貴の備忘録

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大動脈解離

2017-05-22 08:00:00 | 健康ネタ
父が大動脈解離を発症し緊急入院した。

夕食時に発症。晩酌を一口やった瞬間に座っていられないほどの肩甲骨付近の痛みと胸の苦しさが始まり、座っていられず横になったらしい。刺されるような鋭い痛みでは無くひたすら重苦しい痛みだったそうだ。
かかりつけ医にTEL相談したところ、救急搬送を指示され病院へ搬送された。救急救命士の問診や処置対応にも感心していたくらい意識もしっかりしていた様だ。

造影CTなどの検査の結果、大動脈解離と確定診断され直ちにICUで48~72hrの絶対安静に入った。
深夜に連絡を受けこの病気に関して調べながら半徹夜し、広島へ向かう新幹線でも資料や症例を読みあさった。入院当日に渡された診断結果で付け焼き刃ながらおおまかな病状を把握してから面会したが、実際にICUで横たわる父の姿を目の当たりにすると急変し無いことを祈るしか無かった。もっとも直ぐに気づいて小声ながらしっかりと話が出来たので、かなり安心する事ができた。

ICU入室二日後の朝には早くも一般病棟へ移され起き上がって食事を取ったりすることも許された。トイレも自分で行ったのだという。
担当医に時間を割いて頂き3DのCT画像を元に詳細な説明を受けて正確な病状を把握し、見舞いに行くたびに点滴や酸素吸入がどんどん外れていき回復軌道に乗り、看護生活にも余裕が出来たので一旦横浜へ戻った。

診断結果
Stanford分類:B
DeBakey分類:Ⅲa

病状は下行動脈に裂け目(tear)があり、上下の弓部大動脈や腹部大動脈には解離が進んでいない状態である。電子カルテには閉塞性と記載が有り、退院直前の検査結果を加味すると偽腔閉塞型だった様だ。

このケースは内科治療が第一選択肢で、退院時生存例の3年生存率は75~80%にのぼる。内科治療の院内あるいは30日以内の死亡率は約10%に対し手術適用となった場合は死亡率32%とされているが、偽腔閉塞型の予後はもっと良い。
治療計画は17日間の入院で循環器学会の標準ガイドラインと照らし合わせても見通しは明るいと感じたが、実際の退院は更に早くなって15日後になった。再び帰省したタイミングに重なったが、帰る事は伝えていたので合わせてくれたのだろう。
前日のCT検査で偽腔が閉塞している事を確認出来たので退院しても問題無いとの診断されたとのこと。

大動脈解離は裂けた場所、程度、範囲で重症度や予後が全く異なり、突然死だったり病院に到着しても手の施しようが無い場合も多い疾患だ。特に心臓に近い部位で解離したStanford A型は救急救命センタにたどり着いたとしても解離が進行して急変する確率が非常に高く、発症後は一刻も早い診断と緊急手術が必要とされている。
最前線で対応に当たるERドクターにとっては突然急変して患者を失うリスクが高い疾患として西の横綱に上げられているほどだ。

http://case-report-by-erp.blog.so-net.ne.jp/20070505

上記のERドクターによるブログを熟読すると大動脈解離の診断が困難なことが分かるが、父の場合も右腎臓の水腎症が発見されたので尿路結石との識別診断は慎重に行ったと思われる。運良く予後が良いタイプだったとは言え、かかりつけ医の指示、救急救命士、当直の担当医の診断から処置に到るまで全ての連携がうまく行ったから早期退院にこぎ着けることができたと思う。
後で調べたら入院した病院はこの手の疾患での対応実績が県内2番目にランクされていて、救急搬送時に別の近い病院と2択を提示されたときに迷わず選択した母の功績も大きかった。

取りあえず退院はしたが遠位弓部下行大動脈瘤と右腎臓の水腎症が見つかっていて、リハビリしながら経過観察と腎臓の治療のために通院生活は続く。水腎症の原因が結石では無いようなので、こちらも少し気になっている。
とはいえゴルフは再開出来るのでリハビリ意欲が高いのが良かった。既に復帰プランを練っている。

大動脈疾患は家族性の傾向があるようで高血圧と喫煙も発症リスクを高いので、メタボな我が身はハイリスクグループに属する。
昨年から血圧測定で献血が断られるようになり高血圧の薬を飲まなければならんのか?位に漫然と考えていたが、どうやら真面目に向き合う時が来たらしい。

大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_takamoto_d.pdf
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