アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

チャーリーとチョコレート工場 2005年 アメリカ・イギリス

2006-10-24 | ドラマ
ボーッとして観るには、手頃な娯楽作品だ。
もともと有名な児童書を映画化しただけあって、ストーリーの基本は、“悪い子はこうなっちゃうよ”的な戒めを含み、“最後はみんなで仲よく暮らしましたとさ、めでたしめでたし”で終わるおとぎ話である。

世界で5人の子供だけが、ウォンカ社のチョコレート工場に招待される。
ゴールドの招待券が包み紙に隠れていたら〈当たり〉だ。
各国で、このチョコレートを買いあさるニュースが流れる。
もちろん東京でも(笑)

変わり者ウィリー・ウォンカに案内されながら、ゴールドチケットをゲットした子供&保護者達は、興味深げに工場内を巡る。
ブラックユーモアがふんだんに取り入れられているこの映画、果たして日本人にはウケるのかどうか・・・
欲張りな子、自信過剰な子、超わがままな子、自分勝手な子。
このガキども、いや、この子たちはみんなここならではの災いに遭ってしまう。
こんなことがバレたら、普通訴えられるだろう、ウィリー?
心配はいらない、何故ならこれはおとぎ話だ(笑)

素直で欲を出さず、家族を大事にする良い子は、ほおら、こんな幸せが待っているんだよっていう物語なんだが、どうしても個人的に気になったのがウンパ・ルンパなんだ。
この作品で一番頑張っていたのは彼(彼ら)だ。
コスチュームを幾度も替えて、様々なシーンを撮ったであろうあの役者さんはスゴイぞ。
是非とも副題に、「大活躍のウンパ・ルンパ」と付けてもらいたいほどだ。


プルーフ・オブ・ライフ 2000年 アメリカ

2006-10-16 | アクション
独身貴族をいいことに、方々で暴れまくっていた“野獣”ラッセル・クロウ。
意外にもあっさりと身を固めてしまってからは、とんとゴシップを聞かなくなってしまい、面白味がなくなってしまった。
一方、デニス・クエイドとおしどり夫婦で知られていたメグ・ライアン。
今回の共演でラッセルの毒牙にかかってしまったメグは、結婚生活に終止符を打つことになる。

当時、散々記事にもスッパ抜かれたふたり。
その後メグは、トホホのシングルライフへ。
片や、好き勝手してきたラッセルは、ワハハの新婚生活へと、両極端に分かれてしまったのには驚きました。
とまあ、彼女にとってはいわくつきの作品である。

誘拐されたアリスの夫を助けるべく、命を懸けて戦う交渉人のテリー。
なんとも頼もしい彼の雄々しい姿が、次々と映し出されていく。
考えてみるとラッセルって、硬派ないい人を演じることが多いけど、それが私生活と同等と思ってしまったら、非常に危険なんだろうなぁ(笑)

無事に生還できた夫ではあったが・・・おいおいアリスよ、もっと喜んだらどうなの?
テリーのこと好きになっちゃったからって、それじゃあまりにも旦那が可哀想じゃない?

共演がきっかけでラブラブのカップルも、結果的には別れちゃうケースが多いけど、少なくともこの時のメグは、そんなことちいっとも思ってはいなかったんでしょうねぇ。

エターナル・サンシャイン 2004年 アメリカ

2006-10-11 | ラブ・ストーリー
ケンカ別れしちゃったから元カレ(元カノ)との記憶を全て消し去る・・・
これってどうなんだろう。
ふたりの度合いにもよるだろうけど、そう易々と消去しようとは思わないんじゃない?
別れた直後じゃ冷静ではいられない?
でもほら、時間が解決してくれるっていうし。
後になれば、きっといい想い出にもなるんだしねぇ。
でも消してしまいたい事の一つや二つはあるって?
じゃあ、努力して忘れてください(笑)

ここに出てくるジョエルとクレメンタイン。
よくある痴話ゲンカなんぞで、互いの存在を失くさせるんだが、なんなんだか、結局はふたりとも脳の中で、未練を断ち切ることができないでいる。
そりゃあそうでしょう。
あんな突発的な行動に出てしまったんじゃ、頭の中ではさぞ後悔の渦にもまれているに決まってるでしょうから。

ふたりの記憶にはもう残っていないはずの思い出の砂浜。
そこで再び彼らは出会う。
無意識に思い立つってことは、ある意味、強い想いが潜在していたからだろう。

記憶には、時に和まされ、時として悩まされる。  

カラスの飼育 ’75 スペイン

2006-10-05 | ミステリー&サスペンス
子役の上手さで、その作品が際立つってことは多々ある。
かつて、名子役と謳われた者たちも多い。

本作品に出てくる、三姉妹の次女アナを演じたアナ・トレント。
この子はスゴイ。
一見可愛い。
だが不気味。
大きな黒い瞳で、じっと見据える彼女が怖い。
全てを見透かすような瞳が空恐ろしい。
口を真一文字に結んで空(くう)を見つめる少女の姿は、もののけのようにも見える。
ずばぬけた表現力を備えた彼女から目を逸らすことができない。
あの瞳に、こちらが吸い込まれてしまいそうになる。

もういない母と対話するアナ。
白い毒を手に取るアナ。
そして満足気に微笑むアナ。

亡き両親に代わって、権威を握ったとでも言っているような母の妹。
そんな叔母に、アナが殺意を抱くまでに時間はかからなかった。
「もう嫌だ・・・我慢できない」

そして孤独な少女は、空想と現実を行き来する。
Porque te vas
Porque te vas
Porque te vas・・・ 


イブの三つの顔 ’57 アメリカ

2006-10-01 | ヒューマン・ドラマ
多重人格者といえば、ビリー・ミリガンを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
彼はなんと、24もの顔を持っていた。
本作品の主人公であるイブ。
彼の比ではないが、彼女も複数の顔があった。
1951年に発覚した実話だそうだ。

貞淑な主婦イブ・ホワイトは、6才の頃から、イブ・ブラックという女性と“共に”生きてきた。
度々見せるブラックという女は、ホワイト夫人とは全くの別人、正反対の人格である。
自由奔放、その上派手好き。

ホワイト夫人を邪魔者扱いするブラック。
しかし、後にジェーンと名乗る新たな女性が出現し・・・

別の人格が支配している間、本当の〈自分〉の記憶は空白になってしまうというが、そういうことが度々あるとしたら気をつけねばならない。
周囲の人に、それとなく訊いてみよう。
「自分、性格変わってなかった?」
「まるで別人だった」
「えぇ!?」
「浴びるように酒飲んでたもんなぁ」
「・・・・。」

イブを演じて、主演女優賞を受賞したジョアン・ウッドワード。
あのポール・ニューマンの奥方である。
両極端なホワイトとブラックを見事に演じ分けた力量が素晴らしく、演技派である彼女の底力を見せつけられた思いであった。