前回に続き船木道忠氏の話を続けます。
② 船木道忠氏の陶芸
) スリップウエアの再現
スリップとは、化粧土の事で、化粧土が乾かない内に、表面を鳥の羽や藁束、櫛、指などで
引き撫でしたりして化粧土を動かし、文様を付ける技法を、スリップウエアと言います。
英国で発達した技法でしたが、陶磁器の技法発達や大量生産品の普及と共に、廃れたて
しまいます。
a) 1920年 渡英したリーチと濱田庄司は、彼らの窯の近くでスリップウェアの破片を見つけ、
更に現存するスリップウェアを収集し、1924年に濱田氏が日本に持ち帰えります。
b) 1913年 リーチや富本憲吉は東京の丸善書店で「古風な英国陶器」(チャールズ・ロマックス著)の
本の中で、初めてスリップウェアの存在を知ります。その予備知識が有った為、収集した
物と思われます。
c) スリップウエアは、英国のガレナ釉(鉛の硫化物)で施釉されている事が解かると、ガレナ釉を
再現する為、布志名焼の黄釉が参考にされます。
リーチは、好んで布志名の船木家に滞在し、後に船木道忠によって、その技法が解明
される事になります。
20世紀になると、この技法を使う陶芸家やメーカーも多くなって行きます。
2) 船木研児(ふなき けんじ): 1927年(昭和2) ~
① 経歴
) 島根県布志名で、船木道忠氏の長男として生まれます。
) 1944年 島根師範学校に入学するが、母の急死と敗戦により、学業を中退し父を助ける為、
家業の工房で、轆轤技術を学びます。
) 1950年 栃木県益子を訪れ、濱田庄司氏に師事します。同年日本民藝館賞を受けます。
1952年 現代日本陶芸展(朝日新聞社主催)に出品します。
) 1967年より、渡英しリーチ父子を訪れ、研修を受けます。
又、北欧諸国、仏、伊などを旅行し、陶磁器の視察を行っています。
② 船木研児氏の陶芸
) 研児氏の作品も基本的には、父の道忠氏と同様に、黄釉とスリップウエアの技法を使った作品が
多いです。違いとしては、道忠氏が抽象的文様なのに対し、具象的な絵柄を使用している点です。
鳥の絵や鹿、魚、蛸、人物などの文様が多く見られます。
) 作品としては、「黄釉スリップ楕円鉢」(1950)、「黄釉蓋物」(1951)、「泥描黄釉蛸文大鉢」
(1956)、「泥描黄釉鹿絵大鉢」(1956)、「鉄鉛釉押文蓋壺」(1963)、「鉄釉土瓶」(1967)、
「白釉指掻文二彩大皿」(1975)、「淡鉄釉鳩絵大鉢」(1981)、「三彩釉線彫大鉢」(1981)、
などがあります。その中の数点は日本民藝館や倉敷民藝館で、展示されています。
) その他の実用品として、「淡黄釉紅茶碗」、酒盃、湯呑、小皿などの作品があり、
人物や、鹿、鳥、魚などを描いた陶板も作っています。
次回(佐久間 藤太郎氏)に続きます。
② 船木道忠氏の陶芸
) スリップウエアの再現
スリップとは、化粧土の事で、化粧土が乾かない内に、表面を鳥の羽や藁束、櫛、指などで
引き撫でしたりして化粧土を動かし、文様を付ける技法を、スリップウエアと言います。
英国で発達した技法でしたが、陶磁器の技法発達や大量生産品の普及と共に、廃れたて
しまいます。
a) 1920年 渡英したリーチと濱田庄司は、彼らの窯の近くでスリップウェアの破片を見つけ、
更に現存するスリップウェアを収集し、1924年に濱田氏が日本に持ち帰えります。
b) 1913年 リーチや富本憲吉は東京の丸善書店で「古風な英国陶器」(チャールズ・ロマックス著)の
本の中で、初めてスリップウェアの存在を知ります。その予備知識が有った為、収集した
物と思われます。
c) スリップウエアは、英国のガレナ釉(鉛の硫化物)で施釉されている事が解かると、ガレナ釉を
再現する為、布志名焼の黄釉が参考にされます。
リーチは、好んで布志名の船木家に滞在し、後に船木道忠によって、その技法が解明
される事になります。
20世紀になると、この技法を使う陶芸家やメーカーも多くなって行きます。
2) 船木研児(ふなき けんじ): 1927年(昭和2) ~
① 経歴
) 島根県布志名で、船木道忠氏の長男として生まれます。
) 1944年 島根師範学校に入学するが、母の急死と敗戦により、学業を中退し父を助ける為、
家業の工房で、轆轤技術を学びます。
) 1950年 栃木県益子を訪れ、濱田庄司氏に師事します。同年日本民藝館賞を受けます。
1952年 現代日本陶芸展(朝日新聞社主催)に出品します。
) 1967年より、渡英しリーチ父子を訪れ、研修を受けます。
又、北欧諸国、仏、伊などを旅行し、陶磁器の視察を行っています。
② 船木研児氏の陶芸
) 研児氏の作品も基本的には、父の道忠氏と同様に、黄釉とスリップウエアの技法を使った作品が
多いです。違いとしては、道忠氏が抽象的文様なのに対し、具象的な絵柄を使用している点です。
鳥の絵や鹿、魚、蛸、人物などの文様が多く見られます。
) 作品としては、「黄釉スリップ楕円鉢」(1950)、「黄釉蓋物」(1951)、「泥描黄釉蛸文大鉢」
(1956)、「泥描黄釉鹿絵大鉢」(1956)、「鉄鉛釉押文蓋壺」(1963)、「鉄釉土瓶」(1967)、
「白釉指掻文二彩大皿」(1975)、「淡鉄釉鳩絵大鉢」(1981)、「三彩釉線彫大鉢」(1981)、
などがあります。その中の数点は日本民藝館や倉敷民藝館で、展示されています。
) その他の実用品として、「淡黄釉紅茶碗」、酒盃、湯呑、小皿などの作品があり、
人物や、鹿、鳥、魚などを描いた陶板も作っています。
次回(佐久間 藤太郎氏)に続きます。