アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

あらしのよるに 2005年 日本

2005-12-28 | アニメーション
ヤギのメイとオオカミのガブは、お互いが似たもの同士だと気づいた時点から、真の友情を育んでいく。
オオカミはヤギの天敵である。
どう考えても、彼らの友情なんてあり得ない。
だが、我々が言う「あり得ない」という固定観念を、まず捨て去ってみてはどうだろうか。

命にかえても相手を守ろうとするその姿は友情をも超え、いたわり合う想いは男女のそれをも超越している。
外見や固定観念にとらわれない ― 即ちそれは、現代における人種差別や宗教問題にも当てはまる。
周囲からの反発を受けながらも友情を貫いていく様子は、ある意味、敵国同士の恋や友情、はたまた身分違いの恋といったロマンティシズムにも映る。
オオカミは、ヤギはこういうものといった概念を払拭し、お互いを必要とし合える関係は、言うなれば理想論に近い。

きむらゆういち原作の絵本を映画化した本作は、子供のみならず、大人が観ても深い感動を得られる。
むしろ社会に疲れ、優しさを忘れかけた者たちが観るべきものかもしれない。

メイが言う。
「ガブと出会えてよかったなぁって」

出会えてよかったと思える、そんな出会いが持てれば、人生の深みもまた違ってくるものだろう。
 
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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ ’98 イギリス

2005-12-21 | アクション
女性たちには、「マドンナのダンナの・・・」と前置きしたほうがピンとくるであろう、ガイ・リッチー監督のギャング映画。
金の奪い合いに躍起になる男たちを、シニカル・タッチで描いたこの作品、なかなかの傑作である。

タランティーノ作品のイギリス版といった感じであろうか。
曲の使い方やカメラショットとか、何気に似た感があるなぁと思ったりもした。
本作品は女が一切からまない、野郎ばかりの、銭&銃取り合戦である。
なんとスティングが、やや奇妙がかった風のバーのオーナー役で出演していた。
登場頻度は少ないものの、存在感があったなぁ。

中~終盤にかけて、一気に面白くなってくる。
締めくくりもハラハラさせながらも、ニヤリとさせる巧さで一興である。
リッチー監督、今回脚本も兼ねているが、非凡だよなぁ。

少し前に、あらら!?どうしたの?と、首をかしげたくなるような駄作を出しちゃいましたけど、時間も才能も無駄にしてしまったようで残念でありますが、ま、おかあちゃんのためならエーンヤコーラ、なんでしょうかね(笑) 
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ビフォア・サンセット 2004年 アメリカ

2005-12-15 | ラブ・ストーリー
この映画は、’95の『ビフォア・サンライズ―恋人までの距離(ディスタンス)』の続編となる作品である。

同じ列車に乗り合わせたパリジェンヌのセリーヌと、アメリカ人のジェシー。
意気投合したふたりは、彼の降りるウィーンで14時間だけ一緒に過ごす。
そして別れのプラットホームで、半年後の同じ場所、同じ時刻に会おうと約束をし、彼女はウィーンを後にした・・・

9年後の本作で、ふたりは偶然パリで再会する。
ジェシーがアメリカへ戻るまでの数時間、ふたりはお互いを懐かしみながら近況を語り合う。

前作と同様、今回もふたりの〈会話〉がポイントだ。
お互い気にかかっていた9年前の約束。
もしあの時ふたりが会えていたら、今とはだいぶ状況が違っていたよ、とジェシーは言う。
彼が語る、幸せではない結婚生活。
一方のセリーヌも、空虚な恋愛はもうたくさん、と互いの本音トークがさく裂してくる終盤がいい。

前作はウィーンの街並みを、本作ではパリの散歩道を、我々も一緒に歩いている気分にさせてくれるようなカメラワークがおしゃれであった。
風景と共に彼らの会話を楽しみつつ、同時に彼らの言い分に納得したり共感するのもいいだろう。

「飛行機の時間に遅れるわよ」
「わかってる」

またまた余韻を残してくれたのはいいけど、続編はあるのか!?
個人的には観たいけど。 
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コルチャック先生 ’90 ポーランド・ドイツ

2005-12-11 | 伝記
1942年、ナチス・ドイツ軍によるポーランド侵攻の下、ユダヤ人の強制収容所送りが始まる。
ポーランドに限らず、この時期、ヨーロッパ各地で同様の惨劇に遭った人々は、一体どのくらいに及んだのだろうか・・・

