おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

特攻大作戦

2024-01-13 08:33:10 | 映画
「特攻大作戦」 1967年 アメリカ


監督 ロバート・アルドリッチ
出演 リー・マーヴィン アーネスト・ボーグナイン
   ジム・ブラウン チャールズ・ブロンソン
   ジョン・カサヴェテス リチャード・ジャッケル
   クリント・ウォーカー テリー・サヴァラス
   ジョージ・ケネディ ラルフ・ミーカー
   ロバート・ライアン ドナルド・サザーランド

ストーリー
1944年3月、大陸侵攻を間近に控えたある日、アメリカ軍のジョン・ライスマン少佐(リー・マーヴィン)は「特赦作戦」と呼ばれる奇妙な作戦命令を受けた。
特赦作戦というのは、死刑あるいは長期の刑を宣告され服役中の元兵隊12人を選び出し、徹底的に鍛え、ヨーロッパ大陸侵攻直前にノルマンディーの敵前線背後に送りこんで攻撃するというものである。
ライスマンは選ばれた12人の極悪人と対面したが、どれも一筋縄ではいきそうもなく困難が予想された。
ライスマンのキャンプでは、彼やボウレン軍曹(リチャード・ジャッケル)の容赦ない訓練が実を結び、12人の男たちは1団となって考えて行動するようになっていた。
訓練を通して次第に連帯感を増す囚人たちに満足したライスマンは、訓練終了日に労いとして訓練地内に娼婦たちを呼ぶが、ライスマンを毛嫌いするブリード大佐(ロバート・ライアン)は、翌朝に手勢を率いて訓練地を制圧したのだが、外出先から戻ってきたライスマンに不意を突かれて武装解除させられ追い出されてしまった。
軍首脳部の間には、この「特赦作戦」に対する強い不信と反対があったが、ワーデン将軍(アーネスト・ボーグナイン)は、反対意見をおさえ、その作戦を実行に移した。
12人が攻撃する特定目標は、広大な林に囲まれた豪壮なドイツ将校の社交場となっている館であった。
その館には週末になるとドイツ軍上級将校たちが夫人や愛人をともなって集まっていたから、彼らを壊滅させれば指導者を失ったノルマンディーの壁は容易に破れるのだった。
闇にまぎれてボウレン以下14人は、パラシュートで目ざす館へ降り立ったが、ヘミネス(トリニ・ロペス)が樹木に引っかかって事故死してしまった。
ドイツ軍将校に扮したライスマンと隊員ウラディスロー(チャールズ・ブロンソン)は邸内から部隊を手引きするが、訓練中から「精神破綻者」と指摘されていた隊員マゴット(テリー・サヴァラス)が、ドイツ軍将校が同伴した女性を殺したことから作戦が狂い始める。
マゴットは味方によって射殺されたが、ドイツ軍将校たちは地下の倉庫に逃げ込んでしまった。


寸評
男性映画と言うジャンルがあるとすれば、正にこの映画は男性映画である。
女性は登場しないと言ってもいいぐらいで、訓練最終日に呼ばれた娼婦たちの一群と、ドイツ将校の社交場でウロウロしている婦人たちだけで、これといった役柄の女性は登場していないのだ。
あえて言えばマゴットによって殺されるドイツ将校が同伴した女性ぐらいだ。
作戦の為に選ばれたのは軍刑務所に服役している12人の極悪人の汚い野郎たちなのだが、12人もいるのでそのキャラクターの描き方は散漫で人物描写がなされているとは言い難い。
そもそもこの12人がなぜ選抜されたのかが分からない。
服役者が12人しか居なかったのなら納得できるのだが、そうでもなさそうだ。
よくあるパターンとして、彼らがそれぞれ特殊技能を持っていて、それが作戦時に発揮されるというものがあるが、彼らが特殊技能を持っている風でもない。
兎に角、死刑を宣告されている者や、20年から30年の服役を宣告されている者たちの集まりである。
ライスマン少佐が一人一人と面談していき、作戦への参加を促す場面は面白いと思うが、一人や二人は失格となって見放される者がいても良かったように思う。
見放された者は当然処刑されるわけで、その方が彼らの必死さが伝わったと思う。

訓練場面は予想されたもので特に目新しい描き方ではないが、作戦実行時ではなくこの時点でライスマン少佐とブリード大佐の確執が描かれることが見どころの一つとなっている。
手勢を率いて訓練地を制圧したかに見えるブリード大佐の敗北に始まり、演習での対決によるライスマン隊の活躍が楽しませてくれる。
ロバート・ライアンのブリード大佐はまったくのバカ者に見えて、ドイツ将校以上に嫌われ役となっている。
もちろん最大の見せ場はドイツ軍上級将校たちが集う館への襲撃場面である。
直前のパラシュート降下による潜入場面はあっさりと描かれて、見せ場に突入していく。
予期せぬ突発的なことが起きてハラハラさせるのはこの手の作品の常套手段とは言え、ロバート・アルドリッチの演出は手慣れたものである。
ピンクリーの       ドナルド・サザーランドが面白い存在で、将軍に成りすましたとぼけた演技が伏線だったと思う。
尻軽女を嫌うマゴットの暴走によって、一気に攻防戦が始まる。
その中で守備隊によって仲間が次々やられていくのだが、個々の人のキャラクターが鮮明でなかったので悲壮感は乏しいものとなってしまっている。
ジョン・カサヴェテスのフランコはキャラの割には、その死はあっけない。
女性もろとも全員を爆死させてしまうが、かろうじて職員の一般人だけは逃しているのは罪滅ぼしか。
結局生き残ったのはライスマン、ボウレン軍曹、ウラディスローの3人だけで、死んだ11人の囚人たちは名誉回復されるのだが、そこには組織のご都合主義が見て取れるが申し訳程度である。
主人公のリー・マーヴィンを初め、アーネスト・ボーグナイン、チャールズ・ブロンソン、ジョン・カサヴェテス、テリー・サヴァラス、ドナルド・サザーランド、ジョージ・ケネディなど、むさくるしい男たちを揃えたキャスティングが一番の魅力になっていた。


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