猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

四季のない食卓

2007年03月15日 23時54分54秒 | ぶ~すか言ってやる!
夕方のニュースを見ていたら。

『観賞用チョウセンアサガオの蕾をオクラと間違ってかき揚にした一家が中毒を起こし病院へ運ばれた』

というニュースが流れていた。


     
                  ルッコラに蕾がつきました


なんでも、広く観賞用として愛されているこの植物で食中毒を起こしたのはこの家族が始めてではなく、その根がゴボウに、種子がゴマに、蕾がオクラに似ていることから、このような事故は数例起きているらしいが.....。

 註:チョウセンアサガオ=アトロピンなどのアルカロイド系毒を含む。
   1804年に華岡青洲がこの植物から麻酔薬を作り全身麻酔下で
   乳ガンの摘出手術をしたことで有名。
   多量に摂取すると、意識喪失、呼吸停止を起こし死亡することもある。

正直私には、ニュースの後にキャスターが、実際のチョウセンアサガオの蕾をオクラと共に並べているのを見せられても、その二つが似ているとは到底思えず、なぜその家の主婦がこれをオクラと間違えたのかがさっぱりわからなかった。

だいたい、南国に住んでいるならともかく、今の時期にオクラがその辺の露地でなるわけがないし、チョウセンアサガオとオクラでは、茎や葉だって似ても似つかないのだから。
(オクラは日本では、真夏にしか出来ない野菜なのだ)


       
                次々と咲く水菜の花


しかし、その後、よく考えてみれば、私たちの食卓にはもはや四季がないに等しく、年間を通じて、あらゆる野菜が手に入るゆえに、どの野菜がその季節のものなのか、果たしてその野菜が元はどういう形で畑にあり、どのような花を咲かせるのかなど、普通は知らないものなのかなぁとも思う。

私たちの周辺にはもう畑どころか、土さえ僅かしかないのだし、魚が切り身のままで海を泳いでいると思っている子供のいる時代だ。
驚くような勘違いで危険なものを口にしてしまうことも充分ありえるのかもしれない。


     
                結球しなかった白菜についた蕾


だが.....
自分達が普段食べているものがどんな風に育てられているのか、本来はどんな姿でどの季節に実るものなのかを知らないという状況は、本当は考えてみればとても危険なのではないだろうか。

人々は今の状況.....
つまり、お店に行って金を出せばなんでも買え、誰かが自分達の食べ物を生産してくれる状況が永遠に続くと信じて疑わないが、それが明日、壊れることだって充分あり得るのだから。

もし。
明日世界で壊滅的な災害が起きて、流通がすべてストップしたら。
私たちはどれだけ身近なところから食べ物を探すことが出来るだろう。

いくつの食べられる植物を、現代人は知っている?

土と水と、道具しかない場合、どうすれば植物が育つのか、どうすれば収穫までたどり着けるのか、何人の人が?

電気が止まり、インターネットも出来ない状況で.....
人々はどうやって自分達が食べられるものを知り、どうやって生き抜くのだろう。

『文明』という言葉に、素っ裸にされた人々は。


     


畑を始めて思うこと。

それは私たちがいかにモノを知らず、いかに驕り、いかに弱い存在かということだ。

そして、唯一自然の摂理からはずれている生き物であるということも。

畑を始めて、初めて見た野菜の花や立ち姿、あるがままの姿は、私を驚かせ、畏敬の念を抱かせる。

そして、本来の季節にその季節の野菜を食べ、本来ある仕組み、すなわち、虫が受粉を手伝い、増えすぎた虫を蛙が食べ、ミミズが土を作り、それをもぐらが狙う、ことを知ることで、自分達人間もその中に溶け込めるように努めなければならないと思う。

知ることは自分を守ることでもあり、周囲を、また環境を守ることでもあるのだから。

農薬を使わない野菜が。
どれだけ虫に食われるものか、知っている人はどれだけいるだろう。

毒のある植物を見分けるのも大切だが、自分が毎日食べているものにどれだけ毒が含まれているのか。
その毒がどれほどのものなのか.....。

もしかすると、それを知ることの方が先決なのかもしれない。


     
                   畑脇ではクロッカスが満開


チョウセンアサガオが食用でないのはほとんどの人が知っていても。

毎日食べている野菜に付着している農薬がどれほどのものなのか。
食品添加物がどれほどのものなのか.....
知っている人は少ないから。


     

     
                まだまだしつこく作ってます(笑)

コメント (11)    この記事についてブログを書く
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11 コメント

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おはようございます (虫主婦)
2007-03-16 08:36:36
普段オクラを喰ってる人なら、違いも分かるだろうに、不思議な家族ですね。
チョウセンアサガオって、あの、エンジェルトランペットとかいうでっかい花が咲くヤツでしょう?

