おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

タイタニック

2019-10-02 07:50:40 | 映画
「タイタニック」 1997年 アメリカ


監督 ジェームズ・キャメロン
出演 レオナルド・ディカプリオ
   ケイト・ウィンスレット
   ビリー・ゼイン
   キャシー・ベイツ
   フランシス・フィッシャー
   ビル・パクストン
   バーナード・ヒル
   ジョナサン・ハイド
   ヴィクター・ガーバー
   デヴィッド・ワーナー

ストーリー
現代。タイタニック号引揚げ作業の責任者ラベットが、タイタニック最大の秘宝と伝えられるダイヤモンド“ハート・オブ・ジ・オーシャン”を身につけた若い美女のスケッチ画を発見。
そのニュースをテレビで見た101歳のローズが、絵のモデルは自分だと名乗り出る。
悲劇の航海の様子が、ローズの口から語られる……。
1912年4月10日、世紀の豪華客船タイタニック号は、世界のVIPを乗せ出港した。
17歳だったローズは、母親ルースが決めたフィアンセで大資産家キャルと共に乗船したが心はうつろだった。
一方、タイタニック号の三等切符を賭けに勝って手に入れた画家志望のジャックは、あこがれのアメリカへ渡れる喜びに酔っていた。
海に身を投げようとするローズを、偶然ジャックが助ける。
ジャックの感性に惹かれていったローズは、ジャックを部屋に呼び肖像画を描いてもらう。
船上の見張り番が巨大な氷山を発見し連絡したが、タイタニック号の船首が氷山に接触し浸水が始まった。
ジャックはキャルによって宝石泥棒に仕立て上げられ、警備兵室のパイプに繋がれてしまう。
女性、子供優先で救命ボートへの乗船が始まるが、ローズはジャックが気掛かりでボートから引き返す。
なんとか警備兵室のジャックを助け出すのに成功、しかし嫉妬に狂ったキャルがどこまでも二人を追ってくる。
1000人を超える生存者が甲板にしがみついていたが、船は割れ大勢の人が人形のように谷底へ落ちていく。
沈みゆく船とともに最後まで愛を貫こうとしたジャックとローズの運命は……。


寸評
3時間を超える長尺を一瞬たりとも飽きさせないキャメロンの演出も相変わらずの達者ぶりで、見応えのある作品に仕上げている。
年老いたローズをメインに持ってきて回想形式にした事で作品に深みを持たせている。
101歳のローズを演じたグロリア・スチュアートに存在感があった。
キャメロン演出は前半のラブロマンスから後半のスペクタクルへと視点を変えて見せ場を作っていく。

豪華客船の様子や、コンピューター・グラフィックスを使った客船の雰囲気とスペクタクル・シーンの迫力などの視覚的効果によって、ゴージャスな映画を見ている気持ちになれる。
その一方で、ストーリーに深みはなく話は単純である。
メインとなっているジャックとローズのラブロマンスが型通りすぎて一本調子になっているのが惜しい。
ローズは没落貴族なのか、一家を支える金のために好きでもない資産家のキャル・ホックリーと婚約しているのだが、この二人の関係描写が薄い。
家名と借金だけを残して亡くなった夫の未亡人であるローズの母親は、娘の幸せよりも従来の生活を維持することに執着しているのだが、この描き方もやはり薄っぺらい。
その結果として、なぜそこまでして二人が結ばれようとしたのかという説得力に欠けるものとなってしまっている。
そこを描くともっと長尺になってしまっていたのかもしれないが、ドラマとしては断然盛り上がったと思う。
前半部分はその意味でありきたりな恋愛映画に見えてしまった。
前半における一番の名場面になっているのが、船首にローズが立ち両手を広げ、後ろからジャックがその手を支えるシーンで、ローズが正面からの風邪を受けて「飛んでるみたい」と叫ぶシーンだ。
夕闇迫る大海原を背景にして二人の愛の高まりを表現するいいシーンで、公開直後のフェリーなどでは同じポーズをとるカップルを見かけたりしたもので、映画「タイタニック」の象徴的なシーンとなっている。

海難事故を思い起こす時、真っ先に思い浮かぶのがタイタニック号沈没事故である。
それは豪華客船であったこと、しかもそれが処女航海であったこと、そして犠牲者の数の多さによるものだ。
氷山にぶつかってからは事実に基づいたと思われる描写で、コンピューター・グラフィックスを駆使した画面が緊迫感を最大限に映し出す。
あらかじめ捜索船内で示されていたように、タイタニック号は船首から沈み始め、やがて船体が真っ二つに折れて船首が沈み、続いて船尾の半分が垂直に立ったかと思うと一気に沈んでいく。
甲板を滑り落ちていく人々、海に落ちる人々などの様子も手に汗を握らせ、記録的な観客動員をなしとげ、アカデミー賞を総なめしたのもうなずける作品となっている。

ラストシーンで年老いたローズが捜索船の船べりに立ち、例のダイヤモンドを海に落とす場面があるが、あれはローズが投げ入れたものだったのだろうか?
僕はあの時ローズがわずかに「あっ」と小さな声を発したので、落としてしまったのではないかと思っている。
思い出を閉じ込めて、「まあいいわ」の気持ちになったのではないのかなと思っているのだが・・・。
長いエンドロールが流れる間はセリーヌ・ディオンの歌声があり席を立てない。


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