アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

ターンレフト ターンライト 2002年 香港・シンガポール

2007-05-26 | ラブ・ストーリー
“人生は偶然だらけ  平行線もいつか交わる”

偶然に出会った男女が恋に落ち、その相手がどこの誰かも分からぬまま別れる。
自宅の電話番号は交換したものの、雨に濡れ、識別不能となってしまう。
このあたり、携帯電話を使わないところがかえっていい。
お気楽にピピピじゃね。
古き良き方法も、もどかしさを盛り上げてくれていいものです。

このふたり、実は13年前に既に出会っていた仲であった。
恥らう学生だった彼らは、この時も、ちょっとした神様のいたずらで連絡を取り合うことができなかったのである。
名前も知らない。
どこに住んでいるのかも分からない。
知っているのは、お互いの制服に縫いこまれていた学生番号だけ・・・

13年後、奇跡的に再会を果たしたのに・・・
“人生は驚きで一杯  凧の糸は突然切れる”

実のところ、ふたりはアパートのお隣同士であった。
こんなに近くにいても気づかない。
近くて遠い。
懸命に相手を探そうとする姿は切ないのである。

とにかくすれ違いばかり。
ヴァイオリニストの卵である男性はウィーンへ、ポーランド語の翻訳家の女性はアメリカへ、それぞれ旅立とうとしていた。
しかし、彼らは必死に会いたいと願っていて・・・

かなり乙女チックな作品であるし、恋愛映画に欠かせない〈偶然〉もてんこ盛りだが、ここまで苦労したふたりであるから、ここは素直に「よかったね」と言いたい。
シチュエーションは別として(笑)

ホワイト・ライズ 2004年 アメリカ

2007-05-22 | ミステリー&サスペンス
’95の仏映画『アパートメント』のリメイク版ということで観てみた。
最初から比較するつもりでいたのだが、こうも薄っぺらくなってしまうものかと、正直がっかりであった。

ここのところ、ハリウッド映画の低迷が際立っているが、他国の作品をリメイクしすぎているとの批判も出ているようだ。
確かに。

複雑な展開を見せるこの映画、オリジナル作品に比べるとかなり冗長気味。
長くすればいいってもんではないだろう。
実際、『アパートメント』のほうは、コンパクトにキメているんだから。

キャスティングもオリジナル版に軍配を挙げるかな。
ダイアン・クルーガーも悪くないけど、やっぱりどうしても、濃厚なモニカ・ベルッチと並べてしまっては・・・ね。
オリジナルが面白かっただけに、ちょっと残念かな。

唯一、ラストが異なっているので、好みの分かれるところだろう。
正直、仏版を観たときは、「なんちゅう男やねん!」と思いましたよ。
ドキドキしながら、自分に投影していた男の人もいたかも(笑)
見比べてみて、「えっ!?」と唖然とすると同時に憤りを覚えるか、「ホッ」と安心するとともに和むかは、自由です(笑)

THE 有頂天ホテル 2005年 日本

2007-05-17 | ドラマ
ホテルを舞台にした有名な作品といえば、元祖クラシックの名作、’32の『グランドホテル』だろう。
本作品を聞いたとき、三谷幸喜監督のことだから、『グランドホテル』からの影響は何かしら受けているんだろうな、と予測していたら「やっぱり」だった。

同一空間、それに同じ時間の中で並行したドラマを描いていくのを〈グランドホテル形式〉と呼ばれているそうである。
今ではこうした撮り方も珍しくはないが、当時としては斬新な手法だったのだろう。

この映画の舞台、HOTEL AVANTIのスウィートルームには、『グランドホテル』の出演者の名前がつけられていた。
グレタ・ガルボから〈ガルボ・スウィート〉、ジョン・バリモアから〈バリモア・スウィート〉のように。

彼の作品としては、’97の『ラヂオの時間』のほうが丁寧に作られていたように感じる。
小味で好感ももてた。
しかし、お正月映画大作として出した今回については、あれもこれもウケを狙ったのか、それこそつまらないギャグで、すっかりシラけてしまった。
『グランドホテル』を引用したわりには・・・悲しかった。

オダギリジョーの意外な役に、唯一関心がもてたかな。
最初気づかなかったし(笑) 