ワタシの母は田舎者なので、食べられる山菜には詳しいので、教えてもらえばよかったかな~
山菜や食べられる野草や木の実は結構口にしてはいますが、自分で採ったりはしたことがないですね。
柿の葉っぱの天ぷらはおいしいです(これは本当)。

お店で売っている野菜があまりにもきれいだと、やはり心配ですね。洗うにしたって、葉物野菜はごしごしというわけにもいかないですし。
(ちなみに義母はあまりよく洗わないので心配・・・)
自分で育てたバジルにでっかいヨトウガの幼虫がいた時はビックリしたけど、それと同時にこれは安心、と思ったもの。
べんたろうたちにやる餌も、お店のものだとあっという間に死んでしまう。
人間はそういう野菜を食べて、私達の体に蓄積されていって、息子は大丈夫か?とも思います。
実際、不妊症が多くなってるのもそのせいだって言うし。


返信する
追伸 (虫主婦)
2007-03-16 08:37:58
柿の葉っぱは、春のまだ軟らかい小さめの葉っぱをお奨めします。
あまり大きく育つと当然固いです。
返信する
エロイム エッサイム (まきまき)
2007-03-16 14:47:59
スーパーに並んだ綺麗な野菜、そして魚介類。
「あ!○○が食べたいな。」、そう思ってすぐスーパーへ赴いて食材が簡単に手に入る近ごろは本当に便利。
料理番組でも先生が料理法を紹介しながら、最近は海外の珍しい野菜、ハーブが簡単に手に入りますから、是非作ってみて下さいね、なんて言う。
便利だよね。
でも、世の中は便利になりすぎた分、四季折々の旬の味、その土地の特産だとか、そういうものは忘れ、あまりに当たり前として受け入れすぎ、かえって食の根源である材料に無関心になってるのかな。
「やってトーライ」だっけ?あのコーナーでも、女の子達はサバ味噌煮を作ってってお題を出され、迷った挙げ句に秋刀魚を手にしたりしてるもの。

人間の欲は尽きることなく、日々の生活の中でも忙しい中で家事をいかに手抜きできるかっていう新製品が目白押し。
確かに便利。私も恩恵を受けてるよ。
だけど、生きていくための力、他の生き物には当然に備わっている智恵、知識、そういう大切なものが人間から欠如していくのはとても恐ろしいことなんだよね。

私は無二の海老好きだったんだけど、二年前のある時、急に海老を食べた後にエクソシストの女の子のお腹に呪詛の文字が浮かんだかのごとく、皮膚にものすごい凹凸のジンマシンが出てきたの。
それまで平気でモリモリ食べてたのに、それを境に国産天然の海老以外の海老はアレルギーが出るようになっちゃった。
その時、話題にしたけど、確かerimaちゃんの弟も海老アレルギーなんだよね?
国産天然なら北海道の親戚から送ってもらった物を一度に30尾も生で食べても一向に平気(食べすぎ…)。
でも今ってこの辺の大きな市場に行っても国産天然の海老ってそうそう手に入らないんだって。
以来、うちで作るブイヤベースも天麩羅蕎麦も茶碗蒸しもすべて海老抜き。
防腐剤がいけないのか、養殖用の飼料がいけないのか?

家庭科の教科書、基礎的な料理の本、それらには旬の食べ物が載ってたりもする。
うちは畑はやってないけど、自分達の子供には、それ以前に食卓で、台所で伝えていかなくちゃね。

生きていくには食わなきゃならぬ。
食わねばならぬなら、もう少し食べる物、作ることに興味を持たないと、生命の危機。
そんな基本的なことを今日のブログで考えさせられたよ。
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落とし穴 (ハナクロ)
2007-03-16 16:40:54
最近の有機栽培のブームもあり、勝手に野のものをとって、食べる人がいるみたいだけれどキノコをはじめよく山菜などをしっている人じゃない限りはやめたほうが身のためだと思います。ハーブティにして孫と中毒をおこしていた女性もいましたが、それも危険。

動物はそういうの生まれたときからしっているから毛をはく草などをちゃんとみわけて食べている猫を見たときは「猫が草たべてる。おなかへっているんだ」と思ったけれど違いました。蛇でも消化促進のために食べる草があるとかないとか???

