ルフィと黒田日銀

日銀の黒田総裁。もうすぐ任期が切れ、後任の総裁も決まったようだが、その日銀の黒田総裁が、広域凶悪犯罪集団「ルフィ」による強盗事件の原因を作った、という説があるらしい。

黒田総裁と「ルフィ」、ーーそのつながりについて、読者は、「ああ、そういうことか」とすぐに分かるだろうか。

情報サイト「日刊ゲンダイDIJITAL」に、次のようなタイトルの記事が載っていた。
《年寄りにはタンス預金しかない ルフィの背景に黒田日銀の大罪》
（２月１１日配信）

私はこの記事を読んでいない。この記事は「会員限定」の記事で、会員しか読むことができないのだが、私は会員ではないからである。

中身を読まなくても、そのタイトルからおおよその察しはつく。
日銀の黒田総裁が大幅な金融緩和策をとり、長期金利を長らく人為的に押さえつけてきたことは、読者もご存知だろう。金利がほとんどゼロに等しければ、わざわざ銀行に預ける気にならないから、年寄りは余った小金を「タンス預金」にする。小金といっても、塵も積もれば山となる。山となったその金を狙ったのが、「ルフィ」たちだ。年寄が小金を銀行に預けていれば、「ルフィ」たちも年寄りを狙って強盗を働いたりしなかったに違いない、ーーこの記事は、そう言おうとしているのだろう。

私の文章をここまで読んで、「あ、自分のことだ」と思った人は少なくないだろう。「年寄りは小金をため込んでいる」。これが世間の通り相場であり、「ルフィ」たちもこの認識を共有している。年寄りたちがため込んだ小金をせしめようと、「ルフィ」たちは当初、「オレオレ詐欺」を編み出したが、最近では、（もっと手っ取り早くカネが手に入る）強盗に、手口を切り替えたらしい。

「オレオレ詐欺」ならまだしも、強盗とあっては、痛い目にあったり、下手をすれば命を奪われたりしかねないから、年寄りたち（私も含めて）は、戦々恐々と日々を送っている。「ルフィ」たちの餌食にならないためには、どうすればよいのか。

「ルフィ」たちは年寄り宅に直接電話をして、言葉巧みに年寄りたちの家族構成や、資産状況を聞き出したりするそうだから、その手の電話には注意深く対応すること。
また、「ルフィ」たちは金持ちをリストアップした名簿を利用してターゲットを決めるという。この名簿は、「あの家は金遣いが荒いから、カネがあるのだろう」といった近所の噂や、どこどこのデパートで高額の買い物をした、といった情報をもとに、「名簿屋」が作るということだから、金持ちと思われるようなふるまいは避けること。

一昔前なら、皆から羨まれるように、借金をして高級外車を買ったりと、無理をして見せびらかしに金持ちを装ったものだが、最近では、強盗団の餌食にならないように、貧乏たらしい生活をするのが賢明な生き方のようだ。

事のついでに白状すると、私はこれまで「ロレックス」の腕時計を使ってきた。実をいうと、これは数年前、２、３千円で買ったメイド・イン・チャイナのバチモノ（偽物）なのだが、一見すると本物に見えるらしく、病院に長期入院していたときには「おっ、すごいですね」と何人かの病院スタッフに言われた。下手をすると、金持ちに見られてしまうので、こういうバチモノのロレックスはやめて、これからは国産のチプカシ（チープ・カシオ）あたりにしようと思っている。