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グーグーだって猫である 2008年 日本

2009-08-23 | ドラマ
この映画は、漫画家小島麻子先生の愛猫サバの死で始まる。
締め切りに追われ、三日間一睡もしていない麻子先生とアシスタントたち。
サバは、机に向かう麻子先生の背中を見つめながら、「さようなら」と呟く・・・。

これは、大島弓子氏のエッセイコミックをノベライズ版に書き替え、それを映像化したものである。
フィクションとノンフィクションが混ざり合ったような感じだが、個人的には、著者と愛猫たちの日常をユーモラスに描いたエッセイコミックのほうがよかったな。
ドキュメンタリーではないし、ニャンコに演じてもらうのは気が引けるし(苦笑)、だからそれはとても難しいこととは解っているのだが、やはりここはもっと忠実に、飼い主と猫との生活を見せてほしかった。

サバ(仏語“Ca va”からとったとは、映画で知りました。)がいなくなった喪失感から、麻子先生は仕事のぺースをぐんと落とした。
担当さんやアシさんたちも気が気ではない。
早く新しい作品を、と願っていた。
何もする気のない日々の中、彼女はペットショップで、グーグー(good good の意)と出会う。

人との出会いも縁だが、動物たちとのそれも、つくづく縁だと思う。
家族の一員として迎えたかれらとも、いつかは別れなくてはならないときが来る。
かつて、夏目漱石が愛猫の喪中ハガキを出したことに非難があったというエピソードを何かで読んだ。
たかがペットと思う人もいるだろうが、ながらく一緒に生活を共にしてきた者にとっては、深い深い想いがある。
仏教では、人と四つ足を同じお墓に入れることはタブーであるようだが、古代エジプトのお墓には、人と一緒に猫も葬られている。
それだけ大事にされていたのだろうな。
かれらへの想いはそれぞれかもしれないが、「家族」であることには変わりない。

映画の中でのグーグーも可愛かったけど、ちょっと絵葉書用のショットを集めたようなシーンが多すぎたように思うなぁ。
やはりね、エッセイコミックを読んで、グーグーたちと著者の家族愛に触れてみるのもよいのではないか、と思う。


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