本作品の題名である『コルチャック先生』は、実在した医者であり、作家でもあった。
ポーランド国内では非常に尊敬された、逸材の人物である。
巨匠アンジェイ・ワイダ監督が、涙なくしては語れない実話をあえてモノクロにし、ヤヌシュ・コルチャックが子供たちを最後まで守ろうとした、その素晴らしい勇気と精神を見事に描ききった。

’93の『シンドラーのリスト』も同じモノクロで表現していたのが印象深い。
両作品の、実にリアルな映像が衝撃的でもあった。

ナチの魔の手が、コルチャックの孤児院まで忍び寄る。
だが、孤児たちの収容所送りは避けられない。
200人もの子供たちを助ける手立てはないのである。
院長である彼は、身体を患っており、また彼自身救いの道を差しのべられたにも拘らず、子供たちと共に、収容所行きの列車に乗る・・・

「みんなで遠足に行きますよ。 一番いい服を着て、好きなものを持って行きなさい」
女性教師からそう告げられた、何も知らない幼い子供たちの無邪気さを思うと、辛く、切なさがこみあげてくる。

コルチャック先生と天使のような子供たちが、まるでガス室の煙を思わせる霧の中へと消えていくラストが、目に焼きついて離れない。
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スパニッシュ・アパートメント 2003年 フランス

2005-12-07 | ドラマ
いい意味での青春ドラマだ。
夢と希望を持って、これから社会へはばたく若者たちには、是非観てもらいたい映画である。

パリの大学生グザヴィエは、スペイン語を取得するため、学生生活残りの一年をスペイン留学にあてることにする。
着いた先のパルセロナでは、まず住居探し。
落ち着いた場所は、欧州のあちこちからやってきた者たちとシェアするアパートであった。
先住者たちは、イギリス、ドイツ、デンマーク、ベルギー、フランス、そしてスペインの男女合わせて6人!
プラス、グザヴィエが加わった7人での共同生活が新たに始まったのである。(その後また1人加わるんだが・・・)

こんな経験はなかなかできないよね。
日本人は同国人同士でつるむ傾向が強いから、あえてこうした環境の中に入り込むには、ちょっと勇気がいるかもしれないけど。

またみんないい奴らなんだ。
グザヴィエもいい仲間に出会えてラッキーだよ。
若い男子学生ということもあって、おイタな事態に陥った時もあったけど(笑)、真面目にスペイン語も勉強していたし、何より彼なりに、異国の地で成長している姿がよかった。

帰国後、親のコネで入った会社も出社一日目で辞め、すぐにスペインへ舞い戻ったグザヴィエ。
よっぽど、ルームメイトたちとパルセロナに惚れ込んじゃったんだろうな。

即断即決。
こうした勢いも、事によっては幸せに繋がるのかもしれない。
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グリーン・カード ’90 アメリカ

2005-12-04 | ラブ・ストーリー
偽装結婚。
怪しげな響きである。
アメリカでは、不法就労の偽装結婚が多いと聞く。
そうすることによって、永住許可証(グリーン・カード)を持つことができるから。

園芸家のブロンテは、温室付きのアパートメントをなんとしても手に入れたがっている。
しかし管理組合では、若い夫婦の入居を希望していた。
一方フランス人のジョージは、グリーン・カードを必要としている自称作曲家。
このふたり、各々の望みを叶えるため、偽りの結婚をする。
だが、それからが大変であった・・・

そもそもアメリカでは先に述べたように、こうしたカップルを防止するため、入国管理局からの尋問を受けなければならないそうだ。
それらは結婚生活の細部に至るまで、かなりシビアなようである。
彼らは面接までの数日間、お互いの生いたちから使用している日常品の類まで教え合い、それを試験勉強のように暗記していく。

個別の面接では、自然にお互いのよいところが口をついて出てくる。
いがみ合ったり、素っ気無い態度をとっていても、ちゃんとこのふたり判っていたんだね。
そんなところも本物のカップルみたいだった。
それこそケンカ中に口にしたジョージの、「人間味が出てきた」という台詞が偽りのものではなく、真実に近づいたふたりの気持ちを象徴しているかのようであった。

ところで、実際の夫婦の中で、奥さんがどんな化粧品を使っているかなんて、どれぐらいの旦那さんが知ってるんだろう?(笑)


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