アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

ラン・ローラ・ラン ’98 ドイツ

2005-05-25 | ドラマ
わずかな時間の差で、運命が変わってしまうことがある。
これはそんなお話。
しかも、3パターンの結末が用意してある。
ほんの些細な出来事によって、結末が大きく異なってしまう。

アニメを挿入したりして、独映画にしてはコミカル、且つ斬新な作品に仕上がっている。
髪を真っ赤に染めた主人公のローラ。
確か、某CMでマネされてたっけ。

とにかく走る、走る、走る。
恋人のマニを助けるために、ローラは走る。
限られた時間は少ししかない。
だからローラは走る。

このローラを演じたフランカ・ポテンテ、’02の『ボーン・アイデンティティー』と続編の『ボーン・スプレマシー』で、マット・デイモンの恋人役で出演してましたね。
近頃欧州女優たちは、注目されるとすぐにハリウッド進出しちゃうのがどうも気に入らない。
ハリウッド流に変えられてしまうらしく、彼女たちの魅力が半減してしまうように思えてならない。
やっぱりあちらの誘惑には勝てないのか!?

この映画のように、我々の人生も3パターンぐらいあったらありがたいだろうが(笑)、現実は一度きり。
与えられた宿命に、身を任せていくしかないのだろう。
定めに泣くか、笑うか・・・それも人生か。 

たまゆらの女 2002年 中国

2005-05-20 | ドラマ
〈たまゆら〉・・・古語のようだ。
こう趣きのある邦題は珍しくなった。
近頃では、横文字をそのままタイトルにする味気ないものばかりで、いささか興醒めである。
もっとも時代にそぐわないといわれれば、それまでだが。

今や国際女優としても活躍している演技派コン・リーが、切なくも希望を捨てない、気丈な女性チョウユウを演じている。
恋人で詩人のチェンチンの才能を信じ、励ますのだが、彼にとってそれがだんだんと重荷になっていく。

この作品では、列車の走行シーンと共に、騒音もいい効果を出している。

すれ違う列車。
すれ違う心。

通り過ぎていく列車のように、この二人も遠く過ぎ去っていってしまう。

一方、チョウユウを愛する獣医師のチャン。
だんだんとラッシャー板前に見えてきてしまうのが・・・あ、ここ書かないほうがよかったかな!?(笑)  

愛してる、愛してない・・・ 2002年 フランス

2005-05-18 | ミステリー&サスペンス
オドレイ・トトゥのストーカー的映画。
彼女もいつまでも、「アメリの・・・」と前置きされ続けるのも気の毒でならない。
どうしてもその印象が強過ぎるのか、思い込みの激しいキャラがくっついてしまっていて、役の幅がなかなか広がらないのも辛いところか。

この映画、あたかも二つのストーリーがあるように思えるが、実は同じ話を別の方向から見せる、ユニークな撮り方をしている。
前半は穏やかに、そして後半になると、彼女演じるアンジェリクの執拗な行動を目の当たりにされるのだが、これにはちょっと不意をつかれた。
そうだったのか!!と、前半の穏やかさに騙されていると、思わず膝を、ぺしっと叩いてしまうことになる。

公園でデッサンをするアンジェリク。
熱心に絵を描くアンジェリク。
彼女が画いているその先は・・・

ラストで彼女の創作を見せてくれるのだが、思わずゾッとした・・・
こ、怖かった! 

