アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

百万長者と結婚する方法 ’53 アメリカ

2006-11-28 | コメディ
「結婚に愛なんて必要ないわ! お金よ、お金!」
・・・と、息巻く三人の美女。
高級マンションの一室で共同生活する彼女たち。
あの手この手を使って、金持ち男をゲットしようと奮闘する。

こういったストーリーは、現代版にしてもリメイクはいくらでもききそうな気がする。
だが明らかに、コメディ向きだと思わせる女優を使っても面白くない。
ありきたりな作品になってしまうのがオチだ。

本作品で起用されたのが、なんとローレン・バコール。
ローレン・バコールといえば、クールでミステリアスな印象が強いではないか。
あのハスキー・ボイスに、あの眼差し。
コメディには程遠いイメージだが、だからこそいいのである。
ハードボイルド女優が振られたり、家財道具を売ってまで見栄を張るさまは意外だし、なかなか目にできない経験だ(笑)

三人のうちのもう一人をマリリン・モンローが演じている。
セクシー路線まっしぐらの彼女とは違う、一風変ったコミカルな演技がとっても新鮮。
こっち路線でいっていたら、もしかしたら悲劇的な最後を遂げずに済んだのかも・・・と思ったりもしてしまう。

さて、高飛車な彼女たちが本当に好きになった相手とは?
ちょっと気負い気味のときに本作品を観ると、ふっと気持ちが軽くなるかもしれない。 

クローサー 2002年 香港・アメリカ

2006-11-20 | アクション
男どもの完敗。
誰に?

美人姉妹が〈コンピュータ・エンジェル〉と称して、殺しを請け負う。
香港映画そのままに、彼女たちは空中を跳び、銃を撃ちまくる。
しなやかな動きは、観ていても清々しい。

『チャーリーズ・エンジェル』のような娯楽さはないものの、彼女たちの、「うそぉ」と思わずにはいられない強さに匹敵すると言っても許されるんじゃないかな?
変装はしないけど(笑)

終盤での刀を武器に戦うあたり、ハチャメチャっぽくってどうでもよさそうだが、『キル・ビル』よりはマシか。
香港アクション映画で大活躍の日本人俳優、倉田保昭が女性二人に殺られてしまうのは、ちょっとカッコ悪かったが、ここは彼女たちに花をもたせてあげないとね。

姉に負けたくないと、妹が余計な足を引っぱる展開はややベタな感はある。
コンピュータ担当だった妹の、姉にも勝る奮闘振りを観て、いつそんなに鍛えたの?と疑問に思ったことは否めないが、彼女を演じたヴィッキー・チャオが可愛かったから、ま、いっか(笑)

太陽と月に背いて ’95 イギリス・フランス・ベルギー

2006-11-12 | 伝記
彼らに感情移入できるか。
個人的にはムリである。

彼ら―19世紀のフランス象徴派を代表する詩人、ポール・ヴェルレーヌとアルチュール・ランボー。
互いの才能に魅了され、不運へと突き進んだふたり。
各々の詩からは想像しにくいのだが、ヴェルレーヌにしてみると、あの陰陰滅滅たる詩は、彼の女々しい性格によるものなのかもしれない。(あの名訳は美しいが・・・)

せっかく偉大な詩人たちのお話なのだから、彼らの作品を全面に出してほしかった。
だが詩など、どうでもいいといった内容だ。
本作品の趣旨は、彼らの〈深い関係〉である。

醜男といわれていたヴェルレーヌだが、彼には若くて美しい妻がいた。
しかし何を血迷ったのか、若妻よりも若者を選んだのだよ、彼は!

ランボーは、早熟の天才であった。
彼がヴェルレーヌに手紙を送ったことによりパリへ招かれ、“ひと目会ったその日から”になったのかどうかはさて置き、以後、彼らは互いにのめり込んでいくようになる。

ランボーは途中で文学を捨て、流浪の民となってしまった。
ヴェルレーヌは、どんどん根性がひん曲がっていってしまった。
晩年はふたりとも、悲惨な死を遂げている。  

ウイスキー 2004年 ウルグアイ・アルゼンチン・ドイツ・スペイン

2006-11-02 | ヒューマン・ドラマ
本作品のDVDのパッケージの裏に、〈南米版カウリスマキのような・・・〉と記してあったが、まさにそんな感じの映画である。
個人的にこういった雰囲気の映画は好きだ。

ハコボが経営する小さな靴下工場。
そこに(恐らく)長年勤めているらしい中年女性のマルタ。
毎朝、決まった時刻に店の前で待っている。
やがてハコボがやってくる。
鍵を開け、店に入り、電気をつけて、機械を作動させる。
マルタは髪を結い上げ、階段を上がり、ハコボにお茶を淹れる。
そんな同じ朝を、ずっと続けてきたのだろう。

ハコボの弟が、ブラジルからやってくる。
映画の中では説明はなかったが、どうやら弟には、自分は結婚したことにしているようだ。
そこで彼は、この女性従業員のマルタを〈仮〉の妻として、演じてもらうことにしたらしい。

しかしまぁ、このハコボって、ぜんっぜん女心がわかっていない。
(たぶん)長く共に働いてきたであろうマルタにとっては、かなり複雑な心境だっただろう。
お金と愛情は、全く別物ですからね。
マルタのような女性には通用しないでしょう。

弟が帰った翌朝、ハコボは一人で店に入る。
お茶も自分で淹れていた。

題名の『ウイスキー』は、日本でいう「はい、チーズ」のことだそうで、映画の中では2回使われていました。