アブリコのCinema散策

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血の婚礼 ’81 スペイン

2006-12-27 | ドキュメンタリー
20世紀のスペイン舞踊界において、最も重要な人物と称えられたアントニオ・ガデス。
彼の舞踊団が楽屋入りし、メイクアップや身支度をしていく様子をカメラがとらえていく。
やがて稽古場へ移ると、彼らの息の合った練習風景を映し出していく。

真剣な眼差し。
力強いステップ。
フラメンコ・ダンサーたちの、全身からみなぎる情熱が伝わってくるようだ。

『血の婚礼』の通し稽古(リハーサル)が始まる。
ミスは許されない。
そんな気迫が感じ取れるほど、完璧さが求められる。

リハーサルとはいえ、胸に迫るものがある。
あらゆる感情を全身で表現する ― オペラやクラシックバレエ、またミュージカルとも違う、独特な強さと悲しみの見せ方が心を打つ。
むせび泣くようなフラメンコ・ギターの音色もいい。

花嫁役のクリスティーナ・オヨスは、60年代からアントニオの団員として活躍してきた。
本作品のカルロス・サウラ監督は、ガデスと何度か組んでいる。
同監督の’98の『タンゴ』も、官能的な艶やかさで観る者を魅了させた。
こうしたジャンルはお得意の監督である。

リハーサル風景で、これほどの感銘を受けるのだから、実際の舞台はさぞかし素晴らしいものだろう。


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トリコロール/白の愛 ’94 フランス・ポーランド

2006-12-19 | ラブ・ストーリー
性的不能となった夫を見限った妻。
だが、夫は妻を愛している。
離縁されても愛しさは変らない。

フランス国旗の三色 ― 青(自由)、白(平等)、赤(博愛)をイメージして作られた三部作の二作目にあたるのが、本作品である。
個人的には、三部作の中でこの『白の愛』が興味深かった。
他の二作品に比べるとユーモアも交え、ヒロインである妻よりも、ポーランド人の夫カロルに焦点を当てているところがドラマチックだ。

さほど流暢ではないフランス語をテープで聞きながら練習をするカロル。
フランス人のドミニクともっと語り合いたい・・・そんな想いもあったのだろうが、虚しさだけが心を締めつける。

可愛さ余って憎さが百倍。
今でも彼女への気持ちは変らない。
しかし、報復せねばならない。
風采が上がらない男から紆余曲折を経て、会社経営者になりあがったカロル。
そこから、元妻ドミニクへのある計画を実行に移すのだが・・・

「愛は平等でなくてはならない・・・」
そんな一途な想いが、彼をここまで動かしたのだろうか。
ラストの彼の涙が、そう語っているように見える。
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ブロンディ 女銀行強盗 ’93 アメリカ

2006-12-09 | アクション
キム・ベイシンガー主演作品の中で(全部は観ていないが)どれがいいかと訊かれたら、本作品を挙げるだろう。
ストーリーがどうのではなくて、彼女の魅力が十分に活かされていると個人的に勝手に思っているのだ。
’97の『L.A.コンフィデンシャル』での優美な存在感は絶賛を博していたが、どちらかといえば“静かな演技”よりアクション向きなんではないだろうか。

息子を救うため、危険を冒しながらも、再び大手銀行の地下金庫に眠る1800万ドルを狙うカレン。
だが彼女の思惑は金ではなく、別な方向に向けられていた。

峰不二子ばりの仕事さばきとファッションセンス。
しかし、この主人公は男にしなだれるような女ではない。
クールだ。
だから余計に周りの男たちがぶざまに見える。

トリプルA(AAA)の安全性を保持しているというわりには、この銀行、落ち度が結構多いのに笑えた。
美人に弱い係員とか(笑)、モニターやカメラもかなり少なくないか?
監視員もあれだけだし・・・

スタイルがいいから何を演ってもサマになるけど(女優だから当たり前!?)、’87の『ブラインド・デート』で彼女の妙な酔っ払いぶりを見て、これをハズさなければコメディ作品でももっとお呼びがかかっただろうに、と余計なお世話であろうが思ってしまう。
ま、均整がとれすぎてると、お笑いはムズカシイですが・・・ね。
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旅する女 シャーリー・バレンタイン ’90 アメリカ

2006-12-05 | ドラマ
毎日山のような家事を黙々とこなしても誰からも感謝されず、旦那には愛想がつき、子供たちは何のあてにもならない。
そんな専業主婦のシャーリー・バレンタイン。
「これだけ家族に尽くしてきたのに、この暗暗たる気持ちは何?」

キッチンで“壁”と会話するシャーリー。
決してイカレてるわけではない。
主婦とは孤独なんである。
日中、家では一人。
話す相手もいない。
だったら“壁”を友人にしてしまえとばかりに、彼女は日々独り言・・・いや、壁に愚痴を聞いてもらっている。

そんな中、友人ジェーンが当てたギリシャ旅行にシャーリーが便乗することに。
念願の海外旅行。
胸弾むバカンス。
もちろん夫は許さない。
だが彼女は強行を決める。
「もう42才・・・じゃなくて、まだわたしは42才なのよ!!」

波打ち際のテーブルで、ワインをかたむけてみる。
そんなロマンチックな夢もいい。
だが実際やってみると、「バカみたい」とシャーリー。
でも実現できたんだから・・・って、これで彼女の夢が終わるわけではない。
ギリシャの地で、シャーリー・バレンタインは、完全に吹っ切れてしまった。
彼女はすっかり、第二の人生に目覚めてしまったのである。

夢を追い続けるのは確かに素晴らしいこと。
だがシャーリーの場合、現実から逃避することと夢とが混同してしまっているようにも思う。
冒頭の「誰からも感謝されず」と思い込んでいたら、それは間違い。
口に出さずとも、家族はみんなあなたに感謝してるんだから。
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