トーク トゥ ハー 2002年 スペイン

2005-05-13 | ヒューマン・ドラマ
これは非常に難しいテーマである。
単純に語れるものではない。
〈究極の愛〉がテーマといわれる作品なだけに、とっつきにくくもある。

一方通行の恋にしかならないベニグノにとって、彼のアリシアに対する想いは究極のものに違いないのだが、悲しいかな、決して報われはしない愛である。

どんなに愛情を注いでも、報われることはない。
どれだけ献身しても、アリシアの声を聞くことはない。
なぜなら彼女は、長く昏睡状態にあるから。

だが、ベニグノはあきらめない。
起きるかもしれぬ、奇跡を信じて・・・

この作品で、どちらに感情移入できるかといえば、ほとんどがベニグノと答える。
しかしアリシアの立場から思えば、やはり考えるところが多いのが本音であろう。

そこが究極の問題なのである。
人間、一方的な想いで悲劇につながることは少なくない。

個人的には、原作本のほうがすんなりと入っていけたかな。
映像よりも文章で体感したほうが、感銘を受けやすいと思う。

最後まで幸せを手にすることのできなかったベニグノ。
一方で、彼の友人となったマルコの行く末が気になるところだ。 

恋は邪魔者 2003年 アメリカ

2005-05-09 | ラブ・ストーリー
’01『ムーラン・ルージュ』のユアン・マクレガーと、’02『シカゴ』のレニー・ゼルウィガー。
それぞれの作品で、美声を披露していた。
で、二人が共演した本作、ここでも見事に余裕の歌いっぷり。

60年代風のオシャレは今でも新鮮である。
華美なようでいて、奥ゆかしさもあり、そこがいいのである。
また凝ったインテリアにも注目したい。
カラフルでいいではないか、楽しそうではないか。

’01の『ブリジット・ジョーンズの日記』でのコミカルな演技が印象深い彼女だが、昨年度のアカデミー賞で、助演女優賞(’03『コールドマウンテン』にて)を受賞している演技派なんだよね。
もっとそういう目で見てあげないとね、今後も。

しかし、彼女演じるバーバラ(別名もあるんだが)のしたたかさには驚いた。
女性はあのくらいでないとダメなのか!?
60年代でこうだぞ。
じゃあ、21世紀の今なら、もっと強くていいのだろうか!?

これ以上女性ばかりが強くなって、果たしていいものかどうか考えものである。
 

猫が行方不明 ’96 フランス

2005-05-06 | ドラマ
家に帰ってきて、もしもペットがいなくなっていたらどうするか!?
必死になって探すだろう。
チラシを作ってあっちこっちに貼って、懸命に情報を得ようとするだろう。

クロエもそんな一人。
愛猫のグリグリがいなくなってしまった。
黒猫なのにグリグリ(灰色)、オモシロイね。

クロエを演じたギャランス・クラベルが、女の子ならではの葛藤を、上手に表現していた。
人々の温情と、親身になってグリグリを探してくれる熱意に助けられている彼女は、幸せ者である。
そのあたり、もっと気づかなきゃね。

希望が見え始めたラストはなかなか。
クロエの嬉しそうな笑顔が印象的。

軽妙な音楽がまたいい。
これ、サントラ欲しかったんだけどなぁ。

で、グリグリは一体どこに?
あら、まぁ・・・ 

哀愁 ’40 アメリカ

2005-05-01 | クラシック
往年の美形スター、ビビアン・リーとロバート・テーラーの共演作品。
純愛ブームに沸く昨今、こうした作品をしっとりと観るのも、実に有意義なものではないだろうか。

個人的には、’39の『風と共に去りぬ』より、本作品の彼女のほうがいいかな。
もちろん前者も素晴らしい大作であるのだが、スカーレットがあまりにも強いキャラだったので、おとなしめなこちらのほうが落ち着いて鑑賞できる。

恋におちたふたり。
だが、一緒にいられる時間はあまりにも短い。
やがてロイの出征の日がやってくる。
「彼は必ず生きて帰るわ」
そう信じるマイラ。
しかし、戦死者リストを見てしまってからの彼女は・・・

まるで『アンナ・カレーニナ』のラストのような悲劇が待っている。
何故、どうしてそんな選択を!?と叫びたくなってしまうが、マイラにとっては、黙って幸せになろうとする自分を許せなかったのだろう。
自分にもロイにも嘘はつきたくないと。
切なすぎる。

彼女は誇り高き女性なのであった。