野にあるものは薬にもなれば毒にもなる。生半可な知識で口にしてはいけないよね。

そういえば、水族館でダーリンに「お、この魚日本ではたべるよ」と河豚をみせたときダーリン「日本ってどんな魚でもたべるんだな」って笑われたけれど、食べます。

しかし、海のなかも最近は汚染されていて、魚を食べる量も調整しなくちゃいけないほど、もう天然は健康的な食べ物ではないらしい。

悲しい結果です。食べ物が命を脅かすなんて・・・・。
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見てました (くてくて)
2007-03-16 20:45:11
私も2つの比較を見ていました。
確かに「似てないじゃん!」と一人突っ込んでいました。
が、もし私が家でオクラを育てていてあれだけ大きくなっていても「家で育てて放っておくとこんなに大きくなるのね~」などと勘違いするかもしれないです。

チョウセンアサガオも繁殖力が大きいですね。
気づいたらあの家、この家、その公園にいっぱい咲いています。
植えていなくても種が飛んできて、、ということもありそうでうすね。
返信する
お晩です♪ (erima)
2007-03-17 01:28:51
虫主婦様

そうなんですよねぇ。実際ニュースでもオクラとチョウセンアサガオそれぞれの断面を見せたりしてたんですけど、当然ながら蕾のほうは花びらが巻いている状態でぺらぺら。
どう見ても身が固いオクラとは見間違えようがないと思うんですけど...。
まあ、オクラ自体は収穫しないで放置しておくと、30cmくらいまで実が大きくなるものですから(でもものすごく固い。木の繊維みたい)、それだけ見ると、大きさ云々ではエンジェルトランペットの蕾と変わらないとは思うんですけどねぇ。
どこをどうすればアレがオクラに見えるのかは依然不明

そういえば虫主婦様のお母様は(確か)山形のご出身とおっしゃってましたが、それはもう食べられる山菜等にはお詳しいでしょうね。あちらには『かてもの』の精神が根付いていますものね。
柿の葉の天ぷらは聞いたことがありますが、試してみたことがないので、とても興味があります。
そういえば柿の葉って、柿の葉寿司なんてのもありますものね。

売っている野菜の農薬はですね。実際は洗っても、あまり『農薬を落とす』という効果は期待出来ないのだそうです。
農薬には『展着剤』というものが必ずセットになっていて、それは雨や風で農薬が表面から流れてしまわないように使うものですので=水にも強い、と。
最近はその展着剤を分解して落とす、とかいう薬剤も売られていますが、それはそれで「そんな薬、本当に害はないの?」って疑問が湧いてきますし、なかなかに難しいですね。
隣の畑のお兄さん曰く、「みんな虫食いの野菜を嫌がるけど、虫がいるってことは毒がついてないってことだ。綺麗な野菜を欲しがるなんて、俺に言わせりゃ馬鹿だ」だそうですが、虫も最近農薬に耐性が出来てきて...
ちょっとやそっとの薬じゃ駆除できないらしいですから、自然、きっと農薬の使用量も徐々に増えていって...
本当に怖いです。人間も耐性が出来るのかもしれないけど、アレルギーとか、それこそ虫主婦様ご指摘の不妊とか、増えてるのはそのせいかもしれないですね。

でも、野菜を実際に育ててみて、やはり大量に安定した生産量をあげるには、薬を頼らざるを得ないことはわかるようになりました。
無農薬だと、小松菜なんてぜ~んぶ虫に食べられちゃうもん。だから我が家では小松菜は諦めました。
アクの強い野菜は虫も半分ぐらいは残してくれるんですけどね~(笑)
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あれは笑える! (erima)
2007-03-17 02:04:24
まきまき様

『やってトーライ』。私が見たときは「サザエの壷焼きを作って」と言われた女の子が、梅干を漬けるためのカメ(形が壺っぽい)にサザエを入れて、沸騰した鍋に投げ入れてた(爆)
あのコーナーは見るたび笑える~。
まあ、あの女の子達は仕込みなんだとは思うけど、あれに近い人も実際にいるんだろうね。親は何を教えていたんだろ?
でも、考えてみれば、サバもスーパーでは切り身になっているし、今や「匂いがつくとイヤだから」と、魚を家では焼かない家もあるんだものね。
知らないってのは怖いけど、それは何も本人だけの責任ではなく、そういう、本当は大切なことを伝えていけない大人のせいでもあるんだよね。
最近じゃ「鯨を食うのは日本の食文化だ」なんてもめてる件なんかもあるけど、鯨の食文化を伝える前に、もっともっと基本的な食文化さえ、伝えきれていないのだから、そっちをちゃんとするほうが先だろ、なんて思う。給食に骨を抜いた魚が出るっていうんだもの(中国の工場で一本一本骨を抜いて加工するんだって)。
「魚の骨ぐらい自分でとらせろよ」「そのうち箸もまともに持てなくなるんじゃねーか?」って話よ。

