アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

クレイジー・ハート 2009年 アメリカ

2014-06-25 | ドラマ
57才のバッドは、現役のカントリー歌手。
かつては異彩を放つほどの大物だったが、いまではかなり落ちぶれてしまっていた。
地方巡業でなんとかやっていたものの、飲んだくれがたたって、失態も相次ぐ。

曲を作れよ、と勧められる。
アルバムだっていいじゃないか。
しかしバッドは乗る気はない。
確かに金にはなるが、もう長いこと曲は作っていないし、すべきではないと思っている。
ノリにノッてるいま大人気のトミーは、恩師であるバッドからすべてを教わった。
トミーと組んだらという話もあるが、バッドからすれば、「冗談じゃあない!」

時折、からだの具合が悪くなる。
酒のせいだとは分かっていたが、断つことはできない。
彼はもうアルコール依存症だった。
酒がなければ歌えない。
酒がなければ生活もできない。
ましてや、酒がなければ女も抱けない。

巡業先で地元紙のインタビューを受けた。
記者は、キーボード奏者の姪であった。
名前はジーン、4才の男の子がいるシングルマザーだ。
バッドはジーンを気に入ったようだった。
ジーンも彼が気になる。
二度目のインタビューを機に、ふたりは急接近することになる。
バッドはジーンの息子バディをとても可愛がった。
自身にも28才の息子がいるという。
だが24年も会っていない・・・俺は会おうともしなかったんだ・・・

4日間休みが取れたから、一緒に過ごしたいとジーンから連絡が入る。
サンタフェからはるばるバディを連れてやってくるのだ。
バッドは嬉しくて仕方ない。
身だしなみにも気合が入る。

ジーンがショッピングに行っている間、バッドはバディを連れて公園へ出向く。
日差しがまぶしい。
涼しい場所へ移ろうと、バディをうながす。
街中を散歩中、彼はノドをうるおしていこうと、とあるバーに入る。
バディにはジンジャーエールだ。
カウンターにバディを座らせても、じっとしているわけがない。
彼は4才の男の子である。
ちょっとした隙に、バディの姿はバッドの視界から消えてしまっていた。
彼はすでに酔っていた。

信用は取り戻せなかった。
ジーンは怒り、彼の元を去る。
ジーンに去られたことで、バッドは絶望のどん底にいた。
そして決意する。
酒をやめると。

バッドは生まれ変わった。
失意の底から這い上がり、辛い経験を歌にした。
その見事な曲をトミーに提供したのである。
俺もまだ捨てたもんじゃないだろ?

人間誰しも、失敗や苦労を重ねなければ成長できない。
そして、どんないいものも作ることはできない。
それをこの映画は教えてくれる。

ソウル・キッチン 2009年 ドイツ・フランス・イタリア

2014-06-07 | コメディ
この場合の「ソウル」とは、韓国の首都ではなく、魂の「ソウル」である、念のため。
昔のディスコブームでは、ソウル ミュージックが際立っていた。
『ソウル・トレイン』や『ソウル・ドラキュラ』なんてのもあった。
ソウル フードがあれば、ソウル キッチンもある。

ジャーマン コメディを観てみれば、実に味わいのある作品であった。
腹をかかえて大笑いする類ではないが、大人のシニカルな部分と、大胆な展開がうまく融合していてバランスが良い。
演出や劇中の選曲も文句なし。
筋書きはやや平凡だが、そこをどえらい演出でカバーしているので面白おかしくなっている。

ドイツのハンブルクに、倉庫風の店「ソウル・キッチン」はある。
ジノスが懸命に創りあげた自慢の店だ。
手放すなんてとんでもない。
それが体調不良のため、やむなく仮出所中の兄イリアスに店を託すことに。
そして、イリアスの失態で、店は人の手に渡ることとなる・・・。

遠恋の彼女とはダメになり、ギリシャ製の食洗器を持ち上げたせいで腰をダメにし、店もダメになって、ダメダメ生活が続くのかと思いきや、ジノスの努力で奇跡が起こる!?

前に、ドイツにはコメディアンがいないと揶揄されたことがあった。(もちろん、それは冗談である)
まあ、それほどお堅いイメージのある国に見えるのかもしれないが、本作品を観る限りでは、そんなことは決してないように思うゾ。