アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

パピヨン ’73 フランス・アメリカ

2007-07-31 | アクション
スティーブ・マックィーン主演の壮絶な脱走劇。
脱走モノだと、'63にすでに『大脱走』で見せてくれた。
ここでは、彼の軽快なアクションが見ものであり、収容所に連れ戻されたときの彼のふて腐れた表情がまた、茶目っ気があってよかった。
しかし、本作品ではそのような光景は微塵も無く、獄中の凄まじさと、何より、逃亡への執念に驚愕するのである。

マックィーン扮するパピヨン(胸に蝶のイレズミをしている)は、無実の殺人罪で、フランス領のギアナで収監される。
そこで、ダスティン・ホフマン演じる詐欺師のデガと出会う。
二人は意気投合し、脱出計画を練る。

だが、あるトラブルを起こし、パピヨンは独房へと移されてしまう。
そこでの彼の変化に注目である!
後に、その独房でさえ遮光させられ、一筋の光しか入らない中でのおぞましい日々。
食糧も半減され、彼は極限状態の中、虫をも食うのである。
栄養失調のため、歯も抜ける。
鬼気迫る目は、役とはいえ、もの凄い迫力だ。
健康状態を見せるため(あるいは、散髪や髭剃り等)、度々、独房の小さな扉から顔を出す。
隣の囚人に聞いてみる。
「どうだ、俺の顔色は。 元気そうか?」
男は、目を伏せ答える。
「最高だ」
それがどういう意味かは、おのずと分かってしまうのだが。

ダスティン・ホフマンの演技も素晴らしかった。
個人的には、彼の作品の中では一番かもしれない。
最後には二人とも、脱出不可能とされる〈悪魔の島〉へ送られる。
だがパピヨンはあきらめない。
チャンスは決して逃さない男なのである。

クリント・イーストウッド主演、’79の『アルカトラズからの脱出』も、不可能と言われた刑務所から脱出に成功していた。
これほどまでの執念を、真っ当なことに燃やすことができたら、ある種、スゴイ人間(ひと)になっていたと思うがなぁ。
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無伴奏「シャコンヌ」 ’94 フランス・ベルギー・ドイツ

2007-07-19 | ヒューマン・ドラマ
いい映画である。
観終わってからも、しばらくは座ったままの状態で、音の余韻に浸っていたい。

クラシック音楽も『のだめ』等の影響もあって大ブームとばかりに、若い人達も聴く機会が増えて、なかなか良い傾向ではある。
残念ながら、熱しやすく冷めやすい日本人だから、韓流ブーム同様、陰りもそろそろ見え始めてもきているようだが・・・

ヨハン・セバスチャン・バッハ作曲のヴァイオリン曲『シャコンヌ』。
無伴奏であるが故、当然ヴァイオリニストの高度なテクニックが必要となる。
聴けば分かるように『シャコンヌ』は、様々な様相を呈しているうえ、変奏を多用している。
劇中でしばしば短い変奏が流れるたび、主人公アルマンの思いとが重なっているようで、この崇高な音色と、彼のひたむきさが合致していることに驚かされる。

ヴァイオリニストとしてのキャリアを捨て、自らの音楽を探求するアルマン。
やっと自分の納得のいく演奏を見つけ戻ったときには、彼の居場所はどこにもなく・・・

ラストおよそ15分の荘重な演奏の中に、先に述べた「アルマンの思い」のすべてが、ここに込められている。
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トレインスポッティング ’96 イギリス

2007-07-13 | ドラマ
映画を観るときというのは人それぞれ、様々なきっかけがあってのことと思う。
「人に勧められて」「感情の赴くままに」「暇つぶしに」「ただ何となく」とか。
理由はどうあれ、だいたいにおいてリラックスしているときに観ることが多いだろう。

休日だったら、遅めのブランチしながらとか、昼間に〈ドリトスのナチョチーズ味〉を一袋あけてしまおう(!)とか、夜はワインとチーズなんか出して、DVDのスイッチをいれてしまうとか、鑑賞する際に、何気につまんでしまうという人は結構多い。

日本の映画館では、やたらと食べながら観る人は少ない気がする。(館内飲食禁止って所も増えたし)
なので、映画館へとなれば、「午前中のほうが空いてるから、先に観てから食べよっか?」あるいは、「お昼食べてからのほうが落ち着いて観られるよね」なんて言い合いながら、どの回にするか選んだりする。

ここで何が言いたいのかというと、これ、いかにも英映画っぽいポップな青春映画ではあるようだが、食前・食後は控えられたほうがよろしいかと思うのである。
まして、食事中なんてもってのほかである。
加えて言うと、気分も殊更暗くなる。(それは自分が若くないからだろう・苦笑)

当時の宣伝ポスターなんかで、どうしてユアン・マクレガーが便器からニョッと出ているのかと不思議に思った人もいたかもしれないが、映画を観れば、あぁ、納得(笑)でしょう・・・


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21グラム 2003年 アメリカ

2007-07-08 | ヒューマン・ドラマ
人は死ぬと、21グラム軽くなるのだそうだ。
5セント硬貨5枚の重さ。
ハチドリの重さ。
21グラム。
何故、21グラムなのだろうか。

ゴールデンウィークに公開され、何かと話題になった『バベル』。
これと同様、本作品も人と時間が錯綜している。
イニャリトゥ監督は、こういった手法が好きなのだろう。
よぉく観ていないと、どれが現在(いま)か混乱するかもしれない。
先を映していたかと思うと突然過去になり、はたまた現在をとばして、またその先を見せていたり。
そこが屈折した面白さと言おうか。

イニャリトゥ監督が表現させる、各々の孤独感と苦悩。
人生の悲惨さの中で見せる心理描写には舌を巻く。
俳優陣の選択(目利き)にも長けている。
深みの増したショーン・ペンがよかった。
涙でぐしゃぐしゃになりながら、自暴自棄になるナオミ・ワッツもよかった。

人は誰のために生きるのか。
その人の分まで生き長らえたら幸せになれるというのか。
助かる分、傷つくことも多い。
とても哀しい。

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パンチドランク・ラブ 2002年 アメリカ

2007-07-01 | ラブ・ストーリー
純愛であり、ラブコメでもある本作品は、一風変わったラブストーリーだ。
オープニングから出端をくじかれそうになるが、その妙なテンポが、徐々にストーリーと調和を成していくのだから、不思議な感覚にとらわれる。

姉たちに囲まれたバリーの写真を見て、彼を好きになったと言うリナ。
女性に対して不器用なバリーは、姉の同僚である彼女に会うと、「一生に一度の恋だ」と確信する。

バリーには危険な一面があった。
突然キレるのである。
人畜無害な彼ではあるが(笑)、マジギレすると、物を破壊してしまうクセがある。
だがこれが幸いして、自己とリナを守れたのだからわからなくなってくる。

バリーを演じたアダム・サンドラー。
役に合っていた。
他のコメディ俳優だったら、この映画の妙で変なユーモアをうまく出せずに終わってしまっていたかもしれない。
ゲラゲラ笑えるスタンダードなアメリカン・コメディと違う、どちらかというとフレンチ・ユーモアに近いだろうか。
マジになるほどズレていってしまうあたりが可笑しいのだ。

この後、ふたりは一緒に住むんだろうけど、くれぐれもケンカだけはしないでほしいと願わずにはいられません。 

コメント (2)
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