アブリコのCinema散策

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バベル 2006年 メキシコ

2011-11-28 | ドラマ
痛い。
頭も首すじも、脈打つように痛い。
わたしはこのまま死ぬのだろうか。
あの子たちを残して、ここで死んでしまうのだろうか・・・。

ああ早く、少しでも早く、救急車を、助けがほしい。
妻を早く助けてくれ。
頼む、お願いだ。
俺たちは、ここで離れるなんてことはできない。
痛みが・・・からだ全体が、締め付けられるように痛い。

なぜだろう、どうしてこんなことに。
事態がどんどん悪いほうへ進んでいく。
息子の結婚式までは、それなりに幸せだった・・・。
とにかく早く、この子たちを助けないと。
旦那様たちに申し訳がたたない。
でも、自分がどこを歩いているかもわからないのよ。
苦しい。
容赦なく、陽射しが全身を突き刺してくる。
水、水がほしい・・・痛い、のどが焼けるようだわ。
早く、早くしないと、この子たちが・・・。
わたしがこんな所で倒れるわけにはいかないのよ。

この痛み・・・ママが死んでからずっと続いてる。
体の奥からにじみ出てくるような痛み。
大切なのは友だちだけ。
結局、誰もわかってないってこと。
優しさなんてウソ。
わたしには、どうしたって耳に届かない。
金魚みたいに、みんな口をパクパク動かしてるだけで、こっちにはなんにも感じない。
でも感じたい。
わたしだって、必死に歩み寄ってるんだよ。

僕は人を殺した。
殺しちゃったんだ、銃で。
まさかって思ったよ。
でも本当にあたっちゃったんだ。
家族にも言ってない。
兄ちゃんと一緒に黙ってた。
警察が廻ってるって知って、急いで銃を隠したんだ。
絶対にわからないって思った。
バレないって。
でも、毎晩、胸がチクチク痛くって、時々苦しくなったりするんだ。

モロッコ、アメリカ、メキシコ、そして日本。
一発の銃弾が、異なる国を繋ぎ、人々の運命を狂わせる。
ただひたすらに、悲痛な叫びが聞こえてくる、そんなストーリーである。