔵。

     高さ 9.0cm、口径 36.2cm、底径 10.8cm。

     鉄分を含む肌理の細かい土で、制作は轆轤挽きです。皿の中央に鉄砂で黒い一本の松が

     描かれています。枝はまばらでその先端に、まとまった松葉が付いています。

     絵心のある専門の陶工が描いた可能性があります。

   ・ 絵唐津菖蒲文皿: 市ノ瀬高麗神窯出土。

     高さ 7.0cm、口径 29.0cm、底径 8.7cm。

     「石ハゼ」の含まれる鉄分のある小石混じりの土で、轆轤挽き制作です。

     長石釉が還元焼成の為、釉肌は青磁風になり、鉄絵は赤褐色に成っています。

     重ね焼きした為、見込み部と高台に四個づつの目跡があります。

   ・ 絵唐津枝垂柳(しだれやなぎ)文大皿: 甕屋の谷窯の傑作の一つ。梅沢記念館蔵。

     高さ 9.6cm、口径 38.7cm、高台径 11.0cm。

     口縁は幅広の平縁で、皿の端から端まで、6本の柳の小枝が垂れ流暢に描かれています。

   ・ 絵唐津沢瀉(おもだか)文四方皿:

     高さ 5.2cm、口径 17.5~18.6cm、高台径 5.2cm。

     藤の絵皿として有名な皿です。但し、葉の形が藤と異なる為、上下を逆にして沢瀉と

     見る人もいます。元々数物であったと思われています。

     轆轤挽きした丸皿の四隅を指で摘み上げ、少し内側に抱える形の四方入隅(いりすみ)の

     形に仕立てた物です。尚、志野の絵皿にも沢瀉の大皿があり、これが本歌の可能性が

     大きいです。

   ) 鉢、片口に付いて。

    ・ 絵唐津唐草文大鉢:

      高さ 14.9cm、口径 33.9cm、高台径 11.4cm。

      幅の狭い横長の外側に葡萄(ぶどう)唐草文が連続して描かれています。

      内側の口縁部に木賊文(とくさもん)が要所要所に描かれた鉢です。還元焼成の為、

      絵は黒く焼き上がっています。

    ・ 絵唐津草花文手付大鉢: 出光美術館蔵。

      高さ 14.3cm、口径 23.9~26.0cm、高台径 10.6~11.1cm。

      捻り土で把手が側面二箇所に付けられた珍しい形です。元々朝鮮にあった形と思われ

      ています。外側の側面に筆太で豪放に草花文が描かれています。

    ・ 絵唐津鳥文片口: 内田皿屋窯跡出土

      高さ 13.0cm、口径 21.1~23.4cm、底径 8.6cm。

      真ん丸の形が焼成中に口の方に引っ張られて、楕円になったものです。

      鉄砂で胴に七羽の千鳥が、縦方向に飛んでいる姿が描かれた、稀な文様です。

   ) その他の絵唐津の作品。

      退屈な話が長くなりますので、以下詳細は省略します。

    a) 水指: 絵唐津水草文矢筈(やはず)水指(岡山美術館蔵)。

          絵唐津瓢箪水指など多くの種類があります。

    b) 花生: 絵唐津耳付花生(出光美術館。逸翁美術館など)

    c) 向付: 四方向付、筒向付、蛤形向付など色々な形があり、それに合わせて絵付けが

          されています。

    d) 徳利、ぐい呑、茶入、香炉などに絵付けがされています。 

以下次回に続きます。

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