アブリコのCinema散策

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題名のない子守唄 2006年 イタリア

2010-02-28 | ミステリー&サスペンス
地獄のような毎日を強いられ、常に“黒カビ”に監視されている。
ひどい扱いを受けても、逃げ場はない。

そんなわたしでも、恋することができた。
素晴らしいときだった。
永遠に続くかと思った幸せ。
子どももお腹にいる。
悪夢のような日々から脱することができるかと思った。
でもそんなこと、できるわけはない。
わたしは、見張られている。
わたしは、“黒カビ”の商品であり、奴隷でもある。
わたしに自由はない。
そしてわたしの夢は、砕け散った・・・。

わたしは子どもを産み、そしてすぐに引き離された。
子どもがいては“仕事”ができない。
彼女はその後、養子に出されたと聞いた。
確か・・・アダケル家といったか・・・。
わたしは誓った。
どんな手を使ってでも、娘を探し出そうと。

娼婦だったイレーナは、自分の娘を引取ったとされるアダケル夫妻のメイドとして家に入り込む。
しかしイレーナもまた、かつての売春組織に狙われていた。
“黒カビ”を殺し(殺したつもりだった)、組織の金を持ち逃げしたためであった。

懸命に娘を引き戻そうとするイレーナ。
だが報われることはなかった。
ただ、胸が裂ける事実を突きつけられるだけであった。

報われず、ひたすら辛い日々のイレーナであったが、心持、救われそうなラストシーンにホッとする。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督としては、意外なほど、観ていてところどころ息苦しくなるくらいのサスペンス映画に仕上がっていた。
『ニュー・シネマ・パラダイス』の印象が強いだけに、180度違うこの作品は、衝撃的でもありました。
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ダージリン急行 2007年 アメリカ

2010-02-21 | ヒューマン・ドラマ
心の旅。
そういった題名の映画もあったが(オリジナルは『心の旅路』)、なんかこう、グッとくる響きがある。
一般的によくいわれる“自分探しの旅”も、いくらか似通った点があるのかもしれないが、どうもこの“自分探し”って言葉に違和感を感じるのだが。

心の旅。
グルメやショッピング目的の旅はこうはいわない。
景気のいい旅もこうはいわない。
心の旅は、決して急いてはいけない。

フランシス、ピーター、ジャックのホイットマン兄弟。
父親の葬儀以来疎遠だった三人は、長男フランシスの呼びかけで、インドのダージリン急行の中で落ち合うことに。
久々の再会だったが、フランシスの細かい仕切り方に、弟二人は「相変わらずだ」とばかりの表情。

気ままな旅が、道中のハプニングで一転する。
そしてそこから、彼らの本当の“心の旅”が始まるのであった。
やがて兄弟たちは、この地で尼僧になったという母親に会いに行く。
彼女は、夫の葬儀にも来なかった。
聞きたいことはたくさんある。
いい大人になった彼らも、心のわだかまりは解けずにいた。

事故に遭ったとういうフランシスは、ずっと頭に包帯を巻き、常に杖を持ち歩いていた。
でもあんなに速く走れて、川の中にも入れるのなら、杖は必要ないんじゃ・・・(笑)。
それと、彼のあのやたらに仕切るところは、お母さんゆずりだったのね。
ちょっと笑えた。
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マルタのやさしい刺繍 2006年 スイス

2010-02-10 | ヒューマン・ドラマ
スイスの小さな村に住むマルタおばあちゃん。
最愛の夫を亡くして以来、喪服を着て過ごしていた。
何もする気がおこらず、牧師である息子のミサにも寝過ごす始末。

「何かを始めたらいいのよ」
友人のリージは言う。
そんなある日、彼女はマルタの家のクローゼットで、きれいな花の模様の箱を見つける。
その中には、美しい生地が・・・
「素敵じゃないの、マルタ!」
「昔、インターラーケンにいた頃、作っていたのよ・・・」
マルタは、リージの勧めもあり、かつての夢を実現させようと意気込む。

その決意とは。
保守的な村の中で、ランジェリー・ショップ(映画では、ランジェリー・ブティックといってます)を開くということは、かなりの違和感があるよう。
案の定、村の住民たちは奇異な目でマルタを見る。
「そんなことをして、恥ずかしいと思わないのか!」
他人ならともかく、息子にまで言われてしまう。
だが、マルタの気持ちは揺るがない。
おばあちゃんは強い。
だてに、年齢を重ねているわけではないのだ。

首都ベルンまで出て、生地を買う。
街で売っているランジェリーを見て、マルタは商品の粗を並べ立てる。
「縫製が悪いし、デザインもよくないわ。 昔はみんな、手縫いだったのよ」

マルタをはじめ、彼女の友人たち ― リージ、フリーダ、ハンニ、それぞれを演じた女優さんたちはみな、母国では有名らしい。
さすがに芸達者な人たちだった。
安定した演技にキャリアの技量を感じた。

店を開けたのも、友人の協力があってこそ。
“持つべきものは、〈老いても〉友”なんでしょう。
夢をかなえるのに、年齢は関係ないと奮闘するマルタおばあちゃん。
女性はいつまでも強いのです。


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