次のようなタイトルを見かけた。
《子供多いほど税負担軽い「N分N乗」方式、少子化対策で浮上》
目下、焦眉の急の少子化対策。この問題の解決につながる希望の星が現れたらしい。「N分N乗」方式というようだが、初めて聞く言葉である。さっそく記事を読んでみた。
「少子化対策を巡り、子供が多い世帯ほど所得税負担が軽減される『N分N乗』方式の導入を求める声が与野党で上がっている。(中略)
N分N乗方式は、第二次世界大戦で減った人口を増やそうと、フランスが1946年に導入した。個人単位で課税する日本の所得税とは異なり、対象が世帯単位になる。世帯の課税所得を家族の人数(N)で割り算した後、1人あたりの税額を算出して、家族の人数(N)をかけ直す方法だ。」
(産経新聞 2月3日配信)
う〜む、どうもピンとこない。グーグル先生に教えを乞うと、次のような答えが帰ってきた。
「例えば夫婦と子ども2人で、課税対象となる所得が600万円の場合で見てみましょう。
課税対象の所得は保険料などを差し引いた金額で、給料の額面を示す『年収』とは異なるので注意してください。
夫婦のうち1人の所得が400万円、配偶者が200万円の場合、今の日本の税制だと次のようになります。
課税対象の所得 所得税額
主たる生計者 400万 37万2500
配偶者 200万 10万2500
合計 47万5000
Q:これがN分N乗方式だと、どうなるんですか?
A:この制度を導入しているフランスでは、子どもは2人目まで0.5人、3人目以降は1人と数えます。
これにもとづいて計算してみます。
下の図も合わせて見てください。
まず課税単位は世帯となるので、対象の所得は600万円。
これを大人2人+子ども(0.5人)×2人=3人で割ると、1人あたり200万円。
“税率が今と同じ”と仮定すると200万円の納税額は10万2500円。
これに3をかけた30万7500円が世帯の納税額となります。
世帯所得600万
課税基準 600万÷3人=200万
仮の課税 10万2500
合計(仮の税額✕3)30万7500」
(NHKニュース防災 2月3日配信)
な〜るほど。これならよく解る。N分N乗方式が導入されると、たしかに、納税額は16万7000円も少なくなる勘定だ。子どもが3人だと、納税額は30万円となり、さらに負担は軽くなるに違いない。
しかしながら、はじめに引用した産経新聞の記事には、この方式の問題点も指摘されている。以下の通りだ。
「ただ、現行制度と比較して中・低所得者には恩恵が薄くなり、格差の固定化につながる懸念も指摘される。(中略)
鈴木俊一財務相は3日の記者会見で『高い税率が課せられる高額所得者に税制上、大きな利益を与えるなどいろいろな課題がある』と指摘し、N分N乗方式の導入に慎重な姿勢を示した。
岸田文雄首相は将来的な子供関連予算の倍増を明言し、政府は少子化対策を最重要課題と位置づける。だが、N分N乗方式は女性の社会進出を進める方針と逆行するとも懸念され、具体的検討は見送られてきた。」
ここで指摘されているN分N乗方式の問題点は、具体的な例で計算してみれば、たしかにその通りだと判るのだろう。その計算は(面倒なので)ここでは割愛する。この問題は、国会審議でも取り上げられているようなので、そちらの議論の推移を見守りたい。
野党の議員諸君、ここが腕の見せ所ですぜ。
《子供多いほど税負担軽い「N分N乗」方式、少子化対策で浮上》
目下、焦眉の急の少子化対策。この問題の解決につながる希望の星が現れたらしい。「N分N乗」方式というようだが、初めて聞く言葉である。さっそく記事を読んでみた。
「少子化対策を巡り、子供が多い世帯ほど所得税負担が軽減される『N分N乗』方式の導入を求める声が与野党で上がっている。(中略)
N分N乗方式は、第二次世界大戦で減った人口を増やそうと、フランスが1946年に導入した。個人単位で課税する日本の所得税とは異なり、対象が世帯単位になる。世帯の課税所得を家族の人数(N)で割り算した後、1人あたりの税額を算出して、家族の人数(N)をかけ直す方法だ。」
(産経新聞 2月3日配信)
う〜む、どうもピンとこない。グーグル先生に教えを乞うと、次のような答えが帰ってきた。
「例えば夫婦と子ども2人で、課税対象となる所得が600万円の場合で見てみましょう。
課税対象の所得は保険料などを差し引いた金額で、給料の額面を示す『年収』とは異なるので注意してください。
夫婦のうち1人の所得が400万円、配偶者が200万円の場合、今の日本の税制だと次のようになります。
課税対象の所得 所得税額
主たる生計者 400万 37万2500
配偶者 200万 10万2500
合計 47万5000
Q:これがN分N乗方式だと、どうなるんですか?
A:この制度を導入しているフランスでは、子どもは2人目まで0.5人、3人目以降は1人と数えます。
これにもとづいて計算してみます。
下の図も合わせて見てください。
まず課税単位は世帯となるので、対象の所得は600万円。
これを大人2人+子ども(0.5人)×2人=3人で割ると、1人あたり200万円。
“税率が今と同じ”と仮定すると200万円の納税額は10万2500円。
これに3をかけた30万7500円が世帯の納税額となります。
世帯所得600万
課税基準 600万÷3人=200万
仮の課税 10万2500
合計(仮の税額✕3)30万7500」
(NHKニュース防災 2月3日配信)
な〜るほど。これならよく解る。N分N乗方式が導入されると、たしかに、納税額は16万7000円も少なくなる勘定だ。子どもが3人だと、納税額は30万円となり、さらに負担は軽くなるに違いない。
しかしながら、はじめに引用した産経新聞の記事には、この方式の問題点も指摘されている。以下の通りだ。
「ただ、現行制度と比較して中・低所得者には恩恵が薄くなり、格差の固定化につながる懸念も指摘される。(中略)
鈴木俊一財務相は3日の記者会見で『高い税率が課せられる高額所得者に税制上、大きな利益を与えるなどいろいろな課題がある』と指摘し、N分N乗方式の導入に慎重な姿勢を示した。
岸田文雄首相は将来的な子供関連予算の倍増を明言し、政府は少子化対策を最重要課題と位置づける。だが、N分N乗方式は女性の社会進出を進める方針と逆行するとも懸念され、具体的検討は見送られてきた。」
ここで指摘されているN分N乗方式の問題点は、具体的な例で計算してみれば、たしかにその通りだと判るのだろう。その計算は(面倒なので)ここでは割愛する。この問題は、国会審議でも取り上げられているようなので、そちらの議論の推移を見守りたい。
野党の議員諸君、ここが腕の見せ所ですぜ。