おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

墓石と決闘

2023-03-19 10:14:05 | 映画
「墓石と決闘」 1967年 アメリカ


監督 ジョン・スタージェス
出演 ジェームズ・ガーナー ジェイソン・ロバーズ
   ロバート・ライアン フランク・コンヴァース
   サム・メルヴィル チャールズ・エイドマン
   オースティン・ウィリス リチャード・ブル

ストーリー
1881年10月26日午前11時、OK牧場での決闘は終わった。
ワイアットの兄弟バージルとモーガンは傷つき、敵側はフランクとトム・マクロウリイが死に、ビリー・クラントンが死に瀕していたが、牛泥棒で殺人犯のアイク・クラントンと2人の部下の姿はどこにもなかった。
トゥームストンの保安官に立候補したバージルは、クラントン一味の闇討ちにあって足が不自由になった。
かわってモーガンが立候補したが、再びクラントンに襲われて殺害された。
悲嘆にくれるワイアットのもとに、彼を連邦保安官に任命するという電報がとどき、クラントンと、その一味ピート、フランク、ビル、アンディの5人の殺人逮捕の捜索隊を結成する権限と令状が与えられた。
トゥームストンの商工会議所は2万ドルの賞金をつけ、これを知ったドク・ホリディはまっ先に志願した。
ワイアットはフランクがいるという情報をつかむや、単身で決闘の末にこれを倒した。
追いつめられたクラントン一味によって駅馬車が襲われ、瀕死の御者からピートの逃げ場所が分かった。
捜索隊はアリゾナに向かいピートを山地へ追いつめ、ワイアットは決闘を挑んだが、ピートは馬で逃げようとしたため射殺された。
帰途、ホリディは酒を求めて町に出て酒場でビルと出会い、ホリディの方が早く拳銃を抜いたが、ホリディを探しにきたワイアットが仲間と共に一瞬のうちに射殺してしまった。
その事件後アンディを捜索隊が捕まえ、アープ兄弟殺害事件には関係していないと言うアンディを、ワイアットはいら立たせ、怒らせ、馬鹿にし、ついに決闘にもちこませ、これを射殺した。
ワイアットの弟の仇にかけた執念と、まるで無造作な殺し方で4人まで射殺した冷酷さにホリディが呆れた。
幾日かが過ぎて、クラントンが、メキシコで牛泥棒をしながら豊かに暮らしていると教える者があった。


寸評
実在していた西部劇の登場人物として著名なのはワイアット・アープがダントツだろう。
そして、ワイアット・アープと言えばクラントン一家と撃ち合ったOK牧場の決闘である。
大抵の場合、そのOK牧場の決闘が山場となっているが、「墓石と決闘」は冒頭でOK牧場の決闘が行われ、描かれているのは後日談だというのがユニークではある。
冒頭の決闘場面で決闘に向かうワイアット、モーガン、バージルのアープ兄弟とドグ・ホリディにむかって「クラントンは町を出ていくと言っているじゃないか」という男が出て来るので、実はアープたちが自分たちの利益のために撃ち殺したという新解釈で描かれる”ひねった西部劇”かと思ったらそうではなかった。

裁判が行われ、殺人罪で訴えられたワイアットたちは無罪となる。
その後バージルが襲われた件で再び裁判が行われたが、今度は証拠不十分でクラントン側が無罪となる。
そしてモーガンが殺害されて本筋に入っていく。
二人の弟が離脱しているので、ドグが仲間を集めに行き二人を引き入れるが、この二人のキャラクターに対する説明はあるものの活躍する場面もなく、特に必要とすべき登場人物とも思えず、この映画の印象を薄めてしまっているように思う。
そもそもOK牧場の決闘が冒頭にあるので、全体的に盛り上がりに欠ける展開となってしまっている。

最初にやられるのがフランクなのだが、ワイアットによって簡単に殺されてしまう。
次の相手は駅馬車を襲ったピートだが、これもワイアットの敵ではない。
一方的に一人ずつワイアットが片付けていくことも盛り上がりのなさにつながっている。
バージルが襲撃された時の目撃者はいたのだが、復讐を恐れ出廷を拒んだのでワイアットはその男との約束通り承認申請していなかったのだが、ドグによって復讐するためにわざと無罪に仕向けたのだと指摘され、実は描かれている犯人追跡劇は実はワイアット・アープの復讐劇なのだと変化を遂げる。
僕はこの描き方は面白いと思ったのだが、残念ながら法の番人としての連邦保安官ワイアットと、モーガンを不自由な体にされ、バージルを殺されたアープ兄弟の長男としてのワイアットの苦悩のようなものが描かれていないので、物語としての深みを欠いてしまっている。
ワイアットはドグにあっさりと復讐だと告白してしまっているのはどうなのかなと思う。

最後は当然クラントンとの対決なのだが、1対1でやればワイアットの圧勝になってしまうのは今までの経緯からして当然の結果で、最後の決闘としてもイマイチ盛り上がに欠けていたものとなっている。
ジェームズ・ガーナー、ジェイソン・ロバーズ、ロバート・ライアンと、渋い男たちが出ているので、ラストシーンは哀愁を感じさせた。
ワイアットが病気療養中のドグを見舞って去っていくが、ドグにはトゥームストーンに帰ると言っておきながらそこには帰らない。
おそらくあれがワイアット・アープがドグ・ホリディをみた最後になったのだろうと思わせた。
でも、この映画、女性が全く登場しなかったなあ。


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