おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ロード・トゥ・パーディション

2020-07-30 08:35:07 | 映画
「ロード・トゥ・パーディション」 2002年 アメリカ


監督 サム・メンデス
出演 トム・ハンクス
   ポール・ニューマン
   ジュード・ロウ
   タイラー・ホークリン
   ダニエル・クレイグ
   スタンリー・トゥッチ

ストーリー
1931年、雪の降るイリノイ州ロックアイランドの町。
妻と2人の息子と共に暮らすマイケル・サリヴァンは、良き夫・良き父でありながらアイルランド系マフィアの殺し屋という裏の顔も持っていた。
マフィアのボスであるジョン・ルーニーは、サリヴァン一家を自分の家族のように溺愛していた。
サリヴァンの2人の息子にも実の孫のように接するジョン。
その一方で実の息子であるコナーに対しては冷ややかで、コナーはそれを苦々しく思っていた。
ある日、組織の幹部会で父から激しく自分のミスを攻め立てられたコナーは、父への恐れと、そんな父に自分以上に溺愛されるサリヴァン一家への嫉妬と憎悪の念を抱くようになり、サリヴァンの妻と次男を殺害してしまう。
それを知ったサリヴァンは生き残った長男と共にコナーへの復讐を決意。
実の息子と、それ以上に愛したサリヴァン父子との間に板挟みになったジョンは実の息子を選び、サリヴァンの許に一流の殺し屋であるマグワイアを派遣。
マグワイアの度重なる襲撃から逃れたサリヴァン父子は、かつて自分たちを愛してくれたジョンと、妻子の敵であるコナーを射殺。
心身ともに憔悴しきったサリヴァンは息子と共に海辺の小さな家で一時の休息を過ごしていたのだが・・・。


寸評
互いに父親としての息子への愛情をそそぎながらも苦悩する二人の名優、トム・ハンクスとポール・ニューマンがたまらなくいい。
二人の置かれた立場、あるいは二人の年齢差から来る苦悩の違いを見せながら、静かにそれを演じ切ったのは流石としか言い様がない。

音楽のみで無音の中で行われるジュン・ルーニーの殺害シーンは物悲しい。
降りしきる雨の中の銃撃戦、振り返りもせず立ち尽くし、銃弾に倒れていく護衛の者達にも目もくれず、「お前でよかった・・・」とサリヴァンに撃たれるルーニー=ポール・ニューマンと悲しげな眼差しをおくるサリヴァン=トム・ハンクス。
お互いに敬愛しながらも息子への愛と、自身へのけじめを現す秀逸なシーンになっていたのではないか。
暗闇の中で大きなスクリーンに映し出されたこのシーンは、大スペクタクルとはまた違った種類の映画館で見てこそのものだった。

CGや特撮を駆使したドンパチ映画より、僕はどちらかと言うとこの作品のような落ち着いた映画のほうが好きだ。
そしてシカゴの町並みに見られるような、多くのエキストラを使い何気ない雰囲気をかもし出すシーンが好きだ。
あるいはレールの上を走っているであろう移動カメラ、それをカメラマンや助手達が大勢で押しているだろうことを想像させるようなシーン。
手前には何気なく座っている人が画面の左から右へ流れ去る。
吹き抜けの向こう側を歩く主人公を流れるようにとらえる。
撮影現場の息詰まる雰囲気が感じ取れて、テレビでは味わえない「これはやはり映画なんだ」と僕には思える瞬間なのだ。

僕がポール・ニューマンと出会ったのは随分と前で、「動く標的」のルウ・ハーパーだった(パンフレットの記録を見ると1966年7月12日になっている)。
ハード・ボイルドタッチで、まだ子供だった自分には少し早すぎたかもしれないけれど、でもちょっと面白い映画だったと記憶している。
それ以来、僕にとっては好きな俳優さんの一人となった。
その後も何本か主演作を見たし、夫人のジョアン・ウッドワードを主人公にして撮った監督デビュー作「レーチェル・レーチェル」も見ることが出来て、非凡な才能に感心したりもした。
 残念なのは、ロスに行く機会があってビバリー・ヒルズの彼の家を早朝探しに行たのだけれど、出発時間がせまってきて結局訪問できなかった事かな・・・。
いわゆるファンなのです。
さすがにその彼も年をとったなと感じたけれど、それでも出来の悪い息子を叱り飛ばした時の迫力などは捨てたものではなかった。
もう出演作も限っていると噂されるポール・ニューマンだけれど、いつまでも健在振りを見せて欲しいものだ。


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