アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

ペイネ 愛の世界旅行 ’74 フランス・イタリア

2008-06-23 | アニメーション
愛の讃歌と呼ぶにふさわしい作品。
相良直美の『ふたりのため~世界はあるの』を思わず口ずさんでしまいそうだ。

70年代は、世界的に激動な時代であった。
戦争や核に怯え、だからこそ人々は、〈愛と平和〉を強く訴えかけていた。
歴史的な流れを背景に、愛し合うふたり、バレンチナとバレンチノは世界中を旅する。

自由自在にどこへでも行き来できるふたりは、各地で様々な人々と出会う。
それも歴史上の偉人たちや有名人が、時代に関係なく普通に現れるところが楽しい。
個人的に気になった点があったので述べさせていただく。
イギリスへやってきたふたりは、エリザベス女王夫妻に宮殿へ招かれる。
そこにビクトリア女王も顔を見せる。
彼女から紹介され、ビートルズ(とおぼしき)の4人組が登場するのだが、ポール(らしき人物)は右利きで演奏していたし、リンゴ(らしい男)はドラムではなく、ギターを弾いていた(笑)
ふたりはその後、日本へもやってくる。
外国の方の表現方法としてはやむを得ないのかもしれないが、どう見ても日本ではない(苦笑)
どうしても他国(よそ)が雑ざってる感じ(汗)
仕方ない、大目にみましょう。
当時日本が、エコノミック・アニマルと批判されていたのは上手く風刺してましたね。

ふたりのラブ・パワーには圧倒されますが、バレンチノが、「愛と平和は夢でしかないのか」という言葉には切なくなります。
エンニオ・モリコーネのテーマ曲は必聴。
就寝前に聴けば、安眠が約束されそうなほど心地良いメロディーです。
もしもこのDVDを借りた際は、付録映像の〈旅行ガイド〉も鑑賞すると一層楽しめますよ。

プラダを着た悪魔 2006年 アメリカ

2008-06-17 | ヒューマン・ドラマ
厳しさの限度にもよるだろうが、本人の人格が明らかにならない限り、厳しすぎる上司というのは、「悪魔だ、鬼だ!」と誤解されやすい。
呼ばれる方としてはそんなこと(たぶん)承知だろうし、部下が嫌悪しようが痛くもかゆくもないだろう。
一方呼ぶ側としては、「悪魔め~」と心の底から憎悪するか、あるいはその厳しさをバネにして、「根性見せたる」と余計に張り切るかは、それぞれのとらえ方かもしれない。
ケースにもよるけど、骨があるかどうか試されてるってことも大いにアリだから、叱られたぐらいで会社を辞めたりしないでくださいね。

全くファッションに興味のない女性アンディが、超一流ファッション誌『ランウェイ』の編集部に採用されたことにより、どんどん洗練され美しくなっていく。
もともと頭のよい彼女だから、仕事の呑み込みも速く、鬼編集長ミランダの信用も得ていく。

服に無頓着だったアンディだが、美しいモノを紹介する仕事にたずさわる者として目覚め、自分なりに努力していく様子がとてもいい。
よくあるサクセス・ストーリーの中でも楽しい一作である。
アンディがキャリアアップを止め、自分のやりたいことにスイッチする展開も潔くていいのではないか。
異業種の仕事を経験して実力をつけ、次にステップアップするのもとても大事なことだし。

ミランダ役のメリル・ストリープ。
初め、グレン・クローズが演じているのだとばかり思ってしまった(笑)
今まで似ていると感じたことはなかったのに。
アン・ハサウェイもアンディを演じて以来、ファッションに関してうるさくなったようである。

観終わって、背筋がピンと伸びて姿勢がよくなったのは気のせいか。

耳をすませば ’95 日本

2008-06-08 | アニメーション
人生で最初の岐路に立つのが、15才という年ではないだろうか。
一般的に高校受験という、義務教育にない、「受ける」「判断される」という双方の見定めによって道が分かれる。(今では、幼稚園からのお受験も増えてきているが。)
15才で自分の進路を決めるのは難しい。
「まわりも当たり前のように進学するから」という本音だってあると思うが、将来こうなりたいと、漠然とでもいいから、その夢にむかって走り続けるのは素敵だ。

中学3年生の雫は、自分が借りた本の読書カードに、必ず同じ男子生徒の名前があるのに気づく。
「一体誰なんだろう。 いつもわたしより先に読んでいるなんて」
気になる、気になる。
多感なお年頃。
どんな人なんだろうー。

雫はある日、電車内で出会ったデブ猫(名前はムーン)を追いかけて行く。
そこで彼女が見つけた一軒の店。
「坂の上にこんな素敵なお店があったなんて」
雫はそこで、運命の人と再会する。

進路に悩む雫の力となるきっかけをもたらしたのが猫であった。
猫がいると、福を招いてくれるという話を聞いたことがあるが、我が家のニャンコはどうであろうか。
横で気持ち良さそうに寝ているが、そっと耳打ちしてみよう。
「おーい、期待してるゾー」(笑)

リップスティック ’76 アメリカ

2008-06-03 | ドラマ
辱められ、心身共に傷つきながら、その怒りをぶつけられずにいても、裁判で勝てる確率は非常に低いのが現実のようだ。

モデルという華やかさとは対照的に、地獄のようなシーンを見せる。
’88に『告発の行方』という、同じテーマを扱った映画があったが、いずれにせよ、シビアな問題を作品として見せるには細心の注意を払い、リアリティを持たせた脚本が重要となってくる。

加害者側はいうまでもないが、被害者側にも落ち度がなかったともいえない。
濡れた髪にバスローブ一枚で、親しくもない男性を家に招き入れてしまっていいものかどうか。
「自分に好意があるのだから、悪さはしないでしょ、まさか」と、もしも思っていたら、ピンクレディーの『SOS』を聴いてみましょう。(偶然、同じ’76作品)
危機意識も大事だということです。

ラスト、女性検事の〈法と秩序〉に関する最終弁論は、現代社会にも強く訴えかける、誠に見事なものであった。