まあ確かにね~、現代人は忙しいし、食にかける時間も少なくなってきてるから、便利さを享受するのは悪いことではないと思うけど、やはり自分と家族の体に関わることだもの。
少しだけでも意識して暮らしていきたいわね。

そういえばアレルギーの件だけど、うちの弟は牡蠣がダメなのよ~。やはりまきまき様と同じく大好物なのに。
まあ、これは貝毒とかそういうのも関係しているのかもしれないけど...
エビの場合はあれね。きっと飼料に混ぜている抗生物質や冷凍出荷する際に使う酸化防止剤ね。
今は魚の干物なんかにもほとんどにこれが使われているけど、これも大量に流通させようと思えば、使わずにはいられないのでしょうね。
安全な食べ物をみんなが食べるには世界的な動きが必要ね。
(まあ、それ以前に世界の食料のほとんどを限られた先進国だけが独占してる状況自体改善しなきゃいけないんだろうけど...それをしたら確実にみんな餓えるというのが事実だそうね)

『食育』の大切さが叫ばれている今だからこそ、生産することの大変さ、本当の食の安全について、根本的に考える時期にきているのかもしれないわね。
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生療法は怪我のもと (erima)
2007-03-17 03:02:05
ハナクロ様

実は山形県米沢市に住む、私の母方の祖母・叔父達は山菜取り、キノコ採りの名人なんですが(前回訪れた時は天然のマツタケをたくさん貰った)、それでもときにはそれらの見分けに迷うこともあり、さらに最近は変異して食用のものでも個体によっては毒を持ったりすることもあるといいます。
確かな経験と知識がないと、野や山で食べられるものを見つけるのは難しいのかもしれませんね。
(ちなみに米沢市は有名な上杉鷹山のお膝元で、『かてもの』文化が根付いている場所です→http://blog.goo.ne.jp/yuushaerima/e/973efde6a3a41862f737dcc6289bd489

しかし、本来はおそらく、人間にもある程度は食べられるものとそうでないものを見分ける、嗅ぎ分ける能力があったと思うんですけどね~。
様々に生活様式が変わって、豊かになり、職業が細分化する中でそれらのものが失われていったんでしょうね。
動物には『知識』があるわけではないけれど、本能がしっかり危険を知っていて、食べ過ぎることもないし...人間も少しはそれらの部分を取り戻さねばいけないのかもしれません。

でも...今は自然の中で暮らしている動物、魚たちでさえ、人間があちこちを汚染させるものだから、体内に毒を蓄積せざるを得ない。
で、先ほど言ったみたいに、それまで毒を持っていなかった動植物が毒性を持ち始めて...
とても恐ろしい連鎖が起きているんですね。
そういえば最近、毒なしのフグを生み出すことに成功した、なんてニュースもありましたが。

一番怖いのは、すぐにはわからず、蓄積して、遅効性を持つ毒なのかも。
返信する
『観賞用』に名を借りて (erima)
2007-03-17 03:13:52
くてくて様

あのニュース。
ご覧になってましたか~。

やっぱり全然似てなかったですよねぇ。
どうしてアレを間違えるのかわからないくらい...。
確かにオクラって、収穫しないで放っておくと、30cmくらいには成長しますが、それこそ固くて食べられるものではないし、だいたい料理する過程で包丁を入れれば、断面の違いくらいわかると思うんだけどなぁ。
本当に不思議です。

しかし昨今はガーデニングの流行もあって、『観賞用』として売られている有毒植物も多く、それに関して注意書きがないものも多いですから、くてくて様のご指摘通り、こぼれダネで思いもかけず自宅の庭に生えてきた植物など、知らずに扱いを間違えることもあり得ますよね。

そうなると...
売る側も無責任に売るのではなく、それなりの注意書きをつける。
そして、みんなが、自分が詳しくない植物にはうかつに触らない、口にしないという、それぞれの注意や遠慮深さも必要ですね。
返信する
お早う御座います。 (icashiya)
2007-03-19 11:35:24
ご無沙汰しています。読み逃げご免なさい。
でもこの日はきてなかったのですね。

TBして頂けますか?3月19日付け「春の天使」

お手数お掛けして申し訳ないのですが…
私がする場合URLはどれをコピペすればいいのでしょうか?
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