わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の原料2(シリカ、アルミナ)

2011-04-25 22:33:28 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
釉の原料についての、話を続けます。

3) 珪酸質原料

  地球上の岩石や粘土類の主成分は、珪酸です。珪酸はシリカと呼ばれ、化学式は(SiO2)で表します。

  単独では、珪石、珪砂、水晶などがあります。鉱物名は、石英です。

  ① その他の珪酸質物質

    木灰や、稲などの禾本科の灰(藁、籾殻、糠=ぬか)も、シリカを80%程度含みます。

    楽焼の釉の「日の岡」も、珪石の一種です。

    尚、塊状の珪石は、硬いですので、一度焼いて水に投げ入れれば、砕き易くなります。

  ② 釉としての珪酸質の働き

    珪酸質原料は、ガラスを構成する成分です。その為、釉には無くてはならない成分です。

    適量の珪酸質は、透光性を有し、良いガラス質を生成しますが、過不足に成ると、問題が

    発生します。適量は25~75%の間に、存在します。

   ) 多過ぎる場合

      完全に熔けずに、釉の内部に残り、艶消し釉に成ったり、釉面が荒れて、「あばた状」に 

      成ります。又、「釉飛び」や「釉はげ」の原因に成ります。

      尚、珪酸が多いほど、熔けにくい釉と成ります。

   ) 少な過ぎた場合

    a) ガラス質が少なく、素地の気孔に入り込めず、釉が素地から、流れ落ちてしまいます。 

    b) 素地に吸収されて仕舞い、釉としての働きが、無くなります。

    c) 釉が煮えて、気泡が発生します。又、貫入が出やすいです。
 
      特に、珪酸が少なく、粘土やカオリンが多いと、長石の量に関係なく、貫入が入ります。

4) アルミナ成分(長石質原料)

 ① 釉に於けるアルミナの役割は、釉を安定化する働きをします。

   即ち、釉の粘度を増し、流れを防止します。

   又、釉の硬さを増し、風化や化学的侵略に対して、強い抵抗性を有します。

   更に、色釉を作る時にも、重要な働きをします。
 
 ② アルミナ成分を多く含む物質は、長石や陶石、及びカオリンです。

   長石にはアルミナ以外に、シリカや、アルカリ成分も多く含みます。

   このアルカリ類の違いにより、以下の三種類の長石が存在します。

  ) 正長石: カリウム(KO2)を含む、長石です。

  ) 曹長石: ナトリウム(Na2O)を含む、長石です。

  ) 灰長石: 石灰(CaO)を含む、長石です。

   何れも、1550℃程度の融点を持ちますが、実際には、不純物を含む為、1250℃前後と

   成ります。成分の違いは、釉の性質の違いに現れます。

 ③ アルミナ成分が、極端に多くなると、急激に粘度が増し、気泡が釉の中に残ります。

 ④ 石粉(いしこ)について。

   石粉は長石の半分解物で、10%程度の珪酸を含みます。

   それ故、木灰を配合するだけで、釉として使う事が出来ます。

   石粉には、三河石粉、波佐見石粉、さば土、千倉石、釜戸石粉などがあります。

以下次回に続きます。

      
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