慕情 ’55 アメリカ

2007-05-12 | クラシック
チャイナドレスが似合う女優さんてなかなかいないと思うが、この映画のヒロインを演じたジェニファー・ジョーンズは、大人の色香を漂わせながら、実にしっとりと美しく着こなしていた。
’00の『花様年華』のマギー・チャンも同様に、品の良さをかもし出していた。

このチャイナドレス、ちょっと間違えると非常に下品なものとなってしまう。
美しく装うというよりも、日本人の場合むしろ、エッチっぽく見せたいと思う人の方が多いかもしれない。
いや、そういう風に見たいとする輩が少なくないのかも。

ジェニファー・ジョーンズって、見ようによってはエキゾチックな顔をしているから、今回の中国とイギリスの混血という役も、そんなにムリな設定ではないように思う。
全く関係ないが、実際、アグネス・チャンさんよりも、ジュディ・オングさんのほうがチャイナドレス似合ってます。

本作品は、チャイナドレスがどうのという話ではない(笑)
愛がどれほど素晴らしいか、である。
ジェニファー演じる、ハン・スーインの恋人マークが、彼女に送った手紙の中でこう記していた。
「人生の最大の悲劇は、愛を知らないことだ」

某誌のアンケートで、「愛のない人生とは?」との問いに、「不毛の地のようだ」と答えた人がいたが、まさしくそうだろう。
原題と主題歌『Love is a many splendored thing』のとおり、やはり愛は素晴らしいのである。

だが、いかなる愛も・・・と言ったら、それは美化しすぎだろうけど。

おいしい生活 2000年 アメリカ

2007-05-09 | コメディ
ウディ・アレンは好きではないが、この作品はわりとひいきにしている。

銀行の金をかっさらって、今の暮らしからおさらばしようと計画を練るレイとその仲間たち。
銀行から2軒ほどおいた店は“テナント募集中”。
そこで店を開き、そこから地下トンネルを掘って金をいただこうと作戦を立てるのだが、レイの妻フランシスは猛反対する。
しかし・・・

カモフラージュとして開いたクッキー店は大盛況。
フランシスの焼くクッキーは、ニューヨークでも大評判となる。
当初の計画は失敗に終わるが、皮肉なことに、彼女のおかげで大儲けする事となった。
だが・・・

大金持ちとなって上流社会と付き合う中、如何に自分たちが無知であったかを思い知らされる。
教養ももちろん大事なことではあろうが、生きていく過程の中で学び取ってゆくことも多々ある。
成功と挫折は紙一重。
フランシスが言う。
「人生を学べたわ。 違う形ではあったけど」

彼女に近寄るデヴィッド役のヒュー・グラントは、相変わらずのキャラ。
フランシスを演じた、多芸なトレイシー・ウルマンも、コメディエンヌぶりを大いに発揮しておりました。

ともあれ、人生の中で、連れ合いから学ぶことも非常に大事だということを忘れないようにいたしましょう。

ディープ・ブルー 2003年 イギリス・ドイツ

2007-05-06 | ドキュメンタリー
海は生物の宝庫といわれる。
生物がこの世に誕生したのは、海からという説がある。
潮の満ち引きは、生命の誕生と大きく結びついているが、地球の7割を占めているこの海は実に神秘的であり、なおかつ我々が想像する以上に、ここでは壮大なロマンがくり広げられているのだ。

’01の『WATARIDORI』と似たドキュメンタリー作品である。
これと同様に、自然界における動物たちが苦難に立ち向かっていく姿は、おうおうにして、人間界よりもはるかに苛酷であると痛感させられる。

深海で生きる奇妙なものたちのワンダーランド。
この暗黒の世界でも、多くの生物が生息している。
電飾のような、宝石のような、その妙な光を自ら発するプランクトンたちは、闇の中で、お互いをせせら笑うかのように行ったり来たりしている。

優雅に羽ばたく鳥たちが、数千キロも横断していく様子や、零下57度、風速150mの猛吹雪の中を、3ヶ月間も卵を温めながらジッと耐える雄の皇帝ペンギンたちを見て、言葉に絶するほどの感動と、かれらの強さに胸が熱くなってくる。

母の愛は海よりも深し。
厳しい自然との戦いの中で子を守る親たちの姿は偉大である。
嫌な事件の多い昨今、人間も改めなくてはいけない。