アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

パルプ・フィクション ’94 アメリカ

2009-03-29 | アクション
「シェークが5ドルもするのか!?」と、ヴィンセントが驚いていた。
確かに、「たかがバニラ・シェークに?」と、思う人もいるかもしれないが、日本でなら、それなりにありそうである。
しかしアメリカだと、それは普通ではありえないだろう。
「バーボンでも入ってるんじゃないのか?」と訊いていたが(笑)、ミアが飲んでいたそれは、ほんと、美味しそうであった。

映画オタクと自他共に認めるタランティーノ監督の代表作となった本作品。
カンヌ映画祭では絶賛され、傑作の仲間入りを果たした。
彼のデビュー作『レザボア・ドッグス』は、ギタギタのバイオレンスものであったが、この『パルプ・フィクション』は、ハードではなく、ユニークさが強かった。

物語を交錯させる技も絶妙。
あ、そうか、ジュールスは本当に足を洗ったから、ヴィンセントはあの時一人だったんだ。
彼もいれば、あんな所で・・・

あの“覆面”って、一体なんだったんだ?(笑)
ああいう意味不明な可笑しさがいい。
日本刀も忘れず出てくるところが、タランティーノらしい。

欲をいえば、ラストがあっさり気味だったので、何かどれかのエピソードを残してほしかった。
ジュールスは、伝道師にでもなったのだろうか。

あなたになら言える秘密のこと 2005年 スペイン

2009-03-23 | ヒューマン・ドラマ
これほど無口が似合う女性もなかなかいないだろう。
サラ・ポーリーは若手にしては、そういった面では稀有な女優だ。
前作『死ぬまでにしたい10のこと』と同様、イザベル・コイシュ監督と組んだだけあって、作品のニュアンスが非常に似ていた。

「あなたに“なら”言える」
そう言う方も言われる側も、相当信頼し合っていなければ簡単に出る言葉ではない。
同じく、かなりの覚悟もいるだろう。
これをもし、「あなたに“だけ”言うけど」となると、もうどうしようもなく軽々しくなってしまうから、言い方とはたいそうややこしい。(「だけ」と言ってても、たいてい他者にも話しているのがホントのところ。)

むごい過去と向き合わなくてはならない辛さ。
えぐられた心の傷は癒えず、心の闇が晴れることはない。

だが、本当に心を開ける相手に出会うことができれば、闇もいつかは、徐々に晴れていくに違いない。
この映画では、これが救いとなっている。
ハンナは、ジョゼフと出会えたことで、闇の中で光を感じることができたのだから。

サラの演技力はかなりのものであるが、彼女の場合、あまり笑ってほしくないし、明るい役も見たいようで、あまり見たくない。

ユナイテッド93 ’06 アメリカ

2009-03-16 | ドラマ
初めて飛行機に乗った際、飛行中突然機体が急降下した。
そのときは、飛行機というものに乗れば、こういうことは普通にあることなのだろうと非常に甘く考えていたのである。
後で聞いたのだが、あのときはかなり危険な状況であったらしかった(汗)。

この映画を観て何を思うか。
個人的に感じたのは、はるか上空の密室内で、悪夢のような惨事を目の当たりにしながら、絶望的なこの現状と、これから起こる事態を嫌でも悟らねばならない乗客たちの想いをどれだけおもんばかることができるか、ということである。

日本で起きた日航機墜落事故の凄まじさも忘れることの出来ない出来事であった。
あのとき、家族に残した走り書きのメモを見て何を思うか。
どれほどの気持ちで、あれだけの言葉を残したか。

状況は違えど、ユナイテッド93の乗客たちは、テロ犯の目を盗みながら愛する人たちへ最後の電話をかけている。
せめて、せめてでも声を残したい。
最後に、あなたの声を聞きたい。

機体が無事に滑走路に降りたときの、あの感覚をつねに感じられることを、もっともっと重く心に留めなくてはいけないのである。

ゴーストワールド 2001年 アメリカ

2009-03-07 | ドラマ
すべてがウザッたらしく感じる時期(とき)ってあると思う。
「今どきの」という言葉でくくってしまうのはいささか卑怯かとも思われるが、若い頃というのは何かにつけて反撥したくなる、そんなお年頃でもあるのだ。

やたらに冷めまくっている女子をソーラ・バーチが好演していた。
柳原可奈子のコントを見ているようであった(笑)。
見事なオバチャン体型ながら、ファッションが可愛かった。
ヘアスタイルそのままに、寒色系、暖色系、どちらも似合う人ってそういないものだが、彼女はとても上手に着こなしていた。
スタイルばかり気にしたり、重ね着でごまかしたりするよりも、彼女風にさりげなく決めたほうが絶対に目を引くはずだが。

自分と同じだと思っていた親友は、無気力そうに見えながらもさっさと自立していく。
高校の卒業式を終えても、自分は美術の補習授業に出なければならない。
こんなのってアリ?

人を傷つけたのは悪かったと思うけど、自分でもどうしたらいいのか分からなかった。
このままじゃいけないって分かっているのに、事がうまく進まない。

もう廃線になっているはずのバスが停まった。
ずっとバスを待ち続けていたノーマンが乗っていく。
わたしはそれを見送った。
ノーマンを乗せたバスはどこへ行くのだろう。
わたしもそれに乗ってみようか。
乗れば何かが変わるかもしれない。

わたしはどこへ行くのだろう。