わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の原料4(アルカリと熔融剤2)

2011-04-27 21:38:47 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
釉の原料についての、話を続けます。

5) 熔融剤について

  ②  アルカリ以外の熔融剤

  ) 昔から良く使われていた原料に、鉛の酸化物があります。

    手に入り易い事と、安価な事とで、一般に広く使われていましたが、現在では、鉛の有毒性の

    為、一部を除き、使用されなくなっています。(食品衛生上も、禁止されている様です。)

    尚、最も低い温度(600~800℃)では、酸化鉛が熔剤になっています。

  ) 硼酸(ほうさん)(化学式=H2BO3)

    硼酸はアルカリに似た、性質を持っており、鉛の様に有毒では有りません。

    尚、硼酸は硼砂から取る場合が、多いです。

    878℃で融解して無色透明のガラス状となり、多くの金属酸化物を、融解する性質を持つ為、

    釉薬の融剤として使われます。又、釉の原料としても、広く使われています。

    (ガラスに混ぜると、熱衝撃や化学的浸食に強い、耐熱ガラスなどの原料となります。)

     硼酸はアルカリに似た、性質を持っています。

     硼酸には以下の特徴があります。

   a) 着色酸化物に対して、強力な熔剤と成ります。

   b) 適量添加すると、熱膨張を抑えます。

   c) 低温で粘度の高い釉に成りますが、高温に成ると流動性が増し、流れや易い釉となります。

   d) 屈折率を増し、釉に光沢を与えます。

     更に、他の成分の結晶化を防ぎ、失透を起こしません。

   e) 熱や酸、アルカリなどに対して、化学的耐久性を改良する融剤です。
    
  ) 酸化亜鉛(亜鉛華)(化学式=ZnO )

    亜鉛華とも呼ばれ、白い粉末で、溶媒剤として用いられる他、乳濁させる作用があり、

    多量に加えると、亜鉛結晶釉になります。

    調合例

    透明釉の三号石灰釉(1230~1280℃)を、1200℃の光沢透明釉にする。

    三号釉100に対し、亜鉛華12を調合(重量比)します。 
 
   ) その他の熔融剤

    a) リチウム(炭酸リチウム)

      1%程度の量で、強い流動性を呈します。光沢を増し、ピンホールを防止します。

    b) 酸化鉄

      酸化鉄は、着色剤として鉄釉に、使用する事が多いですが、熔融剤としても、作用します。

     弁柄(酸化第二鉄)、四三酸化鉄(Fe3O4)、水酸化鉄、硫化鉄などがあります。

    c) 滑石(タルク )

      マグネシア成分を、多く含む物質で、生のまま、或いは、一度焼成したものが用いられる。

      媒熔剤としての他、タルク釉として、白さを増す場合に使われ、より多く加えると、

      乳濁します。

    d) 陶石は、熔融剤とはいいませんが、アルカリ成分と珪酸を、多く含む為、木灰等を、

     配合する事により、釉として使えます。

     尚、陶石とは、長石質の岩石が、風化等で半分解途中の、物質です。      

以下次回に続きます。
   
コメント
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